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【卒業生インタビュー vol.1】~親元就農した田坂さんの場合~

今回は人事の飛澤(とびさわ)が、アグリゲートの元社員(飛澤にとっては元同僚)で、現在は広島で親元就農している田坂(たさか)さんにインタビューいたしました!

将来、農業関連の仕事に就くことを目指している方も多く入社されるアグリゲートですが、田坂さんの場合は、どのような理由で入社し、就農後には学んだことがどのようにいかされているのか、お話を聴いてみました!

■インタビュイー■

名前
田坂知也(たさかともや)

アグリゲートでの職務履歴
2019年1月〜2020年3月在籍。販売グループ所属。目黒警察署前店・田町店(現在の旬八弁当店で当時は旬八青果店)・天王洲店での販売業務を経験。田町店では店長を経験。

履歴
1995年生まれ。2017年東京農工大学卒業。
新卒で農業系の大手金融機関に就職。
2019年にアグリゲートに入社。
2020年に退社し、実家の広島県「日出屋瀬戸内ファーム」で就農。
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※文中は飛澤:飛、田坂:田 で表記

1.現在の仕事は?
飛:今は広島の柑橘農家を継いで2年半ぐらい経ったところだと思うのですが、どのような仕事をしてますか?
田:現在は父親から経営は引き継いでいて、栽培は教えてもらいながら行っている感じです。

飛:栽培品目は何がありますか?種類は結構ありますか?
田:種類は今パッと全部言えないぐらい沢山ありますね(笑)メインはみかん・レモン。あとは中晩柑・小玉すいかなどです。

飛:ちなみに、ご実家は結構長く続く農家さんなんですか?
田:そうですね。柑橘を始めたのが大正時代からで、さつまいもなどをメインでやりながら、柑橘も少しずつ始めたそうです。

飛:親元で就農することはいつから決めていましたか?
田:気づいたら継ぐつもりでいて、大学も就農する前提で決めていました。大学在学中は、自分が40歳手前ぐらいに継ぐイメージでしたが…社会人になり、上司と将来について話したり、親の年齢を現実的に考えていくと、30歳ぐらいかな…と思うようになりました。継がない選択肢は自分の中には元々無かったですね…。理由としては、親元が専業農家でしっかりやっていたこと・定年まで東京で働くイメージが持てなかったことが大きかったです。更に、旬八で販売する中で、他の柑橘と比較しても、うちの柑橘は、案外価格でも値段でも戦えると実感したのも、正直ありました。販売現場での評価の基準を見れたのは大きかったです。(現在では、旬八青果店でも田坂農園さんのおいしい柑橘類を仕入させていただいています!)

2.アグリゲートを知ったきっかけは?
飛:新卒で就職したのは金融業界ですよね。その時はどのような業務内容でしたか?
田:銀行では、法人営業メインでした。担当は水産加工会社が多かったです。2年で退職して、アグリゲートに転職しました。

飛:どうやってアグリゲートを見つけたんですか?
田:農業系の大手企業が出資している八百屋がある、と知って調べたのが始まりでした。大学時代に就活をしていた時にも、農業関連の企業を色々見ていたんですが、調べて出てくるのは、農機・資材・農薬のメーカー、市場機能や農協、スーパーの一括採用のようなものが主流で、背景も学びながら青果の小売を極められそうな企業はほぼ無かったです。なので、就農前に消費地の需要を知っておきたい、と思っていた自分としては、アグリゲートを知った時すごく興味を持ちました。

飛:意外と青果小売を極められるところは少ないですよね。しかも、アグリゲートは仕入〜流通〜製造〜販売全てに関わるので、その分大変ですし、似た事業を行う企業が少ないと感じています。
田:そうそう。提案されたら、僕がやりたかったのそれ!ってなるんですけど、そもそもそんな企業があると思いつかない。アグリゲートは青果メインの小売事業を展開しながらも、他の部分も強いじゃないですか。仕入も強いし、産地から店舗までを一貫して捉えているから、勉強できることも幅広いし、一貫しているからこそ付加価値の高い販売ができますよね。

