バルニバービでは店舗やプロジェクトに関わるデザインをほぼ内製しています。
グラフィックから始まり、Web、そしてもちろん店舗デザインも。
東京 日本橋のバルニバービデザインスタジオで店舗デザインを手がける建築士、柳澤。元は設計事務所で様々な会社の店舗を手がけていた彼女がインハウスデザインのバルニバービで思うこととは?
バルニバービへの転職。
柳澤が入社したのは2016年4月。それまでは設計事務所でスーパーやデパ地下、ホームセンターなど物販系の店舗デザインをしていたという。8年ほど勤めた設計事務所から転職を決意したきっかけとは?
柳澤:「店舗デザインの打ち合わせの時にクライアントから「こんな風にかっこいい感じにしたい」「◯◯店みたいにしたい」っていう話になることが多くて、自分の中でそれはなんか違うんじゃないかなって思いがあった。お客様の色ってあるでしょう。それやったらこういう風な空間でこういう風な売り方にしたら、そのお店に来るお客様がもっと面白いって思ってくれるんじゃないのかなって提案をするようにしました。そしたら、どんどんそういう打ち合わせをする方が楽しくなっちゃって…。だから、もっと本質的な店舗デザインができるような他の会社も見てみたいなって思ったんです。」
流行った店やデザインを真似るのではなく、時代に合いながらも長くお客様に愛されるデザインを考えること。柳澤はお客様目線で店舗デザインをすることに楽しさを見出したのでしょう。
そんな中で出会ったバルニバービ。柳澤は「“インハウスだからこそ汲み取れること”を肌で感じてみたくなった」と話します。
柳澤:「大きい企業って1案件に対しても関わる人が多くなるんです。プロジェクト担当者と打ち合わせをして想いを形にしても現場側の人たちがその想いに賛同できない人たちが出てきてしまうと如実に売り上げに出てきてしまう。そうした時に、もし自分がインハウスで会社の中のデザイナーとして働いたら汲み取れることも多いんじゃないかと思ったんです。」
↑ 奈良を旅する人々と地域の皆さんの交流の場となり、新しい奈良の魅力を発見する奈良市観光センター「ナラニクル」内の「カフェ エトランジェ・ナラッド」は柳澤が手掛けた店舗デザイン
バルニバービエッセンス
柳澤:「入社して一番衝撃的だったのはお店の作り方。」
栁澤は通常の店舗設計の流れとバルニバービの流れの違いをこう話す。
柳澤:「通常、何もないところからお店がカタチになってクライアントへ引渡し、OPENを見届けるまでが大まかな設計業務。引渡しされた後は設計側の出番はあんまりないんです。でもバルニバービは違う。引き渡し後からお店を作っていく感じがします。お店がカタチになってから何か足したり変えたりって普通はそうゆう考え方が薄いんだと思うんです。だけど、出来上がったからこそ感じられる現場の空気感から、更に最大限カッコよく、気持ちよくお客様に過ごしてもらえるように、エッセンスを加える。そこにお店への愛が見えるんです。バルニバービエッセンスっていうのかな。」
「紙の上で描いていたことと実際にその空間に入った時に何か腑に落ちない時があるんですよね。」
「実際にお店にいるのってお客様じゃないですか。食事となれば2~3時間滞在する。そこが居心地よくなるためにはどうしたらいいのかが基準なんです。」
「その基準に基づいて通常嫌がる変更も自然に行っていたことが衝撃だったんです。変更にいつもついて来てくれる業者さんにも感謝しています」
空間を作って終わりじゃない
バルニバービに入社して一番嬉しかったことは? と聞くと、
「お客様が『あー、おいしかった』って言ってお店から帰っていくのを見たこと」と話す柳澤。
柳澤:「私は行きたい、また来たい!と思わせる空間をつくることが仕事。もちろん楽しいけど、でもそれはお客様に振り向いてもらうアクションの一つでしかない。それに対しては全力でするけど、振り向いてもらった後は私は何もできない。そこで働くみんなが楽しいとかやりがいがないとお店って生きないでしょう? だから、全然知らないところで「おいしかった」「スタッフさんが素敵だった」って言ってもらえることが一番嬉しい。」
店舗という器だけではなく、スタッフが活き活きと働き、お客様の笑顔が溢れるような空間にしたいと考え、オープン後をイメージできているからこそお客様の「美味しかった」という声が柳澤にとって一番嬉しいと感じる言葉なのかもしれません。
最後にバルニバービ必須質問「なりたい自分」は?
柳澤:「なりたいというか、いつか何かのタイミングで地元長野が栄えるお手伝いをしたいなと考えています。これは人生においての目標。もともと地元に帰りたかったんですけどね、仕事をすればするほど都心部にいた方が直接携われるなって思ったんです。バルニバービもいろんな地方に出ているでしょう。大津のように市と協力して店舗をつくることもある。バルニバービでいろんなことを学んで、いつか長野を好きになってもらえるお手伝いをしたいです。」