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【プロジェクト秘話①】デジタルソリューションができる会社として専門領域の幅を広げたい。

アクアリングの“人” たちが、どんな想いで、どんなプロジェクトに取り組んで いるのかを拾いあげ、深掘りする社員インタビューをお届けします。Web界のアカデミー賞とも言われる「Webby Awards」受賞をはじめ、アクアリングの新境地を切り開いた自社コンテンツ「WONDERWALL (以下WW)」。東京オリンピックを見越した戦略的な企画推進と営業判断で、対外評価の獲得に貢献したプロデューサー・茂森のインタビューをお届けします。

茂森 仙直(しげもり せんなお)
株式会社アクアリング 代表取締役社長、プランナー、プロデューサー
滋賀県長浜市出身、名古屋市在住。
大学を卒業後、人材系会社を経て、2001年アクアリング入社。

大手上場企業を中心に、Webを主軸としたコミュニケーション戦略を立案するプランナー、プロデューサーとして19年従事。 2019年8月より、代表取締役社長に就任。Web Grand Prix、DIGITALSIGNAGEAWARD、ボルダリングとデジタルを掛け合わせ「WONDERWALL」で2017年日経トレンディベストヒット予想コンテツに選出、GOOD DESIGN AWARD、文化庁メディア芸術祭等受賞。 地元滋賀長浜と現在居住の名古屋の発展を目的に街づくり活動にも尽力。2014年よりStartup Weekendや各種ハッカソン等でコーチ・審査員を務める


WONDERWALL とは
クライミングウォールにプロジェクションマッピングとセン サーを組み合わせて、既存のクライミングにはない新しい楽し み方を体験できるスポーツコンテンツ。Webby Awards やグッ ドデザイン賞、文化庁メディア芸術祭の推薦作品に選出。日経 トレンディ(日経BP 社)「2017 ヒット予測100」、イッポウ(CBC テレビ)生中継、シューイチ(日本テレビ)「2017 年トレンド 予測」など多数のメディアからも注目されています。
WONDERWALL
WONDERWALLは、既存のルールにとらわれない、新しい楽しみ方ができるクライミングコンテンツです。 デジタルを組み合わせることで、クライマーの動きをインタラクティブにビジュアライズし、 よりエンターテイメントにコンテンツ化。プレイするクライマーだけでなく、 オーディエンスもいっしょになって楽しめるクライミングをデザインしました。
https://www.aquaring.co.jp/wonderwall/

WWの企画・開発のきっかけを教えてください。

CD(コミュニケーションデザイン)の専門セクションを立ち上げた当初の目的は、アワードを獲って会社のPRに貢献することと、Webサイトに限らない「デジタルソリューション」ができるという、会社として専門領域の幅を広げることでした。これまでプロジェクションマッピングやPepper君を使ったプロジェクトなどをやってきたけれど、どちらかというと全て二番煎じだった。振り切ったことにチャレンジするためにどうしたらいいか、行き着いた結論が自社プロダクト。まずは、自分たちでこれはいけるんじゃないかということを想像してやってみて、出来なかったらそれが実力なんだから、とにかくやってみることにした。その中で、ボルダリングにマッピングして、ゲーム性を持たせるというアイデアがWWの始まりでした。

最初からうまくいく確信はありましたか?

正直最初は賛否両論、意見が分かれていました。でも、僕の「やりたい!なんとかするからやってみようぜ」という熱で最終的に決まって。その背景には、当時リオオリンピックが始まる前の年で、東京オリンピックで競技としてボルタリングの採用が決まる可能性を感じていた。それに、スポーツという文脈をクリエイティブに合わせるとメディア効果も高く、みんな興味を持ってくれるんじゃないかと。

世の中に存在していない技術を作り出すというのは自社の技術力だけでは無理なので、すでにあるものを掛け合わせて考えるしかないという前提があった。しかも僕らはアーティスト集団ではないので、本当のゼロから作品を生み出すっていうのは難しいだろうし、アイデア×利用シーン×コミュニケーションの掛け合わせで勝負するしかないと。WWのアイデアも、最初は制作スタッフが「え、これどっかで見たことあるんじゃないですか?」とか言っていたんですけど、僕はそれを凌駕するバックグラウンドがあるんじゃないかって思っていた。なんとなく世間が背中を押してくれるんじゃないかなと。そういう背景でとにかく、まずはプロトタイピングをやろうという話になって、提携先を探してスタートすることになりました。

