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N1を起点にした事業開発を進めるプロセスとは

Photo by Scott Graham on Unsplash

こんにちは!スマートバンクで事業開発を担当している土屋(@takeshi)です。

先日、スマートバンクのBizDevに興味を持ってくださった方に向けて、プロダクト「B/43」が挑む顧客課題の面白さやポテンシャル、事業検討の試行錯誤やナレッジ会社などの全体像をご紹介するページをリリースしました!

スマートバンクのBizDevにおける主な役割としては「事業検討」「事業企画」「事業推進」があり、幅広い領域をカバーしながら日々アクションしています。


                  BizDevがカバーする領域


その中でも、特にスマートバンクらしい体制で取り組んでいるのが、 事業検討フェーズにおける「顧客課題調査」です。

下の図にあるように、何かしら事業を立ち上げたいと思った時に、BizDevがオーナーシップを持って関わっていきますが、事業機会の探索・検証のフェーズはPM、UXリサーチャーと一緒に進めています。


                     事業開発の流れ


スマートバンクでは、年間で200件を超えるユーザーインタビューを実施し、そこから得られる「N1」のインサイトをもとに事業企画・プロダクト開発の立案を進めています。

ユーザーから直接お話を聞くことで、新たな発見を得たり、元々作っていた仮説の根底を覆すような発見もあります。

このような「N1」の本質的なインサイトを市場調査などから得られた情報とかけ合わせて進める事業開発は、他では経験できないスマートバンクならではの事業開発のプロセスです。

具体的な事業開発プロジェクトの内容については機密性が高いため公開できないのですが、どのようなプロセスで進めているのかをご紹介していきたいと思います!

スマートバンクにおける新規事業開発のプロセス

スマートバンクでは、半年に一回中期事業計画をアップデートしています。その中で、いくつか今後取り組みたい事業領域を選定するにあたり、どのマーケットが良さそうか、実際に当社が参入して勝ち筋がありそうかを検討をしています。

具体的には、下記のようなステップで、事業価値と顧客価値双方の観点から新規事業の企画・立ち上げを行なっています。


                  新規事業開発のプロセス


💡 新規事業開発のステップ
  • 事業課題の設定
  • 深堀りをするアイデアの設定
  • 事業の方向性の設定
  • 事業立ち上げ

Fintechサービスにおいては、事業や機能をローンチするまでに膨大な工数や時間がかかるため、事業インパクトがより確度高く見込める状態を作っていく必要があります。

そのためには顧客課題やニーズを正確にキャッチすることが重要で、事業アイデアの深堀について重きを置いて調査・振り返りを行なっています。

ここからは、スマートバンクがどのように事業アイデアを深堀りしているかについて紹介していきます。

深堀りをするアイデアの設定

まずは、事業課題を起点とした事業アイデアをブレストし、実現可能性やインパクトを基に深堀りしていくべき領域を絞っていきます。その後、そのマーケットに事業機会がありそうかを見極めていきます。

見極めの際にスマートバンクで重要視しているのが、その市場にいる顧客課題が存在するか、存在するなら、今はどういった方法を取っているかを確認しにいくことです。

これは、CEOの堀井翔太がこれまでの事業立ち上げの中で必ず行ってきていたステップであり、ユーザーが不合理な解決方法をとっており、代替手段があるかどうかを確認することで、商機があるか見極めるものです。

https://note.com/horishou/n/n6fb552353c01

具体的には、下記を調査・整理して各領域における実施判断をジャッジしていきます。

💡調査・整理項目
  • 「顧客課題調査」
  • 「実現可能性(提携パートナー選定・ヒアリング)」
  • 「プロダクトイメージ」
  • 「事業計画案(事業インパクト・実装工数)」
  • ユーザーニーズを前提にプロダクトイメージを設計

顧客課題調査についてUXリサーチャーと連携して進めていくのですが、領域を絞ったタイミングでUXリサーチャーを呼び、どういった形で調査結果を出せるといいかディスカッションするようにしています。

具体的には、調査の領域が絞られたタイミングでリサーチャーと連携し、背景の説明とユーザー調査のキックオフを実施、目的や背景、調査期間などを説明した上で、リサーチャー側でユーザー調査の設計を進めてもらう流れになります。

顧客課題調査におけるリサーチャーとの役割分担

UXリサーチャーは調査設計に専門性を発揮するので、主に設計パートを担ってもらいつつ、BizDevも設計の場に同席し、「誰に聞けるといいか」「どんなことがわかるといいか」を一緒に整理していきます。UXリサーチャーにお任せする、というよりはBizDevのチームに入ってもらったつもりで一緒に考えていく、といった方が近しいかもしれません。

図にしてみるとこんな形になっています。


スケジュールについては事業推進の観点からBizDevの方で主導して決めていきますし、知りたいことに合わせた調査手法の選定はUXリサーチャーに任せます。

一方、その後の行程は細かな役割分担はあるものの、ほぼ一緒に進めていきます。質問内容をBIzDevで考えたりもしますし、対象者の条件出しなども話し合いながら決めていきます。

市場理解を深めるために、アンケート調査、インタビュー調査を組み合わせて行うことが多いのですが、それぞれのパートで聞くべきものを分別して設計していきます。

アンケート結果をもとに、インタビューを依頼する対象や聞きたい項目を考えていきます。当初の想定とは少し違っていたので調整を加えるなど、実施判断に関わる要素を少しでも多く取得できるように頭を使っていきます。

