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副業は会社(本業)にいい影響を与えるか

はじめまして、CINRAの杉浦と申します。

CINRAは、現在50名くらいのチームで、渋谷の道玄坂にオフィスがあります。
シンガポールにもブランチがあります。


大学生の頃に友達たちとワイワイ始めて、気が付いたら12期目に突入しています(みなさまに感謝!)。メンバーは50人くらい。

事業内容は大きく分けて2つです。カルチャーサイト『CINRA.NET』をはじめとする自社メディア事業と、行政や企業のWEBサイトやメディアの構築を受託するクリエイティブ事業です。いずれも、インターネットをメインにやっています。

いきなり会社の紹介ばかりしても野暮なので、ご興味あったら会社のWEBサイトをご覧いただけたら嬉しいです。社員のメンバー写真も載ってるのでなんとなく雰囲気をわかっていただけるかと思います。ちなみに、絶賛メンバーも募集中です。

(すみません、宣伝はここまで!)

Wantedlyさんから「何か書いてみて」とご依頼いただいたので、初回は最近の弊社の出来事について書きたいと思います。

CINRAでは最近、副業を解禁しました。

いや、多いですよね、最近。「副業OK」な会社。
とくに目新しいことではないです。

弊社も、これまでもOKでした。
ただ、「同業の仕事はダメ」などの条件があって。
今回はそれも撤廃して、マネージャーの承認さえとれればOKということになりました。

というわけで今回は、

「副業は、会社(本業)にいい影響を与えるか」

について、雇用者(会社)側の視点から改めて整理してみたいと思います。

「副業」がもたらすメリット

会社にとって副業がもたらすメリットはこんな具合でしょうか。

・ 優秀な人材が集まりやすくなる

・ 優秀な人材が辞めにくくなる

・ 副業で得た経験や資産によって本業のレベルがあがる

特に大きめのIT系企業が、売り手市場であるエンジニアの採用のために、副業はもちろん、柔軟な働き方を提示するパターンはとくに最近よく見かけます。

3つめに関しては、副業実施前の推測も、実施後の可視化も難しいわけですが、意外と大きいんじゃないかと思います。

会社から見たときに「副業」がダメ(そう)な理由

では反対に、副業にはどんなデメリットがあるか。
おそらくこんな具合でしょうか。

1.顧客情報流出などのコンプライアンス的なリスクがある(かも)

2.知的財産流出リスクがある(会社の資産を転用して副業)(かも)

3.副業が忙しくなって、本業がおろそかになる(かも)

4.そのうち副業がメインになってきて退職してしまう(かも)

どうでしょう、他にもあるでしょうか?

まず1と2について。

1.顧客情報流出などのコンプライアンス的なリスクがある(かも)
2.知的財産流出リスクがある(かも)

これはもう、そもそも副業以前の問題ですね。
モラル育成や細かいルール設定でつぶしていくしかありませんし、正直ここがちゃんとできないチームなら、たとえ副業禁止でもうまいこといかなそうです。

そして、3と4。

3.副業が忙しくなって、本業がおろそかになる(かも)
4.そのうち副業がメインになってきて退職してしまう(かも)

ここがちょっとハードルが高い気がします。

まず前提として、「社員を信用していない」とか「性悪説だ」みたいな話しにしちゃうと、あまり建設的じゃないし、議論の普遍性が担保されません。

あと、これも根強いんじゃないかと思うのは「副業≒浮気」論
経営者(特に小さな会社の経営者)というものは勝手なもので、社員みんなに対して、自分と同じように四六時中自社のことを考えていてもらいたかったりします。なので、副業されるとまるで浮気されたかのような感情を抱いたりするんじゃないでしょうか。もはやこれは勝手というか、フェアじゃありません。こういう感情は、ゼロでもドライすぎますし、役職によっても求められる姿勢は変わりますし、程度が大事なのかなぁと。。。

というわけで、個別の性格や気持ちの話しは置いておいて、実際に3と4のリスクにどう備えられるだろうかと考えました。

副業OKがうまく回るためにする3つのこと

わかりきった話しですが、 やっぱり副業を成功させるには、

仕事を「時間」ではなく「成果」で見る

ということを徹底していくしかないと思います。
当たり前な話しになっちゃうわけですが、言うは易しです。
弊社の場合、3つやるべきことがあると思っています。

1.全職種に成果指標を複数設ける

営業系の職種に従事する人には「売上」という目に見える成果指標がありますが、それ以外の職種であっても、できるだけ仕事の「成果指標」を設けて、それを達成したかしていないかで評価される制度を作らなければなりません。指標が一つになると、価値観が偏ってしまいそうなので、職種(もしくは人)ごとに複数の指標を設けた方がいいんじゃないかと思ってます。

2.チームワークを保つ制度、大切にする社風をつくる

行きすぎた成果主義になると抜け落ちてしまうのが、「チームワーク」です。隣の人がすごく大変な局面にいるのに助けられなかったり、新人が問題ある言動をしても関係ないやと指導しない、みたいなことが起こるかもしれません。ちょっと極端ですが。

これも正直、本質的には副業とは関係ないはずですが、業務を「時間」ではなく「成果」で見る場合に、ケアしないといけないポイントです。CINRAでも導入している工夫がいくつかあるので、それは別の機会で書きたいと思います。

3.副業ができる事業環境をつくる

これはもう大前提の話しなのですが、会社によっては(弊社にとっても)大きなハードルです。「社員が副業できる」ということは、それだけの時間的な余裕が十分に社員にあるということです。優秀で自立した人材で成果を出しているにもかかわらず、忙しすぎて副業ができないのだとしたら、それは会社の問題です(むしろ、優秀な人材ほど忙しくなりやすいという問題も別である)。

そのためには、事業の十分な収益性と、それを担保するための戦略や仕組み、日々のトライ&エラーが欠かせません。これはもう、自戒でしかないですが。


この3つがしっかりできたら、「副業OK」は会社にとってメリットの方が大きそう、ということで、CINRAでも一層条件をゆるくして副業を推進することにしました。


長らくお読みいただき感謝です。が、もう少しだけ、おつきあいお願いします。

社員の副業を受容していくために「時間」でなく「成果」を重視するという話しでしたが、そもそも成果重視のスタイルは、米国はじめ海外ではむしろ主流なのはご存知かと思います。成果が出れば昇進か転職。出なければ降格か解雇。わかりやすい競争社会です。

個人的には、そうした価値観は日本社会にも、日本人にも馴染みづらいんじゃないかとずっと思っていました。成果主義ありきの「副業OK」には懐疑的な気持ちがあったのです。

しかし、そういう日本人だからこそ、社員による「副業(=社外で知見を高めること)」は、その企業に大きな力を与えてくれるのではないか!!! と思えた文書を最後に引用します。

時は江戸・幕末。ペリーが黒船で来航した際、あまりの勉強したさに、死刑覚悟で黒船に接近して教えを乞おうとしたが、結果投獄されてしまった吉田松陰とその弟子の金子重輔に対して、ペリーが綴った言葉です

この二人の事件は、われわれを非常に感激させた。教育のある日本人ふたりが生命をかえりみず、国の法律を破ってまでも、その知識を広くしようとするはげしい心を示したからである。日本人はまことに学問好きな研究心のつよい国民である(中略)。この計画ほど日本人がいかにあたらしいことを好む心が強いかをあらわしたものはない。日本人のこの心は、きびしい法律と監視(幕府の)のためにおさえられているが、日本の将来に実に想像のできない世界をひらくものではなかろうか。
(ペリー監修 フランシス・L・ホークス編集『日本遠征記』1856年)
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