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【創業ストーリー】主力商品の売上低迷や事業の行き詰まり…様々な困難を乗り越え、売上高20億円までに成長した武内製薬の軌跡。

2013年の創業から急成長を遂げてきた武内製薬。今回は代表の金光に創業から今日に至るまでの道のりを4つのフェーズに分けてインタビューしました。武内製薬のこれまでの軌跡と、その魅力をお伝えします。
※この記事は前代表のインタビュー記事となります。

創業期(2013-2017)武内製薬の誕生。急成長市場のガリバーカンパニーへ

―武内製薬を立ち上げたきっかけを教えてください。

何か大きな挑戦がしたいと思って起業しました。
最初はブラジリアンワックス脱毛に特化した会社としてスタートしたのですが、なぜワックス脱毛をチョイスしたかというと、
・海外では急成長な市場であったこと
・国内ではまだ市場黎明期だったこと
・数少ない専門サロンが大きく集客できていたこと
といった条件がそろっていたからです。

ランチェスター戦略を参考に、ニッチな急成長市場のガリバーカンパニーになることは、小資本での起業に適した戦略だと考え、ワックス脱毛はこの戦略にフィットした領域だと判断しました。
運も手伝って日本のワックス脱毛市場が盛り上がってきて、その波に乗って私たちも急成長することができました。段々と事業が大きくなるにつれて事業に夢中になっていき、「事業はこんなに面白いんだ」「この会社をもっと大きくして立派な会社にしたい」と思い始めました。

―起業当時の武内製薬では何をメイン事業としていたのですか?

まず最初にワックス脱毛専門サロンの運営からスタートしました。創業から1年の間に3店舗を出店し、その後3年の間にFC店を合わせて12店舗を展開しました。同時に、ワックス脱毛に関連したサロン向け商材の販売や、個人向けワックスキットの販売、技術者養成スクールの運営、商材メーカー業など、ワックス脱毛市場の上流から下流までで出来ることをすべてやりました。

市場のドミナンスを高めることが最大で唯一の経営目標だったので、創業から4〜5年の間はそれだけを考えてワックス脱毛市場の中で業容を拡大していきました。現在武内製薬がやっているECを主体とした物販やメーカー事業の源流はこの時に既に始まっていました。

サロンとスクール以外の事業は2016年頃まで私一人でやっていたのですが、2015年頃は本当に大変で。朝起きて工場に行きワックス剤を製造して、お昼頃に受注処理をして夕方まで発送作業をやって夜からは商品ページなどのデザインをやって…一人武内製薬みたいな状態でした。笑
そしてもう一人では回らないなと思った頃に、今の工場長の植木君やOEMリーダーの大多和(おおたわ)君など昔からの友達や後輩が手伝いにきてくれて、そのまま社員になってくれたことはとても嬉しかったですし、心の助けになりました。

―起業時に大切にしていた、社長の考えやマインドはありますか?

創業から今も一貫して持っている考えが3つあります。

1つ目が「小さな成功モデルを徹底的にコピペする」。
例えば最初にワックス剤の開発に成功したとき、本当に小さな溶解釜で試作に成功しました。しかし、それを少し大きめの溶解釜で作ろうとしたら全然うまくいかずに大量生産ができませんでした。
そこで、小さな溶解釜を大量に買ってきて、数十個並べて作ることで無理やり大量生産することができました。しばらくすると段々技術が向上して大きな釜でも安定した品質で生産ができるようになりました。
同じように、商品開発においても徹底したマーケットインで小さな投資で商品を作ってみたら仮説通りに売れたので、次はいきなり大きな投資をするのではなくて、小さな投資の商品開発を大量に行って小さな成功をコピペしました。それを続けてるうちにだんだんと社内にノウハウがたまってきて、より大きな投資で大きな成功を目指せる商品開発も行えるようになりました。
コピペだと最初は効率が全然良くならないんですが、社内でどんどん技術が向上するので、いずれそれを最適化できるタイミングが来るんですよ。なので、とりあえず何でも挑戦して小さな成功モデルを見付けようという試みを大事にしています。

2つ目が「自分でやったほうがいいことは徹底的に自分でやる」こと。
これは簡単に言えばコスト意識なんですが、自分の時給を考えて自分でやったほうがいいことは誰かに任せたり発注したりしないで自分で手を動かしてやるということです。例えば武内製薬は自社工場を2つもっていますが、どちらも自分たちで工事の大半や機械調達を行ったお手製工場です。工場のコンクリート打ちを業者に任せるのか自分たちでミキサー車を呼んでやるのか、時給換算するとどうなのかを考えて、自分の給料の倍以上の時給換算であれば自分でやるということを徹底していました。
この考え方は、ただコストが浮くだけでなく、自分で手と頭を動かすことで得られる経験と知識が、様々なところで活用できてくるという利点があります。工場機械を自分で調達すれば、機械に対する理解が深まり、どういった性質の化粧品がどういった機械で作れるのか、といったところまである程度の理解が及ぶようになり、これは商品開発やOEM営業の際に知識としてとても活きました。

