本好き必見!?の「本を強制買取させられるサービス」企画。前回は「創作意欲が湧く本」がテーマでした。しみじみ思う。本を強制で買い取りさせられるってどんなサービスやねんと。
まぁ、ネタになるのと、知らない本に出会えるのは楽しいので良しとします(笑)
ドMでドSなルール
もう一度「本を強制的に買取させられるサービス」をおさらい!
このサービスには良くも悪くもルールが存在します。
- 谷川がテーマを提示
- 提案して良い冊数を2人で協議
- 1ヶ月後、重永さんが選んだ本を谷川にプレゼン
- その中からどれか1冊を必ず買取らなければいけない
- 選ばなかった本は永久に買うことができない(他店で買うのもNG)
登場人物
重永さん
西日本書店の外販担当
チェックポイント:最近、さっぱりしたヘアースタイル
谷川
AND SPACEの代表取締役
チェックポイント:お気に入りの派手猫シャツ
今回のテーマは「価値観を変えてくれる本」
「意外と価値観は変わりやすいゆるゆるな方」という谷川が、
新たな価値観に出会いたいと、期待に胸を膨らませたテーマです。
第2回目の3つの縛りは…
【今回の縛り1】 谷川の価値観を変えられそうな本をプレゼンする
【今回の縛り2】 プレゼンして良い本は2冊
【今回の縛り3】 本を開かない(表紙とプレゼン内容のみで、どちらか1冊を決める)
本を開かずにどちらか決めるということは、重永さんのプレゼンですべてが決まると言っても過言ではありません。
そんなプレッシャーを感じ、前回よりも緊張している様子の重永さん…。一方、その様子を楽しむドSな谷川。
さて、こんな相反する2人は、今回どの様なトークを繰り広げてくれたのでしょう?
1冊目_地図とグラフで見る「第2次世界大戦」
谷川:では、いってみましょう!
重永さん:あっ、はい。では1冊目。今日ご紹介させていただきますのは…。
谷川:あれっ?ちょっと緊張してます?お題のせい?
▲緊張している様子の重永さん
重永さん:そうですね。お題もありますけど、今回は、本を開けないのが結構プレッシャーで…。 「価値観を変えてくれる本」って聞いたときに、正直ふざけんなよって思ったんですよ(笑)
谷川:はいはいはいはい。
重永さん:世界の価値観を変えてきた本は、今までにも色々ありましたよね。 他に何があるかと考えた時に、聖書や、マルクスの資本論、ダーウィンの種の起源とかかな〜とは思ったんですが、 僕が読んでプレゼンしようと思ったら、50年はかかってしまいそうで諦めました。 そこで、今回は知的な感じを出した…こちら!『地図とグラフで見る第2次世界大戦』です。
▲『地図とグラフで見る第2次世界大戦』
谷川:うわ、開けてー。 僕ね、湾岸戦争をデータ化したような本は持ってるんですよ!
重永さん:なるほど!でもね、『地図とグラフで見る第2次世界大戦』は、谷川さんが持ってる湾岸戦争をデータ化したような本とはレベルが違います。規模が、尋常じゃないんで。
谷川:確かに。第2次世界大戦ですしね!
重永さん:そうなんです。第2次世界大戦は、世界中を巻き込んだだけあって、湾岸戦争よりも壮大なんです。
谷川:うんうん。あと、インフォグラフィックっていうところも、ポイントですよね〜。
重永さん:この本のすごいところが、数字化のレベルが半端じゃないんです。 戦いの中で動員されている将軍とかの人数や兵士の数まで事細かに表記されていて…完全に信長の世界ですね。
▲表紙の配色とフォント
谷川:装丁の配色とフォントの選び方も素晴らしい! この、赤・白・黒・青の配色されているところがこれまた意味深〜。
というか、今回は重永さんのプレゼンの腕の見せどころやのに、僕がすごく補足してしまってません?
重永さん:いや〜谷川さん、いろいろ話してくれるから感謝です!もっと、もっと補足していただいていいんで。
▲おしゃべりモンスター谷川に感謝する重永さん
谷川:(笑)あとは、重永さん、どうぞ!
重永さん:はい。この本は、ジャン・ロペスさんという方が書いた洋書で、その日本語版なんです。
谷川:うんうん。
重永さん:兵站だったり物資の供給、銃弾の量や撃ち合いしたタイミングとかもぜんぶ数値化されてたりするんです。 その他に、第2次世界大戦中の世界各国の人数編成や、男女比率まで全部数字で表してるんですよ〜。
谷川:ほぉ〜。
− ライターのひとり言
「価値観を変えてくれる本」というテーマから第2次世界大戦のデータを集めた一冊をチョイスされた重永さん。
せっかくノリに乗ってきたのに、スパッと切られてしまってちょっと可愛そう…。 私自身、「地図とグラフで見る第2次世界大戦」のようなデータでぎっしり埋め尽くされた本を見たのは初めてで、その存在を知っただけで価値観が変わりました。
さて、湾岸戦争のデータ本を持っているという谷川ですが、重永さんのプレゼンを聞いて、自分の価値観を変えてくれる1冊と思えたのでしょうか?
2冊目_「エルメスの道」
谷川:次の1冊!
重永さん:次の1冊は、誰もが価値を認めるブランド品。 その数あるブランド品の中でも、1番ではないかと…
谷川:エルメス!
▲『エルメスの道』
重永さん:そうですね。こちら、『エルメスの道』です。実はこれ、中は漫画なんですよ。
谷川:漫画なんや〜。僕、漫画好きですけど…。
重永さん:あ。もう、ちょっと今疑ったでしょ?本当に漫画でエルメスのことわかる?って。
谷川:いやいや、そんなことは思ってないですよ。
重永さん:この本が発行されたのは1997年で…。
谷川:思ったより、最近ですね。
重永さん:97年の時点でエルメスには160年の歴史があって…。初代エルメスが生まれてから160年の歴史を凝縮した漫画本になってるんです。 あれ?谷川さんピンと来てます?
