この記事はdotD公式noteの転載です。
執筆者は、Managing Director 山中健太郎さんです。
https://www.wantedly.com/companies/company_7005547/post_articles/371963
dotDでは、四半期に一度、1日間、社員がボランティア活動に参加できる制度があります。inspired by salesforce 1-1-1モデルです。
手前味噌ですが、素晴らしい活動ですよね。こういう誰にとってもいいことは、二番煎じでも何番煎じでも真似すればいいと思ってる派です。
ということで、今までボランティアを含め社会貢献活動はほとんどやったことがなかったのですが、趣旨に強く賛同し、自分もやってやろうと決意しました。
それなのに...腰が重かったり、上手くいいものが見つけられなかったりで、中々行動できないまま時だけが過ぎて行きました。7月に制度が始まり、9月中に1人1つやってみようということだったのですが、見事に締め切りオーバー。
結局僕は寄付という手段を選択しました。これも僕に取っては初体験でしが、寄付という選択肢を視野に入れてから行動まではかなり早かった(数日間)です。
ということで、dotDの他の社員はボランティア体験記を書いている中、僕ははじめての寄付経験を書き起こしてみます。
社会貢献活動をしてみたい/しなければ...というぼんやりとした想いはあるけど行動に移せていないという方に読んでもらえると嬉しいです。
目次
- なぜボランティアではなく、寄付にしたのか?
- 寄付先の最終候補3団体
- 寄付の実行
- 感想と学び
- 寄付のススメ(偉そうに)
なぜボランティアではなく、寄付にしたのか?
一言で言うと、どうしても「やりたい!」と思えるボランティアが見つけられなかったから。上記の想定読者の方々には共感してもらえるんじゃないかと思うので、順を追って説明します。
まず、忙しい日々の中で「そうだ、ボランティアを探そう」と中々なりませんでした。
共感・決意はしているのに。会社に締め切りを設けられていたのに。別に朝から晩まで仕事で埋め尽くされた生活をしてるわけでもないのに。でも隙間時間が生まれた時に、脳内にその発想が浮かんでこない。
結局3ヶ月間でボランティア探しを行動に移せたのは3~4回程度だったように記憶しています。どれも同僚のnote投稿がリマインダー代わりでした。
次に、どう探せばいいかわかりませんでした。
もちろん「ボランティア XX区」「ボランティア 教育」で検索するくらいのことは試してみました。でも中々ピンと来ない。「自分の知らないもっといい探し方があるんじゃないか?」って思ってしまうと、見つけた選択肢の中で決める気にもなりません。
3点目に、どれだけ探してもピンとくる選択肢がありませんでした。
dotDの中で先行してボランティアに参加した人に探し方を聞いてやり方はわかった(※)のですが、中々自分の時間を投じたいと思える選択肢に出会えませんでした。
特に僕の場合は、自分がやる意味(例:団体の理念と自分のミッションとの重なり、仕事や親業への学び等)を見出せないと動けない性格であることや、日々の生活の中で如何に自分時間(≒読書時間)や子ども時間を捻出するかに課題意識があり腹落ちしない選択肢を選びにくい思考の持ち主だというのも、中々決められなかった理由としてあったのだと思います。
また、普段の言動は論理的なタイプに見られがちなのですが、生活者としての僕はとても直感的なので、サイトの見た目の印象やら何やらに影響された部分も少なからずあると思います。
(※)僕がdotDメンバーから教えてもらったボランティアの探し方
・Google検索(例:「ボランティア XX区」「ボランティア 教育」)
・ボランティア検索サイト(例:https://activo.jp/)
ちなみに、どんなテーマで探していたかと言うと、自分がEdTech事業に取り組んでいることもあり、教育関係に絞って探していました。
中々ひかれる選択肢に出会えない中で、強いて言えばキャンプの引率ボランティアは面白そうだと思ったのですが、キャンプ初心者だったので、断念しました。
デザイナーの山口さんが教育も兼ねてお子さんと一緒に近所の河原のゴミ拾いに行ったと聞いて、その手があったか!と探し始めたのですが、子どもを連れて行ける内容・場所で面白そうなものが全然見つからず、これも断念。
https://note.com/masato_gucci/n/n64aef30b74e2
そんなこんなな中で、ボランティア検索に対する諦め×締め切り効果×dotDの他の社員とちがうことをしたいという天邪鬼な発想の3つが重なって、寄付という手段を思いつきました。
寄付先の最終候補3団体
寄付に方針転換してからはトントン拍子でした。
「教育NPO 寄付」などの単語で検索すると、まとめサイトやブログが複数出てきます。それらを見ているうちに共感・応援できるNPOがすぐにいくつか見つかりました。
ざっと10~20のNPOを眺めてみた結果、以下の3団体の理念や活動内容に共感し、候補として比較検討しました。(僕が立ち上げようとしている事業をざっと眺めてもらえると、この3社がなんで候補になったのか理解してもらいやすいと思うので、リンクを貼っておきます)
Meepa | 子どもの本当の好きに出会う 課外活動マッチング子どもの本当の好きに出会う 課外活動マッチング。meepaは親の思い込みや限られた情報にとらわれない、子どもの「本当の好きmeepa.io
候補1. 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
貧困の世代間連鎖・固定化を解消するために、経済的困窮世帯の子どもたちに塾や習い事で利用できるスタディ・クーポンを発行している団体です。
