アクセンチュアとマイクロソフトの戦略的合弁会社として2000年に米国で生まれたアバナード。「戦略×テクノロジー」の支援により、これまで多くのクライアントのイノベーション創出を支えてきました。
世の中には多くのコンサルティングファームやSIerがあります。そのなかでアバナードが強みとするのは、テクノロジーとコンサルティングを横断しながら、変化の速い領域に向き合えることです。
今回は、テクノロジー部門でリードを務める御幡と米満にインタビューを実施。AIの選択肢が広がるなか、多くの企業が課題としているのが、蓄積され続けるデータの「正しさ」をどう守るかという点です。二人はこの課題に、それぞれの専門領域からどのように向き合っているのでしょうか。ベンダーに依存しない基盤設計から、国境をまたぐデータガバナンスの実務まで語ってもらいました。
▼プロフィール
氏名:御幡 辰馬(Tatsuma Mihata)
役職:Associate Director
職種:Applications and Infrastructure, 事業本部長(Practice Lead)
氏名:米満 卓二郎(Takujiro Yonemitsu)
役職:Associate Director
職種:Data & AI, 事業本部長(Practice Lead)
より上流で、顧客に近い仕事を。二人がアバナードを選んだ理由
―アバナードに入られた経緯を教えてください。
御幡:前職は国内の中小SIerで、サーバー、ストレージ、 ネットワーク機器のセットアップをし、データセンターへの運搬、設置、動作確認、開発者への引き継ぎまで担当していました。その中でWindows Serverをはじめ、SQL Serverなどマイクロソフト製品の導入に携わるうちに、マイクロソフト製品への関心が芽生えていったんです。そこから、より上流の要件定義やシステム設計、コンサルティングに関わりたいという欲が出てきて、転職活動を始めました。
転職先として、マイクロソフトをはじめ、いわゆる「製品ベンダー」はあまり視野に入れていませんでした。製品そのものを開発する立場ではなく、その技術を活用してお客様の変革を支援する立場に魅力を感じていました。私は届ける側で力をつけたいと考えていました。最終的な決め手は、アバナードの専門性の高さですね。加えて、日本に数人しかいない超高度なマイクロソフト資格保有者やマイクロソフトMVPと呼ばれるプロフェッショナルが多数在籍していたことも魅力でした。
―米満さんはいかがですか。
米満:僕はアバナードが2社目で、1社目はSIerに10年ほどいました。お客さんと直接話す機会が少なく、言われたものを作る働き方に、「本当に必要なものを作れているのか」と疑問を感じ、転職を考えました。より価値のある仕事をするためにも、直接お客様と接点を持てる仕事を探していたんです。
当時の強みはVisual StudioやVB.NET、Active Directory連携といったマイクロソフト系の技術で、大規模なマイクロソフトセミナーにも参加して最新情報を集めていました。マイクロソフト系の技術に強い会社を探すなかで、出会ったのがアバナードです。面接では、以前セミナーで登壇していた方が面接官として現れて、「この人がいる会社なら間違いない」と思ったのが決め手となり2007年に入社しました。
アドバイザリーとエンジニアに区切りを作らない、アバナード流の協働体制
―お二人が所属するテクノロジー部門は、業務要件を定義するアドバイザリーチームとどのように連携しているのですか。
御幡:まず、冒頭にお伝えしておきたいことは、アバナードが目指すのは、戦略を描くチームとシステムをつくるチームが分断されたお客様支援ではありません。構想段階からアドバイザリーとエンジニアが同じ問いを持ち、実装・定着まで一緒に責任を持つ。その後半をやり切るのが、私たちテクノロジー部門の役割です。それを踏まえ一段踏み込ませていただくと、アドバイザリー部門が業務要件を整理し、テクノロジー部門がシステムへ落とし込むまで、部門の壁を作らずに両部門で対応しています。
米満:面白いのは、主導権がフェーズごとに移っていくのに引き継ぎという感覚がないことなんですよね。早い段階から一緒に動くことで、テクノロジー側は上流工程の考え方を学べますし、アドバイザリー側もシステムの制約を踏まえて提案できるようになります。特にアドバイザリーの方は、「なぜそれをやる必要があるのか」という目的や価値の観点から考えます。一方で、エンジニアは実現方法に意識が向きやすいこともあります。そうした方々と一緒に仕事をすることで、私自身も目的から考える視点の重要性を学ぶことが多いですね。
