廃墟化寸前だった温泉宿を、もう一度「人が帰ってくる場所」にした話。− 地域を未来へつなぐ仕事 −
昭和41年。四万温泉の一角に、ひとつの宿が生まれました。名前は、四万ゆずりは荘。国民宿舎として、修学旅行、家族旅行、湯治、地域の集まり――何十年ものあいだ、「誰もが使える宿」として人々に親しまれてきました。この町の“思い出の風景”のひとつだった場所です。そして、令和5年。宿は一度、灯りを消しました。施設の老朽化。時代の変化。継続運営が難しくなり、ゆずりは荘は閉館を迎えます。「この宿も、もう終わりなのかもしれない」そう思われた場所でした。でも、私たちは思いました。この宿がなくなることは、建物がなくなることではない。ここで生まれた時間、人の記憶、“また帰ってくる場所”そのものが、消えてしまう...