居酒屋、唐揚げ、たい焼き、フルーツサンド、買取。経験してきた業態は多岐にわたる。
新しい現場に立つたびに、できることが増えていった。
武器は特別なスキルではない。明るく元気に素直に真面目に——それだけだ。
株式会社プラーナは、茨城県つくば市を拠点に複数の飲食業態を展開する企業です。モスバーガーのフランチャイズをはじめ、横浜家系ラーメン「たくみ家」、油そば「元祖油堂」などを手がけています。社名はサンスクリット語で「生命エネルギー」を意味します。お客様の「お腹も心も満たす」状態=「幸腹度」を高めることを理念に掲げ、創業以来積み重ねてきた土台をもとに「第二創業期」へと歩みを進めています。年商50億円・70店舗の実現を掲げ、茨城発の食のリーディングカンパニーを目指しています。
同社の第三事業部を率いるのが高石大河さんです。担当するのは、家系ラーメン(第一事業部)と油そば(第二事業部)を除く、いわば「それ以外のすべて」の領域。唐揚げ、たい焼き、フルーツサンドといった飲食業態に加え、新規事業の買取事業まで、次々と新しい業態の立ち上げに携わってきました。社内でこれほど多くの業態を経験してきた人は、ほかにいません。
「どの業態に行っても、教わる立場を忘れず、素直に学ぶ。それだけは崩さずにやってきました」——業態を越えて挑戦を重ねてきた高石さんに、その歩みと、どの現場でも変わらない仕事の流儀を聞きました。
プロフィール
高石 大河(たかいし たいが)|株式会社プラーナ 第三事業部 部長。38歳。大学卒業後、飲食店やパチンコ店でのアルバイトを経て、30歳を目前に学生時代からの友人の誘いでプラーナに入社。東京の居酒屋事業を皮切りに、唐揚げ・たい焼き・フルーツサンドなど複数業態の立ち上げに携わる。現在は第三事業部の責任者として、飲食業態と新規の買取事業を統括する。
友人の一言が、新しい道の入り口になった
―― まず、プラーナに入るまでは、どんな道のりだったんですか。
大学を卒業したあと、5年ほどはフリーターとして過ごしていました。学生時代から飲食店でアルバイトをしていて、入社の直前はパチンコ店で働いていました。特別な経歴や経験があったわけではありません。30歳を目前に「そろそろ就職しよう」と決め、プラーナに入社しました。会社勤めとしては1社目で、もう10年近くになります。
―― 入社のきっかけは何だったんですか。
大学時代の友人がプラーナで働いていて、以前から「うちに来ないか」と誘われていたんです。当時は生活の拠点を移すことにためらいがあり、返事を保留していました。会社が東京に居酒屋を出店することになり、そのタイミングで改めて声がかかった。拠点を移す条件も整い、自分の気持ちも固まっていた。「それなら」と飛び込みました。
―― 決め手はどこにあったんでしょう。
在学中の休みの期間に、アルバイトとしてプラーナで働いた経験があったんです。現場の雰囲気も、働いている人たちの顔も知っていた。実際に中で働いたことがある安心感は大きかったです。信頼できる友人と同じ店舗への配属も決まっていましたし、学生時代に居酒屋で働いた経験もあった。気負わずにスタートを切れました。
―― 入社前に、不安はなかったんですか。
正直、ほとんどなかったです。気楽だったと言ってもいいくらいで(笑)。知らない世界に飛び込むというより、知っている場所に入っていく感覚に近かったんです。飲食の現場も経験していたので、仕事のイメージも湧いていました。構えすぎずに入ったぶん、目の前のことに素直に向き合えました。
環境が変わるたびに、自分の幅も広がっていった
―― 東京のご出身だそうですね。勤務地はどう変わっていったんですか。
会社の展開に合わせて、東京、茨城、埼玉と拠点を移してきました。引っ越しの回数はかなり多いほうだと思います(笑)。いまは埼玉の三郷を拠点にしています。
―― 拠点を移し続ける生活は、大変ではなかったですか。
