「マンガの常識をアップデートする」and factoryがAlibaba Cloudと挑む、AI×クラウドの共創戦略
「マンガの常識をアップデートする──and factoryがAlibaba Cloudと挑む、AI×クラウドの共創戦略」
電子マンガ業界の次の10年に必要なのは、“発想の転換”だった
マンガは、日本が世界に誇る文化です。
そして同時に、作品をつくってから読者に届けるまでのすべての工程(制作・流通・翻訳・配信)が、現場の人の手作業や個人の技術に頼り切っているという側面もあります。
近年はヒットIPのグローバル展開も進む中、制作スピードの限界や多言語対応、品質の維持といった課題がそれぞれの現場で浮き彫りになり始めました。
そんな中、電子マンガアプリ事業を展開するand factoryと、クラウド&AIのリーディングカンパニーであるAlibaba Cloudが業務提携を発表しました。
この取り組みは、単なるテクノロジー導入ではありません。
「マンガの当たり前を、次のステージへと進化させる」ための共創プロジェクトです。
提携の全容──AIとクラウドを軸にした3つの革新領域
2025年6月25日に発表された本提携は、以下の3つの柱で構成されています。
① 生成AIを活用したマンガ制作の高度化
- 背景イラストの自動作成支援
- ストーリーの構成(ネーム)作成のサポート
- 自動着色、アニメ化、多言語翻訳
従来、多くの時間と労力を要した工程にAIを組み込むことで、制作コストと時間を大幅に削減。クリエイターがより創造的な工程に集中できる環境をつくります。
② 「マンガ×AI」イノベーションラボの設立
- 両社が持つ技術・知見を融合し、マンガ制作に最適化されたAIモデルの実証を推進
- バーチャルラボ形式で、出版社・クリエイター・研究者との共創体制を構築
単なるPoC(概念実証)で終わらせず、現場にしっかりと実装される“実戦的AI”の開発を目指します。
③ クラウドファースト戦略の加速
- and factoryは国内の配信基盤をAlibaba Cloudへ移行し、大量のアクセスにも耐えられる安定した配信基盤を整備
- 将来、世界へと配信を広げたり、様々な端末に対応する際にも、柔軟性と耐久性を両立
このクラウド移行は、日本発のマンがを「世界品質」の配信体制へとアップグレードする大きな一手です。
共創の狙い──単なる効率化ではなく、創造性の拡張へ
and factory 代表の青木はこう語ります:
「この提携により、マンガの芸術性を損なわずに、次世代のAIツールでクリエイターや出版社を支援できる。日本の文化であるマンガを、もっと自由に、もっと広く届けたい。
つまり、この共創の本質は「効率化」ではなく「拡張」です。
制作フローを“楽にする”だけでなく、“もっと面白くできる”という領域に踏み込もうとしています。
Alibaba Cloud側も、世界的なAI技術をベースに、映像・画像生成モデル「Wan」や大規模言語モデル「Qwen」を提供。
高性能・高効率・高実用性を兼ね備えた技術群を、コンテンツ産業に最適化する試みです。
今後の展望──マンガのグローバル化に向けた基盤づくり
この提携は、日本国内だけでなく、海外市場を視野に入れた布石でもあります。
- 多言語対応による同時配信
- クラウド基盤による高速配信
- データドリブンな読者分析
これらの技術は、単なる業務改善にとどまらず、新しい収益モデルやIP価値の最大化にもつながっていきます。
将来的には、AIで生成された“マンガの原案”をもとに人が仕上げるなど、人間とAIの協業による表現の可能性も拡張していくことが想定されます。
まとめ──テクノロジーで、日本の文化をもっと強く
日本のマンガは世界中に愛されています。
しかしその裏側では、日々の制作現場における業務の高度化・複雑化が進み、今まさに変革を求められる局面にあります。
and factoryとAlibaba Cloudによるこの取り組みは、そんな現場の課題に向き合いながら、
「文化の力を、技術で支える」という本質的な問いに挑もうとするものです。
マンガを愛する読者のために。
創り手の表現をもっと自由にするために。
そして、日本のコンテンツがこれからも世界で輝き続けるために。
この提携は、その“はじまり”です。