対談者の紹介
■ 塚本郵便逓送株式会社 代表取締役CEO|塚本雅彦 (写真:左)
塚本郵便逓送株式会社 代表取締役。
大学卒業後に入社し、2017年より4代目の代表取締役に就任。
趣味はゴルフ。休日はサウナで過ごしている。
■ 塚本郵便逓送株式会社 ロジスティクス部 サブリーダー|宮脇和也(写真:右)
ロジスティクス部所属。26歳の時に中途入社、現在2年目。
主に入荷や在庫管理を担当。在庫に差異が出ないように管理をしたり、全体をまとめたりして会社に貢献している。趣味はゴルフ。休日は友達とゴルフに行ったり、バーベキューなどを楽しんでる。
会社について
宮脇:本日は社長×社員対談ということで『塚本郵便逓送はどんな会社なのか』をテーマに、企業文化や風土、評価基準、求める人物像などについてお聞きできればと思っています。まずはお時間をいただきありがとうございます。
塚本:いえいえ、改めてこういう話ができる機会は貴重なので、こちらこそ今日はよろしくお願いします。
宮脇:では、さっそくなんですが塚本郵便逓送の「企業文化・風土」について。社長から見て、うちはどんな会社だと思っていますか?
塚本:一言で言うと、塚本郵便逓送は「過渡期の会社」です。
うちは90年以上の歴史を持つ老舗企業で、先代が積み上げてきたものは沢山あります。でも、それはあくまで先代の時代に合わせて作られてきたもの。会社というのは時代ごとに変化を求められるもので、塚本郵便逓送は今まさにその「変革の時期」を迎えている会社です。
ゆえに「うちはこういう会社です」「こういう文化や風土があります」と断言できない状態。むしろ、これから文化や風土を時代に合わせて形成し、作り上げていく段階にあるという感じですね。
宮脇:なるほど、では現段階でどんな会社にしたいと思っていますか?
塚本:ちょっと口に出すとカッコ悪いんですけど、「塚本郵便逓送に関わる全ての人が幸せになるような会社にしたい」と思っています。お客さんはもちろん、従業員、その関係者、全てが対象です。
僕はこの会社の4代目にあたるんですけど、「先代が積み上げてきたものをそのまま引き続ぎ・守り通す」という選択肢もあったわけですよ。僕は今39歳で残りの20〜30年間を守りに徹すれば、とりあえず僕の代は何とかなる。でも、それを選ばなかったのは「全ての人を幸せにする」ために、会社が時代に合わせて変化しないとダメだと思ったから。
事業を多角化しているのも、現代社会のニーズに応えるため。倉庫を新設したのも、業務の効率化や従業員の満足度を上げるため。あらゆるものにメスを入れて「全ての人を幸せにする」会社を目指してやっているって感じです。
宮脇:なるほど、そんな想いがあったんですね。でも、確かに「変化」という意味では、社員から見ても実感する部分は多いと思います。
例えば、僕が入社した当初はボロボロの倉庫で、事務所もプレハブだったわけじゃないですか。それを見て「この会社、大丈夫かな...」って正直思ってしまったんですよ。でも、それが今ではお洒落な休憩室もあるような、めちゃくちゃ綺麗な環境で働けていますからね。
僕自身「やっぱり、ここに入社して正解だったな」という気持ちになっていますし、僕と同じように思っている社員も多いんじゃないかと思います。
社員について
宮脇:次は「社員」についてですが、特徴や性格であったり、塚本郵便逓送の社員として何か共通するものはありますか?
塚本:先ほどの話にも紐づくことなんですけど、今は会社の過渡期なので、それに合わせてベンチャー気質のメンバーが増えてきます。一方で、これまでうちで長い間働いてきた社員もいますので、改革派と保守派が混在しているような業況。つまり現段階ではまだ「一貫性は無い」という感じですかね。
宮脇:確かに新しく入ってくる人に関しては「現状を変えよう」みたいなベンチャー気質の人は多いですね。
塚本:そう。うちは確かに老舗企業ではあるんですけど、僕自身ベンチャー気質な経営者ではあるので、会社の方向性としてはベンチャー寄りになってきている。これは確かです。
ただ、やはり中には「これまでのように決められた時間で、決められた仕事をやりたい」というタイプの人もいます。必ずしも全員が全員ベンチャー気質ではないので、そういった人たちも含めてどういった組織に作り上げるかが今後の課題だと思っています。
宮脇:なるほどですね。ちなみに社員の育ち具合は社長から見てどうですか?
