|2016年の創業当時に比べて不動産業界での「ホームステージング」の認知度は緩やかではありますが上昇してきています。それに伴いサービスの質も多様化し、家具のグレードに合わせた料金設定やプロのカメラマンによる写真撮影、バーチャルでのステージングなど、時代と共に新たな手法も出てきています。
また、販売会社様のニーズも具体的なものが増えてきたなか、当社も保有するレンタル家具のバリエーションや小物雑貨の充実などホームステージングにおけるターゲット層やペルソナ設定をより具体的にイメージしやすくなるよう高品質なコーディネートに努めてきました。
|納品実績は年間2,000件を超えるようになり、大阪本社に続き東京、名古屋と拠点を増やすことができましたが新規取引先獲得に関心が集まる一方、既存のお得意先様のご依頼案件が停滞していることに気づきました。
原点回帰のきっかけはお客様目線にいま一度立ち返ることから
|物件売却の販促としてホームステージングをご利用いただいている以上、早期成約や販売価格の向上に繋がらなければKAGKASにご用命いただく決め手に欠けること。不動産という世の中の経済状況に左右されやすい業界でのサービス業であること。それらを考えたとき、お得意先様が納得し、満足していただける空間演出を自信を持ってご提案させていただく、お客様目線で見たステージングのバリューアップを図ることが必要な時期だと改めて初心に立ち返ることができました。
「納得のステージング力」の底上げにかけた施策
|KAGKASのプランナーはインテリアデザインや家具販売など室内装飾に関わるスキルだけでなく、建築士、設計士、不動産営業などの経験を持つプロフェッショナルの集まりです。
それぞれが持つナレッジを共有する事でプランナー全員のスキルの底上げやモチベーションアップに繋げるべく、大阪本社3Fのショールームにおいてステージングの発表をすることにしました。プランナー一人一人にテーマを与え、それに合わせたテイストでペルソナを想定し、ターゲット層に刺さるようなインテリアをコーディネート。工夫した点やこだわった点などをアピールします。
▽Before〈ショールーム〉
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▽After〈テーマ:インダストリアルスタイル〉
プロがフィードバックを受けて見えてくるもの
|完成したステージングをマーケティング部、プロデュース事業部、リフォーカス事業部の各マネージャーがチェックし、良かったポイントと改善点など当事者では気づきにくい視点でピックアップ。その場で家具や小物の差し替えやアレンジを修正し改善前と後の違いを体感できるようにしました。
同じ空間(内装)でどれだけ演出できるか
|ショールームを活用して、同じ間取り・内装でテーマを決めてプランニングをしたらどれだけ違う演出ができるのか…?
通常のホームステージングでは、ナチュラルモダンや北欧テイストなどのインテリアがポピュラーですが、プランナーのスキルアップを図るため、敢えてシチュエーションを絞り込んだテーマで取り組みました。
|家具や小物の選定やアレンジ、レイアウトで同じ空間をどれだけテイストの違う内装に変えられるかはプランナーの力量にかかってきます。
マーケティング部主体でプランナー毎にテーマを決め、1週間でプランニング ⇒ コーディネート発表 ⇒ マネージャーチェック・研修 ⇒ 再コーディネート発表 ⇒ 社内メルマガにて共有 というルーティンでショールームをステージングしました。
懸念点を上回った期待値。いま以上のホームステージングを実現するための武器
|KAGKASのプランナーはもともとインテリアに関わる経歴を持っていますが、家具や雑貨の商品知識や物件の内装・建具などの住宅に関する知識など各々が持つスキルは専門性の高いプロフェッショナルです。担当プランナーは直接お得意先様と物件情報とステージングプランのやり取りを行い現場でコーディネートを完成させます。そのため個々のステージングは納品後の写真など実績として社内で共有できても、プランニング中は個人商店のような形になります。加えてコーディネートはスキルだけでなく、プランナーの感性や表現するセンスなど物理的なものと相反する感覚的なものが融合して個性のある演出となるのです。
|今回の取り組みは、スキルとプライドを持ったプランナーが完成させたステージングを評価し合うというものでしたが、社内でも初めての試みであるため正しい表現で的確に評することができるのか、本人の受け止めは大丈夫か、など懸念される点もありました。しかしそれ以上に普段は言える機会のなかった他者のステージングの良い点、改善すべき点、アイデアや工夫の評価など、見直しや強化とともにモチベーションのアップに繋がる期待の方が大きく、KAGKASのステージング力の向上が顧客満足度のアップだけでなく、ホームステージングに興味を持っていただける武器になると信じてスタートしました。
▽研修〈マネージャーチェック〉
「敢えて」が気づかせてくれた。今回の取り組みから見えてくるもの
|プランナー一人一人にテーマを決めるにあたり着目したのは、その人の得意とするテイストとかけ離れたテイストに仕上げるテーマ設定をすることでした。
お取引先様からいただいた物件情報をもとにプランニングするなかで、自然と得意なテイストに仕上げがちになることがあります。今回の取り組みの目的はスキルの底上げですので、普段イメージから遠ざけていそうなテーマを与えることで持っているスキル・アイデアの創出や、実績に繋がるチャレンジになると考えました。
ホームステージングの研修から得られたものはまだまだあった
1.家具の在庫総ざらい
コーディネートでは、より多くのお客様に興味を持っていただく演出を優先するあまり似たようなアレンジになりがちです。会社保有のレンタル家具の利用頻度もトレンドを意識したアレンジに表れるように同じ家具を選ぶことが多くあります。しかし、今回の取り組みでコンセプトを絞ったインテリアを表現するために在庫家具を総ざらいし、見落としていた家具や個性のある家具を使うチャンスが生まれました。家具のラインアップを見直せたことでバラエティ豊かなプランと家具回転率の強化に繋がりました。
2.すぐに活かせる引き出しが増えた
定期的に他のプランナーのステージングを目の当たりにすることで、普段使っていない家具や、組み合わせの発見がありました。自分では思いつかなかったアレンジが頭に入ったことで、凝り固まったコーディネートから脱却し、さらにイメージを膨らませやすくなり、すぐに現場で活かすことができる引き出しが増えました。
3.ナレッジシェアしやすい環境に
個々に持っているナレッジを発表の場として具現化できただけでなく、与えられたテーマが普段あまりコーディネートしないテイストだった場合、得意とするプランナーに相談し知識を共有することを躊躇せずに行えるきっかけとなり、小物アレンジなど細かなディスプレイのし方まで教えてもらえる良い研修の場になりました。
4・パフォーマンスの向上
今回の取り組みは、発表・評価・研修という一連の流れをある程度の時間をかけて慎重に進める作業となりましたが、今後はオーダーに対して最適なプランを最短でフィックスできるよう、スピードアップを図り効率よく納品件数をあげていくことが課題です。
リアリティを追求するのがKAGKAS流
大阪・東京・名古屋の各オフィスにはステージングで使用している家具や雑貨がコーディネートされたショールームがあり、リアルな体感として空間演出がご覧いただけます。
ホームステージングの魅力を、目で見て体感していただいて納得していただけるよう、物件のポテンシャルを引き出し反響率のアップに繋げるための手段として満足していただけるよう、これからも感性を磨きつつセンスのある、KAGKAS “オンリーワン” のコーディネートをご提案していきます。