▼本記事について
現場監督として20年以上のキャリアを持ち、現在はアーキテックスグループにて施工管理チームの統括と技術継承、そしてお客様への提供品質の標準化も進めるメンバーへのインタビュー記事です。
アーキテックスグループは、注文住宅、リフォーム、不動産、賃貸管理といった多角的な事業展開を通じて、地域のお客様の「住まい方」を総合プロデュースしています。市場が激変し、建築業界全体が二極化していく中で、施工管理というプロフェッショナルには今、何が求められているのでしょうか。
今回は、20年以上のキャリアを持ち、現在は施工管理チームのリーダーとして品質管理と後進の育成を担うT.Hさんにインタビュー。2度の倒産という厳しい環境を潜り抜けてきた熟練の技術者が、なぜ次の挑戦の場としてアーキテックスグループを選んだのか。豊富な知見を持つベテランが、推し進める「標準化」の取り組みと、技術継承に懸ける想いについてお話を伺いました。
T.H/施工管理チーム リーダー
工業高校、大学で建築を学び、新卒で賃貸物件の現場監督からキャリアをスタート。その後、実家の工務店や注文住宅会社、現場監督受託企業を経て、アーキテックスグループへ入社。現場監督として年間40棟を完工させ、アフターメンテナンスまで一人で担当するなどの豊富な現場経験を持つ。現在は、全ブランドの品質管理と若手監督の教育を統括している。
波乱万丈なキャリアの中で見出した一番の武器
ーーTさんは建築業界で20年以上のキャリアをお持ちですが、まずはこれまでの歩みについて詳しく教えていただけますか。
私の建築人生の原点は、実家が自営業として営んでいた工務店にあります。次男ではありましたが、実家を継ぐつもりで高校・大学ともに建築科を選び、建築物の構造などを専門的に学んできました。
卒業後はあえて外部の会社で修行しようと、鉄骨アパートを主軸とする賃貸物件の施工管理職に就いたのですが、入社から3年目を迎えた頃、会社が突然倒産してしまったんです...。事前の告知などは一切なく、いきなりの展開でした。ちょうどその頃が、結婚してわずか3ヶ月というタイミングだったため、かなり動揺しましたね。
ーーそれはあまりに衝撃的な経験ですね...。そこからどのようにして、キャリアを立て直されたのでしょうか。
一度地元に戻り、1年ほど実家の仕事を手伝いました。その時、新築やリフォームでお客様の喜ぶ姿を間近に見て、「やっぱり住宅は楽しいな」と再確認したんです。その後、木造住宅を専門とする工務店に入社し、そこには13年ほど在籍しました。
その会社では、13年のうち12年ほどは現場監督が自分一人だけという環境でした。トラブルが起きても誰も助けてくれませんし、すべて自分で解決するしかありません。引き渡し後のメンテナンスも10年間はすべて自分一人で担当し、多い時は年間40棟を完工させていました。今振り返ると非常に過酷な環境でしたが、当時は「諦めたら終わり」という状況だったので、なんとか食らいついていきましたね。
ーーお一人でそれだけの棟数を管理しながらアフターフォローまで…!その実戦の中で磨かれた「武器」は何だと思われますか?
