アクセンチュアとマイクロソフトの戦略的合弁会社として2000年に米国で生まれたアバナード。「戦略×テクノロジー」の支援により、これまで多くのクライアントのイノベーション創出を支えてきました。
世の中には多くのコンサルティングファームやSIerがあります。そのなかでアバナードが強みとするのは、戦略とテクノロジーを分断せず、業務の現場まで入り込んで課題に向き合えることです。
今回は、Advisory and Experiencesの責任者を務める楠にインタビューを実施。生成AIの登場により、業界知識へのアクセスは容易になりました。そのなかで今、多くのコンサルタントに求められているのが、業務や技術を深く理解したうえで実現性のある提案を行うことです。楠はこの課題に、業務の裏側まで見に行くことでどう向き合っているのでしょうか。技術に自信がなくても活躍できる理由まで語ってもらいました。
プロフィール
氏名:楠 貴裕(Takahiro.Kusu)
役職:Associate Director
職種:Advisory and Experiencesー事業本部長(Practice Lead)
「コンサルとシステムの分断」に感じた歯がゆさが、入社の決め手だった
─ 楠さんのこれまでのキャリアを教えてください。
新卒でITコンサルティングファームに入社し、12年ほど勤務しました。システムエンジニアから始まり、チームリード、プロジェクトリードと、開発から上流工程までを一気通貫で経験しています。その後、より上流のプロジェクトをやりたくて大手コンサルティングファームへ移り、5年ほど勤務しました。
このキャリアを通じて感じていたのが、「良い戦略構想を描くコンサル」と「システムだけを作る会社」が分断されていると、お客様への価値が出しきれないという課題感です。
── 数ある選択肢の中で、アバナードを選んだ決め手は何だったのでしょうか。
2019年、以前同じ会社で働いていた当時のアバナード代表取締役からの誘いを受け、アバナードに入社しました。アクセンチュアとマイクロソフトを背景に持ち、戦略からシステムまで一気通貫でやれる点に惹かれたんです。
一方で、入社前は「アクセンチュアの子会社のような位置づけなのではないか」「マイクロソフトの技術に限られてしまうのではないか」という不安もありました。ただ、実際に入社してみると、マイクロソフトに集中しているからこそ技術力が高く、会社としてもきちんと独立していると感じました。
── 入社後は、どのような仕事を経験してきたのでしょうか。
最初はデリバリーマネジメントの組織で、プロジェクトの品質を支える立場を担いました。その傍ら、生成AIが登場する前から、アバナード独自のAI検索サービスを立ち上げる責任者も経験しています。その後、これまでの経験を生かし、現在はAdvisory and Experiencesの責任者を務めています。
AI時代のコンサルに求められるのは、業界知識よりも顧客固有の課題を捉える力
── コンサルタントに求められる力は、生成AIの登場でどう変わってきていますか。
これまでは特定業界の専門知識を強みとするコンサルタントが高く評価されていました。しかし今は、AIの活用によって、業界知識や情報収集のスピードは格段に向上しています。そうなると、業界知識だけでの差別化は難しくなってきますよね。本当に問われるのは、その企業固有の課題や目指す姿を深掘りする力だと思っています。
── 技術への理解がないと、どんな支障が出るのでしょうか。
技術的な視点が欠けると、業務上の課題について話すことはできても、どのようなプロジェクトを立ち上げるべきか、どんなリスクがあるか、実現性まで踏み込んだ提案が難しくなります。アバナードでは技術領域の専門家と密接に連携できるため、企画段階から実現性を見据えた提案が可能です。コンサルのベーススキルに技術理解を掛け合わせることこそが、アバナードの差別化ポイントです。
出身分野より、キャッチアップできる興味と素養がある人の方が強い
── 「コンサルはできるけれど、技術には自信がない」という人でも活躍できますか。
