戦略を描くだけでは、企業は変わらない。
ITスタートアップの現場に飛び込みました。
答えはない。あるのは、経営やマーケティングの知識と仮説だけ。
もがきながら事業を立ち上げる日々でした。
当時、社会的に注目される企業だったこともあり、多くの大手クライアントに恵まれました。しかし自社のITソリューションだけでは、企業の成長スピードは上がらない。
そこで、BIG4戦略出身の役員と二人三脚で、経営コンサルティング事業にも踏み込みました。大企業の新規事業戦略をいくつも描きました。
けれど、違和感が残りました。
紙の上では、美しい戦略ができる。経営企画と議論を重ね、ロジックも整う。しかし、実行するのはその会社の組織と個人。私たちの仕事は、報告書を出した瞬間に終わる。
うまくいくこともある。でも、社内事情で立ち消えることもある。実行体制が整わず、消えていく構想も数多く。そのとき、確信しました。経営コンサルは格好いい。でも、それだけでは企業は変わらない。
そのころ、リーマンショックでスタートアップを取り巻く環境は一変します。
そこで、「本当に事業を成功させる力とは何か」を、もう一度学び直したい。そう考え、マーケティングコンサルティングの世界へ。その時点で、事業戦略・広告・広報の経験や実施ノウハウに自信はありました。
知りたかったのは、ただ一つ。何を、どう動かせば、事業は本当に成長するのか。
有名な広告会社や大手コンサルに“答え”がないことは、すでに分かっていました。
そこから、数十社以上。業界も企業規模も問わず、徹底的に経験を積みました。
やってきた会社やブランドを挙げれば皆さん驚いてくれます。量と幅においては誰にも負けない自負があります。
やがて、物事が構造で見えるようになりました。「他にはない」と言われる事業を前に進めるマーケティング戦略立案力や商品開発力も手に入れました。そこでもまた確信します。戦略を描くだけでは足りない。本当に重要なのは、組織を動かし、意思決定を支え、実装まで伴走すること。そこが欠けると、どんな戦略も意味を持たない。
しかし、役職が上がるにつれ、自分の役割は「伴走する立場」から「統括する立場」へと変わっていきました。戦略を描き、方向を示す立場に。けれど、本当に価値を出せると感じていた、組織の中に入り込み最後まで動かす役目からは、少しずつ離れていったのです。
同時に、会社としては再現性の高いパッケージ型ソリューションや、流行のマーケティングキーワードを軸にサービスを拡大していく方向へ舵を切っていました。しかし私は、「売りやすいこと」よりも「本当に動くこと」にこだわりたかった。
個社ごとに構造は違う。だからこそ、画一的なソリューションではなく、深く入り込み、実装まで伴走する支援を続けたい。
その想いは、次第に強くなっていきました。クライアントもそのことを求め、強く後押ししてくれました。
だから、独立しました。
戦略だけではダメ。流行のマーケティング施策だけでもダメ。狭い業界知見だけでもダメ。広い視野で全体を描き、組織や日々の業務レベルまで入り込み、事業成長に結びつける。
外から見ると分かりにくい。でも、分かっているクライアントにとっては欠かせない存在でありたい。深く関わったクライアントからは、必ずこう言われます。
「ディーセントコーハさんは、他と違う。」
「戦略立案も感動したけど、そこだけで終わらない。」
「最後まで一緒にやり切ってくれる。」
私たちは主役ではありません。しかし、組織の中に入り込み、意思決定を支え、実行まで伴走する。気づけば、経営の中枢にいる。
目立たなくていい。でも、欠かせない存在でありたい。それが、私が「動かす」にこだわる理由です。