1
/
5

【CEOインタビュー】美容業界の「プラットフォーマーに」

代表大庭が語るGO TODAY SHAiRE SALON創業ストーリーと目指す未来

5年以内に約80%の美容師が退職する...。修業期間が長い、給料が安い、長時間拘束される、など実は様々な「不」の側面を抱えているのが、私たちが普段利用する美容業界の現実ですが、その「不」を解消するスタートアップがあります。株式会社GO TODAY SHAiRE SALON。現在は、全国に29店舗の「シェアサロン」を展開し、約500人の美容師、ネイリスト、アイリストがフリーランスとして所属しています。同社の特長は何といっても「ビューティシャン・ファースト」であること。業界では、一回の施術につき美容師に還元される利益は施術料の1-10%未満が当たり前ですが、GO TODAY ではなんと最高歩合率90%。「シェアサロンとテクノロジーを駆使して、お客様とビューティシャンをつなぐ『プラットフォーマー』でありたい」と願う大庭代表の創業ストーリーと、彼が目指す未来を聞きました。


プロフィール

代表取締役 大庭邦彦

1976年10月生まれ。2003年LIFULL(旧next)入社。2007年ヘアサロン検索サイト「美美美コム」ローンチ。国内業界第2位の規模まで拡大させた後、2014年に同社を楽天に売却。2017年株式会社GO TODAY SHAiRE SALON設立後、代表取締役に就任。

美容師さんが、もっと自由に、もっと楽しく働ける「場」をつくりたい

――GO TODAY SHAiRE SALON設立に至ったきっかけを教えてください。

25歳でまだ小さかったLIFULLに入社し、不動産検索ポータルサイトの「ライフルホームズ」に参画しました。ライフルの事業が順調に伸びて行って、私が29歳の時に上場したのです。それで自信をつけて、当時はまだ誰もやっていなかった美容室検索のポータルサイトをやってみよう、ということで「美美美コム」を2007年、30歳の時に創業しました。

2014年に事業を売却することになったのですが、その後、ある会合で現在当社の取締役副社長である大池基生に出会いました。彼は当時からフリーランスの美容師として働いていたのですが、実際に会って話した時に美容業界に対する問題意識が一致したのです。

「美美美コム」を運営していた頃から痛感していたのですが、美容師のキャリアには、弾力性がないんですよね。多くの美容師は専門学校に通い、サロンに入社し、アシスタントから始め、お客さんの髪を切るまでに3〜5年ほどかかってしまう。しかも給料が安い、拘束時間が長いと、労働環境も良くないケースが多いのです。一人前になっても、その先は給料が上がらない店舗で働き続けるか、苦労して自分のお店を持つしかない。2兆円規模の市場があり、真似できない技術を持っているのにも関わらず、です。

これは業界構造が旧態依然としているのが原因だ、とその頃から感じていました。サロンのオーナーさんは、自分の店舗の家賃を払い、ポータルサイトに多くのお金を払い、薬剤など材料代にかかるコストもバカにならない。彼らは経営のプロではないケースがほとんどなので、結果的に現場で働く美容師に利益がほとんど還元されない仕組みになってしまっている。この構造自体をどうにかしないと、「5年以内に80%辞める」といわれる高い離職率は改善されない、ずっとそう思っていたのです。

大池自身、スタイリストとして9年間大手サロンで働き、独立していましたから、この業界の問題点がよく分かっていました。彼と意気投合し、「美容師さんが、もっと自由に、もっと楽しく働くことができる場所を創ることができないか?」、そんな想いから2017年、二人でGO TODAY SHAiRE SALONを創業しました。

――具体的な事業構想はあったのですか?