そして3つ目は「徹底的にやりきる、やりぬく」こと。
この”やりきり力”が、ビジネスの成否を分けるといっても過言ではありません。ひとつひとつのタスクをやり抜く熱量と、やりきり力が積み重なっていくと、”何でもできる力”になるので、非常に大事な考え方だと思っています。

変革期(2017-2019)ワックス脱毛の不況を機に「美容商品全般」へシフト

―2017年頃から脱毛ワックスの売上が低迷したと伺いました。その理由をお聞かせください。

光脱毛が大幅に価格を下げ、大きな競合相手となったからです。
脱毛には都度脱毛と永久脱毛があって、都度脱毛は髭剃りやワックス脱毛など効果は一時的だけど容易に行えるもの、永久脱毛は光脱毛など半永久的に脱毛効果が続くものを指します。つまりマーケット上では、都度脱毛は永久脱毛の下位互換に当たります。

なぜ下位互換のサービスにニーズがあるかというと、髭剃りやワックス脱毛の方が安価で比較的容易に行えるからです。それに比べ、光脱毛は数年前までは客単価70万円程と非常に高価なものでした。それが2016年頃から価格を大幅に下げ20万円~30万程になったので、比較的誰でも光脱毛に通いやすくなったのです。

しかも価格を下げたとはいえ、光脱毛は客単価が高く、リスティング広告や駅構内の広告などプロモーションを沢山行えるんですよ。片や、我々ワックス脱毛の客単価は4千円〜5千円程で彼らと同じようにプロモーションを行おうとするとどうしても赤字になってしまう。我々が広告を打てない間にも彼らは絶えず新しい広告を打ち、脱毛という市場の中で光脱毛がお客さんの大半を獲得していったので、ワックス脱毛のような都度脱毛はシェアを取れない状況が続きました。

さらに都度脱毛の中でも強豪となる除毛クリームが台頭したこともあり、ダブルで影響を受けた結果、ワックス脱毛の売上は伸びなくなってしまいました。

―ワックス脱毛の打撃を受けた後、どのように舵を切り直したのでしょうか?

まずはサロンに向けた自社ブランドの商品生産と、自社ブランドで生産不可能な商品の仕入れ販売を始めました。もともと脱毛ワックスの販売以外に、サロン向けにBtoBのサロン用品の販売もしていたんです。例えばベッドや椅子、サロン用のワゴン、ライトとか。

というのも、自社サロンを運営していた頃、これらの商材はすべてネットで購入していたのですが、「この商品がこんな高値で販売されているんだ!」と驚愕して。それと同時に「自社で作れば1/5ぐらいの価格にできるな」とも思ったんです。そこから「これは自社で生産して販売しよう」とか「生産はハードルが高いけど、仕入れてサロン向けに販売すれば、ニーズを獲得できるな」と考えて、自社ブランド商品の生産と仕入れ販売を始めました。

さらにこの時期に総合美容卸ECサイトが売上を伸ばしていて、市場も急成長していたので参入を決意しました。現在の武内製薬のECサイトは「ビューティーカート」という名前なんですが、この名前には”脱毛ワックス”だけでなく”総合美容卸ECサイト”を目指そうという意味が込められています。この頃を境に脱毛ワックスだけに留まらず、美容商品全般に取り組み始めました。

ただ、新しい挑戦を始めたのはいいものの、当時はマーケティングや販売の経験もノウハウもなく、思うように売上を伸ばすことができませんでした。

―「ワックス脱毛に限らず色んなことに挑戦しよう」という想いが武内製薬の変革の始まりだったのですね。次に打った手は何だったのでしょうか?

会社を成長させていくためには売上の支柱となる事業を見つけなければと思い、OEM事業(※)に注力しました。当時はとにかく何でもやってみようという精神で、トライアルアンドエラーの繰り返しでした。OEMの受託を増やすために企業用の展示会にも多く出展していました。
※OEM:他社からの依頼で他社ブランドを製造すること。

この頃、ワックス脱毛の可能性もまだ諦めていなくて。ワックス脱毛の市場が日本でさらに拡大すれば、トップシェアを持ってる我々は必然的に売り上げを伸ばせると感じていたんです。なので、僕たちが作った市場にもう一度大きな予算を投じて駅に広告を出したり、商品開発したり、さらなる市場拡大に取り組みました。しかしそれも失敗に終わり…脱毛ワックス以外の事業に本腰をいれないと本当に経営が危うい状態になってしまいました。

結果的に変革期は唯一OEM事業のみ好調で、それ以外の事業は軌道に乗ったとは言えませんでした。

※当時企業用の展示会に出展した際の様子

急成長期(2019-2021)得意なことを再発見し、スピード重視の商品開発へ

―苦しい状況が続いた変革期を経て、急成長のきっかけとなったのは何だったのでしょうか?

