みなさんはじめまして。2023年1月よりテックタッチに入社した、小山智可詩(ちかし)と申します。社内では名前そのままのニックネームでchikaCと呼ばれています。
これまで10年以上、金融系のSIerに勤めていたのですが、何を思ったのかスタートアップに転職し、カスタマーサクセスとして働き始めています。
前職ではスタートアップに転職する人は少なく、カスタマーサクセスという職種もよく知らないという面々が多かった気もするので、SIerからの転職に際して「こんな選択肢もあるんだよ」ということが伝われば良いと思い、また「何を思ったのか」が何だったのかについても、書かせていただきます。
■これまで何をやってきたのか
大学では農業経済を専攻しており、ITとは無縁という生活を送っていたのですが、リーマンショックによる買い手市場の煽りを受けて、ひょんなことから某メガバンクのシステム子会社に就職することになりました。担当したのは、銀行支店で使われているシステム全般の開発・保守。銀行の窓口で使われているWebアプリケーションやATMなど、みなさんもどこかで目にしたことがあろうシステムたちの”中の人”でした。
相手にするのは自分が生まれる前からあるようなシステムたちですので、使われている技術はレガシー。手書きのシステム仕様書が出てくることもありました。開発方式はもちろん、ガッチガチのウォーターフォール。お金を扱うという業務特性上、スピードよりも、安全性と確実性重視。いわゆる「昔ながらの伝統的なシステム開発」といった風土で、現代的なスタートアップとは真逆の環境に、10年以上にわたり身を置いていました。
■転職の契機
皆さんの生活を支える金融インフラを作っているという責任感とやりがいを感じながら、面白いプロジェクトをいくつも経験させてもらうなど、キャリアとしては順風満帆。結婚して子供もできて、マイホームも購入するなど、生活基盤も安定しており、このまま前職でキャリアを終えることを疑ってもいなかったのですが、とあるプロジェクトがきっかけで、転職に気持ちが傾くようになります。
担当したのは、銀行の窓口取引をiPadのアプリに置き換え、お客様が窓口に行かずとも、セルフで取引を完結できるというもの。各銀行が掲げる「国内支店の人員削減」に向けた布石とも言えるプロジェクトでした。短期開発ながらシステム品質は上々。プレスリリースもされて、意気揚々と試験店舗に導入したものの、蓋を開けてみるとなかなか思い通りにお客様に使ってもらえず大苦戦。お客様が自力で操作できず、操作補助のために余計に行員の手がかかってしまい、全く人員削減につながらないという事態に陥りました。結局試験店舗のみでそのシステムは廃止に。「使ってもらえるだろう」ではなく、「使ってもらうためにどうすべきかを考える必要がある」と痛感し、UI/UXへの興味と、勉強の必要性を強く感じるようになります。
上記のような経験に加え、ちょうど社内でUXデザイナーのポストが新設されるという話が出たこともあり、UXデザインを本格的に学ぼうと、社会人学校に通学することを決意。
学校では、デザインにおける考え方や、デザインツールを使ってのプロトタイピング、リサーチやインタビューの実践など、非常に貴重な経験ができたのですが、それ以上に刺激的だったのが、そこで出会った面々から聞く仕事の話でした。クラスでは自分がほぼ最年長で、メンバーのボリューム層は20代後半。事業会社やスタートアップで楽しそうに仕事をしている面々から聞く、自由な仕事環境や、事業成長のワクワク感、行き詰った時のハラハラ感など、これまで触れたことのない世界に胸が高鳴ったことを覚えています。
結果的にUXデザイナーとしてのキャリアはあきらめることになりましたが(自分には難しそうだと悟った)、UI/UXへの少しばかりの知見と、スタートアップへの憧れを手土産に、35歳にして転職を決意するに至ったのでした。
■なぜテックタッチなのか
転職にあたってはスタートアップというくくりで活動を行っており、いくつか内定も頂いていたのですが、あまり迷いなくテックタッチに決めました。理由は幾つかあるのですが、列挙してみるとこんな感じです。
・面談で出会った優秀で魅力的な人たち
→テックタッチの採用ステップにおいて、スキル面談やカルチャーフィット面談のほか、社員さんとお酒を飲みながら話ができるミートアップなどがあり、たくさんの人たちとお話をすることができます。面談などを通して、皆さん殊更楽しそうに前向きに仕事の話をすること、メンバー同士が非常に仲が良さそうであること、そして同時に言葉の端々から聡明さが伝わってくることが印象的でした。こんな面々と働けば、会社に愛着を湧かせつつ、成長することができるだろうという予感があり、実際に働き始めてみて、その予感は確信に変わりつつあります。
