生成AIの急速な進化によって、コンサルタントやデータサイエンティストの仕事も大きく変わろうとしています。新しいツールは追いかけているけれど、これで5年後も戦えるのだろうか——。そんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
株式会社ベルコア・コンサルティング(以下、ベルコア)が重視するのは、AIの表面的な使い方ではなく、その原理まで理解し、自ら応用できる力です。その考えは、2週間にわたる入社後研修や、ラボ制度、さらに学びと連動した評価制度にも表れています。
こうした育成の仕組み作りの中心にいるのが、データサイエンティストとコンサルタント双方の経験を持つ米田佑。AI時代を生き抜くために必要な力と、学び続ける人を支えるベルコアの環境について聞きました。
(この記事の登場人物)
デリバリ本部 エンタープライズコンサルティングユニット 米田 佑
大学院でデータ分析を研究した後、データサイエンティストとしてALBERTに入社。その後はアクセンチュアにてマネージャーとしてAIに関するコンサルティング業務に従事。2026年にベルコア・コンサルティング入社。
データサイエンティストとコンサルタントの境界は、良い意味で曖昧だった
—はじめに、米田さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
私は大学院時代、データ分析を使った研究に取り組んでいました。純粋に分析が面白かったですし、当時はデータサイエンティストが注目され始めていたこともあって、この道を進もうと決めました。
新卒で入社したのは、データ分析を専門とするALBERTです。その後、同社がアクセンチュアの傘下に入ったことに伴い、私もアクセンチュアへ転籍してコンサルタントを経験しました。
ただ、所属する会社や役割が変わっても仕事の本質は同じでしたね。クライアントの課題をとらえ、データ分析という武器を使って解決策を考える。データサイエンティストとコンサルタントの境界は、良い意味で曖昧だったと思います。
—アクセンチュアでキャリアを築く選択肢もあった中、なぜ米田さんはベルコア・コンサルティングへ参画したんですか?
ベルコア代表の芹澤さんとは、アクセンチュア時代から共に仕事をしていました。生成AIが注目され始めた頃から、「これは大きな波が来る」その中で新しい何かを「いつか一緒に何かやりたい」と話していたんです。そのためベルコアへの参画は、私にとって自然な流れでした。
—現在は、どのような役割を担っていますか?
現在の役割を大きく分けると、セールス、採用、教育の3つです。クライアントへの提案活動に加え、採用の裏側でAIを活用した仕組みを作ることもあります。そして教育では、入社後研修をはじめとした教育体制を構築しています。
とはいえ、「自分の担当領域はこれだけ」と明確に線を引いているわけではありません。ベルコアは創業から5年後、つまり2031年に上場するという目標を掲げています。その実現に貢献できることであれば、何でも取り組みたいと思っています。
人間が「AIで構成される仮想部門」に指示を出す、新しい働き方を実践
—ベルコアのコンサルタントとデータサイエンティストは、それぞれどんな仕事を担うのでしょうか?
コンサルタントは、クライアントのプロジェクトに入り、業務構造の変革やPMOなどのコンサルティング業務を担う仕事が中心です。対してデータサイエンティストは、より抽象度や技術的難易度の高いプロジェクトに入ることが多くなると考えています。
ただし、両者の役割を完全に分けられるわけではありません。コンサルタントも、AIの仕組みを理解していなければ本当に有効なご支援はできません。データサイエンティストにも、クライアントの課題を理解し、提案し実行して行く力が必要です。職種の境界を越えながら、それぞれの専門性を発揮することが求められます。
—そうした力が求められる背景として、ベルコアが手がけるプロジェクトにはどんな特徴があるのでしょうか?
私たちは、単に既存の業務へAIツールを追加して効率化するのではなく、「AIを前提として」業務の進め方そのものをとらえ直しています。
たとえば何らかのシステム開発が求められる場面では、クライアントとの会議で交わされた議論をAIがリアルタイムに理解し、人間が話している間に、要件定義から開発準備までを一気に進めることもできるでしょう。会議が終わる頃には、成果物のイメージがすでにできている。そんな世界観を目指し、試行錯誤を重ねています。
—米田さんの日々の業務も、AIの存在が前提になっているんですか?
はい。複数のAIをチームのように動かしています。簡単に言うと、指揮役の「レビュアー」AIと、その先で個別作業を進める「ワーカー」AIがいて、私が直接やり取りをするのはレビュアーだけ。複数のタスクを並行して進めてもらい、上がってきた成果物を最後に私が確認するという働き方です。私の下に、AIで構成される仮想部門があるイメージですね。
—ちなみに、このままAIがさらに進化すると、コンサルタントの仕事は減っていくのでしょうか?
私は逆だと思っています。
よく言われる話ですが、「ジェボンズのパラドックス」と呼ばれる、19世紀のイギリスで起きた逆説的な現象をご存じでしょうか? 蒸気機関の進化によって石炭を効率的に使えるようになり、石炭産業の先行きが危ぶまれたものの、効率向上によって幅広い産業で石炭が使われるようになり、むしろ消費量が増えたんです。
これと同じことがAIにも言えるのではないでしょうか。AIでできることが増えるほど、企業のニーズは広がっていきます。その最初の設計には人の介在が必要なので、コンサルティングの需要はむしろ広がっていると感じています。
「AIの原理」を学べば、ツールの流行り廃りに振り回されなくなる
—米田さんが設計した教育体制についても教えてください。ベルコアでは、キャリア入社者を対象に2週間の入社後研修を実施していますね。
キャリア入社者向けの研修としては、かなり手厚いと思います。私が以前の所属企業で受けた中途入社者向けの研修は数日程度でした。「経験者には早く現場へ入ってもらい、OJTで学びながら利益を出してもらう」という考え方が一般的なのかもしれません。
一方、ベルコアはAIを前提とした「AIネイティブなコンサルティングファーム」として活動しています。社員の学びが将来の競争力の源泉になると考えているため、ここにはしっかりと投資しているんです。入社後研修で2週間学んで終わりではなく、その後も継続して学べる仕組みを作っているところです。
—入社後研修では、具体的に何を学ぶのでしょうか?