塚本:全体を俯瞰して見ている立場としては、しっかり成長していると思っています。それは個々人の能力もそうだし、チームのレベルとしても上がってきている。ただ宮脇くんをはじめ、渦中にいる人はそれに気付けていないかもしれないですけどね。
宮脇:気付いていないですね。
塚本:うちは富山に拠点があって、宮脇くんを含め、みんな富山の倉庫で仕事を捌いている。だから「自分たちはどんなお客さんを相手に仕事をしているのか」が正直見えづらい部分はあるんだけど、うちの取引先は95%以上が東京のお客さんなんですよ。
それこそ、タクシーのデジタルサイネージで広告を見るような、有名なEC事業者やDtoC事業者たちの仕事を請け負っているわけです。「そういった人たちの物流を富山で担っている」ということを再認識してもらえれば、成長していることにも気付いてもらえるんじゃないかな。
宮脇:そういう視点では見てこなかったので、確かに言われてみて印象が変わりましたね。
評価制度について
宮脇:最近、評価制度が改訂されましたけど、どのような経緯があったんですか?
塚本:結論から言うと、評価モデルを「成果報酬型」に近づけたいという想いから変えました。
そもそも僕は塚本郵便逓送で働く社員には”成長と成功を実感できるような環境”を提供したいと思っているんですけど、「うちは成長できますよ」とただ言っているだけでは他人行儀になっちゃうじゃないですか。では、どのように寄り添うか考えた時に、評価や給料が成長と成功を一番実感できるポイントだと思ったんですね。
本来、評価というのは会社に対する貢献度で決まり、給料はその対価として支払われるもの。つまり、頑張った人や結果を残した人が優先的に評価されたり、昇給するのはごく当たり前なことなんですよね。
ちなみに改訂したのは評価制度だけじゃなく、就業規則から賃金規定まで全て刷新したんですよ。なので、これからは「あの人、頑張っているなぁ」と思うような人が昇格していくような会社により近づいていくと思いますよ。
宮脇:なるほど、いわゆる「実力主義の会社」に近づくということですね。僕は賛成なんですけど、昔からいる社員もいますし、一部からは不満の声もあがりそうですね。
塚本:もちろん、それも理解しています。でも、そういう制度にしないと優秀な人材が富山からどんどんロストし続けることになってしまう。優秀な人材自体は富山にも沢山いるんですけど、県内に留まらない理由は、富山にある企業の評価制度だとか、風土が今の時代にマッチしてないからだと思っているんですよ。
先ほども言ったように、先代が積み上げてきたものを守り通せば、現状の満足度もある程度は維持できます。でも、未来のことを考えた時にそれではマズい。少子化問題もある中で、気付けば「優秀な人はみんな東京で働く」「富山に優秀な人材がいない」という状況に陥る可能性も十分にあり得るわけです。
塚本:組織は人の集合体であり、人が組織を作りあげるもの。ゆえに会社の存続のために「人」が非常に重要な要素になってきます。こういったことから、まずは評価制度の刷新という形で「人」に着目した施策を打ったという感じですね。
宮脇:おっしゃる通りですね。実際に僕も成果報酬型にした方が良いと思っています。
というのも、僕を含めてサブリーダーが何人かいるわけですけど、仕事をこなす量って全然違うんですよね。ある時にそれなりの量の仕事を任せてもらったことがあるんですけど、僕なりに頭を使って全てをさばき切った。でも、給料は他の人と変わらない。正直、頑張っていることがアホくさくなってしまったこともあるんですね。
でも、ちょうど先月この評価制度が導入されて、成果が評価や給料に繋がることが明確になりましたし、気持ち的にもモチベーションが維持できるようになったので。すごく良い制度だなって思います。
ちなみに具体的に評価制度の仕組みはどうなっているんですか?
塚本:まず「一般社員」「サブリーダー」「セグメントリーダー」の3階級があります。その各階級ごとに3〜5つのランクが設けられていて、1年に1回の年次評価によってランクが変動するという感じです。
もっと言うと、マネージャー職や執行役員も含めて、各階級・各ランクの人が実際にどれくらいの給料を貰っているのかも分かるように公開しています。それを見て「俺もこうなりたいなぁ」と上を目指してくれると嬉しいかな。
宮脇:確かに給料の金額が一覧で見れると、より現実味が増してやる気も出ますね。そういった資料は倉庫の方に置いてあるんですか?