・SIerでのPM経験とCSという職種との親和性
→正直選考を受けるまでは「カ、カスタマーサクセス?」という感じでした。しかしながらテックタッチにおけるCSの業務内容を聞いていると、SIer時代のPMと経験とかなり親和性が高そうだと感じ、これまでの経験を活かしつつ、新たな領域にチャレンジできそうだという想いが生まれてきました。テックタッチのCSは実は、その名前とは裏腹にかなりハイタッチ。SIer時代とはスピード感のギャップこそあるものの、お客様との対話を通して、プロジェクトごとに対応や戦略を変え工夫しながら進めるという点において、システム開発のPMに通ずるものがあると感じています。
・すべてのユーザーがシステムを使いこなせる世界
→作ったシステムが使ってもらえない苦しみというのは、前職で散々味わったことでした。利用者は苛立ちを感じ、発注者は期待した効果を上げられず苦しみ、開発者も悲しい。改良を加えようにも、予算は限られ、そもそもSaaSやパッケージを入れると修正すらままならない。それによって、システムを使えず脱落してしまう人が出てくるという、負のスパイラル。
当社が掲げる「すべてのユーザーがシステムを使いこなせる世界に」という未来は、なんとも壮大で遠い道のりのようにも思えますが、「テックタッチ」というソリューションがあれば、少しずつでもそんな世界に近づけるのではないかと感じています。
・トイレで流れたCM(余談)
→妻子持ちであれば転職に際して「妻の説得」というイベントが発生するわけですが、スタートアップの説明をして理解してもらうのはなかなか大変なもの。私も事業内容や将来性などについて妻に説明してはいたものの、今ひとつピンと来ていない様子でした。そんな中、前職のオフィスのトイレに設置された小型モニターにテックタッチのCMがたびたび流れるという偶然があり、それを見た妻が「こんな感じで広告打てるなら信用できそうやね。ええんちゃう?」と謎の納得を見せ、晴れて転職を了承してもらったのでした。ありがとう、トイレのCM。
■実際に入社してみてどうか
まだ働き始めて二ヶ月だけなのですが、入社前に抱いていた感覚は間違っていなかったな、というのが率直な感想です。
ひとつ意外だったのが、入社後のオンボーディングと、ドキュメントの充実ぶり。スタートアップということもあり、即現場に放り込まれて、「経験を通じて身体で覚えろ!」的な想像を働かせていたのですが、全くそんなことはなかったです。
これは個人の感覚でしかないのですが、メンバーみんな気がよく親切で、TakerよりもGiverな人たちが揃っています。そうした雰囲気を下地とした心理的安全性と、積極的に情報を発信しようという姿勢が、多くの情報やノウハウを蓄積させていく。そうして積み上がったノウハウを、きちんと選別・成形して、再現性のある「ナレッジ」へと昇華させていく…そんなポジティブなサイクルが根付いているように感じます。これにより、後からjoinしたメンバーのキャッチアップスピードも、どんどん早くなっていく……ようですので、自分も頑張らないと。(自戒)
ちなみにslackや会議ではわいわいと積極的なコミュニケーションが目につく一方で、オフィスは思いのほか静かで、みなさんきちんと大人な働き方をされています。オンとオフ、オンラインとオフラインを切り替えつつ、スマートに働く人が多いみたいです。圧倒的内向型の自分でも、疎外感を抱くことなく楽しく働くことができています。
■どんなことをしていきたいのか
現状まったく戦力になれていないので、まずは一日も早くCSとして独り立ちするということに尽きます。
そしてゆくゆくはプロダクト活用の幅を広げるような提案を、CS活動を通してできるようになりたいなと思っています。お客様の課題解決がCSのミッションになりますが、そこで得られたものをきちんとプロダクトに還元していくサイクルを、一層強く作り出し、さらにプロダクトを勢いづかせることができたら良いなぁ…と。
また前職でも、自分が携わったサービスを、自分の両親や知り合いが使うことに喜びを感じたりしていました。いつか自分が携わった「テックタッチ」のガイドやツールチップを、両親や子供が使っているところを見れたら最高ですね。