大きな要因となったのは、楽天出身でEC販売が得意なEC事業部長 鈴木と、三菱商事出身でサプライチェーンを整えるのが得意な副社長 塚越の存在です。「この二人の力を借りてできるビジネスってなんだろう?」と考えた結果、辿り着いたのが「マーケットインで商品開発をスピーディーに行う」という戦略でした。
楽天やAmazonで売れるものをとにかくスピーディーに作って作って作りまくる。それを繰り返していたら、ポコポコとヒット商品が生まれ始めて、比例するように売り上げも伸びていったんです。
武内製薬の主力ブランドである「NATURECO」や「Men’s Gorilla」「sakura&natural」を作り始めたのもその頃でした。

―新型コロナウイルス拡大の時期とも重なりますが、影響はありましたか?

2020年の4月〜6月は全く商品が売れませんでした。せっかく軌道に乗ってきたのに一気に売上が落ち込んでしまって。正直焦りと苛立ちを感じていました。しかし、まだ僕たちにできることはたくさんあると思い「マーケットインでスピーディーな商品開発」という発想を起点に、コロナだからこそ需要が高まっている商品をとにかく速く・大量に生産しました。

6月頃からはアルコール系の商品を工場フル稼働で作り続けたり、役員含め社員全員が交代で工場に勤務して、僕もひたすらハッカ油の箱詰めをしていました。みんなの力もあって、コロナを追い風にして以前より圧倒的な売上を達成できたんです。その後も「マーケットインでスピーディーな商品開発」を続けることで武内製薬は成長できたのだと感じています。

脱皮期(2021-現在)機能と価格のバランスの取れたどこの家庭にもある商品を作りたい

―現在、武内製薬が挑戦していることを教えてください。

今は「組織作り」と「ブランド作り」に挑戦しています。
僕たちが生み出した商品たちをブランドとして愛されるものにするべく、価格の安さだけでなく、「そのブランドだから」購入していただけるお客さんを増やして、マーケットの状況が変わっても、ずっと生き残れるようなブランドを作るつもりです。

機能と価格のバランスが取れていて誰でもお金を払って家に置いていて不満1つない...そんな商品をお客さんに届けることのできる組織作りに挑戦しています。

―この先どんな企業を目指していきたいとお考えですか?

一言で言うと「令和のマーケティングメーカー」を目指しています。
というのも、これからはマーケティングでモノづくりをしないと生き残っていけないと感じていて。市場環境は絶えず変化していて、時代ごとに戦い方が全く変わってきます。例えば、人口構成が変わると、マーケティング手法も変わり、広告手法も変わります。そうすると環境の予見から逆算して商品開発をする必要が出てくるんです。商品設計を落としこんで市場に投下するまでの時間が短ければ短いほど環境の変化に対応できるので、いかにスピーディーに仮説検証を回せるかが非常に重要になってきます。

そのためには、最低限その仮説検証ができる研究と製造までのサプライチェーンを自社で持っておく必要がある。研究開発、製造のファンクションがあれば、この「マーケティングドリブンのものづくり」が機能します。 そんなサプライチェーンを一貫して持ってるマーケティングメーカーを、僕は「令和のマーケティングメーカー」と呼んでいるんです。

そのために、僕たちはまず市場にあるニーズを拾い上げ、それを商品設計していち早く自社で作ってパッと世の中へ出す。売れたら量産をかけて、売れなかったら撤退するというのをかなりスピーディーにやっています。そして売れた商品はブランドとして育成する、という流れで会社全体をより成長させていきたいと考えています。ものづくりの面では前項でも触れた「機能と価格のバランスが取れていて誰でもお金を払って家に置いていて不満1つない商品」を作りたいと思っています。

―現在の武内製薬の雰囲気は創業時と比べてどう変化しましたか?

創業時は個人商店のような雰囲気で、最初に入社した社員たちも、僕の昔からの後輩や友達なので、仲良く熱量も高い部活のような組織でした。そこから企業のような組織になってきたのは変革期のあたりからです。急成長期には組織作りにも取り組み始めました。

現在の武内製薬の社員は「明るく元気で素直な人物」が多いです。その中でも1番大事な要素が「素直」であること。素直さは中々変えられない素質なので、素直な人はどんな属性や経歴であれ、武内製薬で働いてほしいと思っています。

―最後にこの記事を見ている方へメッセージをお願いします!

武内製薬はたくさんのチャンスであふれています。権限と役割と裁量のあるポジションで仕事ができるので、会社と一緒に成長したい方にはすごく魅力的な職場になると思います。僕も、もっともっと立派な会社にしたいと思っています。共に素晴らしい会社作りに挑戦しましょう!


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