WW開発メンバー

プロトタイプをつくる過程で印象的だったことを教えてください。

名古屋のクライミングジム「プレイマウンテン」さんにお願いしまくって会場を貸して頂き、初めてイベントを開催しました。反応は良かったのですが、「ひょっとして名古屋の内輪ノリかもしれないから、東京でもやってみよう」という話になり、荻窪にあるB-PUMPさんというクライミングジムにダメ元で飛び込み、やらせて欲しいとオーナーさんにお願いしました。その時、たまたまアディダスさんのクライミングのジャパンカップ企画があり、その参加があっという間に決まった。アディダスさんとやれるなんて!と盛り上がって…でも実際にやってみたら結果は散々で。

コンテンツ自体が初心者か子供が喜ぶ内容だったので、ジャパンカップというプロが真剣に勝負している横でお遊びをやっていても興味を持たれない。プロのクライマーは誰もやってくれず、運営スタッフが気をつかってやってくる程度で(苦笑)。その帰り道では「これダメだ」「もう1回ゼロからやり直しか」と、みんな意気消沈しました。でも、このイベントで得られたものがその後の大きな影響をもたらしたんです。

ADIDAS ROCKSTARS TOKYOでの様子

そこから、WWがうまくいった要因は何ですか?

イベントは散々でしたが、「アディダスさんとやったことは間違いないから動画を作ろう」とYouTubeにアップしたんです。すると、日経トレンディさんが、海外の唯一競合である会社(現ValoMotion)の動画を見て、日本にも同じようなコンテンツがないかと検索した際に、WWを見つけ、雑誌に取り上げてくれたのが大きな転機でした。全く何もしていないのに、いきなり2017年ヒットコンテンツのベスト16に入った(笑)。

世間からの反応もあり、せっかくだからビジネスとして進めていこうとなった時に、大きなネックは壁(ウォール)がないとプロダクトとして成立しないことでした。そこで次の大きなターニングポイントとなったのが、日本のクライミングウォールの7割を作っている東商アソシエート(株)さんとの出会いでした。全く面識もなく、ダメ元で問い合わせをしたら、「ぜひ一緒にやりたい」と言ってくださって。

東商アソシエート(株)さんは、クライミング業界でのつながりも強く、ワールドカップ・国体から日本選手権の壁まで制作されていました。僕らアクアリングとしても、プロダクトに改良を加え、自立式の筐体を2017年11月頃に完成させ、12月には新潟県妙高にあるロッテアライリゾートに初めて納品することができました。

トンデミ平和島への納品の様子

さらにそこからの展開について聞かせてください。

2018年に入ってさらに展開が加速し、バンダイナムコアミューズメントさんが開発している次世代型のゲームセンター「VSPARK」で導入が決定。VSPARKの中で1番と言えるほどの人気コンテンツだそうで、その理由は、WWは1プレイ30秒で疲れるしやった感もあり、回転率もいい。2万7千人くらいの来場者のうち、約8割がWONDERWALLを体験しているらしいんです。こうした評判も上がり、一気に導入拠点が拡大しています。ゲームセンターの業態も変わろうとしており、スポーツが苦手な子も増えているので、ゲーム性があって体力関係なくちょっと工夫すれば勝てるっていうようなライトスポーツの流行にもはまってきている。バンダイナムコアミューズメントさんとの出会いも大きいです。

ブラッシュアップ後のクリエイティブ

Webby賞、グッドデザイン賞などの受賞についての感想をお願いします。

シンガポールのグッドデザイン賞、Webby賞、文化庁メディア芸術祭と多くの賞をいただいき、授賞式にも参加させていただいたにも関わらず、今回の受賞は「まぐれ」という感じで実感が全くないんです。でも、いろんな強豪の会社さんの中で、やっぱりすごいことなんだなぁと思ったし、改めて奇跡としか思えない出会いによってここまでこれたことを実感しています。

Webby Awards 授賞式の様子

これからの目標や夢は?

ボルダリング業界自体がすごく競技人口が少ない状況の中で、WWは初心者や子供に人気があります。今年6月に開催されたワールドカップで設置させてもらった際に、IOC・JOC・山岳協会というクライミングのスポンサーが来ている中で、日本代表選手がWWをプレイしてくれたのは感動でしたね。また、そういった関係者の方々が、子供が何度もWWで遊んでいるのを見て、「やっぱり子供がやってくれるのはいいねぇ」と話をしてくれました。世界で戦う選手と、次世代を担う子供たちがWWを楽しんでくれる。そんな光景を目の当たりにしながら、WWがボルタリングの競技人口を増やすという大きなミッションの一端を担えることは、本当に嬉しいと感じました。まずは、東京オリンピックの会場でWWが設置されることを目指して、いつか、未来のボルタリング選手が「子供の頃、WWで遊んだのがきっかけでした!」と言ってもらえる日が来ることも夢みながら、WWだけでなく、スポーツ×デジタルの可能性ももっと探っていきたいですね。

WWをプレイするキッズ

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