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年始にふと、もし何らかの理由で私達が伝統工芸品を取り扱えなくなったら、この会社は解散するのか?と考えました。
色々なステークホルダーのことを考えたら直ぐに解散しないのは当然なのですが、あえて誰にも迷惑がかからないとしたらどうか?という問いへの答えが気になって、Musubi Labのことを色々な角度で考えてみたり、本を読み漁りました。
直感的には解散しないだろうと感じながら、そう感じる背景には何か「解散によってこの世から失われてしまう価値」があるはずだという確信がありました。
読んだ本の中にビジョナリー・カンパニーZEROというものがあり、その中で登場した企業理念のフレームワークがとても分かりやすかったので、そこに当てはめて経営理念を再整理することにしました。
理念を整理するプロセスは、悩んでひねり出したというよりも、これまで自分たちがやってきたことや、そのプロセスの中で考えたことを棚卸しして、言葉にフィットさせるようなものでした。
結果として、以下のようになりました。
理念
人が心豊かに暮らす未来に必要な企業グループをつくる
コアバリュー
私たちの思考の中心は「人」です。
私たちが提供する商品やサービスは、私たちの家族や親友にも心から勧めたいと思えるものであり、私たちのあらゆる決定や行動は彼らに誇れるものです。
私たちはクリエイティビティと自己規律を両立させ、素晴らしいアイデアをスケールさせる責任を負います。
私たちは仕事を楽しむことがもたらす可能性を理解し、知性、感性、技術、チームワーク、誠実さを何よりも重視し、これらの価値観を共有する仲間に最大の敬意を払います。
パーパス
持続可能な伝統工芸の未来をつくる
私たちは伝統工芸には人々の心に豊かさをもたらす力があると確信しています。
そして私たちは共感する作り手の次回作を心から楽しみにしています。
私たちが存在する究極の目的は、伝統工芸産業に変革をもたらすロールモデルとなり、手段になることです。
それを成し遂げる唯一の方法は、私たち自身と、私たちと同じ価値観でモノ作りをするパートナーが、産業界からロールモデルと目されるような財務の健全性と成功をおさめることだと信じています。
過去になんとなく理念として置いていたものの中には、「伝統工芸」や「ダイニング」というキーワードが入っていましたが、冒頭の問いについて考えたことによって、それは本質ではないと判断しました。
私個人の人生観として、最も価値のあるものは時間であり、その時間の価値を測る尺度は心豊かに過ごせているかどうかだと思っていること。そしてこれまでの社内での意思決定においても、無意識にそれを重視し、そこに共感する人が集まっていると感じられる部分があったため、このように設定しました。今後伝統工芸やダイニングのみならず、色々な商品やサービスへ展開していく可能性があるにしても、この軸は変わらないだろうということで理念に据えました。
コアバリューはそれを体現するための価値観を表現したものです。これも捻り出したというよりも、私達が日々、無意識的に組織として大切にしていることは何だろうと考えた結果、生まれたものでした。「私達の思考の中心は人です」という一文がありますが、決して誰にでも単に居心地の良い場所を作ろうとしているわけではありません。敢えて単純化して言えば、同じ価値観、そしてクリエイティビティと自己規律を持った人が集まる組織の中で、そこに居る人が持つスキルを中心に、わたしたちの戦術、戦略を考えていこうというようなものです。
そしてパーパスは、そんな我々が世の中に提供できる価値とは何かを表現しました。理念とコアバリューは変わらないものですが、パーパスは進むべき方向を示してくれる大きな目標のようなもので、頻繁には変わりませんが世の中のニーズや環境の変化によって変化していくものと捉えています。
目下私達は伝統工芸の業界に身を置いており、そこに良い変化を起こそうとしています。とりあえず大量のモノをさばいて収益を上げるというよりも、伝統工芸が良い形で続いていく土台を創ることに大きな関心を持っており、このような表現となりました。
先日、雅叙園の会議室で、この新しい経営理念について皆で考えるオフサイトミーティングを行いました。冒頭に私からは以下をお伝えしました。
- この会社を立ち上げるときに、私自身が居なくなったら解散してしまったり、向かう方向が見えなくなるような組織であれば、そんなものは初めから作らないほうが良いと思っていたこと。
- 一握りの人物に依存しない、明瞭で永続性のある組織にしたいと考えていること。
- 一人ひとりが意思決定の判断軸を得られることが大切だと思うこと。
- 理念への理解はチームパフォーマンスの向上につながること。
そして議論の中で、次のような言葉が出てきました。
- 心の豊かさとは、自分で選択できる状況や、共感によって得られることがある。
- 人を中心に据えるとき、スタート時点で互いにリスペクトを持つことが重要。
- Musubi Labの価値観に共感できる人を採用していくことが大切。
- 外部から見てもMusubi Labで働くことが特別なことだと思ってもらえるような組織、サービスを作っていきたい。
私自身としては、これらを体現する企業グループを作り上げていくことをコミットしました。
今後、これらに基づいて私達の「ミッション」について深掘りしていく予定です。
ここまでお読み頂いた方の中で、同じような価値観を持っているなと感じる方、この先を一緒に考えて実践してみたいなと感じる方は、ぜひお話ししましょう!
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