アクセンチュアとマイクロソフトの戦略的合弁会社として2000年に米国で生まれたアバナード。「戦略×テクノロジー」の支援により、これまで多くのクライアントのイノベーション創出を支えてきました。
AIの進化がめざましい今、専門性を掛け合わせられる人材が求められています。今回、大学院で生命情報学を研究した後、新卒でITコンサルタントとして入社した牧野荘太に、入社してからの歩みを伺いました。前例のない挑戦を後押ししてくれる環境の中で力をつけ、入社2年目にはTech Star(社内表彰)を受賞しています。
▼プロフィール
氏名:牧野 荘太(Sohta Makino)
役職:Consultant
職種:Full-Stack Development
答えのない課題に挑みたくて、研究者からコンサルタントの道へ
―学生時代の話を聞かせてください。
私は大学院で生命情報学という分野を専攻していました。生命情報学とは生命現象を情報学で解析する分野ですが、その中で私は遺伝子発現などの生命現象を機械学習で解析し、遺伝子同士の関係性を推測したうえで、さらに実際に実験することで推測した遺伝子関係が重要なものなのかを確認する研究をしていました。難しい分野でしたが、それでも私は答えのない課題を考えて試行錯誤しながらやっていくのが面白くて、自分で考えて何かを作り上げるものに惹かれていたんです。
そのため、バイオテクノロジーの世界にも興味はあったのですが、その業界はIT技術と生物学が組み合わさった世界。それぞれ進化がとても速い分野で、両方を追いかけるのは正直厳しいと感じたんです。1つ新しいことが出ると、次々にまた新しいものが出てくる。両方を本気で追うのは私には大変だと感じたのと、どちらかというとIT技術の進化に興味を持ち、それで世の中をどのように変えられるのかに興味を持ったため、ITの世界に進みたいと思ったのです。
―IT業界にも興味があったのですね。
そうですね。留学先のスウェーデンでの体験が大きかったです。当時はまだ日本でキャッシュレス決済が一般的でなかった時代に、スウェーデンではチケットをわざわざ買うことなくクレジットカードだけで電車、地下鉄、バス、船に自由に乗れますし、IKEAのレストランでは会計時に上からのカメラで自動的に何を取ったか判断して会計される。ITで社会の便利さに貢献するのは面白そうだなと思ったんです。それで、特定の業界に縛られずいろんな会社・業務に関われる仕事を探して、ITコンサルタントという職種にたどり着きました。
―就職先としてアバナードを選んだ決め手は何だったのでしょうか。
ボストンキャリアフォーラムで出会ったのがきっかけです。ちょうどChatGPTが話題になり始めていた2022年11月頃です。アバナードのAIへ積極的に取り組む姿勢と、マイクロソフトとの連携に魅力を感じました。
また、説明会での自由な雰囲気も、惹かれた理由の一つです。他社の説明会は整った雰囲気がありましたが、アバナードはより自然体で社員同士がコミュニケーションを取っている姿が印象的でした。
研究で培った「中身を理解する姿勢」が、AI開発にも活きている
―大学院での研究経験が、現在のAI開発に活きていると感じることはありますか。
大学院で扱っていた機械学習が今のAIの根本にあります。その機械学習の仕組みを理解することはAIを理解することに大きく役立っていると思います。
もちろん、昔と違って今はコードを全て手で書くのではなく、AIに手助けしてもらいながら開発を進めていくため、研究当時とは大きく変わっていると思います。ただ、表面的に「便利だから使う」のではなく、内部でどのような仕組みが動いているのかを理解することは、研究でもAI開発でも重要です。
AIの仕組みを理解していれば、思ったように動かないときも、過去のやり取りが影響しているのではないかなど、原因を考えながら調整できます。そうした中身を理解しようとする姿勢は、研究経験が活きている部分だと思います。
―入社後はどのようなプロジェクトに携わってきたのか聞かせてください。
入社してからOJT(配属後の実地研修)に入り、そこからずっと同じプロジェクトで生成AIを活用したECM(Enterprise Content Management、企業内の文書・データを管理する仕組み)系チャットボットの開発に携わっています。2023年当時は、まずAIで何ができるかを試し、精度を確かめる段階でしたが、今は音声AIなど新しい技術を取り入れながら、設計や実装を一人で任せてもらえるようになりました。
―アバナードはマイクロソフトのジョイントベンチャーですから、開発に使うのはMicrosoft Copilotなのでしょうか。
いえ、そうとは限りません。ケースによって最も適したモデルを使うべきだと考えているので、実際にClaudeやChatGPT、Geminiなど複数のモデルを案件ごとに使い分けています。クラウド環境も同じで、Azure(マイクロソフト)に限らずGCP(Google)もAWS(Amazon)も使い、それぞれの場所でベストだと思うものを実装しています。
―具体的に、AI駆動開発ではどんなスキルが求められるのか聞かせてください。
AIは非常に高度なコード生成能力を持っているため、開発者には生成されたコードを理解し、適切に評価する力が求められます。AIが自分の意図を勘違いして受け取っていないか、意図したところ以外でデグレ(既存の機能が壊れてしまうこと)が起きていないかを、きちんと確認する必要があります。
