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今年の中秋の名月は9月17日。
さぁて、今年の名月はその姿を現すのだろうか。
月見泥棒
「月見泥棒」をご存知だろうか。
古くより見られた風習で、元々は子供らがお月見の供え物をこっそりと盗み取ることをいい、中秋の名月の晩に限って許される行為とされている。
供え物は、月見団子のほかに、家々によって柿や葡萄、里芋やさつま芋等々、種々様々である。
全国各地で行われたというが、今は一部地域に残るのみだ。
可愛い盗人の子供らは、どの家のものでもこっそり盗んでもよし、近所へ貰いに行くのもよしとされてきた。
子供らを月よりの使者に見立て、盗まれた家でも「お月様が食べてくれた、盗られた家は豊作になる」とむしろ喜んでいたらしい。
なんとも心温まる風習があったものだ。
名月の光に輝く
それでは本年中秋の名月の、我々青工逢山の華道作品をご覧いただきたい。
名月の光を受けてほのかに光を放つ供え物を表した。
月見泥棒をする際には竿や棒を手に、供え物をこっそり突いて取り、食したらしい。楽しそうである。
月見に供えられる葡萄には、その「つる」によって、月との繋がりを深くしたいという想いが込められていると云う。
その他にも地域で採れる作物は何でも供えて良い。
秋の七草もお勧めする。
今年の実りを月に感謝し、月との繋がりを深め、地域の人々皆と喜びを分かち合う、そういった姿を本作品に映しだした。
子供らの弾けるような笑顔、それを見守る大人たち皆の格別な一夜を想い描いていただければ心嬉しい。
おわりに
現代の月見泥棒では、
「お月見くださーい」
「十五夜でーす」
などと声を掛けて正々堂々とお菓子をいただいていく地域もあるという。
「トリックオアトリート!」と呼びかけるハロウィーンと、込められた想いには通じるものがあるのだろう。
形を変えながらも、幾久しく残ってほしい風習の一つ「月見泥棒」である。
さぁて、さぁて、月見の供え物の準備をしようか。