北村 貴明's Wantedly Profile
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石井:本日はお時間をいただき、ありがとうございます。今回は「会社の風土」「教育制度」「評価基準」「パーパス(会社の存在意義)」「求める人物像」の5つをテーマに取り上げて、社長が思い描く会社像、社員から見る会社像を語っていければなと思います。
では、さっそく最初の質問なんですが...。会社には特有の風土・文化・制度などあると思うのですが、北村社長から見て、ABCはどんな会社だと思っていますか?
北村:いきなり難しい質問だな(笑)ただ、一言でまとめるなら「プロフェッショナル集団」って感じかな。突然だけど、石井くんは優秀な人ってどんな人だと思う?
石井:優秀な人…私的には「相手のことをよく理解して行動できる人」だと思います。例えば、会話の中でも相手が求めているものって見え隠れするじゃないですか。それを読み取った上で、自分の持っている価値を何かしらの形で相手に提供できる人が優秀だと思っています。
北村:いいね。それをひとつのプロフェッショナル要素だと仮定して、その能力に学歴は関係する?
石井:関係ないですね。むしろ気配り・気遣いみたいな、人間性の部分が深く関係するんじゃないですかね。
北村:そう。ただ、一般的に優秀な人の定義は「超難関大学を卒業しました」「有名な外資系企業でバリバリやってました」「英語が喋れます」みたいな人のイメージが浸透しているじゃん。でも、俺が社会に出て思ったのは、必ずしも"経歴=能力の高さではない"ってことなんだよね。むしろ目立った学歴や職歴は無くとも、仕事はめちゃくちゃデキるみたいな人って意外といるでしょ。
石井:実際に私の周りにもそういう人がいるので、めちゃくちゃわかります。
北村:そうだよね。でも現実問題として、経歴のせいでチャンスを掴めない人ってかなり多いと思っているのね。例えば、大手商社に入りたいと考えている人がいたとして、その人がFラン大学出身だったら、まず現状の採用市場では不可能に近いわけで…。
企業側としても、学歴は一番わかりやすい評価指標だから、未知数の要素が多い新卒採用で選考フィルターに使いたがるのもわかる。ただ、それって優秀な人たちを自ら省いてしまうリスクも許容しなくてはならないんだよね。
だから、ABCは仮に採用コストが掛かったとしても、学歴や職歴などで色眼鏡をかけることなく、しっかりと一人一人と向き合いながら優秀な人かどうかを見極めている。そういった"プロフェッショナルな人たちが集う会社にしたい"と思って採用活動をしているという感じ。
石井:社長から見て、ABCにはどんな社員が多いと思いますか?
北村:プロ意識を持った人が多いというのはもちろんなんだけど、同時に『良い人』が集まっているという印象も持っているかな。実際にうちに来社されたお客さんや、面接を受けに来てくれた人たちから「良い人が多いですね」ということはよく言われる。
良い人というのは「挨拶が気持ちいい」「丁寧に案内してくれる」みたいな人を指すんだけど、そういう心根みたいなところって人間としてかなり重要じゃん。人間関係を築く上でもそうだし、それが直接的にお客さんからの評価に結びつくこともある。
石井:私から見ても、ABCには社長が指す良い人が多いように思います。私はABCに新卒で入ったんですけど、気にかけて飲みに誘ってくれる先輩も結構いたりしたんですよね。まだ交友関係の浅い新人からすれば凄いありがたいことですし、ABCの輪みたいなものに暖かく迎え入れてもらった印象があります。
仕事に関しても、自ら手を挙げればチャレンジさせてくれたり、もし失敗したとしても全力でカバーしてくれる。新卒という不安も多い中でポジティブに仕事ができたり、積極的にチャンスを与えてくれるところは嬉しかったですね。
北村:石井くん自身、先輩たちの立ち振る舞いから学んだものも多いと思うから、これから入社してくる後輩たちにも同じようにサポートしていってあげて欲しいね。
石井:もちろんです。これから多くの後輩が入ってくるわけですから、自分自身もいち早く先輩たちのような存在にならないとですね。
石井:続いて「教育制度」について。社長は社員の育成に関して、何か想いや気を付けていることはありますか?