もちろんです。出身分野そのものよりも、入社後に学べる素養や、技術への興味関心があるかの方が大事だと思っています。実際、入社してからコンサルティングの力を磨いている若手や、まずはPMOとしてプロジェクトに入り、仕事の流れを学んでいるメンバーもいます。得意なことも、育っていくスピードも人それぞれなので、決まった型に当てはめる必要はないんです。
── 技術を学んでいく環境は、実際どのようなものなのでしょうか。
コンサルとして入っても、エンジニアと一緒にプロジェクトを進める中で自然と技術に触れる機会が多いんです。実際のプロジェクトで得た学びや課題、お客様に価値を届けた経験を共有してもらえる。 コンサル畑出身の人にとって、こうした経験をエンジニアから直接聞けることは、大きなプラスになると思っています。もちろん新卒の場合は、技術への興味があることが前提です。たとえば、ITに関心があり、実際にさまざまな技術を使ってみているような人ですね。中途採用については、いまコンサルをやりながらAIやシステムの案件にも触れているような、ハイブリッドに成長できるポテンシャルがある人を歓迎しています。
「いきなりAIを作らない。」相談を受けても、まず業務の裏にあるデータを見に行く
── お客様の課題の本質は、どのように見極めているのでしょうか。
大事なのは、業務を深く掘り下げていくことです。たとえば、「問い合わせ対応を効率化したい」という依頼があったとします。表面的には、AIを使った対応システムを導入すれば終わり、と考えがちなんですが、実際には業務フロー全体や、問い合わせ元となるデータの整備状況まで掘り下げて調査する必要があります。調べていくと、そもそも社内の情報が整理されていない、といった根本的な課題が見つかることも多いんですよ。
── 提案書を作る際に、意識していることはありますか。
目の前の課題だけを見ていると、単発の提案で終わってしまいます。お客様の全体像を捉えたうえで、企画のお手伝いをするという意識が大切です。私たちが重視しているのは、業務フローだけでなく、その背景にある経営方針や経営課題、データやシステムの構造 まで含めて理解することです。
要件定義に3カ月かける従来型では、完成して初めて「思っていたのと違う」が起きる
── プロジェクトの進め方にも工夫があるそうですね。
従来のウォーターフォール型では、要件定義から設計、開発、テストへと順番に進んでいきます。ただ、お客様が実際の成果物に触れるのは後半になることも多く、「思っていたものと違う」という認識のずれが判明した際の手戻りが大きくなりがちです。
そのため短いサイクルで動くものを都度見せながら改善していく進め方を大事にしています。中期経営計画や現場責任者へのヒアリングから、やりたいことを整理し、必要に応じて短期間でプロトタイプや構想案を作成する。そして翌週には現場の方に見せて、フィードバックをもらいながら改善を重ねていくんです。
── プロジェクトの後半では、アドバイザリーはどのように関わるのですか。
案件によって様々です。開発だけをお渡しして終わる場合もあれば、少人数で残って改善を続けたり、PMOとして最後まで全体の整合性を見続けたりすることもあります。
コンサルとエンジニアが同じプロジェクトを動かすから、互いの視点が自然と磨かれていく
── コンサルとエンジニアは、どのように連携しているのですか。
提案や解決策を考える場面では、業務改善だけで完結させず、エンジニアと一緒に最新技術を踏まえた発想を出し合うようにしています。たとえば、Modern Workplace領域でMicrosoft Copilotを展開する案件では、インフラの整え方や現場でのつまずきどころ、教え方を、技術者とコンサルが一緒に考えるんです。
── 一緒に仕事をすることで、コンサル側にはどんな変化がありますか。
作れる人の視点や、実際の失敗談、成果の実感に触れられることで、コンサル側も技術的な視点を身につけられます。こうした視点は、上流のフェーズでも生きてくるんですよね。逆にエンジニア側も、同じプロジェクトで企画書や提案書を一緒に作る中で、 コンサルが状況を整理し、何を作るべきかを言語化する過程から、上流の視点を吸収できます。