一番は「人の動かし方」です。現場監督がどれほど知識を蓄えていても、実際に手を動かす職人さんがいなければ家は建ちません。だからこそ、各領域のプロたちが持つポテンシャルを、一軒の家づくりという共通のゴールへ向けて統合していくマネジメントの視座が欠かせないんです。
職人のみなさんは、単に作業をこなす存在ではなく、共に一軒の家を創り上げるパートナーである。その前提に立った上で、プロとしての矜持を持つ彼らが、どうすればこちらの意図を深く汲み取り、かつ最大限のパフォーマンスを発揮してくれるのかを徹底的に考え抜きました。
ーー考えた先に得られた答えは何だったのでしょうか。
たどり着いたのは、職人さんの中に納得感を醸成させるというアプローチです。
「図面がこうなっているから」と指示を出すだけではなく、「なぜこの納まりが必要なのか」「なぜこの工程を優先してほしいのか」という背景や意図を、一つひとつ論理的に説明し尽くすことを大切にしてきました。
そうやって施工の目的や理由を正しく共有することで、職人さんのなかに「それなら、こう動いた方がいいな」というプロとしての自発的な工夫が生まれる。こうした丁寧な対話の積み重ねが、いざという時に「Tさんがそこまで言うなら、なんとか工面するよ」と言ってもらえる、プロ同士の揺るぎない信頼関係に繋がっていくのだと実感しています。
また、論理的な裏付けだけでなく、言葉で指示する前に自分から先に手を動かすことも欠かせません。上棟の日には大工さんと一緒に屋根の一番上に登って作業を手伝いますし、前段階の土台敷きも半日は一緒に入ります。年間30棟の上棟があれば、少なくとも45日は丸一日現場で泥臭く体を張っているイメージです。
かなり大変ではありますが、自ら汗をかく姿を見せることで、職人さんの「この監督のためにもう一踏ん張りしてやろう」という意欲を引き出せますし、お客様に対しても、責任者がここまで現場に入り込んでいるという深い安心感を提供できます。技術や知識以上に、この「マネジメント視点を持った論理的な対話」と「実践による信頼形成」の掛け合わせこそが、私の最大の武器になっています。
安心して腕を振れる環境を求めて。多ブランド展開がもたらす安定と技術的充足
ーーその後、別の会社を経てアーキテックスグループに入社されますが、20年以上のキャリアを持つTさんが、当社に興味を持ったポイントは何だったのでしょうか?
前職では施工管理組織の構築を任されていたのですが、不運なことに2度目の倒産を経験しました。そういった背景や家族を養っていくことを考えた時、次に会社を選ぶ基準として「事業の継続性」と「安定した現場の供給」は絶対に譲れない条件になりました。この条件にマッチする企業を探していた時、以前の職場で一緒だった仲間から紹介されたのがアーキテックスグループだったんです。
正直なところ、施工管理の経験が20年を超えると、どこの会社へ行っても「現場を回すこと」自体はできます。しかし、多くの会社は単一の工法やブランドに固執しており、キャリアや業務が固定化してしまいがちです。
一方で、アーキテックスグループは、注文住宅だけでも4つの異なるコンセプトを持つブランドがあり、さらにリフォームや賃貸住宅まで事業を多角化しています。この多ブランド・多事業展開は、経営的なリスクヘッジとして非常に優秀であると同時に、技術者にとっても「飽きがこない」という大きな魅力がありました。
ーー社長の印象も強かったそうですね!
最初の面接から社長が直接立ち会ってくださったのですが、私のこれまでの経歴や実績をその場で評価し、即座に採用の意思を示されるほどの決断を下されました。そこで「経営者としてのスピード感」を目の当たりにし、これほどの決断力がある方が率いる会社なら信頼に値すると感じましたね。
最終的な決め手は、そのスピード感に裏打ちされた「事業の多角化による組織の強さ」でした。住宅業界の先行きが不透明と言われる中でも、アーキテックスグループには新築、リフォーム、不動産、賃貸管理など、それぞれが独立した柱として機能している安定感があります。年間を通じて安定した現場供給があるからこそ、施工管理として「現場がなくなる」といった余計な不安に惑わされることがありません。純粋に「良い施工とは何か」という技術の追求にのみ集中できる環境は、当時の私にとって、何よりの贅沢に映ったんです。
品質の標準化を目指し、グループ全体のレベルを底上げする
ーーアーキテックスグループ入社後はどのような役割を担ってこられたのでしょうか。