北村:まず一般的な仕事であれば、どんな業種にも必要とされる「ポータブルスキル」というのがある。例えば、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、交渉力、エクセル・ワード、資料作成なんかがそう。これらに加え、その業種ならではの専門スキルを身に着けてはじめて、"一人前"としてスタートが切れる。
ABCではこれらのスキルを短期的に習得するために「ウルフ研修」というのをやっているんだけど、ポータブルスキルの習得に1ヵ月、業種ごとのスキル習得に半月。計1.5ヵ月でみんなに良いスタートを切ってもらおうという想いで教育プログラムが組まれている。
石井:研修内容の2/3がポータブルスキルに割り振られていますけど、それだけ覚えることが多いってことですよね?そうなのであれば、学生時代からポータブルスキルを身に着けるようなカリキュラムはあった方が良いんじゃないかなと思いました。
北村:まさにそれなんだよね。ちなみに学校って勉強することが決められているじゃん。小学校だったら足し算・引き算、中学校だったら二次方程式・三角関数とか。じゃあ、社会人になったら何を学べばいいか決まってる?
石井:カリキュラムみたいなものは無いですね。むしろ会社から何を求められているのか、それこそ市場価値みたいな部分を自分で考えながら、必要なことを学んでいく感じだと思います。
北村:そう。学生時代は学ぶべきものが提供されてきたわけだけど、社会人になった瞬間「ハイ、自分で考えてくださいね」みたいな、いきなりそういう世界に放り込まれる。とはいえさ、社会人として持っておくべき考え方やスキルって絶対にあるんだよね。
でも世の中にはそういうのを全然知らずに社会人になってから苦労する人が沢山いる。それこそ、ある日に「ここの数値をエクセルで集計して」と言われ、「すみません、できません」と謝り、「じゃあ、一から勉強してこい」みたいな。これって、その人からすると「社会人として必要なのであれば、最初から言っとけよ」みたいな部分もあるじゃん。
石井:言われてみると確かにそうですね。ワードなんかは論文制作で経験のある人も一定数いると思いますけど、エクセルで集計は多くの人が未経験なんじゃないですかね。でも、いざ社会人として働くと「エクセルできるでしょ?」みたいな、出来ることを前提に話をされることが多いので、もはや義務教育にした方が良いまでありますね。
北村:うん。でも、こういうことが実際にあるのよ。社会人になると急に周りが冷たくなる。でも、少なくともABCに入社する人たちにはそういった苦労をさせたくない。だから、社会人として必要なスキルをまとめた研修をやっているんだよね。
その研修の何が良いって、ポータブルスキルの有無でその後の成長曲線が全然違うことなんだよね。やはり基礎が無い人は一定の成長曲線で留まっちゃうんだけど、基礎があれば応用が利きやすいから、成長速度も大きく変わってくるんだよね。
石井:なるほど、基礎があっての応用という話ですね。会社によっては「ビジネスに必要な知識は現場で覚えろ」みたいな風潮もあると思うんですけど、これは会社側が「基礎として何が必要か」を若手に提示できていない側面もあると思っていて、すべてが若手の責任ではないと思うんですよね。
北村:それはあるのかもしれないね。なんか急に職人の世界っぽくなるでしょ。先輩という名の親方がいてさ。「俺の背中を見て学べよ」とか言うんだけど、「背中に何も書いてませんけど」みたいな(笑)で、やってみたら「そうじゃない!」みたいにめちゃ怒られる。最初からわかるように説明しろよって話じゃん。
石井:確かに...。そういうのって「自分で考えて欲しいから」みたいなことを後付けされたりすると思うんですけど、自分で考えるのは応用部分だけで良い気がするんですよね。基礎の段階から「ああじゃない、こうじゃない」っていうのは二度手間というか、「逆に遠回りしていませんか?」みたいに思います。
北村:いや、ホントそうだと思うよ。
石井:具体的にこういう風な人に育って欲しいなどはありますか?
