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希少、かつ、最先端の光学素子製造学を極める

光学素子製造において最先端の研究を進めている東京大学三村秀和教授と夏目光学株式会社は、この春同大学先端科学技術研究センターに共同研究室を設立しました。
具体的に光学素子が社会でどのように活用されているのか、夏目光学として生み出せる価値、先端光学素子製造技術の向上が社会にもたらすインパクト、将来を見据えた自動化・省人化への想いなどの技術面に関して、長年同社と共に研究してきた三村教授と、同社の橋爪常務にお話を伺いました。

(左)東京大学先端科学技術研究センター 三村 秀和 氏

(右)夏目光学株式会社常務 橋爪 氏

柔軟に対応できる高い製造技術で光学素子業界をリードする

三村:超先端・超精密な光学素子というのは、病院などで広く使われているX線装置をはじめとして、X線顕微鏡を含むさまざまな顕微鏡、材料分析用の装置などにも使われており、細胞などを非常に高い分解能で観測したり(分解能:50nm程度)、元素の化学状態を見たりするため使われています。夏目光学さんと私達でしか作れないものも多く、この点は期待されているところなので、今後も継続して取り組んでいきたいですね。

橋爪:そうですね。これらの製造には、かなり高い精度が必要とされる。今後、時代が進むにつれ、まだ世にない光学素子が必要とされるケースも出てくるわけですよね。

三村:はい。我々が取り組む研究の名称は、『先端光学素子』の後ろに『製造学』が付いています。先端光学素子の製造において、球面や平面などは、もう簡単に作れる時代になりましたが、それ以外の変わった形を作るのは、まだまだ技術的に課題がある。それができると、レンズやミラーが使われている機器の性能が向上したり、光学系のレンズの枚数が少なくて済んだりといったメリットが生まれる。

橋爪:そうですね。

三村:超精密なX線の光学素子は、日本がリードしている分野です。原子レベルで精度を出してものを作ることにおいては、日本とドイツが強い。夏目光学さんは、本当にさまざまな光学素子を作ってこられた。少量・多種で、いろんな形のものを精度よく作れる。大手でそういう対応ができるところは聞かないですね。すなわち、さまざまなニーズに柔軟に応えられる多様な技術とノウハウを持っておられる。

橋爪:はい。先端光学素子を作る技術として、加工技術、計測技術、シミュレーション技術などを今まで磨いてきました。これは、今後も継続的に研究していくことになりますね。

三村:そうですね。夏目光学さんは、いい意味で特殊なビジネスのやり方をされてきた。今後は自動化を含め、引き続きさまざまな形の光学素子を、高品質、高精度、良心的なコストで提供していこうとなさっている。私の知る限りでは、このような光学分野の企業は見たことがありません。また、こうやって大変密に大学と提携して光学素子の製造に携わっているという例も、ほかでは聞きません。そして、我々が進める研究の名称の最後に『学』という字がありますが、大学なので学問として、これまで蓄積し磨いてきた技術を経験的に実践するだけではなく、理論的に裏付けられる形で進めていきたいとも考えています。

『光学』×『ものづくり学』が技術的に大きなインパクトに

橋爪:この先端光学素子製造学という研究テーマに関して、我々も企業として、その技術や事業の意義を色々と考えてきました。このテーマには、『光学』と『ものづくり学』の二つの要素があり、技術的意義と業界へのインパクトは、かなり大きいと思うんです。

三村:そうかもしれませんね。

橋爪:我々の寄付研究室が果たす役割としては、まず光学において、これまで長年培ってきたX線光学素子のクオリティをさらに高めることだと思っています。

三村:我々としても、光を扱う業界全体としても、非常に大きな技術的意義があるかもしれませんね。

橋爪:はい。光は、大昔から研究されてきて、人が目で見える可視光帯にはじまり、次第に目に見えない光も開拓されるようになった。次第に波長の短い方向に人類は研究を進めてきたわけです。同時にものづくりも進歩し、現在は短波長の光を実社会で活用できるようになってきた。今、その最たるものが、一番波長の短いX線です。X線は、扱うのも、制御する光学素子を作るのも大変です。X線をさらに開拓し、より実用性を高めていくことは、X線の分野だけでなく、ほかの波長帯の光学素子開発にも好影響を及ぼせるのではないでしょうか。ひいては、光学業界全体の技術力が全体的にアップすることにも貢献できるのではないかと思うんです。