きついと感じたことは、ほとんどないんです。強いて言えば、業態が変わるたびに、新しいことを最初から覚え直す必要があった点です。もともと飽き性で、新しいことがあるほうが楽しいタイプなんです。土地が変われば、お客様の層も、一緒に働く仲間も変わります。その違いに触れること自体が面白い。環境の変化は、自分の幅を広げてくれるものだと捉えてきました。
1つに縛られない。業態を越えて立ち上げ続ける
―― 第三事業部は、どんな事業を担当しているんですか。
第一事業部が家系ラーメン、第二事業部が油そばで、第三事業部は「それ以外のすべて」です。唐揚げ、たい焼き、フルーツサンド、いまは新規事業の買取事業も担当しています。会社の中で、一番いろいろな業態を抱えている事業部です。
―― 立ち上げには、どこまで関わってきたんでしょう。
第三事業部が手がける業態のほとんどで、立ち上げに関わってきました。買取事業は1号店からの立ち上げです。唐揚げ業態には、すでにプロトタイプとなる1号店がありました。既存の店舗モデルをブラッシュアップし、店舗展開しやすい形に整えるところから関わりました。オープン前の研修からオペレーション構築、スタッフ育成まで、一通り経験しています。
―― 新しい業態は、どうやって形にしていくんですか。
フランチャイズの業態であれば、まず加盟先の店舗で研修を受けるところから始めます。既存のマニュアルを学び、プラーナがモスバーガーや家系ラーメンで培ってきた要素と組み合わせて、プラーナの運営に合った型へ再構築していく。味やオペレーションの核は崩さずに、自分たちの体制や立地に合わせて手順を差し替えていくイメージです。ゼロから作るのではなく、持っている要素と新しい要素を掛け合わせる。業態が増えるほど、引き出しも増えていくんです。
―― 複数の立ち上げを、かなりスムーズに進めてきたと聞きました。要因はどこにあったんでしょう。
自由度の高い環境で任せてもらえたことですね。研修から立ち上げまで一貫して携わっていたため、全体を見ながら裁量を持って進められました。現場に裁量があるぶん、必要な判断もスピーディーです。責任は重いですが、整った仕組みの上でやるより、自分で考えて動ける環境のほうが、僕には合っていました。
―― 業態が変わるたびに、意識してきたことはありますか。
どの業態に行っても、教わる立場を忘れず、素直に学ぶことです。「それはもう知っている」と思うことでも、一度きちんと聞く。今までの自分たちのやり方と違っていても、まず相手のやり方を受け止める。教える側との信頼関係を築くためにも、まずは素直に学ぶ姿勢が大切だと考えています。何度も立ち上げを経験して、それなりの役職にもなりましたが、新しい業態の前では毎回1年生に戻る。その姿勢は、どの現場でも崩しませんでした。
―― 業態をまたいで培った、ご自身の強みは何だと思いますか。
順応力ですね。どんな業態に行っても、教わって、覚えて、形にして、人に渡す。このサイクルを回し続けてきたので、変化への耐性は相当つきました。もう1つは、立場の違う人たちとフラットに関係を築けること。フランチャイズの本部、現場のスタッフ、本社——それぞれの間に立って話をつなぐ役回りが、自然と多くなりました。現場と経営の橋渡しは、会社の成長に伴い、さらに重要になる役割です。
明るく元気に素直に真面目に。それが一番の武器

―― 立ち上げの面白さは、どんなところにありますか。
新しい人との出会いと、新しい価値観に触れられることです。業態ごとに、大事にしているものやリスクの見方が微妙に違うんです。ここは絶対に妥協しない、ここは重点的に目を光らせる——そのポイントが会社や業態によって違う。その違いに触れて、良いところを自社の別の業態に取り入れれば、店舗の運営はさらに磨かれていく。1つの事業を突き詰めるより、着想や刺激を得やすい環境だと感じています。
―― プラーナで働く魅力は、どこにあると思いますか。
