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プロダクトが描く未来を、プロジェクトの進め方で体現する ー パルケの事例

  • A.C.O. Journal Desk
  • 2022.03.03

2035年、私たちはいったいどのような働き方をしているでしょうか?リモートワークが普及し、多様な働き方への注目が高まった昨年、働く人々に実りあるワークライフを届けることを目指して「パルケ」をリリースした株式会社パルケ。チャット・メモ・ホワイトボード・ファイル管理機能を兼ね備えた新しいコミュニケーションツールとして、すでにさまざまな企業やチームで導入され、活用されています。

A.C.O.はサービスコンセプトの策定サポート、VI策定、デスクトップアプリにおけるUIデザインを担当。自社内に開発体制を擁するパルケ社のデザインパートナーとして、約3ヶ月間という限られた時間の中で、プロダクトの立ち上げに伴走しました。

今回、そんなパルケ社のファウンダーでCEOの鎌田さん、そして取締役の西村さん、並木さん、黄倉さんをお招きし、A.C.O.で本プロジェクトを担当した瀬田、James、益田を加えた7名で振り返りを実施。同時にさまざまなプロセスを並走させるプロジェクトの「肝」は何だったのか、お伺いしました。


進め方のイメージ

未来の働き方を支えるプラットフォームを。パルケにこめた想い

ーーパルケの皆さまは、全員同じ会社出身とお聞きしました。所属期間は被っていないとのこと、どのような経緯で会社を立ち上げることになったのでしょうか?

鎌田さん 僕が全員と知り合いだったんです。それぞれと「一緒に何かやれるといいね」という話をしていたので、それならば一度皆で会ってみようということになって。

西村さん 鎌田さんとは半年に1度飲みにいく仲で、その日もいつも通りの飲み会のつもりで参加しました(笑)。すぐに何かというよりも、馬が合ってそれから幾度となく皆で話していくうちに、徐々にアイディアややりたいことが見えてきて。

並木さん HR系の会社で人材育成に携わっているのですが、働く人をサポートするサービスに興味関心を持っていることを話したら、「じゃあそれを軸に組み立ててみよう」ということになったんです。

鎌田さん 厚生労働省の発表した報告書「働き方の未来2035」。そこに書かれている「いつでも、どこでも働ける」「副業が普遍的なものになる」といった2035年の働き方をイメージしてみたら、とても良い世の中に感じられたんです。今まで介護や育児、地方在住などの理由で働けなかった人たちも、テクノロジーの進化によってもっと働きやすくなるはずだ、と。

でも、その働き方を支えられるプラットフォームがあまり無いと感じたんです。これまでは会社が個人よりも強く、所属が前提とされてきましたが、働き手が減って個が強くなっていくとその主従が逆転するはず。現在の仕組みのままでは、「SNSで繋がっていない限り連絡先がわからない」といったケースも多々起きてしまいます。雇用が流動化したときに個々が孤立しないよう手助けできるプラットフォームが必要だと感じたんです。こうして、ワークライフをトータルで支援し、働く人たちに価値を提供したいという想いからパルケはスタートしました。

「ワンチーム」と「スピード感」を生んだ“裸”のコミュニケーション

ーーサービスのアイディアが見えてきたところで、A.C.O.とのプロジェクトがスタートするわけですが、求めていたのはどのような部分だったのでしょうか?

鎌田さん  ぼんやりとしたコンセプトはできたものの、資金には限りもあり、一つずつ順番に決めて作っていくような時間的余裕はありませんでした。コンセプトテストから開発、ブランディングなど、あらゆることをすべて同時に進める必要があり、「トータルでできるかどうか」を重視していくつかのデザイン会社さんと話をしました。

何社か「できます」と言って頂いたんですが、その中で状況を踏まえた進め方を提案してくれたのがA.C.O.さん。その提案がとてもしっくりきたんです。また、僕たちもすべての答えをもっている状態ではなかったので、「言われたことはなんでもやります!」というスタンスではなく、もっとフラットに会話ができる感じがしたのも有難かったですね。ご一緒するイメージを具体的に持てたので、A.C.O.さんにお願いしました。