北村:さっきと被るけど、やっぱり一番は『良い人』かな。仕事をする上で重要なのはもちろん、それ以前にみんな人生があるわけで、その人生の多くの時間をうちで過ごすわけじゃん。なおかつ、みんな心の奥底では死ぬ前に「良い人生だった」と言えるような人生にしたいと思ってるでしょ。
じゃあ、良い人生かどうかを左右する一番重要な要素は何か。それを考えた時に俺は”良い人かどうかで人生が決まる”と思っているんだよね。
良い人というのは周りの人間を助けるし、助けるからこそ周りの人からも助けてもらえる。人としても好かれるから、人間関係も築きやすく仕事も上手くいきやすい。こんな感じで、良い方向に進むための起点が良い人かどうかなんだよね。
逆にズルいことをしてお金を稼ぐとか、サボってるのに働いているように見せるとか、そういう不誠実な人間にはなってほしくない。結局そういう行動って最後にはバレるし、その人に付いた悪い印象は中々消えるものじゃないから、後々尾を引くことになるんだよね。
石井:確かに仕事がデキる人には良い人が多い印象がありますし、それは常々社長からも感じています。
北村:嬉しいことを言ってくれるじゃない。昇給(笑)
石井:ありがとうございます(笑)
石井:ちょっとネガティブな内容になるんですけど...。周りからの注目ってデキる人にばかり集まるものだと思うんですけど、それを見た人によってはやる気が削がれて仕事が投げやりになったり、適当になるみたいなことってないですか?
特に新卒なんかは期待値やスタート地点が一緒なので格差がはっきり見えるじゃないですか。同じ研修を受けても成長に伸び悩む人が少なからずいると思うんですけど、そういう人に対してどういうアドバイスやアプローチをしていますか?
北村:まず俺は「褒めて伸ばす」ということを重要視しているので、その人の良いところを見つけてあげて、そこを伸ばすように促してあげる。ただ、その一方で『オファー』するということをやって欲しい。要するに「申し出る」ということなんだけど、「こうしたい」という自分の意志を相手に伝えることは、何事においても絶対にやった方がいい。これは人生においても言える。
例えば、見た目は全然冴えない男なんだけど、誰もが羨む芸能人みたいな女性と付き合っていることがたまにあるじゃん。これはその女性をゲットするために、冴えない男は「付き合いたい」というオファーを絶対にしているはずなんだよね。このオファーをしたか、してないか。この差がめちゃくちゃ大きい。
北村:どれだけイケメンで、金持ちで、スポーツ万能で、仕事がデキたとしても、その女性に「付き合いたい」という意志を伝えなかったら、絶対に付き合う機会は訪れないんだよね。このイケメン男と冴えない男の差はオファーしたかどうかでしかない。
これを踏まえて成長に伸び悩む人の話に戻ると、本人がどういう悩みを抱いて、どうしていきたいかという意志をオファーして欲しい。オファーさえしてくれれば、会社としても全力で応えられるからね。
石井:確かにそうですね。よくよく考えれば、デキる人を見てやる気が無くなるというのも、基本的には何かのせいにして現実逃避しているだけとも捉えられますもんね。むしろ現状打破のために、自らどのようなアクションが起こせるか。その一点に尽きるのかなと思いました。
石井:続いて、多くの人が気になるであろう項目「評価基準」について。具体的な評価制度の説明も含めて、どんな軸で評価をしているのか教えてください。
北村:まず評価基準は3軸。スキルの評価、役割期待値の評価、そして価値観の評価。
石井:昇進についても、その3軸が基になっているんですか?
