教師を目指していた小川さん。前職で映像に魅せられ2017年にアマナへ。転機となった上司からの問いやミッションに対して、ひたむきに取り組んでいることを聞きました。
Q:これまでのキャリアは?
学生時代は北海道で教師になるため教育学部で小・中・高の教員免許を取得していました。小学校教員になる気満々で教育実習に向かい、子どもたちと過ごす1か月は夢のように楽しく、とても上手くいったのですが、「学校の中しか知らない自分が教師になったら、社会について何も語れないのでは…」との思いに駆られ、社会勉強のつもりで上京しました。
社会人1年目は、創業半年・社員10名程のベンチャー企業で新卒採用のコンサルをしていました。入社早々映像事業部を立ち上げることになり、僕と学生インターンの2人だけでスタート。映像制作未経験だったので自力で勉強し、営業・撮影・編集・納品まで全てを行っていました。そうするうちに映像の面白さにハマって、もっと本格的に映像の仕事がしたいと思うようになりました。
Q:アマナを選んだ理由は?
映像の仕事ができる会社を探している中で受けた会社の一社がアマナでした。実は他の会社に行こうと決めていて、とりあえず受けていたんですが、後に上司になる面接官から「AIと技術の発達で、多分映像ってこれからどんどん仕事がなくなっていくけど、どう思う?」と聞かれて度肝を抜かれました。僕自身、スマホで誰でも映像が撮影・編集できるようになり、映像のプロってどういうことだろう…と考えていたところだったので。とはいえ、映像を仕事にしている人からすれば、「俺の仕事がなくなるわけねえだろ!」という信条は譲れないだろうなと。確かにテクノロジーに取って代わる部分はあるけれど、決して人間がいらなくなる未来ではない、という僕自身の考えと面接官の考えが一致していること、映像の最前線に立ちながら的確に社会における映像の立ち位置を見ている会社であることに関心を持ち、この人とこの会社の元で映像と広告のこれからを見てみたい、と入社を決めました。
Q:アマナでの仕事内容は?
クライアントと直接相談ができる映像プランナー・ディレクターとして、クライアントと打ち合わせをしたり、試行錯誤しながら課題解決に向けた映像を作ることが得意です。なのでクライアントとPDCAを回しながら長期的に並走する仕事も多いです。例えば、YouTubeチャンネルを運営して徐々に再生数を伸ばしたり、新しい技術を使って動画を自動編集するシステムを1年かけて作ったり、と少し変わった立ち位置で仕事をしていますね。
僕は「常に新しいことをやりたい!」と周りに伝えているので、職種の枠に捉われず誰も経験したことのないチャレンジングな案件に声をかけてもらうことが多くて楽しいです。
また、上司から「社内外の架け橋を目指しなさい」というミッションをいただき、アマナで学んだことを社会のために活かせないかと日々模索しています。
その中で、2018年に友人が自費出版していた子ども向け法律書の『こども六法』があって、子どものいじめを法律観点から止めようというアイディアがとても面白いのに、世の中に広められていない状況を知りました。僕もいじめを受けた経験があったので力になりたいと思い、クラウドファウンディング企画を立ち上げ、動画を作りました。その動画が話題となって180万円もの資金が集まり出版が決定。書籍の制作でも全体ディレクションを担当し、世の中に出版物として届けることができました。その本は68万部(2021年2月現在)を売り上げ、2020年最も販売された児童書になっています。
Q:現在、力を入れていることは?
今、世の中が直面している新型コロナウイルスは、子どもたちからあらゆる発表と交流、そして思い出の機会を奪いました。
子どもにとっては今しかない学校生活ですし、なんとかしたいと思っていたところ、学校の垣根を超えた高校生集団「多摩生徒会協議会」と出会いました。彼らも学生の機会を守るために奔走し、全国の学校の文化祭が中止を余儀なくされている状況を調査・発表するという活動を行なっていました。その行動力に感動し、すぐにコンタクトをとったところ、文化祭に変わる発表の機会を模索しているがどうすれば良いかわからない…という状況。彼らと話すうちにたどり着いた企画が『全国オンライン学生祭』。全国の高校生から集まった数々の作品(文芸・演奏・ダンス・研究発表など)をWebサイトとライブ配信で一同に発表する企画です。
アマナとして何かできないかと会社に協力を要請したところ、学生のためならばと快く協賛を決めてくれました。この企画のライブ配信を、アマナの誇る業界随一のクオリティを持つ次世代型バーチャル・ライブ・ビジュアルソリューション『deepLIVE™』で行えることとなり、今着々と準備が進んでいます。
「社内外の架け橋を目指しなさい」というミッションは、まだまだチャレンジ中ですが、一つアマナと社会をつなげる一端となれたかなと感じています。
Q:アマナで目指す自己実現は?
僕はよく、クリエイティブをロケットのブースターエンジンに例えます。クリエイティブには、ビジュアルと言葉によって人の心を動かし、プロジェクトを成功まで打ち上げる圧倒的なパワーを秘めていますが、打ち上がるのは僕たちではありません。企業・団体・企画などの軸となるシャトルがあり、最終的に目的地にたどり着き、目標を実現するのは彼らです。
僕らがどんなに頑張っても、シャトルに想いがなければ目的は達成できないと思います。シャトルだと思って打ち上げたものが、もし爆弾だったとしたら、僕たちは沢山の人を傷つける手助けをしてしまうことになるかもしれません。僕は、大きな夢を持っていて社会に役立つ物事を、全力で世の中に打ち上げたいと思っています。
これからも、そんな心に響くシャトルを全火力で軌道に乗せる、そんなクリエイターとなっていきたいですね。(2021年2月取材)
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