その人が大切にしている言葉を知ることで、その人の考え方や生き方に、もっと触れられるかもしれない。「あ、もっと知りたい」そう思う、きっかけになるかもしれない。
そんな想いで始めた、名優で働く人が大切にしている言葉についてインタビューする「a motto(ア モット)」。
第4回は、営業課で働く佐藤の a motto です。
(一緒に埼玉県の病院を訪問した帰りの車中にて)
― 大切にしている言葉を教えてください。
アインシュタインの言葉「Once you stop learning, you start dying.」です。
学ぶのを止めてしまったら死んでいるのと同じ、という意味ですね。
この言葉と出会ったのは、大学を卒業して会社に入った後だと思います。
大学院の時までは、学ぶことを主として生きてきたんですけど。働き始めると、自分で学ぼうと思わない限り、なかなか学ぶ機会って生まれないじゃないですか。
何も考えず意識せずに過ごしていると、目的もなくYouTubeやNetflixをみたりして…ただ無駄に時間を過ごしてしまうことが多くなってしまうと思うんですけど。
何で見たかは覚えていませんが、そんな時にふと、この言葉が目について。
「自分は死に始めているぞ!」と。
― はっとしたんですね。
そうです。
それで、その無駄な時間を積み重ねていったらどうなるのか、計算してみたんですよ。そうしたら、年間でものすごい時間になって。恐ろしくなってしまったんです。
自分の人生にとって、プラスになる時間の使い方をしなきゃなと。
入社したての頃は、右も左もわからない状態なので。とにかく扱っている製品の周辺知識を学ぼうと、がむしゃらに勉強していました。
でもある一定のレベルを超えて、大体わかるようになってきた頃に。目的もなくYouTubeとかを見る時間が、増えてしまっていましたね。
― 弛んでいる自分を発見したんですね。
そうですね。もともと昔から、学ぶことは好きだったんですけどね。
「まもなく、銀座方面です。」
点と点が繋がる、といいますか。
これまでに自分が学んできたことと、今起きている問題がぱっと繋がって、問題が解決する瞬間がとても快感で。
― 問題解決を好きになったきっかけはありますか?
きっと、ゲームですね。
優一さんは知らないかもしれませんが、ゼルダの伝説です。
謎を解きながら進んでいく、RPGなんですけど。
好きすぎて、ほとんど全部のシリーズやりました。これがきっかけだった気がします。
― やったことはないけど、名前は知ってます(笑)。
あとは、中学生の時の数学の先生の影響もありますね。
もともと数学は得意で、好きだったんですけど。ある日突然、先生が自分にだけ、みんなに出していない問題を出してきたんですよ。
それをどうやって解決していくのかが、すごく楽しくて。
ずっと考えてましたね。1~2ヶ月後に、やっと答えを見つけて。先生に持って行ったんですけど。
先生はもう、そのことを忘れていたんですよ(笑)。それで、答えも教えてもらえずに流されてしまって。
「え?」ってなったんですけど、絶対にこれで合っているという自信があったので、解決したことにしました。
答えは「48cm²」でした。
― 答え、まだ覚えているんですね(笑)。その数学好きが、学部選択に繋がっていくんですか?
そうですね。でも、数学科にはいかなくて。
医療系の道に進みたかったんです。
私が小学校にもあがっていない頃に、病院に行けない子供たちを無償で治療しているNPO法人の特集をテレビで見て。
テレビを見た後すぐ、母親に「自分は医者になる」と伝えていたみたいです。
世界で困っている人がたくさんいる。そんな人たちを救える人になりたいと。
― でも、医学部にはいかなかった。
学力の不足から、諦めてしまいました。
そんな中、北海道大学のオープンキャンパスに行った時に、たまたま薬学部を見つけて。
「とりあえず行ってみるか」くらいの気持ちで、全然興味はなかったんですけど。
「医者は1対1でしか治せないけど、薬は1つ作れば無数の患者さんを治すことができる」という言葉に感銘を受けて。
その瞬間に、薬学部を目指そうとなりました。
― 薬学部在学中は、何を目指していたんですか?
製薬企業の研究職ですね。
薬剤師は、薬を調合するのがメインなので、はじめから目指していませんでした。
薬を創る側になりたかった。
製薬企業に研究者として就職するためにも、修士を終えて、博士課程に進みました。
でもある日、自分が5年間やっていた研究テーマが、スイスの企業からポンって発表されてしまって。
研究の道を絶たれてしまったんですね。
研究者は諦めて就職しようと思っていた時に、名優に出会って。
― 新卒で、名優に入社した。
名優の製品は、患者さんのことを一番に思って選んだ製品だってことが伝わってくるんですね。
患者さんのためになる製品を広めることで、世の中を良くしていきたい。
その熱い想いに共感して、入社しました。
冒頭の言葉に出会った頃は、自分が学んで満足してしまっていたんだと思います。
自分が学ぶことが、ゴールになってしまっていたと言いますか。「知識を得る」という意味では、ある程度で頭打ちになるじゃないですか。
でも今は、それをいかに広めるかを日々学んでいるんだと思います。
自分がどれだけ勉強して、理解したとしても。それを伝える能力がなければ、世の中に広まっていきません。
正しい医療器材の再生処理を日本に広めていくのが、私たちの役割なので。
「およそ400メートル先、合流します。」
(聞き手:優一)