目を付けたのは、大池のようなフリーランスの美容師の働き方で主流だった、業界用語で「面貸し」と呼ばれる、サロンの一席を借りてお客さまを施術する方法です。ただ「面貸し」だと、美容師からすると、どうしても「一人だけ違う働き方をしていて気まずい」「他人の家で髪を切っている」ように感じてしまいがちで、仕事がしにくいのです。

そこで、私たちがサロンを運営し、全員フリーランス、全席半個室、パーマに使う機械なども全て提供する、美容師は使いたいときだけサロンを使う、というビジネスモデルを構築すれば、もっと彼らが自由に働ける環境がつくれるのではないかと考えました。つまり「シェアサロン」というビジネスモデルですね。

美容師とお客様を「サロン」と「テクノロジー」でつなぐ

――創業から、現在までの歩みをどう振り返られますか?

有難いことに、順調に事業を拡大させ、29店舗、約500人の美容師、ネイリスト、アイリストなどのビューティシャンが働き、月間2万人近くのお客様が来店されるなど「シェアサロン」は美容業界の一つの有力な働き方にまで定着しました。

ここまで大きくなったのは、私たちが「美容師にエンパワーメントを 美容室にエンターテイメントを」という理念を貫き通せたからだと思います。常に現場の美容師を含むビューティシャンの方を第一に考え、リスペクトしていたからこそ、歩合率最大90%という業界ではあり得なかった高い割合で報酬をお支払いすることができています。

事実、約500人登録しているビューティシャンの2割ほどは、月間100万円ほど稼ぐことができています。キャリアをスタートさせて、3年目の人でもそれくらいの額を稼いでいる方もいらっしゃいます。今まで、大手サロンで疲弊されていた方は「こんな働き方もあるんだ」と目をキラキラさせています。

ビューティシャンのニーズに合わせたプランも豊富に用意しているのも、支持された理由かなと思っています。月に5~10時間働きたい人から、土日までガッツリ働きたい人、ビューティシャンそれぞれの生活や人生の価値観に寄り添った会社でありたい、常にそう思っています。

――美容業界の「プラットフォーマー」になったのですね。

本当に単純に、ビューティシャンたちに、自由に楽しくやりたいことをやって働いて欲しいだけなんですよね。彼らはお客さまを満足させる「アーティスト」ですから、自分のお店を持って、資金繰りなど気にせず、自分らしく髪を切っていたい方が多いのです。経営をするとなると、「守り」の意識も大切になるし、旧態依然とした業界が、美容師という「アーティスト」の本来の良さを消してしまうこともある。そこが勿体ないし、残念だと常に感じていました。

ビジネスの成功だけを考えると、サロンのブランドを全面に出して顧客はサロンに付けて、スタイリストという個人は消す、という選択もあると思います。でも、私たちがやりたかったのは、ビューティシャンに自由に楽しく働いてもらい、お客様とずっと繋がれる環境を創ることです。そのためにも個人でどんどんお客様と繋がっていって欲しいと思っています。

「ビューティシャン・ファースト」だからこそ、今でも29店舗あるサロンには電話がなく、予約はビューティシャンに直接コンタクトをとる、という方法を取っています。一部店舗以外は支払いは現金を受けつけず、自社開発したアプリで完結させることができます。これらの取り組みの全ては、ビューティシャンにお客様に可能な限り集中して欲しい、という想いを起点にしています。

人と人をつなぐ場をつくり、テクノロジーでそれを補完する。シェアサロンというハードを持ちながら、アプリというソフトも有していることが、当社の最大の強みです。

「シェアサロン」という店舗ビジネスをDX

――とはいえ、ポータルサイトから店舗ビジネスに参入された当初は大変だったのではないですか?

1店舗目を出店するときは、大池と一緒に当惑したことを覚えていますよ(笑)。図面の読み方も分からないし、シャンプー施術で必要なボイラーはどんなものが良いんだ、と悩んだりしましたね。

でも、インターネット畑の人間だったからこそ、普通の店舗ビジネスのように考えていたら上手くいかないことを直感していました。タブレットでの受付、後払いサービスの導入、キャッシュレス店舗、どれも美容業界では初めての取り組みでしたが、店舗のDXを進めて、顧客サービス以外にかかるコストを抑えようとしてきた戦略が功を奏しています。

