フリーランスのエンジニアが人生を安定させるために、案件を継続して獲得することは日々の業務と同等に大切なこと。株式会社VOOMはエンジニアをしっかりサポートするSES会社です。ホームレスから同社の社長になった津田さんに会社についてとこれまでの経歴、エンジニアがフリーランスで食べていくために必要なことについてインタビューしました。
エンジニアの劣悪な労働環境を新卒で経験
-現在どのような事業をやられていますか
ITエンジニアが客先に常駐してクライアント企業の開発を担当する、いわゆるSES(システムエンジニアリングサービス)事業を行っています。当社が対象としているエンジニアさんはフリーランスや派遣として働かれている方で、自分で仕事を選んで自分らしい生き方をしたい方。案件の給料も上昇傾向なので、成長を続けられる方であれば継続的にいい案件を担当することで、生活も良くなると思います。
また、エンジニアとして活躍しているうちに「自分で法人を立ち上げて何かやりたくなった」という方に対しては、出資も行っています。自分が入っている案件の受託開発とか運用保守というところから始めてもらい、無理なく黒字化をして会社を大きくしていく。当社が出資することで、そういったお手伝いも可能です。
-事業を始められたきっかけを教えてください
私は新卒で最初に就職したのが大手メーカーのエンジニアで、いわゆる3K職場の非常に悪い労働環境でした。結局一年くらいで退職しましたが、当時はどこの職場もそんな感じで。エンジニア業界の働き方を変えたいと思ったのが、今の事業を立ち上げるきっかけの一つになっています。エンジニアの皆さんには案件選びや収入も含めて自分らしく働いてほしいとの思いで事業を行っています。
エンジニアを辞めて理学療法士→イベンター→ホームレス
-大手メーカーのエンジニアを辞められてからVOOMを立ち上げるまで、ずっとエンジニア業界で働かれていたんですか?
いや、実はかなり紆余曲折がありまして。まず、大手メーカーを辞めてから、理学療法士を目指したんです。学校に3年通いながら、駅でパイプ椅子を置いてマッサージしたりとか、訪問サービスしたりとか。
それで理学療法士の資格が取れたタイミングで、先輩から起業しようということで誘われて、当時いた関西から東京に移住しました。そこで始めたのがイベント事業。婚活イベントとかフェス、クラブイベント、各種セミナーなどあらゆるイベントをやりました。
イベントは最初は調子良かったんですが、会社が取り扱っていたのが完全にwin-loseの不動産商材で。商材の評判が悪いからだんだんイベント自体の名前も汚れていき、うまくいかなくなりました。それで借金を抱え、最終的には一文なしになりホームレスになってしまったんです。
ダンボールハウス職人から再起に成功し人材事業へ
-それは壮絶ですね。ホームレスからどうやって再起できたんですか?
僕はキャンプが好きなんです。ホームレスって毎日キャンプしているようなものですが、レジャーのキャンプと違って設備がよくないから寝心地や住み心地は悪い。そこで、寝心地、住み心地のいいダンボールハウスの作り方を徹底的に研究しました。
自分用の理想のダンボールハウスが完成して喜んでいたら、周りから「俺にも作ってくれ」と頼まれて暇だったし作ってあげてたんです。そのうち「津田っていうヤバいダンボールハウス職人がいるらしい」という噂が広まって、遠くの公園でも出張制作するようになりました。ダンボールハウスのお礼と言うことで食べ物とか日用品はもらえるので生活には困らなくなり、晴れて社会復帰となったわけです。
-辛い経験だったと思いますが、話を聞いてるとなんだか楽しそうに聞こえます(笑)復帰を果たされてからはどのような仕事をされましたか?
まずはイベント事業をもう一回やろうと言うことで、今度は一人でチャレンジしてみたらこれがうまくいき、ある程度まとまったお金を作ることができました。
そこで立ち上げたのが清掃会社。当時はAirbnbが流行り始めた時代で、民泊の掃除代行の仕事を取り放題でした。そこで大学生やベトナム人のアルバイトを派遣して掃除をしてもらったのが、今考えると人材事業に関わる最初のきっかけです。
その会社はすぐ売却して、いろんな人材事業をやりました。営業代行、ベトナム人材派遣、保険の営業代行…。ITエンジニアの人材事業をはじめたのが7年前です。(VOOMとしては現在5年目)
ITエンジニア業界は関わる人がwin-winになれる
-紆余曲折を経てIT業界に戻ってきたという感じですね。これは最初から狙っていましたか?