北村:昇進に関して、うちはちょっと特殊なんだよね。というのも、ABCにおいて昇進は「義務ではなく、権利」という考え方をしているから。
恐らく日本企業の多くが勤続年数に応じて給料も上がる。係長・課長・部長みたいな役職も、なんとなく年齢に比例して付いているようなイメージだと思うんだけど、うちの会社には一切そういうのが無い。
うちにも階級自体はあるんだけど、昇進したい場合にはその階級ごとに求められるクライテリア(予め定められた基準)をクリアして、なおかつ「私はクライテリアを満たしています」というエビデンスを提出してもらう必要がある。
石井:私も社員なんでクライテリアは理解していますけど、知らない体で聞いていきます(笑)
北村:よろしく(笑)
石井:クライテリアはゲームで言うところの「ステータス」みたいなものなのでイメージしやすいと思うんですけど、問題はエビデンスの方ですよね。どういった内容のものなんですか?
北村:証明書みたいなものかな。具体的には「このプロジェクトに参画して、クライテリアのここを満たしました」みたいな証明を最低2件以上書いてもらっている。なぜ2件以上かと言うと”再現性”が重要だから。つまり「たまたま出来ました」は認めていない。
内容も箇条書きのような簡易的なものではなく、「私はこのプロジェクトで、こういった背景から生まれた課題に対して、このような考えを持ち、このようなアプローチをして課題を解決しました」「だから、ここのクライテリアをクリアしたと言えます」みたいな感じで、クライテリア1つ1つに対して詳細に書く必要がある。
で、それを「評価委員会」で評価する。なぜ評価委員会かと言うと、上司が評価すると好き嫌いのような私情が入ってしまうから。だから、普段関わりのない人を含めた複数人で評価をして、正当性を担保しているという感じかな。
石井:なるほど、評価する側の体制もしっかり整備されているんですね。それに評価も基準で判断できるのですごく合理的ですね。
北村:そう。昇進したい人は昇進に必要なことが初めから明確なので頑張ってやるだけ。それこそ新卒だろうと仕事をめちゃくちゃ頑張って、実績を作って申請してくれれば、勤続年数に関係なく公平に審査するよ。ABCにおいて昇進は権利だからね。
石井:ある意味、一番理想的な昇進の仕方じゃないですかね。「上から言われて、仕方なく上司やってます」みたいなことも起こらないですし、「何で俺は昇進しないんだ!」みたいな不満も生まれないと思うので、正当性と同時に透明性も担保できているような気がします。
北村:そうだね。誰にでも平等に昇進のチャンスが与えられている状況だし、ちゃんと実績を残せば、しっかり昇進する制度なんで、もっとみんなにチャレンジして欲しいと思ってやってる。
ただね...。このエビデンスも紙に印刷すると小冊子くらいの厚みになるのよ。枚数で言うと、30〜40枚くらいかな。それだけクライテリアも沢山あるということなんだけど、どちらにせよエビデンスを作ること自体が大変なわけじゃん。こういった作業を「面倒くさい」と思う会社も多いから、ABCのような評価を実施している中小企業は少ないかもしれない(笑)
石井:実際、1つ1つのエビデンスに目を通すのってかなり大変だと思うんですけど、それでも評価する理由は何ですか?
北村:めちゃくちゃ大変。でも、しっかり一人一人を評価したいからエビデンスは1週間くらい徹底的に読み込んでいるよ。そういった過程を経て、最終的に評価委員会でディスカッションするという流れになっているという感じかな。
もちろん、かなり時間は掛かるけど、エビデンスには社員の想いが詰め込まれているからね。評価する側も、そこはきちんとすべき。だから、いつも丁寧に読み込んでいる。
石井:いやぁ...見えないところで、そんな苦労をされていたんですね。いつもありがとうございます。
北村:石井くんからの申請も心待ちにしているよ?もう明日には出せるでしょ?(笑)
石井:いや、もう少し待ってください(笑)
石井:そもそも、この評価制度を導入しようと思った経緯は何なんですか?