塚本:既にデータで全員に配布していますが、標本されたものがそのうち倉庫に届くと思います。ぜひ一度目を通してほしいです。
「会社」が抱える今後の課題
宮脇:塚本郵便逓送が抱える今後の課題は何かありますか?
塚本:うちだけに限らず、物流業界そのものが人手不足に苦しんでいるというのはありますね。特にドライバー不足は免許制度の改正でより深刻化しましたし、今後は今以上に人材の取り合いになるように思います。だから、まずは「富山で働くなら塚本郵便逓送」と言ってもらえるような会社を作ることが急務なんですよね。
宮脇:なるほど、具体的にどういったアプローチをしようと思っているんですか?
塚本:ここはNo.1理論だと思っていて、まずは「富山でNo.1の倉庫や施設を保有している」みたいなところから始まり、ゆくゆくは「富山で一番成長している会社」みたいな感じで、No.1をいくつか持っている会社にすべきかなと。そしてこれは可能な限り、早い段階で成し遂げたい。結局、人材が集まる土壌をちゃんと作っておかないと、事業を広げたところで回らないですからね。
現時点で「働きやすい環境」は着々と準備が進んでいて、2020年に建てた新倉庫はオーダーメイドでお洒落に設計しましたし、今年3月にはまた新たな倉庫が完成予定。物流業界で一番お洒落な倉庫を持っているのはうちだと思っているので、ここはもっとアピールしていきたいですね。
宮脇:この前、新倉庫を見てきましたけど、広く清潔感もあって良い感じでした。
塚本:でしょ。箱は用意したので、あとは内容をしっかり固めれば、人が集まってくると僕は思っています。
宮脇:仕事の方は問題なく取れているんですか?
塚本:EC業界の爆発的な成長もあって、物流の仕事自体は沢山あります。ただ、それをさばくことが難しい。そして、仕事をさばくには人が必要なわけです。だから順序として、今は仕事を取る以上に「人材を獲得するために何をすべきか」を考えることの方が優先度は高まっているという感じですね。
ただ、そのためには全員の協力が不可欠だと思っています。というのも、人というのは「素敵な場所」に集まるものだと僕は思っているんですよ。素敵というのも、カッコイイ倉庫を持っているとか、空調がしっかり効いて働きやすい職場みたいな、外見だけではダメだと思っているんです。
人が組織を作ると言ったように、そこにいる人たちが何より素敵である必要があるんですね。僕は昔から、そういうもんだと思っている。宮脇くんも、そういうところに居たいと思うでしょ?
宮脇:それはあります。確かに働きやすい環境というのも側面が2つありますからね。設備としての快適さが1つだとして、もう1つはその職場で働く人。結局いくら設備が良くても、その職場に最悪な人がいたとして、そんな人が上司になった日には長続きしないですもんね。
塚本:そうなんですよ。素敵な場所があり、素敵な人がいることが大前提。もっと言うと、素敵じゃないものはあってはならないわけです。
塚本:それこそ会社のトップである僕なんかは、身なりについても毎日しっかり整えているんですよ。例えば、コンビニへ行く時に「今日ぐらいいいかな?」ってズタボロで不潔な服装をしたとして、そんな僕を宮脇くんが見たらどんな印象を持つ?
宮脇:「え?どうしたのかな?」 みたいな感じにびっくりすると思います。
塚本:でしょ。おまけに唾とか吐いてたらどうする?
宮脇:「そういう人なんだ」って、ちょっと軽蔑してしまいますね...。
塚本:そういうことなんですよ。人は絶対にどこからか見られている。だからこそ、毎日きちんと身なりを整えて家を出る。それぐらいの緊張感をみんなが持ってくれたら、会社自体もビシッと見えるわけです。そういう、きちんとした会社にはきちんとした人が集まるものだからね。
宮脇:確かに、おっしゃる通りですね。
「現場」が抱える今後の課題
塚本:会社全体での課題について喋りましたけど、宮脇くんが感じる現場での課題はありますか?
宮脇:それで言うと「チームの結束力」にまだ課題があると思っています。やはり中にはモチベーションが低い人もいるので、「チーム一丸で仕事を頑張っている」という感覚にはまだ遠いのかなと。大きな変化が起きにくい仕事だからこそ、まずは職場の雰囲気を変えていきたいなっていうのは1つあります。
塚本:何か考えていることがあるんですか?
