高山あかり(たかやま あかり)
ファイナンス部 / マネジメント
金沢大学卒業。大学在学中に代表の夏目、現社員小林と共に学生が経営する飲食店を自ら企画立ち上げ。
新卒では銀行に入行。法人担当として融資を含む経営支援に伴走、スタートアップの1人目のバックオフィスとして入社後は、資金調達を含む財務から総務など幅広く担う。
学生時代に経験した飲食店経営の難しさ
桑原:改めまして、高山さんの経歴を教えてください。
高山:長野県出身なのですが、地元の長野県が大好きすぎて「地域を元気にしたい!」と思い、学生時代は地方創生を学ぶフィールドワークが多い学部に入学しました。教授も個性的な方が多くものすごく学びになった4年間で、「地域を元気に」と意気込んだものの、定住人口増のためには雇用を安定させることが私が携われることなのではないか、と次第に思うようになりました。
桑原:地域を元気にしたいという想いの熱さがよく伝わります!フィールドワークをすると新たな課題も発見できそうですね。
高山:そうなんです。フィールドワークのため大学の外で活動する機会も多々あり、そのなかで色々な社会課題に気づくことがありました。例えば、私が住んでいた金沢市の「もりの里」は後天的に学生街になった場所なのですが、地元の方と学生との接点がなく、お互い興味があるけど何を考えているのかわからないのが勿体無いと感じていました。そこで、気軽に交流できる「居場所」があったらいいのでは?という思いに至り、カフェ を作ることになりました。
桑原:ここで飲食店経営を始めたんですね!
高山:しかも、実はそこで弊社代表と現在弊社で一緒に働いている社員と出会って3人で一緒にカフェを運営しました。
桑原:運命的な出会いですね(笑)
高山:今考えれば本当にそうだなと思います(笑)物件は代表が押さえてきていたので、メンバー探しからスタートし、見事に20名ほど集め、私が店長として食品衛生責任者を獲得して念願のカフェオープンとなりました。
↑後輩等がDIYを相当力をいれて取り組んでくれ完成しました
桑原:学生が立ち上げてここまで完成度が高いんですね!高山さんの地域に対する想いの強さを感じます。
高山:ただ、「想い」が先行しているので、FLR比率なんてものも分かりませんでした。「経営」しているとは言えず、もはや「運営」をしてました(笑)
桑原:そうだったんですね。運営(笑)は上手くいったのでしょうか?
高山:お恥ずかしいですが、メンバーにお給料を払えたことはなく一度も黒字になっていません。それでも、全国の学生カフェをやっている店舗に話を聞きに行ったり視察に行ったりと、うまく存続し続けるための手段を探していました。
桑原:そうだったんですね。やはり飲食店経営は簡単ではなかったんですね。
高山:結果、私が大学を卒業しても後輩たちが3年ほど続けてくれていたのですが、そこでカフェは閉じることになったと聞いています。飲食店の70%は3年で廃業すると言いますが、人を雇用しながらお店を続ける難しさ、「想い」だけでは続かない現実を身をもって知ることになりました。ただ、この経験は私の中で大きな分岐点で、初めて自分で0から形あるものを作り、それが楽しくて0→1の魅力にはまったきっかけです。
人生の転機になった誘い
桑原:前職は銀行だったそうですが、カフェ経営との繋がりは何ですか?
高山:大学時代のカフェ経営で得たゼロイチの経験から、熱量がある人を支える側に回りたいと思ったので、新卒で地元の地方銀行に入行しました。とにかく思い込む性格なので、「創業支援」がやりたくて、むしろそれしかやりたくなかったです。最初は個人部門に配属されましたが、年1回の部署異動の希望アンケートにも第1希望〜第3希望まで全て「法人営業(創業支援)」と書いて、上司を困惑させてました(笑)
桑原:本当に想いが強かったんですね(笑)実際働いてみて良かったと思ったり、逆に想定していなかったりしたことはありますか?
高山:割と生意気な新入社員だったと思うのですが、幸い同期も先輩も上司にもものすごく恵まれていて、特に当時の支店長はものすごく優秀な方で(今は役員をされています)「当たり前を疑う」ことを教えてもらった気がします。人間関係はとても良かったと思っています。
希望の部署にはちょうどコロナ禍で配属されたので、新しくビジネスを始める人は少なく、ひたすら「ゼロゼロ融資(コロナ禍における企業支援のための緊急措置として、実質無利子・無担保で行う融資)」と向き合っていました。
桑原:希望の部署に配属されて意気込まれていたはずですが、このあたりで転職されたんですよね。何かきっかけがあったのですか?
高山:「創業支援」というやりたい業務だけを極めるには、さらに3、4年かかるという現実を目の当たりにしました。そこで初めて、転職という選択肢が浮かびました。そんな中、もともと友人だった代表からの誘いもあり、1つの会社を大きくして働く場を作るのもありかなと転職を決めました。
入社してからの自身の変化
桑原:入社して、どのような仕事をしてきましたか?