北村:もともと俺は外資系の企業で働いていたんだけど、これはその会社の評価モデル。外資系って評価に関してシビアにやるのが特徴なんだけど、シビアにやる=ちゃんと『仕組み』を作ってやっているんだよね。
よくベンチャー企業なんかが採用時に「裁量があります」「チャンスがあります」「頑張れば頑張るほど昇進できます」みたいなことを言うじゃん。あれって正直いつも「どういう仕組みでやってんの?」って思うんだよね。
うちも裁量はあるし、チャンスもあるし、昇進したかったらできる。だけど、そうやって言うのは「こういう仕組みがあるからですよ」という根拠があるから。ここがABCと他社との大きな違いかな。
石井:確かに、そう言われると「その根拠は何ですか?」みたいな、ツッコミを入れたくなる企業ばかりな気がしてきました...(笑)ちなみに昇給も昇進に合わせてという感じなんですか?
北村:昇給と昇進は別。階級ごとに給料のラインが決められていて、年度評価に基づいて昇給するという感じ。
年度評価というのは、文字通り「1年間どれだけ頑張ったか」の評価。一人一人に年間目標や期待値が設けられていて、3ヵ月ごとにフィードバックを通して状況を確認する。そして1年の最後に、そのフィードバックの結果に基づいて評価がA~Eで決まるんだけど、そのA~Eによって昇給の幅が変わるって感じ。もちろん昇給しない場合もあるけどね。
石井:なるほど。じゃあ、昇進だけが給料アップの条件ではないんですね。実際、社員にとって昇給はモチベーションアップに直結することだと思うので、そこも考慮されている点はいいですね。
石井:ここまでで評価基準や評価制度について触れてきたんですけど、これらを踏まえて実際どんな人が昇進しているのか。具体例を紹介していきたいと思っているんですが、強く印象に残っている社員などはいますか?
特に新卒未経験で入社、ポテンシャルだけで一気に成長した人の例なんかが良いと思うんですけど、誰か思い当たる人はいます?
北村:それで言うと、村山とかが当てはまるかな。普通、昇進は3年に1回が平均ペースなんだけど、彼はそれこそ毎年昇進してるんじゃないかな。
石井:村山さんは、入社前から活動的で目立つようなタイプの人だったんですか?
北村:いや、決して派手なタイプではないね。ただ仕事では絶対に「NO」と言わないし、依頼した仕事は必ずやりきるような奴なんだよね。
最初はエンジニアとしてABCに入社したんだけど、かなり向上心や好奇心が強くて、いろいろな仕事をやってもらっていた感じ。それこそ一時期は秘書的なポジションで働いてもらっていたしね(笑)後にコンサルにジョブチェンジして、今はコンサル部門のリーダー的な存在として頑張ってもらっている。
石井:私自身も村山さんにはかなりお世話になっています。ちなみに村山さんの仕事に関するエピソードは何かないですか?
北村:うちがカンボジアに店舗を出した時の話なんだけど、オープン目前でスタッフが逃亡したのね。で、当然「やばい!来週オープンなのにどうするよ」となると。それで「すまん村山、代わりに行ってくれるか?」って頼んだら、「ハイ、行きます!」って二つ返事。英語も出来ないのに(笑)
それでカンボジアに行き、オープンをきちんとやり遂げると。半年後に帰国してコンサルに戻り、コンサルのプロジェクトでもちゃんと評価され、コンサルチームのリーダーになるみたいな。こんな感じで何をやってもしっかり実績を残すような奴なんだよね。
石井:村山さんもその一人だと思いますけど、評価されたり、昇進する人にはどんな特徴がありますか?