三村:この研究が、業界全体への大きなインパクトにもなりうるわけですね。

世界に先駆けて先端光学素子製造の自動化・省人化を目指す

橋爪:もう一つのなすべきことは、先生も触れておられた、『自動化・省人化』です。これは、テクノロジーが非常に進化している昨今、イノベーションを続けていかなければと思う。X線の光学素子を自動製造できるようになれば、達成した技術的価値の和は大きいですよね。自動化・省人化の技術を、X線光学素子製造技術に取り入れるということは、二つの大きな技術を融合させる挑戦だと思っています。

三村:ええ、おそらく世界的な挑戦になるかと思います。各地の製造業の工場を見学しますと、自動化・省人化が非常に進んでいますが、まだこの業界では、それが進んでいない状況です。これは、単純に対応が鈍いからというわけではないんですよね。この分野は、各社それぞれが非常に特殊な技術でやってきたという歴史的な背景があり、決まったプロセスが確立されていなかったために、自動化が進められなかった。

橋爪:はい。製造プロセスを確立させやすい分野は、自動化も早期に実現されていますね。

三村:ええ。例えば、半導体の製造などは、ロボットで組み立てる製造プロセスが自動化できており、生産加工プロセスも確立されている。しかし、ミラーレンズなどの先端光学素子の製造は統一されておらず、自動化できる段階になかった。これまではそれでやってこられたが、このままでは将来大変になることが予想されるので、他業界を参考にして自動化・省人化を見据え、ロボット化などが必要になってくると思うんです。

橋爪:自動化となると、あらゆる知識や技術が必要とされますね。

三村:はい。幸い学内には、ロボット、AI、機械学習など、自動化・省人化に活用できる分野の研究者が大勢居り、ヒントをいただける環境にあるので、この共同研究室から最新の光学素子製造の自動化技術が提案できることを期待しているんです。

橋爪:あらゆる分野の専門家が側にいる環境は、大変心強いですね。

三村:これは大学に拠点を持つことの一つの大きな意義だと思います。時間はかかるかもしれませんが、実現できれば、全く新しいことですし、将来夏目光学さんの事業展開にも繋がれば嬉しいという思いもあります。

橋爪:ありがとうございます。先端光学素子の製造が自動化できれば、今弊社で製造しているほかの素子も当然自動化できる。そうなれば、既存のお客様にも大きな技術的メリットがありますし、その先の市場にも大きな技術革新をもたらすことができると思うんです。自動化という非常に難易度の高いテーマを掲げましたが、実現すれば、光学の分野でも、ものづくり学の分野でも、付加価値のある大きな貢献ができると思っています。

三村:そうなると、国内だけでなく世界においても存在感が増していきますね。

橋爪:はい。海外も含めて同業の企業を見渡しても、このようなテーマを掲げているところはまだないと思います。先生が先ほどおっしゃったように、X線光学素子の研究開発は日本がリードしている。しかし、ものづくりはまだ人力に頼っているところが大きい。光学業界においても、先端的なX線の分野以外では、既に自動化が進められています。しかし、我々が掲げる、最先端のX線光学分野の自動化というテーマは、長期的に目指して行くものであり、短期的・中期的に得られた技術成果は、その途中段階で横展開していけると考えています。

SDGsも視野に入れた製造技術を追求し次世代に繋ぐ

三村:『製造学』として掘り下げていき、自動化・省人化だけでなく、低コストで環境にも配慮された製造法の確立など、SDGsを意識した製造プロセスも作らないといけません。実際に私のところでは、水とアクリルだけで製造できる環境負荷を抑えた技術を開発しました。そういった技術も、今後実用化していきたいです。

橋爪:それも大切ですね。これまで話してきたことは、大変壮大な夢であるので、我々の年代では、もしかしたらその結果を見ることができず、若手にその夢を託すことになるかもしれませんね。

三村:その可能性もありますね。海外では、大学の先生そのものが起業するパターンがよくありますが、我々は企業と大学という、異なる立場の者が力を合わせるやり方を選んだ。夏目光学さんの事業の進め方と、我々が東京大学で取り組んできた研究の進め方は、とてもマッチしていると感じてきました。互いにポジティブな影響を与えながら技術を高めていけるこの組み合わせも、なかなかほかにないと思うんです。

橋爪:ええ。我々は、ものづくりに対する想いや、考えているあるべき姿というのが、非常に近く波長が合っているからこそ、ここ10年一緒にやってこられたとも思うんです。噛み合っていたから、技術的な進歩も遂げられたのだと。研究は、次世代にも続いていきます。大きなテーマを掲げるのも大事ですが、テーマ以上に連携がどれくらい深くできるか、同じ想いや理念を持っているか、ということも重要なのだろうと思います。理念の連携性まで考えると、ここまで強固なチームはないんじゃないかと自負しています。

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