感覚としては、AIが作成したコードをレビューするテックリードに近い感覚です。プレイヤーとして自分でコードを書く能力だけでなく、生成されたコードの意図や内容を理解する能力が欠かせません。それぞれのモデルの言い回しやコードの書き方の癖も、実際に触っているとなんとなくわかってくるので、そういう直感的な部分も大事にしています。
前例のない開発タスクに挑み、入社2年目でTech Star受賞
―入社2年目でTech Star(社内表彰)を受賞したそうですね。どんなプロジェクトがきっかけだったのでしょうか。
入社1年目に任されたプロンプトフローというテストケースの仕組みが評価されました。AIの回答の信頼性(一貫性・根拠の有無・流暢さなど)を数値化し、毎週バッチ処理(決まった時刻に定期実行する処理)でモニタリングするものです。DevOps(開発と運用を連携させる仕組み)からAzureに接続して認証を通す部分も含め、ほぼ一人で作り上げました。
―とても難しい内容だと思いますが、なぜ新卒でそのようなプロジェクトに携われたのでしょうか。
私自身は、新卒の段階で前例のないタスクを任せてもらえるとは思っていませんでしたが、上司は前例のない難しいタスクを任せてくれました。私が難しいことを渡されると燃えるタイプなのを見越してのことだと思います。
お客様にとって重要なプロジェクトを任せてもらった際には、必要な知識をキャッチアップしながら取り組み、無事にリリースまでやり遂げることができました。また、私は人前で話すのも嫌いではないので、社外で登壇する機会が多かったのも評価してもらえた点だと思います。
―今は、開発にだけ集中しているのでしょうか。
いえ、メインは開発ですが、その開発をどう進めるかというお客様との折衝にも携わっています。開発だけでなく、アドバイザリーに近い役割も担い、お客様と相談しながらプロジェクトを進めています。
気軽に相談できる環境が、挑戦を後押ししてくれた
―前例のない挑戦をするうえで、アバナードならではの環境はありますか。
アバナードにはいろんな技術好きが集まっていて、何かの分野で困っていることがあっても、相談できる人がすぐ見つかります。技術が好きな人はディスカッションも好きなことが多く、相談された側も新しい知見を得られるので、お互いにとってwin-winなんです。海外の大学院でも、上下関係を気にせず気軽に質問できる文化があったんですが、アバナードもそれに近いと感じています。
私自身、上司には「難しいことでも、まずは任せてください」と伝え続けてきました。わからないことがあっても周囲に相談できる環境があるからこそ、未経験の領域にも手を挙げやすかったのだと思います。おかげで上司も、難しい案件を任せてくれるようになりました。
―牧野さん自身も、周囲から相談されることは増えましたか。
最近は、新卒メンバーのサポートをしたり、AIやAzureの実装について相談を受けたりすることが増えました。自分の専門外であれば、さらに詳しい人へ相談することもあります。その過程で自分も新しいことを学べるので、相談する側にもされる側にも学びがあると感じています。
プレイヤーであり続けながら、世界にインパクトを与えたい
―今後、どのような技術者・リーダーになっていきたいですか。
これから徐々にチームをリードする立場になっていくとは思いますが、プレイヤーであり続けながら、メンバーと一緒に成長できる存在でありたいと思っています。上下の立場はあまり重視していなくて、自分は技術者であるということを忘れずにいたいですね。
将来メンバーをリードする立場になった際には、「なぜこれを実装するのか」という目的を理解してもらうことを大切にしたいと思っています。
―将来的な展望も聞かせてください。
日本だけでなく、世界にインパクトを与えられる存在になりたいと思っています。留学先で、社会にITが浸透していることに大きな感動をもらったので、今度は日本から世界にそのインパクトを伝えていきたいですね。
プライベートの話になりますが、留学経験を活かしてスウェーデン大使館関連のボランティア活動にも参加しています。先日公開したウェブサイトのインフラ構築も担当しています。また、オーケストラ活動にも力を入れるなど、公私を通じて新しい挑戦を続けています。アバナードには、年間8時間を業務時間として充てられるコーポレートシチズンシップの制度があり、こうした社会貢献活動を後押ししてくれる環境が整っているのもありがたいところです。
―最後に、アバナードに興味を持っている方へメッセージをお願いします。
アバナードは個人の専門性や意思を尊重しながら、チャレンジを後押ししてくれる環境だと思います。気軽にさまざまな社員と話せますし、各分野のプロフェッショナルともつながりながら勉強できる環境が整っています。マイクロソフトとのジョイントベンチャーなので、Azure環境を実際に触りながら学べる機会が多くあり、資格の勉強も後押ししてもらえたりと、学べることは多いです。
何がしたいかを言葉にして行動していくことが大事なので、自主性は求められるかもしれません。ただ、その分だけ、成長したいという意欲がある人にはチャンスが多い環境だと思います。