飛:そうですね!自分が働いていてもすごく納得感があるし、やる意味を感じてます。自分たちが食農業界で広い範囲で関わり続けるからこそ、見える世界がありますし、変えられる未来があると思ってます。

3.アグリゲートに入社してからのことを教えてください
飛:アグリゲートに入社当初はどのくらい所属しようと思っていたのですか?
田:入社した時には、3年は働こうと思っていました。やはり販売だけでなく、様々な角度から学ぶのであれば最低3年は必要かなと。結局家の都合なども考え、1年に縮まりましたが、自分としては密度の濃い1年間でした。もちろんまだまだ学ぶべきことだらけではありましたが…(笑)

飛:入社当初、学びたかった事はなんですか?
田:販売ですね。やっぱり、実際に都会の真ん中で青果がどのように売られているのか、お客様の反応はどのような感じなのか、リアルを知りたかったです。自分は広島にいた時、お店で果物を買うイメージがまず湧かなくて、そこからでした。どんな方が買っているのか、どんなものをおいしいと評価してくれるのか、逆に小売店側はどのように考えて販売しているのか、というところを東京という大都市で直接見たかったですね。

飛:実際その部分は、しっかり持って帰ることができましたか?
田:そうですね。産地で自分が持っていたイメージや聞いていた情報とは少し違う部分がありました。正直産地だと、全量農協に出せばOK、という効率重視のやり方もあるのですが、旬八にいて思ったことは、ちゃんと店舗での「リアルな需要」というものが存在する、ということです。店舗の場所により需要は変わりますが、売れる規格が、自分の思っていたものと違うこともあり、興味深かったです。また、需要の高い規格の量を増やせばもっと農家側も稼げるのではないかと思ったりしました。逆算して栽培に活かすイメージですね。

飛:もちろん全員が小売を経験してから就農できるわけではないですが、需要等の情報は農家の皆さんはどこから仕入れているのですか?
田:消費者に直接販売をしていたり、小売店に卸している人は、バイヤーと会話する中で情報を得ているみたいです。でもやはり自分自身が主体的な小売を経験できたのは大きいなぁと思います。

飛:東京での需要を知るにあたって、どのような行動をしていましたか?
田:規格や値段に対しては、色々試す中で、定量的な結果を見て判断していました。あとは、あの規模の青果店ならではの特徴ですが、接客の中で自分の中での基準を作らせてもらっていた部分は大きかったです。田町店では特に、お客様に教えてもらうことも多く、もはや質問していました(笑)。「僕はおいしいと思うんですけど、いかがですか?」と(笑)。だんだん、このお客様がおいしいと言ってくれるなら安心、みたいなラインもできてきて、勉強になりましたし、ありがたかったです。人によっておいしいという感覚は違うとは思いますが、この価格でこの味はお値打ちに感じるか・また食べたいか、みたいなところですね。

飛:小売の経験したことで、自分が産地側になって気を付けているところはありますか?
田:特に柑橘は酸抜けを気にしないといけないところなんですが、産地の出荷時点では酸味がきつくても、東京の店舗に着く頃には、酸味が抜けて食べ頃になったりするので、そのあたりの視点は重視するようになりました。あとは、産地だと大きいほうが高いから、大きい規格を出荷しよう、というところも品種によってはあったのですが、旬八では2Sの柑橘が結構味も良く人気で、自分の畑も小玉傾向にあるので、需要がハマるというのが意外でしたし、それを知ることができて良かったです。

飛:アグリゲート在籍中に、もっと勉強したかったことはありますか?
田:産地に行きたかったな〜とは思いますが、それはもう少しいれば行けたと思うので(笑)。他には、人をマネジメントしたり、部下にゼロから指導して育てるというところをやってみたかったですね。これも部下ができる前に退職したので仕方ないのですが(笑)、人を育てるところまではいかなかったので、そこまでやれたら良かったですね。自分が農家の経営をする立場になり、マネジメントせねばならない立場になっているので、アグリゲートのような、店長の裁量の大きい組織でそこまで経験していたらより良かったかなと思います。

