ヒトツメ株式会社は今期、前年比150%超の成長を達成しようとしています。その成長を牽引しているのは、自社の人材紹介事業ではなく、エージェントシップとMARUTTOという2つの事業です。
一般的な「人材紹介会社」というイメージとは異なる事業構造を持ち、AIや蓄積データも活用しながら新卒採用市場に新たな価値を生み出し続けるヒトツメ。代表取締役の木山和英さんに、成長の背景と今後の事業構想を聞きました。
木山 和英(きやま かずひで)|代表取締役
新卒紹介のパイオニアである就職エージェントに新卒入社。1年目から100社近くの新規クライアントを開拓し全社MVPを獲得。2年目には新規事業に携わりながら全社ギネスの売上を達成。その後、シンクトワイスの創業に参画し、新卒紹介事業の責任者、大阪支社立ち上げ、中途採用統括などを担う。自身で500社近くのクライアントを担当し、入社支援した人数は2,000人を超える。2020年12月、ヒトツメ株式会社を設立。
前年比150%超、提携先2倍。新卒求人プラットフォームで圧倒的なポジションを築くヒトツメの成長戦略
── 2025年度の事業成長について教えてください。
前期比150%超の成長を達成できる見込みです。成長を牽引したのは、エージェントシップとMARUTTOの2事業です。エージェントシップ(外部エージェントと求人をシェアするプラットフォーム)は前年比150%、MARUTTO(企業の採用課題を解決する採用コンサルティングサービス)は前年比200%超の成長を達成しました。
自社の紹介事業は、CAを集めれば伸ばせます。ただ今は、HRコンサルタントチームの拡大と、エージェントシップ・MARUTTOの強化をあえて優先しています。
── なぜあえてエージェントシップを優先されているのでしょうか。
新卒の求人プラットフォームとして、ヒトツメは現時点で業界内では圧倒的なポジションにあると思っています。
取り扱い求人のジョブ数は前期の約1,200件から今期は1,500件前後に達する見込みで、1人以上の決定を出しているアクティブなパートナーエージェントは50社、30人以上の決定を出しているパートナーは20社にのぼります。提携パートナー数も今期だけで2倍に増えました。
この勢いがある今こそ、速度を緩めるわけにはいかない。そういう判断です。
── パートナーの開拓も積極的に行っているのですか?
実は、僕自身はパートナー開拓の営業は一度もしたことがないんです。ほとんどが知人からの紹介で、「新卒エージェントの立ち上げといえばヒトツメ」という認知が、業界の中で自然と広がってきた結果だと思っています。
パートナーとの関係は、1年目より2年目、2年目より3年目と、求人への理解が深まるにつれて決定率も上がっていく。パートナー側も成果が出ると組織を大きくしていくので、お互いの成長が連動していく構造になっています。
さらには、ヒトツメで副業や業務委託として働いた人が独立してパートナーになる、そんな独立支援の仕組みも今後展開していければと考えています。
── 競合サービスとの違いはどこにあるのでしょうか。
一番の違いは、RA(リクルーティングアドバイザー)がリアルで案件に伴走するという点です。求人をシェアして終わりではなく、RAが最後まで責任を持って案件に関わります。
時にはパートナー企業のCAとオンラインで面談したり、学生の意思決定をサポートしたりと、人が直接関わることで決定率を高めています。
一度エージェントシップを導入いただくと他のプラットフォームと併用しないケースも多く、継続していただいているのはそういった日々のやり取りの積み重ねがあるからだと思っています。
人材紹介×エージェントシップ×MARUTTO。3事業の連動が生み出す、独自の収益構造と提供価値
── エージェントシップでは、パートナーに対してどのような支援をしているのでしょうか。
大きく4つあります。1つ目はノウハウの提供です。KPIの設定から事業計画の策定まで、過去の事例をもとに伝えています。立ち上げフェーズのパートナーには、収益構造の説明から事業計画を一緒に作るところから入ることもあります。
2つ目は面談動画のシェアやセミナーの実施です。実際の面談動画を共有したり、どうやって学生の意思決定を後押しするかといった講座を開いています。
3つ目が求人のシェアで、これがメインです。
4つ目は管理システムの提供です。ヒトツメが使っている管理システムをパートナーがそのまま使えるようにしていて、自社の求人と学生のデータを一元管理できます。自動で数値分析もできるようになります。
── MARUTTOも大きく伸びていますね。要因はどこにあるのでしょうか。