北村:『わかりやすい貢献』をしているところにあると思う。わかりやすい貢献というのは、俺みたいな経営層にも活躍が見えるし、クライアントからも評価されたり、周りの同僚や後輩からも頑張ってると思われる。誰しもが声を揃えて「この人は貢献している」と言うような人が評価を受けるって感じなんだよね。
一方でよくあるのは、本人とその周りだけが「この人頑張ってるね」と言っている状況。でも、お客さんからの評価が無かったり、俺の耳にも活躍が届いていない場合は評価が難しい。もちろんその人なりに貢献はしているんだけど、「チーム内における貢献」と「会社やお客さんへの貢献」とはちょっとニュアンスが違うんだよね。
石井:なるほど。確かに、会社視点で見ると「チーム内の評価」というより、「会社やお客さんから見てどのような評価がもらえている」かが最重要になりますよね。
北村:そう。わかりやすい貢献の背景にも色々あるけど、自ら仕事を取りに行くとか、依頼された仕事は必ずやりきって結果を残すとか、そういう「会社への貢献」要素が多分に含まれる実績こそが、一番評価に繋がりやすいってことなんだよね。
石井:次はテーマのスコープを広げまして、「会社のパーパス(存在意義)」について。それこそABCは様々な事業を展開していますけど、会社のパーパスとしては何を掲げているんですか?
北村:まず俺が会社をどう捉えているかという話なんだけど、「会社も世の中のためにある」と思っているのね。そして会社が社会貢献をする上で一番重要なのは「永続」だと思っている。永続と言うのも50年とか100年じゃなくて、1000年とか1万年みたいなレベルの話。
その上で、じゃあ具体的に何をして社会貢献するのかなんだけど、時代ごとに求められるものは常に変化するから、何かに限定する必要はないと思っている。”その瞬間ごとに世の中のためになることをやり続ける”。これがABCの存在意義。
石井:なるほど、つまり現在展開している事業も現代社会に求められているものだと思うんですけど、裏にはどんな社会貢献の意図が込められているんですか?
北村:”世の中の働き方をより良くしたい”というところだね。労働生産性を高めて、日本経済を豊かにするというのを目標に20〜30年は着手していこうかなと思っている。
石井:具体的にどんな社会を実現したいと思っているんですか?
北村:1つは「労働力の流動性を高めたい」と考えているんだよね。これまでの昭和的な働き方って「1つの会社に就職して定年まで勤め上げる」という考え方が一般的だったと思う。でも、これって1人あたりの人間が会社に貢献する数としては1:1じゃん。しかも、何十年も掛けて。
仮にその人がめちゃくちゃスキルを持っていて、なおかつ仕事も早い人だった場合、この1:1の関係がものすごく勿体ないんだよね。逆にその人が携われる会社数を5社に増やせれば、当然ながら1:5の関係になる。つまり、もともと生産性1だったものが5にアップするということ。
北村:そういった人がもっと増えれば、1人あたりの生産性もどんどん高まるし、結果的に日本全体の生産量も増える。少子化問題もあって労働者数が減る傾向にあると思うんだけど、1人あたりの生産性が増えれば日本自体は良くなっていくだろうという考え方なんだよね。
最近はフリーランスや副業も認められるようになって、「特定の会社に縛られなくても良い」という風潮が出てきているし、日本全体がもっとそうなれば良いと思っている。
石井:なるほど。ABCがコワーキングスペースを提供しているのも、フリーランスの人たちのバックアップはもちろん、生産性の高い人々を増やそうという意味合いも含まれているんですね。
北村:すべて数珠つなぎになっているんだよね。例えば、フリーランスを応援したいというところから、コワーキングスペースを作って誰でも自由に働ける「場所」を提供しました。
で、次にフリーランスの人々が増えれば「仕事」に困る人も出てくるであろうと。つまり、営業代行みたいなものが必要になってくる。だから、フリーランスのマッチングビジネスを始めました。
でも、ちょっと待てよと。そもそもフリーランスというのは「スキル」を持っていることが前提。ということは、スキルを持っていない人たちのためにスクールが必要。だから、教育の事業を始めました。
こんな感じで現在展開している事業というのは、すべて「生産性の向上」を軸に置いているんだよね。今はまだそれぞれが点の状態ではあるんだけど、今後は各事業にシナジーを持たせていきたいと思っている。
例えば、スクールの存在自体を知らない人も一定数いると思うんだけど、うちのコワーキングスペースに来たら、無料で色々教えてあげる。で、スキルが付いたら、うちのマッチングサービスで仕事も探せますよみたいな。各事業にシナジーを持たせれば、もっとスキルを持った人たちが活躍する世の中になると思っているので、今後10年くらいはそういう方向で事業展開していこうかなと思っている。
石井:冒頭の話と若干被るかもしれないですが、ABCはどんな人物を求めていますか?