谷川:いや、わかりますよ。ブランドはあんまり着ないけど、嫌いじゃないんで。
重永さん:それと、この本を書いた漫画家さんは、実は日本人なんです。 竹宮惠子さんっていう、永井豪さん世代の少女漫画家さんなんですが、実はおもしろいエピソードがあるんです。
谷川:永井豪さんは知ってるけど、竹宮惠子さんは知らないですね〜。
重永さん:竹宮さんは馬に乗れて、馬の絵が描ける漫画家らしくて…。 5代目の社長がそこに目をつけ、日本の出版社所属の漫画家さんに、制作を依頼したというお話があって…。
谷川:いやいや、天才やん!
重永さん:最後にもう一つ!この本の1番のポイントが、漫画なのにエルメスの公式の社史ってところなんですよ。
谷川:ほぉ〜。面白い!
重永さん:でしょ。97年にエルメスの5代目の社長が社史を制作するためにわざわざ日本の出版社を選んで、漫画で作り上げたってところがおもしろいんですよ! どうです?日本の漫画を社史に選んだっていうこと知っただけでもこの本の見え方変わってきたでしょ?
谷川:確かに、そうですね!
− ライターのひとり言
みなさん、あのエルメスが日本の漫画を公式の社史に選んだこと、ご存知でしたか?
重永さんは、漫画コレクターの谷川に、あえて漫画をプレゼンしたものの、実は内心ヒヤヒヤしていたそうです。
対談後、エルメスの社史の秘密を初めて知り、すぐにでも本を開けたがっていた谷川ですが、果たしてどちらの1冊を選ぶのでしょうか?
選ばれし「価値観を変えてくれる本」は?
谷川:素晴らしい2冊を紹介してくれてありがとうございました。そんなことより、重永さん。プレゼンお上手じゃないですか〜。
重永さん:いやいや〜。今回は緊張してたんで、無事に終われて本当によかったです。
谷川:すばらしかったです! さてさて、今回の2冊のお値段は…『第2次世界大戦』8000円(税抜)と『エルメスの道』620円(税抜)ですね。
▲本の価格
重永さん:値段の価値も、ちゃんと差をつけてみました。
谷川:今回は、びっくりするぐらい悩んでます…。 んーそうやなあ。正直、『第2次世界大戦』かなあ〜って最初は思ってたんですよ。 なんせ、2度と手に入れることができないっていうところに惹かれるんですよね〜。
重永さん:そうですね。
谷川:どちらに好奇心が湧くかといわれたら、やっぱり『第2次世界大戦』なんですよ。すごく面白そうやし中のページが気になる…。 ただ、「価値観を変えてくれる」というキーワードで判断するなら、『エルメスの道』だと思うんですよね〜。
▲2人で思い悩む様子
重永さん:心に刺さるとか、心に残るのはどっちかと考えれば、僕も『エルメスの道』かなと思います。
谷川:何かしらの影響を受けやすそうなのは『エルメスの道』。 知識が増えたり、エンタメ性で選ぶなら『第2次世界大戦』。 でも今回のテーマは、価値観が変わる本だから、さっさと『エルメスの道』選べよ!って感じですよね。 だから今回は、『エルメスの道』を購入させていただきます。
▲『エルメスの道』を選び、手に取る谷川
重永さん:はい。僕が今回「価値観を変えてくれる本」というテーマで選んだ2冊の中で、『エルメスの道』を選んでいただきました。ありがとうございます!
▲『エルメスの道』贈呈の様子
谷川:お買い上げです。安い!620円で価値観が変わったらすごいですよね〜。
重永さん:売上的には、『第2次世界大戦』の方がありがたかったんですけどね(笑)
谷川:だから、本って安いなって思うんですよ。 実は、本を買う価値観でさえ、本の言葉に変えてもらってるんですよね。 それが、ラーメンズの小林賢太郎さんの本にあった「1行でもいいな。と思うことがあればその本は買いだ」という言葉なんですけど…。
重永さん:そうだったんですね!
谷川:いや〜。でも今回、面白いチョイスでした。素晴らしかったです!
▲「価値観を変えてくれる本」のテーマに選ばれた2冊
ありがとうございました。
− ライターのひとり言
第2回目の「本を強制的に買取させられるサービス」は、いかがでしたでしょうか?
初回とは違い、谷川はすごく悩んでいましたね〜。
毎回毎回、難しいテーマに頭を抱え「ふざけんなよ」と思いながらも素晴らしい本を選んできてくれる重永さん。
プレゼンのみで本を紹介する今回の縛りは、本当に難しかったそうで、対談後にはすごくホッとした表情に…。
これからも谷川のドSにお付き合いお願いします(笑)
次回テーマ「科学か数学の美しさに触れられる本」
重永さんのリアクションを、にやにやしながら楽しむドS谷川が出した次回のテーマは「科学か数学の美しさに触れられる本」。
谷川は、ニュートンのムック本を最近読み、虚数を理解したときに世界の見え方が変わったみたいです。
(本を読んで「これどんな本?」って聞かれたときに「これは、数学の美しさに触れられる本やねん」といってみたいらしい…)
次回は、「科学か数学の美しさに触れられる本」という尖ったテーマのため、「中を見てもいい2冊」とフラットな縛りに決まりました。
いやー、はい。 うわ〜、180度変えてきたなっていう感じですね。 急にギュッと範囲狭めてきましたね。僕の頭の中は、もう戸惑いしかないです…。
次回もお楽しみに^^