マイクロソフト製品を軸にしたマイクロソフトソリューションは、ある程度ゴールが見えた状態で始まるプロジェクトが多いので、要件定義の段階からシステムの制約(マイクロソフト製品としてあらかじめ決まっている機能や仕組みの範囲)を踏まえた提案がしやすいんです。たとえばERPの案件では、Dynamics 365を導入する方向性が見えた段階から専門家が入り、後半の工程で無理が生じない着地点をアドバイザリーと一緒に考えていきます。当初は専門領域の違いから距離を感じることもありましたが、ここ数年でお互いに歩み寄るようになりました。
主要な生成AIモデルやサービスの選択肢が急速に増えている時代の基盤設計
―ここ数年、クラウドやAI活用をめぐる状況はどう変わってきていますか。
御幡:主要な生成AIモデルやサービスの選択肢が急速に増えてきたと感じています。これらをどう使い分けて自社サービスに落とし込むか。様々なAIサービスをはじめとする各種テクノロジーやサービスをどう連携させ、自社内で活用すべきか。そしてインフラをクラウドとオンプレミスを活用し、どのように構築すべきか。この3つが、いま多くのお客様が悩んでいるポイントです。
―その悩みに対して、アバナードとしての「正解」はあるのでしょうか。
御幡:一つの正解があるわけではありません。どのAIやサービスが優位になるかを予測することではなく、変化そのものを前提に設計することが重要です。それを踏まえ、お客様へは、特定のサービスに依存せず、将来の選択肢を狭めない疎結合な設計をご提案するようにしています。たとえばRAGを構築する際、お客様の環境に蓄積されたデータに対して、モデルルーティング、データ機密性、品質、コスト、規制に応じた使い分けができるアーキテクチャを最初から組んでおきます。そうすることで、お客様側が構成を自由に組み替えられる環境になるんです。溜まっていくデータそのものが特定のベンダーやサービスに紐づいてしまわないよう設計しておくことが、今後を見据えるうえで重要だと考えています。
「正しいデータ」の所在を追う、データガバナンスという新しい仕事
―クラウドやAIの活用が進むなかで、新しく重要になってきている業務はありますか。
米満:データの「正しさ」をどう扱うか、という問題です。同じテーマのデータでも、誰かが手元でExcelなどを使って加工したものと、会社の公式な情報として扱うべきものとが混在してしまう。AI時代はどちらも「それらしく」使えてしまうケースがあるので、どのデータを「正」として使うべきかを整備する必要が、以前よりずっと増えている印象があります。
そのために欠かせないのが、どのデータをどう使うべきかを可視化するカタログづくりです。データがどこから来ているのかをたどり、最終的には「誰が責任を持つのか」までセットで語れるようにします。分業が進んだ大きな会社ほど、この整備に力を入れる必要が出てきています。
―実際に、そうした整備の難しさを感じた場面はありましたか。
米満:あるお客様で、データソースの管理体制や責任範囲を整理するプロジェクトに携わったことがあります。その過程では、データの生成・利用・管理が複数の組織にまたがっているケースもあり、責任の所在を明確にする難しさを実感しました。改めて「正しいデータとは何か」を考えると、一概には定義できない奥深いテーマだと感じています。
だからこそ、カタログを作ってデータの出どころを明示し、誰がそのデータにどこまでアクセスできるのか、権限は適切に管理されているのかという、データガバナンスの視点で見ていく。会社が大きくなるほど見えにくくなる部分だからこそ、公式なデータと、個別に管理されているデータとを、きちんと色分けしていく必要があると思っています。
国境をまたぐ社員のデータをどこに置くか、グローバル規制への実務対応
―グローバルに事業を展開する大企業のお客様を支援するなかで、難しさはここ数年でどのように変化していますか。
米満:最近関わっているお客様でも課題になっているのですが、グローバル規模でデータを保管する場合、ヨーロッパやアメリカにはそれぞれ独自のデータ規制があります。その国で使うデータの取り扱いを、厳密に管理しなければなりません。