北村:うん、やっぱり『良い人』に集約されるかな...(笑)
石井:ですよね...。逆にこういう人はNGというのはありますか?
北村:それで言うと、当事者意識が無いとか、他責とか、仕事が遅いとか、時間を守らないとか。プロフェッショナルマインドに欠ける人かな。
繰り返しになるけど、ABCはプロフェッショナルマインドを持っている人を求めているんだよね。実際、会社全体が当事者意識を持って仕事に取り組んでいる中で、プロ意識に欠けている人が入ったところで、一緒にやっていくのは難しいと思うんだよね。
例えば、サッカーを11人でやっててね。誰かに対してパスを出すとするじゃん。そいつがパスを受けようとしてくれなかったらさ、「おい!」ってなるでしょ。むしろ「俺がここに走るからパス出せ!」みたいな。こういうのが当事者意識であったり、チームとして良い方向に行こうという気持ちの表れじゃん。
うちも会社というチームなわけだからさ。みんなそういう気持ちを持って欲しいし、そういう気持ちを持ったメンバーで構成された会社にしたいと思っている。だから、やっぱりプロフェッショナルマインドというのは欠かせない要素なんだよね。
石井:そうですね。逆も然りで、やる気の無い人が入ると周りに伝染して、チームの結束力が落ちたりしますよね。それこそ自分からアクションを起こしたとして、「こいつ何か言っているわ」みたいに周りからのリアクションが薄いと、こっちもより一層やる気を無くしてしまう。負の連鎖しか起こらない気がします。
北村:そういうのって、すごく悲しい気持ちになるよね。何よりそんなチームや組織から良いものが生まれるわけがないんだよね。だから、”みんなと同じ方向を向いて一緒にやっていける人”を選ぶというのは、ものすごく重要なことだと考えている。
石井:最後に現在ABCへの入社を検討されている方へメッセージをお願いします。
北村:石井くんって新卒入社でしょ。むしろ新卒入社メンバーを代表して、就活生の方々にメッセージを送ってあげてよ(笑)
石井:ハードルが上がるような言い方やめてください(笑)
そうですね。私も昨年から面接を担当するようになったわけですが、面接を受けに来た方々によく伝えていることは「それぞれの会社の”人”をよく見て欲しい」ということです。
自分自身もそうだったんですけど、就活中は色んな会社や仕事を見て回ると思うんです。でも結局、「どんな仕事が向いているのか」や「自分は人生でやり続けたい仕事は何か」とかは、就活生の段階では決めきれないところがあると思うんですよ。
そういう状況で1つ就活の軸となるのが「どんな人と働きたいか」「どんな環境で働きたいか」だと思うんですね。就活をする中で多くの面接官を見ていくと思うので、面接官を評価する気持ちも持ちつつ、面接に臨んでもらえると良いかもしれないですね。会社の顔である人事や面接官をよく観察して、自らの人生観を信じて就職先を検討してみて下さい。
それがもしABCなのであれば私も嬉しいです。説明会を経て他社の方が良いと思うのであれば、それも1つの選択だと思います。ご縁があって入社してもらうことになった際には、新卒入社の先輩として教えてあげられることがたくさんあると思います。
石井:私からはそんな感じで、社長からもメッセージをお願いします。
北村:そうね。人と違うことをやりたいとか、人生上手くいきたいとか、みんな「何者かになりたい」とは思っていると思うんですよ。
で、”本気で何者かになりたい”と思っているのであれば、うちにはそれを実現するための環境があります。そして、ABCも”本気で何者かになりたい”という野心家やチャレンジャーの方を求めています。ぜひそういった方はABCに来てください。
石井:ありがとうございます。今回の対談テーマは以上になります。お忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
北村:いえいえ、また別のテーマでやりましょう。
【新卒採用】
【中途採用】