いた、正直全く狙ってはいませんでした。ただ、働いている時の課題感というのはずっと胸の中に残っていて、いろんなビジネスを経験して改めてITエンジニア業界を見たときに「めちゃくちゃいいな」と思ったんです。
さっき、win-loseの商材を扱ったことがある話をしましたが、もう二度とそういうビジネスはやりたくなくて。ITエンジニア人材事業はエンジニアもクライアントも当社も、関わった人がwin-winになれるビジネスモデルです。収益が上がるだけでなくてハッピーになれるというのは大きなポイントでした。働き方の多様性が増したことも追い風になっていると思います。
-御社はフリーランスのエンジニアに業務委託するという形が多いですね。どうやってフリーランスを集めているのでしょう?
アナログなやり方なんですが、口コミや紹介がほとんどです。ここには私のイベンター時代の人脈がかなり生きていて、その方たちが代理店になってエンジニアを紹介してくれています。
皆さん各業界で力を持っていたりもするので、そういう人脈を生かしてエンジニアを集めたりクライアントを開拓できるというのはかなり大きいです。
あとは主に業務委託の営業担当が各々のやり方でエンジニアの集客を行っています。私のようにアナログでのやり方をしている人もいればSNSやwebを活用している人もおり、やり方は自由です。
スキルアップはフリーランスエンジニアの命綱
-エンジニアがフリーランスとして安定した生活を送る秘訣を教えてください
コミュニケーション能力があって自分でスキルアップする意欲がある人が案件は途切れないと感じます。
自分が大手メーカーにいた時代は、何十年も続けられないきつい働き方でした。業務委託のエンジニアであればホワイトな働き方は実現できるし、案件単位で言えばサラリーマン時代よりもおそらく収入はいいはずです。ただ、その分案件が途切れたときは収入がないというリスクがある。だから、エンジニアには常にスキルアップする意識は欠かせません。
今使っている技術は3年後には古臭くて使えないものになっているかもしれない。実際、何十年も正社員として企業のレガシーな現場で働いてきて、いきなり職場がなくなるということだってあるでしょう。その時にその人が他の現場で使えるかといったら、正直使えないんです。
自分から業務委託でフリーランスの道を選んで当社に来てくれたエンジニアに対しては、スキルアップをして将来を安定させて欲しいと強く思います。ただ、エンジニアの傾向として自分の業務以外のことをあまり知らないというか興味を示さない人が多い。
それだとスキルアップの機会が限られてしまうので、エンジニアに対して「今こういう案件すごく増えてますよ」「単価高い案件取るならこの言語身につけるといいですよ」と教えるようにしています。私たち経営サイドは毎日案件の傾向を見て分析しているので、エンジニアにスキルアップの道筋を示せるのは強みかなと。
あと、エンジニアとして入った先で「キーマンを見つけましょう」という話はよくしますね。キーマンが何をどうやって欲しいのかを分かった上で仕事をすれば、切られない上に最初お願いされていた以上の仕事をどんどんもらえる可能性が上がります。
VOOMならwin-win-winの関係を築ける
-エンジニアを探している企業がVOOMにお願いするメリットはなんでしょう
一番大きいのはエンジニアを直で抱えているところだと思います。ITエンジニア派遣は実際に働くエンジニアの間に3社くらい入っているのが普通で、企業側からすると要望がなかなかストレートに届かないストレスがあります。案件が始まって蓋を開けてみたら、エンジニアがマッチングしていないということは割と多いんです。
VOOMはさっき申し上げたアナログの集客力が強いので、他社ではなく自前で抱えているエンジニアを案件に応じて適切にアサインできる。スピードと正確性が早いのはVOOMを選ぶメリットです。
-エンジニアがVOOMを選ぶメリットもお願いします
やはり当社が直でエンジニアさんを抱えて現場をアサインするので、距離が非常に近いのは魅力のはずです。月に1回くらいお昼ご飯を食べに行きながら状況をヒアリングしたり悩み相談に乗ったりということもしており、人間的なつながりを大切にしつつその人の成長や安心に繋げています。他にも先ほど申し上げたスキルアップの道筋を示したりとか面談対策なども必要に応じて随時行っています。
あとはユニークな取り組みとしてあるのが、イベンター時代の経験を生かした社内イベントの開催です。エンジニアさんを集めてボードゲーム大会やARスポーツの体験会やったりとか。面白かったのがエンジニアさん向け恋愛講座。異性を落とすテクニックを伝授した後に「じゃあこれからハロウィンパーティー開催するからそこで実践しよう」みたいなのもやりました。これはまず普通のSESの会社ではありえないのではないでしょうか(笑)。
このようにとにかく会社とエンジニアの距離が近いのは魅力だと思いますし、フリーランスとして業務委託で働く方にとっては所属している会社と親密なのは精神的にも安定するはずです。バックグラウンドがしっかりしていることでアサインする現場でもしっかり実力を発揮してもらえると思いますし、クライアント企業にも当社の価値を理解してもらえる。まさにwin-win-winの関係となっています。