――フリーランス美容師として働きながらも、正社員として雇用され、本社業務を兼務する方もいらっしゃるようですね。

現在の正社員の半数が、美容師として登録し、店舗で施術をしています。社員としての業務は、各店舗のマネージャー業の他に、SNSの運用などのマーケティングからシャンプーなどのPB商品の開発も担当しています。

正社員になってもらうと安定した収入が得られますし、社会保険料などが会社負担になるので、フリーランス美容師+美容業界の会社員というハイブリットで良いとこ取りの新しい働き方ができるんですよね。

登録いただいている美容師さんには、当社から集客支援を行うなど、フリーランスとしての成長をサポートする環境が整っています。将来的に、自分のお店を持ちたい方が、シェアサロンをテストマーケティングの場にされているケースもあります。

美容師やネイリスト、アイリストさんら美容のプロは、真似することができない技術を持っているから、もっともっと自由に、色んな将来の可能性がある働き方を実現することが可能なはずです。

特に、最近は「美髪」や「ヘッドスパ」など、お客様のニーズが細分化されているので、専門的な技術を活かしやすくなっています。彼らにとっては、自分の「得意」を伸ばしていくチャンスでもあるのです。

時代が変化していくなかで、当社の使命は「美容のプロ」を全力でサポートしていくことに尽きる、と思っています。

2兆円市場の美容業界はチャンスがたくさん。異業種で培った経験を活かして欲しい

――順調に事業を拡大されていく中で、今後、どういった人材に来て欲しい、と思っていますか?

現在は、会社の事業成長を後押しする、バックオフィスの人材を求めています。当社の経営企画部門の責任者は有名メディア出身者で、財務部門のトップは数多くのスタートアップを見てきた会計士が担当しています。

まだまだベンチャーのフェーズにあるので、柔軟性を持って仕事に取り組んでくれる方に入社して欲しいですね。今後、ブランドを大きくしていく中で必要な、ブランドディレクターやヘアケアなど新商品の広告を手掛けたことのあるマーケターの方も募集中です。

――「GO TODAYらしさ」を一言で表すと、何になるんでしょう。

うーん、なんでしょう。明るく元気で素直なところ、ですかね(笑)。先ほど、社員の半数が美容師だという話をしましたが、やっぱり創造性を持って、自由に楽しく働いている社員が当社には多いと思います。みんな「得意」なことを仕事にしていますから、自然と社内も活気に溢れています。

社員との距離も近く、フリーアドレスオフィスで社長室もありません。一人ひとりが自律心を持って業務に取り組んでいるので、とても働きやすい環境です。

美容業界を経験していないバックオフィスの社員も、そうした環境に働きがいを感じているのではないでしょうか。美容室に行ったことがない方はおそらくいないと思いますし、何よりこの業界の市場規模は約2兆円で、実はとてもチャンスがある業界でもあるのです。アプリをはじめとしたテクノロジー、事業の根幹を支える財務、実店舗とオンラインでのサービスをつなげるビジネス、今まで別の業界で培ってきた知識や経験を存分に活かす機会が当社にはあります。実際に、メディアや金融、インターネット業界出身の社員もいますので、活躍の機会はたくさんあると思っています。

――最後に、今後の目標を教えてください。

創業して5年間、「シェアサロン」という場をつくり、アプリなどテクノロジーでそれを支え、店舗運営の知見も蓄積されてきました。29店舗を全国に展開していますが、最近「やっと芽が出てきたな」と感じています。

これからは、その芽から「花」を咲かす時期です。今まで通り「ビューティシャン・ファースト」で、当社で施術をする美容のプロの可能性を開花させるサポートをするためにビジネスを続けていきます。今後は、集客支援や技術支援など、当社のコンセプトである「シェア」する領域をどんどん拡大させていく予定です。

経営理念である「美容師にエンパワーメントを 美容室にエンターテイメントを」に共感してくださる方、美容業界のプラットフォームづくりに関心がある方のご応募をお待ちしています。


取材・執筆:湯浅大輝 / 撮影:遠藤素子

株式会社GO TODAY SHAiRE SALON's job postings
12 Likes
12 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like 橋本 多良's Story
Let 橋本 多良's company know you're interested in their content