「エンジニアが本当に働きやすい会社を、自分で作るしかないと思ったんです」——株式会社リリー技研代表取締役の後藤渉氏は、そう振り返る。
2022年の創業以来、同社が掲げてきたのはフルリモート(全国対応)、コアタイム13時〜17時のフレックス、年間休日145日、そして年20日の「フレキシブル休暇」。数字だけを見れば、働きやすさを追求した制度が並ぶ。
だが、こうした制度は本当に成果と両立するのか。エンジニア出身の代表に、その本音を聞いた。
——なぜ、フルリモート・フルフレックスという働き方を選んだのですか。
「自分自身がエンジニアとして働いていた頃、決められた時間に決められた場所にいることと、良いアウトプットを出すことは、必ずしもイコールではないと感じていました。集中力が高い時間帯は人によって違うし、通勤に体力を使うくらいなら、その分を設計や実装に使ってほしい。だったら、管理する側が『見ていないと不安』という理由だけで縛るのはやめようと。それが選んだ理由です」
——実際に導入を検討していた当時、どのような懸念がありましたか。
「一番の懸念は、やはり『サボる人が出るのでは』という不安です。ただ、よく考えると、それは働く時間や場所の問題ではなく、任せ方と評価の仕方の問題なんですよね。だから、時間で縛る代わりに、成果と等級で評価する仕組みを先に整えることにしました。昇格すれば給与が25%上がる、という分かりやすい基準を作ったのも、"見えない働き方"の分だけ、評価は誰から見ても納得できるものにしたかったからです」
——制度が浸透してきた、と実感した瞬間はありますか。
「メンバーから『体調を崩さずに続けられている』という声を聞いたときですね。残業の平均が月7.8時間というのは、狙って作った数字というより、無理な働き方をしなくても案件が回る体制になった結果です。地方に住むメンバーが、転居も転職もせずにキャリアを続けられている、という話を聞いたときも、この制度をやってよかったと思いました」
——この働き方や制度を、今後どこまで広げていきたいですか。
「今はまだ、少人数だからこそ成り立っている部分もあると思っています。これから仲間が増えても、"時間や場所ではなく、任せた成果で評価する"という軸だけは変えたくない。むしろ人数が増えるほど、この軸がぶれないようにする仕組みづくりが、経営としての一番の仕事になると思っています」