仕事が前に進むとき、私は「優秀な人がいるから」だけでは説明できないと思っています。
認識が揃い、決めるべきことが決まり、次の動きがはっきりする。こうした前進は、日々のやり取りの質から生まれます。
逆に、うまくいかないときは、言葉は交わされているのに噛み合わない。合意が取れず決まらない。あとでひっくり返る。
この差を生むのは、どれだけ質高く「聞く」と「話す」という行為を行うか、その「会話スタンス」にあると考えています。
私はこれを完成形として語るつもりはなく、今も失敗します。だからこそ迷ったときに自分自身でも立ち返れるよう、ここに整理しておきます。
仕事の生産性に関連して、よければこちらもご観覧ください。
目次
- 「聞く」を、言語理解ではなく、ステークホルダーの文脈と目線を理解すると捉える
- 「なるだけすべての文脈」と「Aさん、Bさん、Cさん目線」を捉える
- 捉えるための問いかけと枕詞
- 「話す」を、反射的発話ではなく、前に進めるコミュニケーションを発することと捉える
- ”反応”を発するほど、ノイズは増える
- 発することは、地味でもいい
- 負荷は上がるが、「話さない」ことは選ばないでほしい
- まとめ
「聞く」を、言語理解ではなく、ステークホルダーの文脈と目線を理解すると捉える
前提として、相手の「言葉」を正確に理解する必要はあります。
ただ仕事では、それだけでは足りない場面が多いと私は感じています。
「なるだけすべての文脈」と「Aさん、Bさん、Cさん目線」を捉える
同じ言葉でも、文脈の捉え方と、立場が違えば意味が変わります。
たとえば「大丈夫」という一言でも、会議上問題ないのか、プロジェクト上問題ないのかの文脈で異なります。またAさん目線に立つとただ言いづらいだけのこともあれば、Bさん目線ではまだ確信がないだけ、ということもある。
つまり、言葉の意味だけを追うと、判断を誤ることがある。
だから私は、会話の参加者の言葉を聞くと同時に「各人が何を前提に、どこを見ているか」を捉えたいと思っています。相手が見ているのは、たとえばこういうものです。
- 何を守る立場か(責任・評価・リスク)
- 何を優先しているか(時間・品質・コスト・顧客・現場)
- 何が前提になっているか(過去の経緯・暗黙のルール)
- どこが引っかかっているか(言葉にしきれていない心配)
ここで厄介なのは、大事なことほど言葉にならない場合がある点です。
反対意見は、言葉として出れば扱い、整理できます。
しかし無反応は、そのまま流れやすい。あとから「実は……」として戻ってきて、手戻りにつながります。
であるならば、聞く側が『言葉になっていないもの』を、責めずに言葉に紡ぐサポートもしていく必要があると思います。
発話されていないことにも耳を傾けるということです。
捉えるための問いかけと枕詞
私はそのために、「確認したい」という形の言い方を頭において話すようにしています。
- 「前提がずれていないかだけ確認したいのですが〜〜」
- 「言いにくい心配が残っていないか確かめたいのですが〜〜」
- 「ここまでの理解を一言でそろえたいのですが〜〜」
相手を追い詰めずに、隠れた文脈を表に出す。
これができるだけで、やり取りの精度は一段上がると思っています。
「話す」を、反射的発話ではなく、前に進めるコミュニケーションを発することと捉える
仕事の会話が噛み合わないとき、よく起きているのは「返事はしているのに、前に進んでいない」状態だと思います。
正しいことを言っている。丁寧に答えている。なのに決まらない。動かない。あとで崩れる。これは珍しくありません。
”反応”を発するほど、ノイズは増える
原因の一つは、相手の一言にそのまま返す("反応"する)やり取りが積み重なり、各論やノイズが増えてしまうことです。
ノイズが増えるほど、判断の軸がぼやけ、合意も意思決定も遠のいていく。
であるならば、「話す」は“反応を発する”のではなく“前に進めるコミュニケーション(頷きや身振りも含む)を発する”に寄せる必要があると思います。
私は、話す前に一度だけ立ち止まるようにしています。
そして次の二つを、頭のなかで自分に問いかけます。
- いま出そうとしている言葉は、会話を前に進めるためのものか
- この一言で、次に何が決まるか/何がはっきりするか
発することは、地味でもいい
ここでいう「前に進む」は、名案を出すことだけではありません。
むしろ仕事では、次のような発話のほうが確実に前に進めます。
- 目的を短くそろえる
- 論点を並べ直す
- 要点を言い直して、理解をそろえる
- 心配を「何が起きると困るのか」の形にする
- 足りない材料と、担当と期限を決める
つまり「アイデアが浮かぶかどうか」とは全く別の観点で、物事を前に進めるコミュニケーションができるということです。
負荷は上がるが、「話さない」ことは選ばないでほしい
解釈を誤ると「何も思いつかないなら黙るのが正解」という方向に読まれてしまうこともあるかと思います。が、私はそうは思いません。
相手の目を見て頷くことで同意を示し、首をかしげることで考えをポジティブに受け止めていることも示せます。
その行為が会話を前に進めるコミュニケーションとして、あなたができることでもある。だから、たとえうまく言葉に落とせなくとも、仕事を前に進めることを選んで欲しいと思います。
また、責任ある立場で話すほど、内容だけでなく伝わり方にも気を配る必要があります。
同じ内容でも、言い方次第で場が開けていくこともシュリンクしてしまうこともある。だから私は、断定しすぎない/前提を確認する/誤解が出ないように補足する、といった調整も意識しています。
自分が次に発する一言で、コトが「前に進むか」を基準にコミュニケーションを選ぶだけで、やり取りの密度は変わる、と考えています。
まとめ
結局のところ、仕事のコミュニケーションは、言葉のやり取りではなく、物事を前に進めるための営みだと思います。
- 言葉を理解するだけで終わらせず、相手の文脈と目線まで捉える。
- 思いつきの返事で言葉を増やすのではなく、合意と前進に効く言葉を選ぶ。
この目線が揃う組織は意思決定が素早く回り、そうでない組織は意思決定が遅れ、遅れた分だけ機会を逃していくはずです。
であるならば、まずは次のやり取りで一つだけ試してみてもらえると良いかもしれません。
- 相手の言葉を受け取ったら、「この人はいま何を前提に、どこを見ているか」を一度考える。
- 自分が話す前に、「この一言で何がはっきりするか」を自分に問う。
私はまだ研鑽途中ですが、それでもこの二つに立ち返るだけで、前に進む確率は上がると考えています。
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【引用元note】圧倒的に生産性が高い人の会話スタイル|Hashigaya