実はIBM時代にプロボノ活動で3~6ヶ月ほどお手伝いさせてもらっていた団体です。その後ご無沙汰してしまっていたのですが、今回、偶然捜査線上に浮上してきました。
団体と子どもが直接関わることでエモいストーリーが生まれ、資金調達が加速されるという構造のある教育NPO業界の中で、教育はプロに任せ自分たちはクーポン配布に専念するという玄人好みのビジネスモデルを採用しています。一方で、それが故に実力に比して資金調達がしにくいという課題を抱えており、プロボノでも資金調達を加速するために、当団体の活動の社会的投資対効果(SROI: Social Return on Investment)を算出するという知的にチャレンジングなテーマに取り組ませてもらっていました。
候補2. NPOカタリバ
「すべての10代が意欲と創造性を育める、未来の当たり前を目指して」
というミッション・ビジョンにやられました。
活動内容としても、10代の探究学習を支援するDISCOVERや未来の学力をいなかから育もうとするGLOCALなど、僕の好みどんぴしゃ。
ちょっと検索するとすぐ「カタリバ」の名前がどこからともなく現れることからも、有力なNPOあるいは資金調達/ブランディングに力を入れているNPOだということがわかります。
候補3. 放課後NPOアフタースクール
放課後NPOアフタースクール私たち放課後NPOアフタースクールは、すべての子どもたちが放課後をたのしく過ごせるよう、アフタースクール事業などを行なってnpoafterschool.org
一児(執筆時点で2歳)の父として、恥ずかしながら、当団体が提唱する放課後の課題(リンク)の存在を知りませんでした。そして自分にとっては最高に楽しみだった・多くの学びを得られた放課後が、今の子どもにとってはそうでないことを理解し、愕然としました。まさに僕にとっては、インサイトというか、常識/現状認識をひっくりされた感覚でした。
学校を拠点とし、各校の教育目標や歴史・地域性を考慮したアフタースクールを設計・運営するという活動内容も、とても好みでした。
今回選んだのは...
上記の3団体のサイトを行ったり来たりしながら、最終的には、放課後NPOアフタースクールさんに今回は寄付させてもらうことに決めました。
最大の理由は、課題設定に強く共感したから。自分が問題とも思っていなかった問題を発見し、10年以上地道に取り組み成果をあげていることに感動し、応援したいと思いました。
といっても、今回一生のパートナーを決めたわけでもなんでもありません。次の機会(3ヶ月後くらい?)には、チャンス・フォー・チルドレンさんかカタリバさんに寄付させてもらうつもりです。あるいは、毎年この3団体に寄付してもいいかなーとも思ったりしています。
寄付の実行
寄付先を決めてから寄付まではとっても簡単でした。
適切な例えかはわからないですが、ECサイトで買い物をするのと感覚的にはほぼ同じです。
まずどの団体でも、1回限りの寄付か、継続的な寄付か(サブスクのようなもの)が選択できます。どの団体の活動にも心から共感しているものの、初心者としてはいきなりの月単位または年単位の継続課金には、正体不明のプレッシャーを感じてしまいました。もしかしたら契約したことを忘れて無意識のうちにお金を払い続けるのを恐れたのかもしれません。あるいは、寄付の特性上高い金額を払ったような錯覚で自己満足に陥りたかったのかもしれません。いずれにせよ、そんな僕にとっては、1回限りというオプションが用意されていたことはとてもありがたかったです。
クレジットカードで寄付できたのも、とっても助かりました。銀行振り込みしかないと言われたら、途中で離脱しちゃっていた気がします。クレカ決済のUI/UXも普通のECと同様で迷うことはありませんでした。
そんなこんなで、あっという間に寄付完了です。
強いて言えば、寄付後に「あなたのお金はこんなことに使いますよ」とか「こんなことに使ってとても助かりました」といった連絡がもらえると、もっと素敵な気分になれたかもしれないなと思いました。来たら来たで「そんなことに時間を割くくらいなら本業を頑張って」と言いたくなる気もしますが。
感想と学び
今回の経験を自分の事業に引き付けて振り返ると、以下のような学びがありました。
人は共感・決意だけでは動けない。デフォルト行動は「行かない」。行動変容のためには一歩踏み込んだサポートが必要である(詳細は行動デザインの教科書に譲る)
サイトの見た目はとっても大事。雰囲気だけで決めれる/雰囲気がなければいいことが書いてあっても決められない。
解決策の素敵さもさることながら、課題設定の鋭さの方が印象に残る・行動を引き起こす。
継続課金は警戒される。結果的に合計金額が高くなっても1回限りの方が安心感がある(自分の好みと寄付の特性のせいかもしれないが)。
課金にあたってはEC水準が当たり前品質。
良いことをした後は「良いことしたね」って褒めて欲しい。それが次の行動のエネルギーになる(気がする)。
寄付のススメ(偉そうに)
僕にとってはボランティアに比べて、寄付はとても簡単でした。
鼻高々というか、ちょぴり大人な気分にもなれました(心なしか背が伸びたような感覚)。ボランティアはボランティアで、活動後の清々しさ等、色んなものを手に入れられるのだと思うので、未経験の僕に比較はできませんが。
この活動をするまでは、寄付というと何だかすごく高尚でハードルの高い活動のように思っていたのですが、全然そんなことなかったです。何事もそうですが、一度やってしまえば、とても簡単なことがわかるので、今後寄付というものをほとんど抵抗なくできるようになった気がします。
ということで、想定読者のみなさま、思い切って一度寄付してみては如何でしょうか。