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ゆるっと調べた効率化の歴史

Tutorial Advent Calendar 2020 24日目。
クリスマス・イブを担当するカスタマーサクセス菊地です。
『Robotic Crowdを支える技術』がテーマということで、、、真面目にRPAの話を書こうか悩みました。が、みんなテックな話してるし毛色を変えてみようと思います。

Tutorial Advent Calendar 2020 - Adventar
Tutorialとは? チュートリアル(Tutorial)株式会社は、クラウド型RPAツールであるRobotic Crowdを開発・運営する会社です。 詳細はこちら → https://tutorial.co.jp/ # 今回のテーマ 今回のテーマは **Robotic Crowdを支える技術** です。 Robotic Crowdを支える技術であれば、プロダクトに関する技術だけでなく、チーム開発やマーケティングや営業で導入している手法や技術でもOKとします。 # 備考 参加者はTutorialの社員に限
https://adventar.org/calendars/5366

仕事は日々効率化されていく

まずはじめにこちらの動画をサクッと適当にご覧ください。

これは数日前に私のYouTubeおすすめ欄に突然浮上してきた動画です。

1987年、国鉄分割民営化に至るまでのドキュメント番組なのですが、その中でも特に問題視されていたのが「国鉄職員の余剰人員問題」
なぜここまで問題になるほど多くの余剰人員が生まれてしまったのか?と自分なりに考えてみると、行動経済成長期を経て元々は人がやっていた仕事が機械に置き換わり、業務の効率化・整理が行われてきた結果ではないかと感じたのです。

現在の鉄道では分岐機の切り替え・信号切り替え・運行管理・切符の販売・改札業務・線路点検・清掃などは当たり前に無人化されていたり、緻密な機械が導入されて少ない人員で行っています。それだけではありません。新幹線の発達や線路改良で速達列車が高速化され、数多あった夜行列車・在来線特急・貨物の多くが姿を消しました。鉄道の電化・ディーゼル化によって機関車もイベントでしか見れなくなりました。

戦後復興期の国鉄で大量に採用され、これらの仕事に従事していた人々は効率化・速達化の波に呑まれ「余剰人員」と化してしまったのです。RPAという業務効率化ツールを生業にしている私としてはとても興味深い歴史でした。

そこで、今回は「効率化」の歴史をチョロっと調べてみて、私なりの切り口で超ざっくりとまとめてみようと思います。

人口増加に対応する効率化(1945-1989)

冒頭に紹介したような鉄道職員の多くから仕事を奪った技術で身近なものといえば、自動改札とか自動券売機があげられるでしょう。東京23区内にはJRだけで82駅あるそうですが、その改札や切符売り場に立つ人がすべて不要になったらものすごいインパクトがあったことは当時を知らない私にも容易に想像できます。

ちなみに国鉄で自動改札が導入され始まったのは1973年の武蔵野線運行開始時。
山手線が10両に統一されたのは、1971年。
池袋〜大崎間を山手線と併走する埼京線の建設が始まったのも1971年。
東北・上越新幹線の建設が始まったのも1971年です。

1970年代にこうしたハード面の強化・新設が積極的に進められた背景には、戦後日本で起きた爆発的な人口増加と都市部への人口集中で都市間移動や都市部で鉄道のキャパシティがオーバーしていたということがありました。人力と既存の設備だけでは捌き切れない状況になっていたのです。

「できるだけ大量の人を運ばないといけない」
首都圏の国鉄・私鉄各社は爆発的な混雑への対策として車両改良や増発を行います。
車両を長編成にして1度に詰め込める人の数を増やし、車両性能を高めてスピードも速くしました。
私鉄の複々線や地下鉄の新線が増えたのもこうした事情が背景にあります。

この風潮は鉄道に限った話ではありません。

道路や飛行機、日用品や食品、衣料品・・・増え続ける人口と増え続ける消費に対応するための技術や仕組みが様々な分野で積極的に導入されるようになっていきます。

たとえば
・レジ
・高速道路
・エスカレーター/エレベーター
・大型スーパー
・郊外型ショッピングモール
・駅直結の百貨店
・家電量販店

今では当たり前にあるものたちも、急増する消費を効率良く・大量に捌くために誕生したものがほとんどです。大量の人やニーズを効率的に回す機械や仕組みがどんどん導入されていったので街の小さな商店や伝統的職人業は衰退。人手で捌いていたような仕事(特に肉体労働系)は少ない労力で効率よく安全に処理できる機械にどんどん置き変わっていくのでした。

開拓・開発の効率化(1870頃-1945)

もう少し時代を遡ってみます。
明治〜戦前にかけての日本は、北海道の開拓から東アジア各地、アメリカ大陸・ハワイへの移民に代表されるような開拓・開発の時代でした。鉄道路線網が日本全国・東アジア各地に敷設されたのもこの時代です。

何もないところにどれだけスピーディーに開発を行っていけるか?が求められました。
例えば、現在韓国のソウル-東大邱-釜山を結ぶ京釜線全線開通は1905年。1901年に着工してからわずか4年で441kmもの鉄道路線が完成しています。