たとえば、ヨーロッパで働く方は基本的にデータをヨーロッパ側のデータベースに置くという方針になります。ですが、その方が日本に出張してきて共通のシステムを使う場合でも、データはヨーロッパ側に置かなければいけません。各国を行き来する社員がいるケースや、ヨーロッパに在籍していた人がアメリカへ転籍したときにどう扱うかといったロジックも、それぞれ考える必要があります。
お客様の要件や各国の法的な制約を踏まえたうえで、そうしたガバナンスをシステムに落とし込んでいく。グローバル規模のガバナンス要件をシステムに反映する点は、アバナードの強みの一つだと感じています。
―そうした複雑な設計を支えているのは、どんな強みなのでしょうか。
御幡:当社はグローバルカンパニーなので、日本にいながら海外のエキスパートとコミュニケーションできるフィールドがあります。語学力があるとより活躍の幅は広がりますが、そこは大きなアドバンテージだと思います。困っている人がいれば社内ソーシャルメディアで情報を投稿し、似たプロジェクトからすぐに知見が集まってくる。この風通しの良さは、私がアバナードに入社してから15年間ずっと変わっていません。また、言語の壁もCopilotをはじめとした生成AIの活用によって、以前よりもコミュニケーションのハードルは下がってきていると感じています。
挑戦と学びを後押しする、アバナードのカルチャー
―新しい領域に挑戦したい人を、会社としてどのように支えているのでしょうか。
米満:アバナードでは、今できることだけで仕事を任せるのではなく、「少し難しいけれど、やってみない?」と声をかけてもらうことがよくあります。もちろん、ただ任せきりにするわけではありません。任せる側も、進め方をアドバイスしたり、難しそうであれば見守り方を変えたりと、必要なガードレールは引いてくれます。
失敗そのものを責めるのではなく、次にどう改善していくかを一緒に考える文化があります。自分たちもそうやって挑戦させてもらってきたからこそ、次の人にも同じように機会を渡していく文化があるのだと思います。15年間で、やる前は大きなプレッシャーを感じる仕事も何度もありました。それでも挑戦を乗り越えた経験は、後から振り返ると自分自身の成長につながっていると実感します。そう思えるだけの環境が整っているんです。
御幡:教育コンテンツや最新のツールも数多くそろっています。すべてを使いこなしている人はいないと思うほどなので、自分のキャリアに必要なものを選び、アバナードの環境や制度を積極的に活用してほしいですね。担当している業務の外に踏み出した挑戦も、成果を出せばきちんと評価してもらえます。
―こうした変化の速い環境で働くうえで、大切にしていることはありますか。
米満:「言われたことをやる」だけでは通用しなくなってきていて、「なぜこれをやるのか」「その価値は何か」を常に問われる時代になったと感じます。今できることだけで考えず、未知の領域に挑む過程を楽しめるかどうかが、成長のスピードを左右すると思います。
御幡:お客様ごとにAIをはじめとした各種テクノロジーの習熟度は全く違うので、いくつも手札を持ったうえで、その方に合った提案を選ぶ判断力が必要です。チームで課題を素早く解決するマインドや、気づいたことを自分から動いて変えていく姿勢を大切にしています。
―最後に、アバナードに興味を持った方へメッセージをお願いします。
御幡:私自身、現場のモダンワークプレイスエンジニアからスタートし、未経験のAzure組織の立ち上げを任され、現在はJapanのApplications & Infrastructure Practiceの責任者をしています。
こういったキャリアを踏まえて、私から言えることは、私たちは完成された人材だけを求めているのではありません。技術や市場が変わり続ける時代だからこそ、自ら学び、自ら動き、お客様や仲間のために変化を起こせる人と一緒に働きたいと考えています。AI時代の新しいエンジニアリングとキャリアを、私たちと一緒につくっていきましょう。
アバナードには、構想だけで終わらず、実装を通じてお客様の変化を最後まで見届けられる仕事があります。
米満:アバナードは、新しい技術や手法にいち早く触れながら、お客様への価値につなげていける環境だと思っています。新しいことに挑戦したい方には、向いている環境です。