その人が大切にしている言葉を知ることで、その人の考え方や生き方に、もっと触れられるかもしれない。「あ、もっと知りたい」そう思う、きっかけになるかもしれない。
そんな想いで始めた、名優で働く人が大切にしている言葉についてインタビューする「a motto(ア モット)」。
第7回は、営業サポート課で働くM・Yの a motto です。
ー 大切にしている言葉を教えてください。
さっき、お昼ご飯をたべながら書いてきました。これです。
「以和為貴」
私が子供の時、和室の床の間に、この文字が書いた掛け軸が飾ってあったんですよ。おじいちゃんが書いたもので。
親に「これなんて書いてあるの?」って聞いたら「わをもってたっとしとなす」って教えてもらって。
この掛け軸の前で遊んだりしながら、呪文のように唱えて、この言葉を覚えていきましたね。5歳くらいだったと思います。
ー これって、どういう意味でしたっけ?
一般的な意味は、みんなと仲良くすることが大事だよって意味です。聖徳太子の憲法17条の、第1条にあるみたいです。
おじいちゃんは、なんでこの文字を書いたんだろう?って思っていたんですけど。聞こうと思っている間に、亡くなってしまって。
私はこの言葉が好きで、字面も好きだし、書道部だったこともあって実際に自分で書いたりもしていました。
誰とでも仲良くするって、なかなか難しいことじゃないですか。私も性格上、全員と仲良くって言われたら、結構ハードルが高いなと思うんです。
元々、なんだろう、人に頼ることが結構苦手で。
ー 人に頼ることが苦手。
そうですね。
とにかく親に「なんでも自分でできるようになれ」と言われて、育てられたのもあって。
やっぱり、母も祖母も戦争を体験して、すごく苦労しているから。
あんまり他人を信用するな、とまでは言わなかったですけど。とにかく自分でなんでもやりなさい。人に手を差し伸べるのは、自分のことをきちんとできるようになってからにしなさい、と。
そういう風に育てられたのもあって、結構、人に頼れないんです。
ー 人に頼るのは苦手だけど、この言葉を今回持ってきたんですね。
そうですね。
この言葉には「人と会話をしましょう」という意味合いもあるんですけど。名優に入ってから、それって大切なのかなって、初めて感じているんです。
うち(営業サポート課)の社員の方って、すごくこう、私の意見とかを求めてきたりするじゃないですか。「Yさんはどう思いますか?」とか。
何かを決める時に、絶対みんなを集めるんですよ。
普通の会社って、社員が決めたことをメイト(アルバイト)にやってもらうのが普通だと思うんですよ。私も、社員さんだけで決めてもいいのにって、思うこともあるんですけど。
でも、メイトも交えてみんなに聞くっていう、その大切さというか。心地よさみたいなものを、名優にきて初めて知りましたね。
ー 心地よさ。
なんだろう。
こんな私でも必要とされているんだなって、思いますよね。意見を聞かれることで「あなたの意見も大事ですよ」と言ってもらっている気がするというか。
あと、その話し合うというプロセスがあるから、業務をスムースに行えている。上手く回っている、という感覚があります。
例えば、引き出しの中のモノの配置とか、そういう本当に細かいことも相談されたりするんですよ。働くみんなが使いやすいようにしよう、って。すごく細かいんですけど(笑)。
私はもともと、そういうの煩わしいって思ってしまう性格なんですけど、不思議とこの会社では、そういうのがしっくるくるなって思っています。
家では絶対やらないですけど(笑)。家では、私が全部決めちゃいます。
ー なんでしっくりくるんでしょう?
そういう進め方がしっくりくる人が集まっているから、じゃないかな。
そこで変なことを言う人がいたら、やっぱりそれって、面倒なことになるじゃないですか。
誰が何を言っても「そうだよね」ってなる。その安心感というか、土壌があるからだと思います。
こんな風に言ったら、上からになってしまいますけど。もう本当に、良くできる方たちです。社員の方も、メイトさんも。
ー 営業サポート課を見守っている感じですか?
正直、そうですね(笑)。
今日ちょっと機嫌悪いな(誰しも、そんな日ありますよね)と思ったら、そっと見守ってみたり。テンション高いなと思ったら、合わせてみたり。
社員の方たちが大変な仕事をしているのは知っているので、その手助けになればって思って働いています。
自分の仕事というよりは、彼女たちをサポートしたい。
営業をサポートする営業サポートを、サポートしている感じです。
(聞き手:優一)