現場の困りごとだけでは、PoCは「なんとなく良さそう」で止まってしまう
── PoCを実際の成果につなげるために、意識していることはありますか。
現場の困りごとをしっかりヒアリングしているだけでは足りないと思っています。「良さそうだけど、本当に良いかどうかわからない」という一言で、PoCが頓挫してしまうケースは多いんです。だから私たちは、中期経営計画やCxOの意向をあらかじめ確認し、どこまでの成果を目指すのかというKPIを確認します。PoCの結果とKPI達成の見込みがリンクしていれば、「これならいけそうだ」と経営として進める理由が明確になりますから。
── 経営層を巻き込むことも、アドバイザリーの仕事なんですね。
そうですね。現場の話は部長クラスから上がってくることも多いので、まず「このテーマはどこから出てきたんですか」「中期経営計画の資料はありますか」と確認します。必要であれば、こちらも役員クラスを連れていき、「CxOの方と一度お話しさせていただけませんか」とお願いする。こうして経営層を巻き込むことも、アドバイザリーの大事な仕事だと思っています。
業務と技術をつなぐ人材が活躍できる、アドバイザリーチーム
── アドバイザリーチームの雰囲気について教えてください。
アドバイザリーチームは、個人ごとに得意領域が違うんです。中期経営計画のような超上流が得意な人もいれば、業務要件定義が得意な人、プロジェクト全体の整合性を見るのが得意な人もいる。あえて型を決めず、多様な人材を組み合わせるようにしています。そしてプロジェクトへのアサインでは、本人の「Will」、つまりやりたいことを、できるだけ優先するようにしています。
組織は技術領域ごとに分かれていますが、1つの部署だけで仕事を完結させることはほとんどありません。案件ごとに部署を越えてメンバーが集まるため、組織間の垣根は低いですね。それに、若手メンバーも積極的に意見を発信しており、その声を受け止める文化があります。リーダーにとって都合のいい意見ばかりではありませんが、きちんと受け止める文化があります。
── 今後、アドバイザリーチームはどう変わっていきたいですか。
アドバイザリーの半数以上のメンバーが、AIエージェントを活用した業務変革の構想から簡単なプロトタイプ作成まで担える状態を目指しており、お客様とも対話できる人材になってほしいと思っています。それが実現すれば、経営層にも現場にも、すぐに成果を示せるスピード感のあるチームになれますから。
── 採用では、どんな人を求めていますか。
SI出身の方や、ユーザー企業のIT部門にいた方、コンサルをやりながらAI・システム案件も経験しているハイブリッドな方を歓迎しています。今後はAI・セキュリティ・ERP領域を特に伸ばしたいと考えています。一方、ERPのように、幅広い業務のつながりを実際の経験として理解していなければ語れない領域もあります。
たとえば、SCMの仕組みを実務の中で理解してきたような、自分で勉強するだけでは身につきにくい知見を持つシニア人材も必要です。若手だけでなく経験者にも、それぞれ活躍の場を見つけていきたいですね。もちろん、いま話している姿がすでに完成しているわけではなく、まだ道半ばです。メンバーがどう育っていくかによって、チームのゴールも変わっていくと思っています。
── 最後に、読者へメッセージをお願いします。
私たちは、AIやITの技術力と、現場の業務を理解する力、その両方を強みにできる会社だと思っています。業務理解とテクノロジーの両方を強みにしながら成長したい方にとって、多様な挑戦の機会がある環境だと思います。ぜひ一緒に新しい価値の創出に取り組んでいければうれしいです。
※本記事は連載企画として発信しています。本記事でご紹介した「コンサルとエンジニアが一体となって価値を創出するアバナードの強み」。その実装力に焦点を当てた記事も公開していますので、ぜひあわせてご覧ください。
→ 構想だけで終わらせない。AI・クラウド時代の変革をグローバルレベルで実装までやり切る、アバナードの仕事 | アバナード株式会社