顧客の採用課題に応じたソリューションの幅が広がったことで、1社あたりの受注規模が大きくなってきました。OfferBoxをはじめとしたツールの活用により、1社で1,000万〜1,500万規模の受注も複数出てきています。
また、提案の精度が上がってきたことで新規販売も増えてきました。2次代理店も着実に実績を出してきています。
── 人材紹介とエージェントシップ、MARUTTOの3つが揃うことで、どんな強みが生まれるのでしょうか。
人材紹介は完全成果報酬なので、顧客からすると複数社と取引するケースが多い。そこで日々やり取りをしていると、「母集団が集まらない」「選考途中の辞退が多い」「承諾が出ない」など、顧客ごとの採用課題が自然と見えてくるんです。
そのタイミングでMARUTTOの出番になる。課題に合ったサービスをご提案できるので、その場ですぐにご決断いただけることもあります。
さらに、エージェントシップがあることで、自社だけでなくパートナーエージェントも含めた幅広い紹介が可能になります。実際、ヒトツメが取り扱っている求人のうち、1社以上推薦できている率が90%以上、1名以上決定が出ている率も45%に達しています。これは、エージェントシップがあるからこそ実現できる数字です。
人材紹介で関係を築き、課題が見えたらMARUTTOで提案する。エージェントシップで決定率を高める。この3つが連動することで、1社の顧客に対してできることの幅が広がり、1人あたりの利益率も高くなっていきます。
業界全体の品質を上げたい。ヒトツメが描く、新卒エージェント事業の未来像
── エージェントシップに注力されている背景には、事業成長以外の思いもあるのでしょうか。
エージェントが増える中で、学生から「行きたくない会社を紹介された」、企業から「フィルターがかかっていない学生ばかり送られてくる」といった声が業界全体で聞かれるようになっています。
ノウハウや求人が不足しているエージェントは、数打ちせざるを得ない。また、システムを入れずエクセルで管理しているために連絡が滞るといったケースもあります。
ヒトツメのノウハウとAI等を活用したシステムをセットで提供することで、業界全体の品質を上げていきたいと思っています。
── AIの活用など、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか。
人材紹介は属人的というイメージを持たれることが多いですが、AIを使った業務効率化と決定率の向上を積極的に進めています。
すでに実装した機能としては、例えば企業の採用情報をAIが読み込んで求人票を自動生成するものがあり、以前は1時間前後かかっていた作業が大幅に短縮できるようになりました。また、学生の情報を入力するとAIが最適な求人を提案し、自動でLINEメッセージを送信する仕組みも開発中です。
さらに、ヒトツメがこれまで蓄積してきた約1万社の企業データベースも活用しながら、顧客の課題に対してより精度の高い提案ができる仕組みを整えていく予定です。
── 今後の目標と、組織づくりの取り組みを教えてください。
売上は20億円、30億円と段階的に伸ばしていく計画で、2030年にはHRコンサルタント100名体制を目指しています。
そこに向けて、採用・定着・オンボーディングの3つを重点的に強化しています。採用には予算・マンパワーともにしっかりかけていく方針で、定着については評価制度のチューニングや、家賃補助・ワーケーション制度といった福利厚生の充実、クオーターごとのキックオフや全社員との1on1なども取り入れています。
また、事業の成長に合わせてリーダー職の最低年収の引き上げや、全社目標の達成に応じたベース給与のアップなど、報酬面の改善も進めています。報酬に関しては、できれば業界トップの水準まで上げていきたいと考えてます。
オンボーディングについては、入社後3ヶ月間は僕が直接週次で1on1を実施する、週1回HRコンサルタント全員でノウハウのシェアなどを行うなど、早期に独り立ちできる環境を整えています。
── ヒトツメで働くことに興味を持った方へ、メッセージをお願いします。
HRコンサルタントとしては、RA・CAの業務とMARUTTOの販売を、早いタイミングで高いレベルでやれるようになってほしいと思っていますが、キャリアパスはそれだけではありません。
エージェントシップの各パートナーへのコンサルティングや営業企画、AIを活用したプロダクト開発、新規事業の立ち上げなど、活躍できる領域は幅広くあります。
事業も組織も拡大しているフェーズなので、早いタイミングで大きな役割を担えます。ポジションもチャンスも増え続けています。ぜひ一度話を聞きに来てください。