この法則ご存知でしょうか。「5:25の法則」は、アメリカのコンサルティング会社 Bain & Company社のフレデリック・F・ライクヘルド氏の調査結果が基になっています。この法則は、顧客定着率を5%上げることで利益が25%以上増加するというものです。今回はこの法則を起点に考えていきましょう。
「5:25の法則」を数字を使ってイメージしてみる
実際に、この法則を売り上げなどの数字に落とし込んでイメージしてみましょう。
現状のデータ 顧客数: 1000人、リピート率: 20%、顧客1人当たりの平均購入金額: 2万円、リピート顧客の平均購入回数: 5回/年
として、現状の計算は
現在のリピート顧客数:200人(1000人 × 20%)、リピート顧客1人当たりの総購入金額:10万円(2万円 × 5回)、現在の年間売上:2000万円(200人 × 10万円)
ここからリピート率を5%上げてみると
新しいリピート率:25%(20% + 5%)、新しいリピート顧客数:250人(1000人 × 25%)、新しいリピート顧客の総購入金額は変わらず10万円として、新しい年間売上: 2,500万円(250人 × 10万円)
利益の増加:500万円(2500万円 - 2000万円)、利益の増加率:25%(500万円 / 2000万円)
リピート率「5」に対して利益増加率「25」のイメージ、掴めたでしょうか。業種によっては実際にありそうな数字ですね。
リピートがないと新規顧客獲得コストが回収できない事業もある
一方で、新規顧客を獲得するコストは、事業の3大コストの1ついわれ、広告費用や営業活動に多大な資金と労力を必要とするために、既存顧客を維持するコストの6~7倍にもなるとされています。
Bain & Company社のレポート「The Value of Online Customer Loyalty and How You Can Capture It」では、オンライン衣料品業者は顧客を獲得してから利益を出すまでに平均で4回の購入が必要だったとしています。
また、アパレルでの平均的なリピート顧客は、購入開始から31〜36ヶ月目において、0〜6ヶ月目よりも67%多くの支出をし、5回目の購入は最初の購入よりも40%大きく、10回目の購入は最初の購入よりも80%大きくなっています。
安心するための数字ではない
これら数字からわかるとおり、新規顧客獲得コストを回収するためにも、その後の売り上げ向上を見込むためにも、既存顧客との関係を深めてリピート率を上げることが非常に重要だという事が理解できます。
ある調査会社によると、建設業界のリピート率は平均80%以上です。ちなみに、弊社はまだ若い会社ということもあり、取引先もそこまで多くないので約90%で維持しています。
平均的なリピート率は80%と聞いて何となく安心してしまいそうですが、数字を評価する際に気を付けないといけない事がいくつかありそうです。
数字の背景や理由が重要
例えば、リピート率をただの数字だと認識してしまい、背後にある理由や背景を考えないのは危険です。
大幅な割引で新しい顧客を引き寄せたものの、割引が終わるとすぐに離れてしまうこともあるでしょう。
割引だけでなく、商品やサービスの質を向上させて、顧客が割引なしでも継続的に利用したいと思えるようにする事が重要です。
「無事終わりましたね。良かったですね。」の後が大事
また、その数字が合格点であるかのように思ってしまう事にも注意が必要だと考えます。その先の20%を取りこぼしている、もしくは取りこぼす可能性があるという認識を持つことは重要です。
特に、新しい顧客の場合には、プロジェクト進行中であっても、その次のプロジェクトについてヒアリングしておき、予算取りから相談相手になっておくことが必要です。
現在進行中のプロジェクトの事だけに集中して、「無事終わりましたね。良かったですね。」で終わらせない事も大事です。
お客様と一緒に歳をとっていく
ここまで「5:25の法則」からリピート率の重要度について考えてきました。
こういった話は「LTV(顧客生涯価値)」といった話になりがちですが、その本質は顧客の信頼を得て長期的な関係を築き、お客様と一緒に歳をとっていく事が重要であるという事です。
TuberVisionは事の本質を忘れず、お客様と共に成長し一緒に年齢を重ねる。そんな企業であり続けたいと思います。