プロフィール 鈴木貴博
静岡大学 工学部 環境応用化学コース所属。現在、約半年間Garageのインターンを行い、浜松の学生に対して、ビジネスコンテストへ参加しやすくなるスキルを学ぶプログラム(Challenge Exercise)の企画運営を担当。
このインタビューでは鈴木さんが自身の中で成し遂げたいこと、Garageでの目標、挑戦していることを深掘り、Garageインターン生の考えや価値観を共有します。
ーー鈴木さんの成し遂げたいこととはどのようなものですか。
僕の将来成し遂げたい目標は、海洋性プラスチック問題において廃プラスチックが海に出て行かない社会の構築です。
ーーすごく壮大な目標ですね。なぜその目標を掲げるに至ったんでしょうか?
今の目標は、地元の海の事情が強く影響しています。僕は愛知県の海から近い場所で生まれ育ちました。地元の海は日本で一番汚いと言われており、幼いころからその汚れを感じて来ました。
特にそのような地元の海の汚れを実感したのは中学の時でした。
家族で県外の海辺に旅行した際、初めて釣り体験とそこで釣った魚を食べてあまりの美味しさに感動しました。しかし、地元に帰ってから同じように釣りをしようと海に魚釣りに行き、魚を家に持ち帰って食べようとしたところ、母親に止められてしまいました。汚れた沿岸でとった魚は体に悪いという理由で、当時の僕は地元でがあの体験ができないということにショックを受けました。
後から調べると、汚い沿岸の魚を食べても体への悪影響はそれほどなさそうでしたが、当時の衝撃をきっかけに地元の海が汚れる原因を考えるようになりました。そして汚れの1つの要因である海洋性プラスチック問題に興味を抱きました。
このような経緯から僕は、廃プラスチックが海に出ていかないための社会作りに携わりたいと考え、生分解性プラスチックなどの技術を社会に実装させる仕事を目指すようになりました。
ーーなるほど、生まれ育った環境から将来の目標が決まったんですね。ではそのような目標がある中で、なぜインターンを始めるにいたったのですか?
理想の社会作りのために、モノ作りの技術発展も大事ですが、社会実装に関する知識・経験も必要だと考えたからです。現代社会では、技術があっても社会に実装されなければ社会問題の解決にはつながらないことがあります。 例えば、シリコンバレーではテラサイクル社が行っているLOOPというサービスがあります。LOOPはリサイクルの技術が優れているだけでなく、リサイクルの回収率が高くなる仕組みが整えられており、大きな成果を出しています。
一方、日本は高いリサイクル技術を持っていますが、回収に大きな課題を持っています。例えば、廃プラスチックを回収する時に同じ材質のプラスチックだけを回収できない、または同じ材質でも回収量が十分ではないということが挙げられます。これはビジネスや仕組みづくりなど、技術以外の側面からも考えるべき課題だと思います。
ここから考えると、技術があっても事業・仕組みが整っていなければ課題解決につながらないという背景があります。そのため、僕は技術の社会実装に関する知識の必要性を感じ、ビジネスが学べるインターンを行おうと考えました。
ーーなるほど。技術の社会実装に貢献できるように、「人を巻き込んでプロジェクトを進める経験やスキル」と「ビジネスの知識」が必要だと感じたんですね。では浜松のインターンの中でGarageインターンを選んだのもそのような理由が絡んでいるからですか?
はい、その通りです。ビジネスに関する知識をつけながらプロジェクト運営の経験を得ようと考えたのですが、そもそもビジネスコミュニティでチャレンジする学生や社会人の方と知り合う機会がありませんでした。
僕が所属する工学部では、僕と同じように、ビジネスに興味がある学生が少なかったため、学外で社会人の方と交流を増やそうと、ビジネスコンテストに参加しました。そこで、現在のインターンの先輩に出会い、Garageインターンが「浜松の学生が起業するような文化を作り上げていくこと」を目標としていることを知り、Garageの目標達成が自分の悩み解決にもつながることから、Garageの目標に共感し、一緒に目指して取り組みたいと考えました。
ーーGarageの想いと目的がご自身の目標に合致していたんですね。では、Garageインターンで現在どのような仕事を任されているのですか?
現在はChallenge Exerciseという学生向けイベントの企画・運営責任者を任されています。Challenge Exerciseでは、私がビジネスフレームワークやスライドデザインに関する講義を行い、その後、我々インターンがサポートしながら参加学生がグループワークを行います。私は企画・運営責任者として、講義・グループワークの内容決め、集客、その後の交流会のための軽食準備まで、イベント成功のためのあらゆることを担当しました。
ーーその仕事の経験から得たこと・気付きは具体的にどのようなものがありますか?
気付いたこと・得たことは2つあります。
1つ目に、網羅的にタスクを確認し、逆算して仕事を進めることの重要性に気付きました。僕は責任者として、企画・運営・ファシリテーターを務めたのですが、1つのイベントを実施するまでにやるべきことがとても多いことを知りました。
企画・準備の段階で、必要なタスクを洗い出せていなかったり、残り期間を考えると足りない準備がある、ということを何度か先輩に指摘されました。このイベントは自分が責任者なので、自分が開催に必要なタスクに気が付かないとイベントが失敗してしまう、という自分ごととしての視点が足りていないと思い知りました。そこで、イベントが実際に開催されるところを何度もイメージしながら必要なタスクを網羅的に書き出し、先輩に相談しながら期日をしっかり決める工程を毎回行うようにしました。
この意識を取り入れることで洗い出せていなかった仕事が減り、締め切りをより意識するようになりました。このように網羅的認知と逆算思考を続けることで、プロジェクトを確実に進めることができるようになり、イベントを確実に開催することができるようになりました。
2つ目に、ビジネスに関する知識がつき、社会に対する課題感が強くなりました。
ビジネスフレームワークの講義を行った際、参加者から質問を受け、答えられないことがありました。そこで自分の浅い知識量を反省し、理解を深めるために、日常的に本やニュースをを読んだり、そこに出てきた企業や事例にフレームワークを当てはめて考えるようにしました。その結果、以降のイベントでは参加者の質問に具体例などを含めて答えられる様になったり、技術がどんな社会の課題を解決してどのようにビジネスとして成り立つのかを自分なりに考えられるようになり、視野が広がったと思います。この習慣を続けることで将来的には、技術の社会実装で価値を発揮できる社会人になれるのではないかと考えました。
総じて、自分の未熟さに気付く機会が多かったです。ですが、このように自分に足りないものに気付けたのはイベントに全力で取り組んだ結果であり、Garageインターンでの挑戦できる環境があったからこそだと感じています。
足りないものに気付く経験をすることで、社会に出る前に改善に取り組むことができたり、成長につなげられます。
このような意味でもGarageインターンの環境に出会えたことにとても感謝しています。