宮脇:あくまでも提案ベースでの話なんですけど、単調になりやすい仕事にゲーム要素を加えて面白くできないかなって考えています。
例えば、3班あったとしたら、この3班で毎月の業績を勝負して、順位に応じて報酬が貰えるみたいな。ただ業績でギスギスしないように、どの班にも必ず報酬は出る形が良いのかなと。それで報酬はお金でも良いですし、ビールとかでも良いですし、とにかく「今月も頑張ったね」みたいな節目のイベントがあるとメリハリも付くじゃないですか。
それに仕事の性質上、モチベーションキープが難しいのも多少分かるので、あえて社内に競争率を生むことで、班ごとに分かりやすい目標を作る。それをお互いがゲーム感覚で競い合えるなら、単純に仕事をやり続けるよりは面白くなるのかなと思うんですよね。
塚本:毎日現場で働く宮脇くんがそう思うんだったら、僕はその制度を導入したいなって思いますよ。
結果は良くも悪くも出るものなので、そこに対して楽しみを感じられるようになるのはすごく良いことだと思う。成長への喜びも同時に感じられるようになるし、聞いていてすごくいいなって思いましたよ。
それこそ「テープ貼り専門部隊」とかも勝手に作っちゃえば良いと思う。その中でも特に仕事が早い人には「テープ王」の称号を与えるとか。社長が「ボス」と呼ばれると嬉しいのと一緒で、意外とそういうのって人は言われると嬉しかったりしますからね。
宮脇:確かにそうですね。それにゲーム感覚とは言え、最終的に組織全体の良化にも繋がるんじゃないかと思っているんですよね。
例えば「他の班に勝つために、今月はこの効率化システムを導入してみよう」みたいな感じで班内で画策するわけじゃないですか。その結果、効率が上がってその班が1位になる。となれば、当然他の班も真似をするので、それがスタンダードになる。これの繰り返しでどんどん生産性が上がっていくと思うんですよね。
もちろん、そういったアイディアを提案した人は評価されるべきだろうし、社長にはそういう人をちゃんと見ていただきたいというのはあります。こういう競い合いには、頭角を現す人が必ずいると思うので、隠れたアイディアマンを発掘する上でも良いのかなと思いますね。
塚本:めちゃくちゃ良いじゃないですか。また今度この話を深堀りしましょう。
求める人物像
宮脇:現在、塚本郵便逓送は採用活動に注力しているわけですけど、具体的にどういう人を求めているんですか?
塚本:やっぱり「素敵な人」ですね。きちんとした身だしなみはもちろん、気配りが出来たり、仲間と一緒にゴールを目指せる人がいいですね。
宮脇:それはどうやって判断しているんですか?
塚本:基本的には面接を通して、その人の人柄を見て判断しています。
具体的には履歴書を一通り見た後に、「これまでの経歴を踏まえ、弊社では何ができますか?」というのはよく聞いていて、そこからその人の入社後の姿、可能性、文化への共感度などを測っています。
自分で言うのもアレですけど、一応僕が採用してきた人たちは「素敵」という言葉が当てはまる人ばかりだと思っています。宮脇くんから見て実際どうですか?
宮脇:その言葉の通りだと思います。特に最近マネージャーとして入社された坂井さんなどは、本当に頼れる人って感じがします。
宮脇:スキルの有無についてはどう思っているんですか?
塚本:技能系のスキルなどを持っていると、仕事の幅が増えるのでもちろんプラス要素にはなります。ただ僕が最重要視しているのは、笑顔を絶やさないなど、人となりの部分です。
いくら技能に卓越していても、やはり内面に問題がある人を入れたところで、チーム連携ができなかったり、チームそのものに悪影響を及ぼす可能性もありますからね。
宮脇:確かにそうですね。
塚本:逆に宮脇くんはどんな人と一緒に働きたいですか?
宮脇:ちょっと抽象的な言い方になっちゃいますけど、一緒に働いていて「楽しい」と思える人ですね。
先ほども名前を出した坂井さんなんかはまさにそうで、仕事とプライベートをきっちり分けていて、どちらも全力で楽しんでいるような人なんですよ。
そういう人と一緒に働くと、自分自身も前向きに仕事に取り組めるようになりますし、僕だけじゃなく周りの多くの人に影響を与えるんですよね。そういった人がもっと増えると組織としても、もっと良くなるんじゃないかなって思います。
塚本:坂井さんのようなマネージャー職の方も、今後の塚本郵便逓送には不可欠な人材ですからね。そういった意味では「会社の仕組みを作って運営したい」と思っているような方もぜひエントリーしていただきたいですね。
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