我々のサービスは、法的な制約がある場合もあり、早めに動き出す判断をする必要があります。そのため、検証に使える期間に限りがあるのですが、一緒に進める上で大事にしているのが「xxまでだったらできる」ではなく、「xxまでにやるためにどうする」という視点です。

UXリサーチャーは社内のプロジェクトに横断的に関わっていることから、過去のリサーチで使えるものを先に場に出して議論もできますし、限られた期間の中で知りたい情報にアプローチするための手段をいつも提案してくれます。 (この点、当社UXリサーチャーのHarokaさんが積極的に関与いただいており、過去の経験をもとにベストと思われるプロセスを提案してくれるので、とても助かっています!)

リサーチを実施する上で自分が最も大事にしているのは「どういう背景でユーザーが困っていそうか」を手触り感のある情報として捉えることです。

インタビューにも全て同席し、直接ユーザーの声を聞くことによって、実施判断に影響する要素を拾って整理していきます。

リサーチャーとチーム組成をするメリット

いくつかあるのですが、何より「早く」「正確に」意思決定できることに尽きます。

早いフェーズから連携ができているので、目的や背景を共有した上で調査設計をしてもらえ、手戻りも少ないと思います。各パートで情報を共有し合いながら推進しているため、ちょっと対象者が違ったかも、と思った時も途中で軌道修正ができたりしますし、それまでの経緯をお互いが理解しているからこそですね。

事業観点で言うと、スピードを意識してMVP的な検証はしていく前提ではあるものの、その精度を高めることでより早く事業グロースまで持っていけることが挙げられると思います。成功確度を上げられる、という言い方ができるかもしれません。

前提である情報が誤っていたり不確かなまま立ち上げると、検証する期間が長引いたり何回もピボットすることになってしまいます。競合などにスピード負けしたり、会社として継続判断できずに事業グロースさせきれないという残念な結果を避けられているのではないでしょうか。

また、検証するはじめからある程度あたりをつけて取り組めているから、というのもありますね。日頃からユーザーに向き合っているリサーチャーと協議しながら進めることで、より多角的に設計することができているような気もします。

調査しようとしているテーマだけでなく、その他のテーマについても解像度が高いので、「他のプロジェクトではxxxと行った課題が出ているので、こうだと思う」とか「前、xxxxで進めて上手く調査できたので、今回はこうしよう」などと言った提案がもらえることで、多角的かつ網羅的に検討した上で設計ができて、結果、精度が高くなっているなと実感しています。

インタビューに同席してみての気づき

前職ではリサーチ専門職はいなかったので、専門職がいるというだけで大きな差分を感じています。

これまで、自分がお客様にヒアリングをすることもあったのですが、専門にしていたわけではなかったので、リサーチに関する引き出しやノウハウを多く持っているメンバーと打ち返ししながら進めることで精度が高く納得感も得られやすいんだな、と実感しました。

あと、インタビュー後に毎回振り返りやディスカッションをするんですが、これが良いと感じています。いくつか理由があるのですが、まずは「情報の定着」ですね。自分が聞いたことを整理する中で、例えばこれまでの人との差分や、印象的な発言などを思い出し、考えが深められます。

また、インタビューには他職種が参加していることが多いので、色々な観点でのコメントがあり気づきが多いこともいいなと思います。

特にPM職が参加することで、当初想定していた文脈とは外れた事業機会にも気づきやすかったです。こういった課題があるのであれば、今回想定しているAという文脈ではなく、Bがいいのでは?といった発想が生まれ、検証したいポイントがシャープになっていくような印象です。

この振り返りの場を通して、例えば、次のインタビューからは、Bに向けた質問に変えるなど、途中の軌道修正もクイックにできているので、結果として無駄なく精度が高い調査に繋げられているんだろうな、という実感もあります。

スマートバンクが取り組むN1を起点にした事業開発の魅力

N1と起点とした事業開発には、大きな魅力が2つあると考えています。

事業価値だけではなく、顧客価値の観点も踏まえて事業検討できる

顧客課題調査では、選定段階ではとても勝ち筋がありそう、と見込んでいたものが調べてみるとそうでもないことがわかり、着手しない判断ができることもあります。

それは、定性情報を事前にキャッチアップできたことが大きく、わからないまま進めていたらユーザーの課題を解決できる新しい価値を生み出せなかったと思います。

リサーチを進める中で、当初想定していたものとは全く違う観点での事業スキームや事業モデルになっていくこともあり得るなとも思っています。

事業の立ち上げ成功確度を引き上げていく体制が作れていることで、事業的な強さを生み出すことにつながっていると感じています。

他職種がミッションをオーバーラップしながら、One Teamで事業検討できる

スマートバンクのメンバーは、バリューである「SuperOwnership」を体現している方が多く、もちろん職種ごとのミッションや持ち回りは決まっているものの、BizDevだけが事業のことを考えるようにはなっていません

今回お話ししたUXリサーチャーをはじめ、PM、エンジニア、デザイナーなど様々な職種のメンバーが事業やプロダクトについて議論することで、より強い事業・プロダクトが作れていると自負しています。

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