高山:2020年11月に、管理部メンバーとして入社しました。ただ、メンバーと言っても当時は管理部と運用チームを兼部している先輩が1人だけで、クライアントさんが増えたことで管理部の業務が滞るようになったため、ピンチヒッターのような形での入社でした。弊社は9月決算なのですが、私が入社した11月時点で何も締まっていなかったんです。今考えるとだいぶカオスな状況なのですが、当時は決算業務について何もわかっていなかったので「こんなものか」と受け入れてしまっていました。
桑原:今の弊社の状況を見ると、本当に滞っていたんですね(笑)
高山:本当にそうです(笑)ただ、そこから全力で申告を間に合わせるために3日間オフィス(当時は一軒家)に泊まり込みました(笑)体力には自信があるのと、登山とか好きで山小屋とかどんな環境でも休めるので苦ではなかったです。後から聞いた話だと、泊まり込みして仕事をしてくれるくらい、自分ごと化してくれた中途社員ということで、そこである程度今までのメンバーからの信頼も得られたみたいです。
また、自分で手を動かしてなんでもやることで、仕組みの細部まで理解することができました。銀行員時代は決算書を「読む」専門でしたが「作成」することで、見えていなかった部分まで理解できました。私のモットーの「まずやってみる」という精神がうまくはまったのかなと感じています。
桑原:銀行員時代では経験できなかったことを入社してすぐ経験できたんですね!
高山:むしろ、未経験のことしか経験してこなかったです(笑)決算が一段落したと思ったら次はオフィスの移転です。人員が増えすぎて椅子も足りず全社MTGの時は10人くらいが床に座るようになっていたので、こちらも急務でした。月100万という予算で、決裁権が大きすぎて、最初はしつこいくらい代表に確認していました。
ただ、そのうち任されるのが全部大きい仕事なので、感覚が麻痺してくるんですね。経験も積み上がるので徐々に代表に確認する回数が減っていき、自分の決断に自信と覚悟を持つようになりました。
↑入社時のオフィス 本当に家でした(笑)
桑原:今では扱うお金は桁違い、まとめる人数も何倍にもなっていますよね。今の高山さんの決断力は、感覚が麻痺したおかげでもあるんですね(笑)
高山:そうだと思います(笑)そして、最近は管理部経理チームというチームだったのですが、それをFS(Finance Section)に変更しました。目的は会社経営をする目線をつけるためです。ありがたいことに、私が入社してからの2年でチームのメンバーも増え、一通りのルーティンワークは回るようになりました。
今は会社の全数字を見ることができている部署として、数字が実際の営業活動にどう紐づいているのかを理解することに重点をおいています。表面的には理解できているつもりなのですが、今後の数字の読みや足元の着地など、コーポサイドからもリアルタイムでキャッチアップするために、営業リーダーのMTGに参加して毎回必ず質問して解像度を深めていっています。
桑原:チームとしても視座がとても上がりましたね。解像度を深めるためにも何を表す数値か、などの整理が必要になりそうですね。
高山:整理という点で言うと、各部署が追っているKPIがどこに当たるかも目的ツリーを用いて確認をして、今はまだまだですが数字から立体的に各部署のやっていることが見えるようにしています。これは私だけでなく部署全体に共有したい最重要課題なので、まずは私から体現しております。
↑会社全員確認できる目的ツリー 自分がやっている仕事が何の目的のもと行われているのか一目で確認できる。
ワークライフハーモニー
桑原:高山さんは社内では珍しい既婚社員ということで、そのあたりのお話も是非お聞かせください!
高山:もちろんです!実は結婚して5年になりますが、旦那は石川県在住で、私が単身赴任で東京勤務、休日に石川や東京や私の地元の安曇野で会うという生活を続けています。
桑原:新しい夫婦の形を体現されていますね!夫婦は一緒に住むのが普通だと思っていたので…
高山:旦那は、「20代は仕事を頑張りたい」という私の意見を尊重してくれてありがたい限りです。ちなみに、旦那も上場企業の大手メーカーで勤務していたのですが、私の転職を機に、もともと興味もあった教育系ベンチャー企業へ転職して、2人で仕事に打ち込んでいます。
桑原:お2人とも、仕事にも夫婦生活にも全力な姿勢が素敵です。
高山:それで言うと、弊社の「ワークライフハーモニー」という考え方が当てはまるかなと思います。これは、ワークとライフに実は境目はないという考え方です。
休日にカフェで仕事のことを考えるのは、私にとって心地いい時間でライフなのかワークなのか分類できないですし、代表と一緒に自分を含めた今後の女性の働き方を議論するのは仕事の時間?なのか私の人生の時間なのか、なかなか曖昧です(笑)
もちろん1人ではどちらも実現できないので、家庭にも会社のことを応援してもらえるようにも、会社にも家庭のことを応援してもらえるようにも、私の振る舞い方がキーだと感じています。
桑原:家庭と会社の間を取り持つ人が、片方にもう片方をどう伝えるか、で家庭と会社の関係性が決まってくるということですね!
高山:「人は未知のものには納得しない」というのも弊社の考え方にあるので、旦那にもオフィスに来てもらってメンバーと話してもらったり、家族の話をメンバーにしたりと、自分で動きやすい環境を作っています。これは仕事も家庭も頑張りたい人におすすめです!笑
今後の展望
桑原:今弊社では新規事業をローンチさせていますが、あかりさんにとっての今後の展望は何ですか?
高山:私のカフェ経営の経験がここでも繋がってくると思っています。大学時代に開いたカフェはもうなくなってしまいましたが、この弊社のサービスを使えば「AIの力で、あなたの大事なお店が潰れない」社会ができます。「想い」を大事にしながらも、あの時に私に足りなかった「経営」の視点と最新のAIやDX化の知識を提供できるサービスを広げていくために、私自身も会社経営のインプットアウトプットをして、優秀な仲間と成長をしていきます!
桑原:経営者視点で飲食店さんと向き合って、たくさんの飲食店さんを救っていきたいですね!ありがとうございました!