飛:他に、後から思うとあれ楽しかったな…ということがもしあれば教えてください(笑)。
田:ありますよ(笑)。今、果物を栽培していてすごく思うのは、八百屋はテンポも回転も速くて楽しかったなあ…というところです(笑)。農家も年間通じてやることは満載だし、もちろんすごく楽しいのですが、やはりじっくり育ててやっと収穫、という(基本)1年のサイクルで考えて動いているので。おいしくできたかどうか結果が分かるまでに1年かかる(笑)。銀行もそうなんですよね…速くても四半期で確定の数字が分かる。自分が稟議を書いても実行は1年後…とか。なかなか成果がその場では分からない。

飛:たしかに!青果は旬が短いものが多いので、産地や品種レベルだと2週間ぐらいで売場がどんどん入れ替わっていきますもんね。寂しいけど、次から次へと来て楽しい。
田:そうなんです。しかも売上はちゃんとその日に見えるし。自分の戦略がハマったのかどうか、ちゃんと分かるし。データ詳細もちゃんと見れるし。意図したことがハマるとすごい嬉しい(笑)。その分1日もサボれないという点は現場の人はきついと思うんですが(笑)。でもやっぱり社会人としての経験と捉えても、結果がすぐ分かってスピード感持って次に繋げていく、というのを当たり前にすべき環境にいれたのは今思っても良い経験でしたね。

4.今後について
飛:今後の目標や展望を教えてください!
田:簡単に言うと、経営を大きくして、提供できる果物を増やしていきたいし、将来は、農業やりたい若い人がいたら声がけできるぐらいの農家になりたいです。直近の話だと、もうすぐ兄も地元に戻ってくるので、一緒に少しずつ大きくしていけたらと思ってます。今はBtoBで手一杯なのですが、兄はBtoCも強化したいと言っているので、そこをのばしたいです。

飛:ちなみに規模で言うとどれくらいですか?
田:自分が戻って来た時で3haだったのが、3年半経って今4.5haになっています。近いうちに5ha、兄ががっつり入ったら6ha、自分の代で7haぐらいにはしたいと思っています。

飛:田坂くんの在りたい農家さん像とは?
田:農業をやる前は、もっとやり方が確立されていると思っていたけど、実際に始めてみたら、意外とそうでもなくて、工夫のしどころが沢山あることがわかったので、当たり前ではありますが、現状に満足せずに常に高みを目指し続ける、というところは忘れずにいたいと思ってます。これも当たり前ですけど、おいしい果物を沢山の人に食べてもらえるようにとにかく頑張っていきたいと思ってます。

飛:今考えている工夫のしどころはありますか?
田:意外とオペレーションのところは、この規模だと大事かもしれないです。人員が限られる中で、本当にこの繁忙期にその作業をする必要があるのか?というところは、冷静に考えると、そのタイミングでなくても良かった、ということが結構あるので、そのあたりを、もちろん果物の質を落とさない(むしろ上げる)前提で効率化していきたいですね。何品目も育てる中で、全体を俯瞰して、どの時期に何をするかを効率化することは結構積み重ねで影響が出てくるかなと思います。

5.最後に
飛:アグリゲートにこれから入社される方にメッセージをお願いします!
田:自分のやる気次第で、本当に色々な事ができるし、学べる会社だと思うので、就農する人はもちろん、しない人にとってもオススメです!あとは、全然違う業界(金融)から入って、小売を学んで、就農、というルートは自分でも結構良かったかなと思っています。僕も小売の経験が全くない状態で入社しましたし、別業界から飛び込むことも億さずチャレンジしてみて欲しいです!流通小売業は販売以外も学べる、というか学ばざるを得ないと思うので、実際すごく勉強になると思います!


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