入社当初は、社長から「品質管理の部署を立ち上げてほしい」というミッションをいただき、施工管理課とは別の部署に所属していました。
私自身、それまでは現場を回すことが仕事でしたが、ここでは「全ブランドの建物の品質を均一に保つ」という新しい挑戦に、また違った面白さを感じていました。その後、半年ほど経った期が変わるタイミングで施工管理チームの責任者も兼務することになり、現在は現場の統括と品質管理の両面を担っています。
ーー現在は、具体的にどのような業務に注力されているのですか。
現在はプレイヤーとして現場を持つことはなく、年間を通じて全ブランド、全物件の図面チェックと現場検査に特化しています。
具体的には、一現場に対して2回の図面チェックを徹底しています。現場でミスが起きてから対処するのではなく、上流工程である設計の段階で問題を見つけ出し、会社に損失を与えないための予防を重視していますね。また、お客様からは見えない構造部分などの検査も自分たちの目で行い、アーキテックスグループが提供する住まいの「見えない価値」を守り抜くことに注力しています。
ーー品質の標準化を進める上で、組織としてどのような工夫や向き合い方をされていますか。
定期的なペーパーテストを実施し、現場監督一人ひとりの知識レベルを底上げしています。これは、アーキテックスグループが定めている「標準施工基準書」の中から問題を作成するもので、私が独自に導入した取り組みです。
プロとして「知っておくべき基準」への真剣味を持たせるために、このテストをあえてボーナス査定などの評価項目にも連動させています。私たちの仕事は、お客様にとって人生最大の経済的意思決定を支えるものですから、その品質を「経験則」や「なんとなく」で管理することは、プロとして誠実ではありません。基準書の内容を正しく理解していなければ、現場で不備を見逃し、最終的にお客様に不利益を与えてしまいます。
今では、テスト前になると若手メンバーが黙々と自習する姿が日常の光景になっています。こうした「学び続ける文化」を組織に定着させることで、誰が担当しても変わらない高い施工品質を担保し続けられるはずです。
技術を次世代に繋ぎ、新たな喜びを享受する
ーーそこまで徹底されているのですね。後輩の育成については、どのような想いで取り組まれているのでしょうか。
「アーキテックスグループで育った監督なら、どこへ行っても通用する」と言われるレベルまで引き上げたいという想いが根底にあります。自社に最適化された人間を育てるのではなく、一人の施工管理技士として市場価値の高い人材を育てることが私の責任です。
また、単に知識を詰め込むだけでなく、現場でのスタンスも大切にしています。監督はアーキテックスグループという元請けの看板を背負っていますが、職人さんたちより偉いわけではありません。自分の手で家をつくることはできないからこそ、職人さんをリスペクトし、一つのチームとしてより良い家づくりをしていく意識を持てるよう、日々のコミュニケーションの中で伝え続けています。
ーーそうした育成の中で、谷口さんが感じる喜びややりがいは何ですか。
自分が培ってきた知見を日々のコミュニケーションやテスト問題で伝え続け、それを正しく理解した若手が、実際の現場でミスのない施工をやり遂げている姿を見た時ですね。最近では、メーカーが定めた新しい複雑な施工基準があったのですが、入社2年目のメンバーがその内容を完璧に現場で再現していました。
ベテランでも見落としがちなポイントを、若手がしっかりと自分の知識として吸収し、現場でアウトプットしている。そうした成長の瞬間を目の当たりにできるのは、かつて一プレイヤーとして現場を回していた頃とはまた違う、マネジメントならではの大きな喜びです。私の代で終わらせるのではなく、技術を次世代へと受け継いでいくことで、組織全体の品質を永続的に守っていきたいと考えています。
ーー最後に、これまでの経験を活かしてさらなる挑戦をしたいと考えているベテラン技術者の方へ、メッセージをお願いします。
キャリアを積んできた今だからこそ、自分の持っている知見を後世に繋ぎ、組織全体の品質を底上げすることにエネルギーを使いたい。そんな想いを持つ方にとって、ここは最高の環境だと思います。
一つのブランドに固執せず、新築、分譲、リフォーム、アパートと全領域を守備範囲に入れながら、技術者としてのキャリアを伸ばしていく。そんな攻めの姿勢を忘れないみなさんと、これからの「住まい方の文化」を共に創っていける日を楽しみにしています。