目の前の仕事に真面目に取り組み、行動や成果につなげた人にチャンスが生まれやすいところです。会社は成長を続けていて、新しい事業や出店はこれからも増えていきます。組織が成長しているいまは、新しい役割やポジションが生まれやすい時期です。結果を出せば、早い段階から責任ある仕事に挑戦できます。大企業ではないからこそ裁量も大きく、自分の考えを提案し、周囲と協力しながら形にできる可能性があります。会社を動かしている手応えを、これほど早く持てる環境は多くないはずです。
―― やりたいことが決まっていない人でも、活躍できますか。
できます。うちは飲食だけでもいろいろな業態を持っていますし、飲食以外の事業も始まっています。1つの事業だけをやり続ける会社より、いろいろなものに触れながら、自分に合うもの、やりたいことのヒントを見つけやすい環境です。僕自身、入社したときに明確なビジョンがあったわけではありません。目の前の業態に本気で向き合う中で、次の挑戦をつかんできました。そういうキャリアの積み方ができる会社です。
―― どんな人が成果を出せる環境でしょうか。
人と明るく、誠実に向き合える人ですね。プラーナには「明元素真」という行動指針があります。明るく、元気に、素直に、真面目に。頭文字を取っただけの言葉ですが、これがすべての土台です。うちの仕事は基本的に接客業なので、この4つを持って仕事に取り組めていれば、どの業態でもやっていけます。スキルを活かすうえでも、この姿勢が土台になります。実際、どの業態の研修でも、最後に信頼を左右するのは技術ではなく、挨拶や返事、素直さでした。素直に学ぶ姿勢を大切にしてきたからこそ、業態を越えて自分の役割を広げてこられました。それが、この考えの何よりの証明です。経験の有無以上に、この4つを大切にして仕事に向き合えることが重要です。
立ち上げはできる。残して続けることが、いまの課題

―― 一方で、現在課題に感じていることはありますか。
あります。新しい業態を立ち上げて、自分でやりきるところまでは得意なんです。一方で、それを人に教えて、仕組みとして残して、自分がいなくても回る状態にする——ここはまだ得意と言い切れません。全体を自分の頭の中で把握して進めるやり方は、スピードが出る半面、属人的になりやすい。会社が大きくなるこれからは、組織の成長に合わせて、やり方を変えていく必要があります。いまは立ち上げた事業を「続く形」に変えることに、本気で向き合っている最中です。
完璧じゃなくていい。やってみようという気持ちがあれば
―― 今後は、どんな目標を描いているんですか。
ここ数年で会社が大きく変わり、成長が形になってきました。こうして採用やブランディングに力を入れられるようになったのも、その表れです。まずは今後数年で、現在の事業体制をしっかりと形にすることです。部長という役職ですが、いまも半分は現場に入っています。仲間が増えて現場を任せられるようになれば、数字の管理や事業計画といった、経営に近い戦略的な仕事に軸足を移していきたいと考えています。
―― 第三事業部として、どんな未来を描いていますか。
既存の価値観に囚われず、どんどん挑戦していくことです。会社の中で、新しいことに一番挑戦できるのが第三事業部です。飲食の枠すら越えて、買取のようなまったく新しい事業にも踏み出している。ここで形にしたものが、会社の次の柱になっていく。第三事業部は、プラーナの挑戦の最前線です。これからまったく違う事業が始まったとしても積極的に取り組み、第三事業部と会社全体を成長させていきたいですね。
―― 最後に、これから仲間に加わる人へ、何を伝えたいですか。
僕自身、大した経験があって入社したわけではありません。フリーターから飛び込んで、気づけば事業部長になっていた。経歴やスキルで自分に線を引く必要は、まったくありません。最初から完璧じゃなくて大丈夫です。「頑張ろう」「やってみよう」という気持ちさえあれば、一緒にやりましょう。その気持ちに応えられるだけのチャンスが、この会社にはあります。
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