大きく3つあります。最も大きな割合を占めるのはAI研修。加えて、ドキュメンテーションや論理的な思考法などを学ぶコンサルティング研修。そして研修で学んだ内容を生かし、役員が演じるクライアントへ模擬提案・模擬プロジェクトを行う演習も設けています。
土台となるAI研修では、Claude Code、Codexといったツールの使い方だけではなく、深層学習がどのような仕組みで動いているのかなど、「AIの原理」から学んでもらっています。その上で、なぜ生成AIが特定の挙動を示すのか、どのように使えばより良い結果を得られるのかを考えていきます。
—なぜ原理まで理解する必要があるのでしょうか?
ツールの使い方を知っているだけでは、応用が利かないからです。クライアントから「なぜこの現象が起きるのか」と聞かれたときに、コンサルタントは説明責任を果たさなければいけません。でも原理や仕組みを理解していなければ、ツールが出した結果をそのまま受け取ることしかできないんです。
生成AIのツールや機能には流行り廃りがあります。しかし、背景にある原理や理論を押さえていれば、なぜその技術が注目されているのか、本当に大きな変化につながるのかを見極められます。新しい機能が登場するたびに振り回されるのではなく、その価値を自分で判断できるようになるでしょう。
生成AIを扱うコンサルタントは増えていますが、挙動を仕組みから説明できる人はまだ多くありません。私自身、ChatGPTが登場する前からGPTをファインチューニングするプロジェクトに参画していました。こうした経験を通じて、表面的な使い方だけでなく、仕組みから理解することの大切さを感じています。だからこそ、論文も含めてAIを土台から学べる環境を社内につくりたいんです。
ちなみに研修プログラム「Velcore AI Academy」は、ベルコアで内製しています。まだ第1期を終えたばかりなので、改善すべき点もありますが、手前味噌ながら非常に充実した内容になりました。私自身も「若手時代にこの研修を受けたかった」と思うほどです。
「学び続ける体力」を鍛え、世の中を変える側へ回ってほしい
—入社後研修以外には、どのような学びの仕組みがありますか?
全員参加型の「ラボ制度」です。これは社内部活動の研究版のようなイメージで、社員がそれぞれテーマを決め、通常のプロジェクトとは異なる自由研究に取り組みます。業務時間内に行うため、会社や事業へ何らかの形で還元できるテーマにすることが前提ですが、目の前の担当業務に縛られる必要はありません。
今後は、多様なバックグラウンドを持つ人が次々と入社してくるでしょう。それぞれの経験にAIをかけ合わせれば、新しい価値が生まれるはずです。そこで得られた知見を研修資料へ落とし込んだり、ラボでさらに研究したりすることで、学びのコンテンツそのものを社員と一緒に増やしていきたいと思っています。
また、評価制度にも学びを後押しする工夫があります。コンサルタントのグレードを複数の段階に分け、上のグレードへ進む際には、研修内容と連動したテストを設けているんです。プロジェクトでの成果だけではなく、必要な知識やスキルを身につけているかも確かめながら評価する仕組みとしています。
—社員の自発的な学びを後押しし、学びを評価につなげる仕組みを整えているんですね。今後もAIによって世の中が変わっていくと思いますが、5年後も活躍し続けるためには、どんな力が必要だと思いますか?
「学び続ける体力」だと思います。複雑さを増していく世の中で、新しいことを学び続けるには体力が必要です。大変な場面も多いでしょうが、学び続ける体力があれば、AIを前提に自分の仕事や働き方を進化させていけるのではないでしょうか。
ベルコアが採用において求めているのも、経験業界やスキル以上に、「学び続ける体力を鍛える意志がある人」なんですよね。新しい技術が出たらまず触れてみる。気になる論文があれば読んでみる。自分たちで勉強会や発表会を開く。そんなふうに、フットワーク軽く知識を掘り下げていける人が、5年後も活躍しているのだと思います。
最初から高度な論文を一人で読み解けなくても大丈夫です。今はAIに論文を読み込ませ、わかりやすく解説してもらうこともできます。大切なのは、自分の知らない領域に興味を持ち、学び方そのものを変えていく姿勢です。
—最後に、ベルコアに興味を持っている人へメッセージをお願いします。
生成AIの進化によって、「自分の仕事はこれからどうなるんだろう?」と悩んでいる人は多いと思います。でも、変化を強いられるのを待つ必要はありません。自らAIを学び、仕事や社会を変える側へ回ることもできますから。
ベルコアは2026年3月の設立からわずか数カ月で上場企業との資本提携を結び、2031年のIPOに向けて圧倒的なスピードで非連続の成長を遂げようとしています。まだ創業期である今だからこそ、組織のコアメンバーとして会社づくりから参画し、将来の中核を担える面白さがあります。
ベルコアで一緒に学びながら、自分の働き方を変え、社会の変革を最前線でリードしていきたい。そう感じてくれたなら、ぜひ仲間になってもらいたいですね。