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「トヨタ生産方式(TPS)×IT」で挑む業務改善。現場目線を貫く改善支援領域の組織カルチャーとは

「トヨタ生産方式×IT」でトヨタ自動車販売店や物流の業務改善に挑む、ソリューション本部(現:戦略本部内、改善支援領域)。同本部が大切にしている価値観や組織の未来像、どんなキャリアパスが描けるか、販売店改善支援部部長の小栗(写真右)、同本部物流改善支援部部長の奥村(写真左)に話を聞きました。

※インタビュー内容は 2025 年 3 月時点のものです。


——はじめに、お2人のこれまでの経歴を教えてください。

小栗)私は2010年にトヨタコネクティッドに入社し、オーストラリアやインド、韓国など、海外のトヨタ販売店に向けたシステム開発や導入に携わってきました。2019年からは国内向けに需給改善プロジェクトのリーダーを務め、2024年4月から販売店改善支援部部長として、引き続き海外向けシステムや国内向けの改善活動に取り組んでいます。

奥村)私は2003年頃からトヨタコネクティッドに参画し、当初はGAZOO.comというBtoCのクルマ情報サイトのWeb開発をしていました。その後、2012年からソリューション本部に転属になり、中国に出向。帰国後はトヨタ自動車に出向し、その際に国際的なスポーツ大会でのモビリティ運行支援業務に携わりました。2023年にはトヨタコネクティッドに戻り、2024年から物流改善支援部の部長を務めています。

——改善支援の領域と、そのなかで販売店改善支援部と物流改善支援部がどんな役割を果たしているか、教えてください。

小栗)改善支援領域は販売店改善支援部と物流改善支援部の2つにわかれており、それぞれの部署にシステム開発やシステム運用、オペレーション改善をする部署が設けられています。そのなかで、販売店改善支援部のメインの業務はオペレーション改善にあります。全国のトヨタ自動車の販売店や工場で、改善活動とシステム開発を一体となって行っています。

奥村)販売店改善支援部が販売店のセールスなどフロント側の改善をサポートするのに対し、物流改善支援部は工場からクルマが出荷され販売店に納車されるまでの物流部分の改善を担当しています。

根底にあるのは「トヨタ生産方式×IT」。業務改善とシステム開発を両軸で追求する

——改善支援領域の物流改善支援部、販売店改善支援部が大切にしている価値観についてお聞かせください。

小栗)改善支援領域の組織が大切にしている価値観は、トヨタコネクティッド創業時から受け継がれてきた「トヨタ生産方式/TOYOTA Production System(以下、TPS)×IT」の考え方を基盤としています。これは私たちの根底を成すものであり、今後も揺るぎない価値観です。

トヨタコネクティッド株式会社のおおもとは、1996年にトヨタ自動車の豊田章男現会長がトヨタ自動車内に立ち上げた業務改善支援室という部署です。もともと工場の業務改善に用いられてきたTPSにITを掛け合わせ、販売店の業務を改善する取り組みをスタートし、その後、2000年に会社として独立しました。

さまざまな変遷を経て2017年に「トヨタコネクティッド株式会社」に社名を変更した後も、我々は「TPS×IT」の価値観を大切にし、トヨタ自動車内にある業務改善に取り組む部署と一体となって、顧客との信頼関係の構築に取り組んでいます。

——こうした価値観を組織に深く浸透させられる要因は何でしょう。

小栗)自然とそうした考え方が浸透するよう、社内のいたるところでTPSにおける自働化や見える化がされているからだと考えています。

例えば、我々の部署では独自の出退勤の管理システムを運用しており、社内のメンバーの出勤状況がひと目でわかるようになっています。また、グローバルヘルプデスクという海外向けのシステムを保守する部署では「カベ管理」といって、オフィスの壁にどの国で、どんな問題が発生しているかがパッと見てわかるよう表示しています。

いずれも必要なとき、必要な情報を、必要な人が得られるよう「Just in Time」の考え方がさまざまな場面で活用されているため、無意識のうちにTPSの考え方ができるようになるのです。

奥村)ほかにも、トヨタ自動車に2〜3年出向して実際に改善活動を経験した社員がその文化を持ち帰り、社内に広げたいと言ってくれます。また、改善支援領域の両部署でも年間通してTPSに関する教育機会を設けており、講師からTPSに関する用語や数字についての知識を学ぶ時間を取っています。

小栗)TPSは、現場に出て改善活動を行う我々の「源流」となる考え方であり、存在意義だと思っています。このカルチャーは将来にわたって唯一ぶらしてはいけないものですね。

——これまで取り組んだ販売店改善の一例を聞かせてください。

小栗)レクサス販売店の業務改善の一環で、おもてなし体験の創出をした例があります。
レクサス販売店ではお客様がクルマで来店されると、店舗入り口に設置したカメラでナンバープレートを読み取り、お客様の情報を自動で検索します。ナンバープレートから特定したお客様のお名前や来店目的、特記事項などの情報は、スタッフが装着するApple Watchに送信されます。

スタッフはApple Watchで受信した情報を見てお客様を出迎えるので、お客様が店舗に到着した時点ですでに「1,000キロ点検で来店」「車内土足厳禁、洗車不要」などの情報が把握できており、スムーズな接客につなげられます。

このシステムのメリットはもう1つ、どのスタッフも同じ対応ができるようになることです。あるお客様が、初回来店時にカルピスを頼まれ、さらにシロップをつけてほしいと言われました。それをシステムに登録しておき、次回別のスタッフが対応した際もシロップを添えてカルピスを提供したところ、とても感動されたというエピソードがあります。

これらはまさに、TPSの「Just in Time(必要なものを必要なときに必要なだけ)」という考え方を体現したものです。事前にお客様の好みや来店目的を把握し、適切な情報をタイミングよく提供することで、接客品質の向上と業務効率化を同時に実現しました。

全員がカルチャーを体現し「改善といえば物流改善支援部・販売店改善支援部」と言われる組織に

——今後組織をどのように成長させていきたいと考えていますか?