【引用】国立国会図書館デジタルデータベース『日露戦役写真帖. 第7巻
1901年、旅順での鉄道工事の様子です。ほとんどが人力で行われているのがわかります。

この時代の効率化は「西欧技術 × 人海戦術」です。
開拓地には零細な農民や、零細な士族を中心にたくさんの人を一気に送り込み、当時の最先端技術を短期間に開拓・開発します。開拓地だけでなく国内でも全国的に鉄道敷設が行われました。

今、私たちが使っている鉄道路線網の大半はこの時代に敷設されたものです。ベースはほとんど変わっていません。一方で全国的な鉄道敷設が完了して実用化されたことで、それまで交通・運輸の主力だった廻船や飛脚・馬は衰退を余儀なくされました(後述)。

鉄道以外の分野に目を向けると江戸時代の零細・小規模農業から、西欧に倣った大規模農業が模索された時代でもありました。現代では米所として有名な庄内地方とか新潟もこの時代に広大な土地が開拓されてコメの一大生産地として発展しています。基本的には開拓地と同じで、元々は全くコメ収穫が望めない土地に多くの移住者を集めて、農地の開拓・コメの品種改良が行われました。

明治〜戦前にかけては近代化によって日々新しい仕事が生まれていく時代だったことが窺い知れます。

交通の発達(1603-1868)

最後に鉄道以前の歴史まで遡ってみようと思います。

日本の交通はおおよそ江戸時代に整えられたものがベースになっています。都市の通りや街区、鉄道路線・道路網は江戸時代の街道や街並みに沿っているものがほとんどです。

江戸時代には五街道・脇街道が整備され、宿場町が等間隔に設置されました。
公的な移動ために伝馬制度ができたり、物流のためにい廻船航路が発達したり、情報伝達のために飛脚制度が整えられたり、こうした制度や街・道の整備は265年におよぶ江戸時代の初期段階で整備されました。

265年もありますので幕末にもなると技術もかなり向上し、江戸〜大坂は船で10日ほど、飛脚だと3〜4日で移動できるようになります。車も電車もない時代に恐ろしいです。
実際に読んだことのある幕末の史料だと、静岡→江戸(約200km)まで夜通し走り通して町飛脚1日半とかで手紙が届いてたりします。

江戸時代の長さは明治〜令和を合わせた長さ(152年)よりも遥かに長いので、初期と幕末では全く異なる特徴があります。江戸初期は新制度が生まれたことで飛脚・廻船・伝馬などの新しい仕事がたくさん生まれ、江戸中期になると情報伝達や物流の速度が競われるようになり、全国的な問屋の組織化や技術改善での運送の効率化が図られていきました。新鮮な野菜とか、日本酒とか、魚が都市部にいても食べれるようになります。

有名な話だと江戸初期〜中期に主流であった江戸〜大坂間で大量の荷物を運ぶ菱垣廻船は、1800年代になると小型でスピードも速く、港の滞在時間も短い樽廻船にニーズを奪われてしまいます。(その樽廻船も明治になってすぐ鉄道や蒸気船にニーズを奪われます。)

【引用】国立国会図書館デジタルデータベース『攝津名所圖會-5-
現在の大阪九条あたりにある安治川橋の様子。樽廻船が登場してから60年ほどたった1790年頃の様子です。大小様々な多くの船が入港していて船運が江戸時代の物流の中心であった様子がわかります。

現代と未来(1990-)

たまたま鉄道の動画に出会ったので、鉄道とか交通を題材に超ざっくりと技術発展の歴史を遡ってみました。今回は高度経済成長期→開拓の時代→江戸時代と遡っただけですが「仕事の効率化される風潮?流行り?には次の2つの流れがあるなー」と感じました。

①新しい仕事が誕生するとき
②既存の仕事がテクノロジー/仕組みで効率化されるとき

現在の業務効率化や、紙→IT化→クラウド化・DX化の波はどちらかというと②の性格が強い印象です。しかし、少しだけ時代を遡るとコンピュータが一般に流通したことによってITを使った仕事がたくさん誕生した時期があります。(1990-2010年頃)

そして、Robotic CrowdをはじめとしたRPAやDXツールは、2010年頃までに登場したIT関連の仕事を効率化するために存在しています。コンピュータの流通やIT草創期の時代がなければ私の仕事も提供しているツールも今ここに存在することはできませんでした。

効率化というものは、「テクノロジーで既存の仕事が衰退→新しい仕事が生まれる」というサイクルが回ることだと歴史を振り返ってみることでわかります。また、時代を下るごとにサイクルスピードがどんどん速くなっていることも面白いです。

AIやRPAは”仕事を奪う”という面が取り上げられがちですが、実は新しい仕事が生まれる土壌になっているんだよということがこの記事で伝えたかったことでした。
AIやRPAで不要になる仕事はたしかにあるんですが、一方でAIやRRAを使うための仕事がまた新しく生まれています。未来ではさらにAIやRPAを使うことを自動化するテクノロジーが生まれて、新しい仕事が生まれていくのでしょう。楽しみですね。

■ヘッダー:港区立郷土歴史館『高縄鉄道之図』

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