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はじめに
こんにちは!今回は、都市計画におけるデータ利活用の事例研究として、米Replica社のナッシュビルでの事例をご紹介します。データ利活用のヒントとして、この記事を通して理解を深めていただけたら嬉しいです!
Replica社概要
アメリカ発のReplica社は2019年に設立され、データ可視化ソフトウェアの開発や分析、シミュレーションなどを通してクライアントのまちづくりをサポートしています。同社のデータは第三者的立場にある企業や省庁による査定を受けた非常に高精度ものであり、そのデータは3ヶ月ごとに更新されます。また、同社はその日の全ての道路や交通経路、地域のトリップデータを反映しており、最新なデータに基づいて細かな分析を施すことができます。
同社はデベロッパーや自動車メーカーなどの民間企業から、地方自治体や交通局などの公的機関まで幅広いクライアントを受け持ち、データを通してまちづくりの課題にアプローチしています。
以下では、同社のユースケースの中でもナッシュビルでの事例に着目し、その概要と同社の提供価値を紹介した上で、日本での適用可能性について検討していきます。
事例研究:ナッシュビル
案件概要
アメリカ南部の内陸部に位置するナッシュビルは、テネシー州の州都であり、カントリーミュージックの聖地として有名な都市です。テネシー州交通局は、ナッシュビル・コンプリート・ストリート計画*を推進するにあたって、域内の人流や交通状況を正確に把握する必要がありました。そこで、高粒度なデータによって現状を詳しく分析し、同計画が人流に与える効果を検証すべく、依頼を受けたのがReplica社でした。
*コンプリート・ストリート計画:年齢や身体能力、移動手段に関わらず誰もが安全に利用できるように設計された道路空間。アメリカ全土で推進されており、2022年にはナッシュビルを含めた14の計画に対し2億ドル超の資金調達が行われました。
Replica社のアプローチ
Replica社は、2019年から2022年までのナッシュビルの人流を分析しました。加えて、類似した人口構成を有し、すでにコンプリート・ストリート計画が実施されたノースキャロライナ州・シャーロットの人流を分析し、両都市の週及び季節ごとの人流パターンを体系化しました。
その結果、同計画の導入によって部分的にシャーロットの人流は活性化していることや、ナッシュビルでは同計画導入前であっても過去3年間で人流が活性化していることが分かり、計画の導入効果に関して前向きな見通しが立ちました。
アウトプット
上記の前提を踏まえ、パンデミック前後の自転車利用者及び歩行者の移動パターンの推移を分析しました。下図から読み取れるように、パンデミック後に自転車利用者数(橙色)は急増しています。
また、道路ごとの交通量調査の結果、2019年1月から2022年1月にかけて、域内のディッカーソン・パイク地域周辺では、自転車での移動が増加していることもわかりました。加えて、これらの自転車利用者の移動経路を把握し、計画の導入が移動経路にどのような影響を与えるかを検討しました。
結論
本事例における分析から、計画導入に際して、大幅な自転車利用者の増加を考慮する必要性が浮き彫りになりました。また、短距離での移動に際して徒歩や自転車、公共交通機関の利用が促進することも示されています。
最後に
今回は、米Replica社のナッシュビルでの事例をご紹介しました。
本事例では、データを通じて計画導入前に対象地域の現状や傾向を的確に把握し、計画導入効果や方針に関する示唆を得ることが出来ています。
このように、データという定量的かつ客観的な指標に基づき、現状や傾向を的確に把握することで、確信を持って課題に対する施策を打ち出すことが出来ます。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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