小栗)改善をした先には、さらなる改善があります。未来にわたってメンバー1人ひとりがTPSに基づいた考え方を体現できる組織にしていきたいですね。そのためには「社員全員がリーダーであり、創業者である」という意識を持ち、自分が担当している業務のなかで「この仕事は誰のためにしているか」「この仕事をすればお客様がどう楽になるか」を考えて取り組んでほしいと思います。その積み重ねによって、「改善と言えば物流改善支援部・販売店改善支援部」と名前が挙がる部署を目指したいと思っています。

——そうした組織を作っていくうえで、現在課題に感じていることはありますか?

小栗)TPSのカルチャーは、業務改善の現場で活動するメンバーには深く浸透していますが、一方、なかなか現場に行く機会のないシステム開発のメンバーには浸透しきっていない印象があります。「現地現物」という言葉があるように、トヨタの改善は現場に足を運んで、現地で現物を見て、聞くことが前提にあります。今後はできるだけ開発者にも現場に足を運んでもらい、生の声を聞く機会を設けていきたいですね。オペレーション改善のメンバーとも人材交流の機会を増やし、お互いのカルチャーや仕事に対する意識、想いを交換する場を生み出していきたいと考えています。

奥村)我々の改善は、TPSのみに基づくのではなく、TPS×ITに基づいて行われる点が特徴です。業務改善をする際、改善提案できる人がシステムの設計までできればベストですが、現状は、改善は現場で、システムは開発部署で行われます。そこのキャリアをうまく融合させ、現場の業務も理解しながらシステム開発ができる人材を育成することで、こうした課題を解決したいですね。

カルチャーに共感し、現場を巻き込みながら業務改善を推進できる意欲を持った人を求む

——両部署で働くことで、どういったキャリアパスが描けますか?

奥村)現状は、4〜5年システム開発に携わってからトヨタ自動車に出向し、現場理解を深めて業務改善のプロフェッショナルを目指すというキャリアパスが一般的です。

そのなかで、システム開発のスペシャリストを目指したいという希望があれば、改善支援領域だけでなくトヨタコネクティッドとして、適切な部署にキャリアパスを広げられるようなサポートをしたいですね。逆に現場で改善を突き詰めていきたいのであれば、部内のオペレーション改善室やトヨタ自動車への出向を通して希望するキャリアを実現できるようサポートします。

小栗)いわゆる一般的なシステム開発や組織運営のマネージャーを目指したい人には、根底となる改善の考え方を身につけてもらうため、トヨタ自動車に出向するなどして現場をつぶさに見てもらう必要があります。そうしたパスもしっかり提供していきたいですね。

——海外チームとの連携や未経験分野へのチャレンジなど、キャリアの広がりも経験できるのでしょうか。

小栗)例えば新たに海外チームとの仕事が立ち上がるタイミングでチャレンジ精神をもって手を挙げてくれる人がいれば、未経験であっても適性を検討したうえで挑戦してもらうことはできます。開発者としても、例えばAIなど新しい技術を取り入れるとなった場合は、チャレンジする機会はあります。

年に少なくとも2回は上司との面談を設定していますので、そうした機会に自分の希望するキャリアを伝えられます。上司はメンバーのスキルを考慮して、個々が成長するためのチャレンジ機会を提供します。

——最後に、物流改善支援部、販売店改善支援部が求める人物像を教えてください。

小栗)技術力が高いに越したことはありませんが、我々は必ずしもすごい技術を持った人を求めているわけではありません。さまざまな改善の現場に積極的に飛び込み、現場の人たちとコミュニケーションをして仕事ができる、活気あふれるマインドを持った人を求めています。

 TPSの考え方を源流とするトヨタコネクティッドのカルチャーに共感して、業務改善の仕事に挑戦したいという想いを持った人にぜひ参画いただきたいですね。たとえ未経験であっても、そうした理念やマインドを学びたい人、強い向上心や意欲を持った人と一緒に働きたいと思っています。

奥村)そうですね。私も、技術力よりもコミュニケーション力や人間力を重視しています。入社後はシステム開発に携わりながら、将来的に現場に入って改善業務にもかかわっていきます。改善業務となると当然、販売店のスタッフや物流の現場の人たちとコミュニケーションを取らなければなりません。

現場で改善業務をしようとすると、中には反発する人もいます。必ずしも全員が業務改善の必要性を感じていないことがあるからです。私たちもこれまで、販売店のスタッフに寄り添うために実際に販売店の現場で業務をともにするなどして親交を深め、根強く業務改善の必要性を伝えて工程を変えてもらった経験があります。

ただ会議に出て、議題に沿って自分の意見を述べていくようなコミュニケーションではなく、現場でお客様と肌と肌で接してコミュニケーションを取っていくことになります。現場のお客様によろこんでいただきたいという気持ちを持って、人を巻き込み、プロセスを変えていく力を持った人材を、将来に向けて育成していきたいですね。 

自分の中でそうした人間力、コミュニケーション力を育てたいと思っている人、現場でお客様からのダイレクトな反応を得たい人、システム開発や現場理解を総合的に深めたいという人にとっては、よい環境が提供できると思っています。

 


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