James  オンラインで話す前に作りたいサービスのイメージが記された資料を頂いたんですが、すごく夢は大きいけど時間は限られているから、正直全然できる気がしなくて……。でも鎌田さんや皆さんと話したら、「この人たちとならできるかもしれない!」と思えたんです。フラットな立場でフランクに会話しながら、スピーディに進められそうだなと思い、そのイメージをもとに進め方を組み立てて提案しました。通常ならリスクについて考えることが多いけど、今回はあまり意識しませんでしたね。

瀬田  やはり「ワンチーム」と「スピード感」がポイントになると、キックオフの際に感じましたね。今ではリモートワークも当たり前になりましたが、当時は緊急事態宣言が出たばかり。どうオンラインでプロジェクトを進め、コラボレーションを図っていくのかが重要でした。

ーー実際に提案された進め方でやってみて、いかがでしたか?

鎌田さん  コンセプトはGoogle DocsやGoogle スライドを、デザインはFigmaを使っていたので、常にお互いが見える環境。気がつけば僕たちもコメントを書き込んだり、常に一緒に取り組んでいるような感覚で、本当に「ワンチーム」な進め方でしたね。


作成途中のスライド

James “裸でデザインしている気分”でしたね(笑)。例えば、Google Docsを使っていると鎌田さんが入ってくるのがアイコンでわかったりして、それがとても面白かったです。いつも丸見えで、途中の状態も見られているこの環境は、なかなか無いと思う。

僕は主にブランディング部分を担当していましたが、同時並行で情報設計やUXデザインなどが進んでいたのも今回のプロジェクトの面白いところ。それらをすべて同時に行うような仕事は少ないですが、それぞれの専門を集めてディスカッションを重ねる今回のやり方は、結果的に一番良いものができるのかもしれないと感じました。

瀬田 とてもチャレンジングなプロジェクトでしたが、毎朝9時から30分ほどオンラインでデイリーミーティングを設けて、顔を合わせていたのも良かったですね。皆を「同じチームで働いている感覚」にもっていくことができたのかなと。

益田 これまでは当然お客さんのところへ訪問して、デザインを提案してフィードバックをもらうという進め方が多かったので、これだけこまめにコミュニケーションを取ったのはこの案件が初めてでした。それ以降、同様に密なコミュニケーションをとったり、ひとつのチームのようにやりとりをする案件が増えてきています。

「問いかけ」がコンセプトを磨き上げていく

ーーそれぞれのプロセスでは、具体的にどのようなやりとりがあったのでしょうか?まずはコンセプト設計周りからお聞きできれば。

James パルケの説明資料を作るというアウトプットに向けて、Google スライドをドラフト状態から共有して、鎌田さんとキャッチボールしながらブラッシュアップしていきましたよね。

鎌田さん 僕たちなりにある程度まとめたものをインプット資料としてお渡ししたんですが、そこまで解像度が高くなくて。Jamesさんに「これはどういう意味?」と聞かれて答えていくことでどんどんシャープになり、それをドキュメント化していきました。

James ポイントは、「将来こういう働き方が必要になる」という仮説を理解した上で、サービスのさまざまな機能に触れてもらうこと。これから起きうる課題や未来のイメージを伝えた上で、パルケのソリューションを説明する必要がありました。

西村さん Jamesさんに質問されたことで考える必要性に気づく、ということはよくありましたね。毎朝デイリーミーティング終了後、頂いた問いについて4人で議論して、翌朝持っていくというのもルーティンになっていました。

また、今この取材でもやってくれていますが、議論が進みやすいようにいつも瀬田さんが画面共有を駆使してくれていましたよね。僕たちの中にもぶれている部分や曖昧な部分があったので、こうしたディスカッションを重ねることでパルケの核となる部分が出来上がっていったように感じます。今回の成功の要因は、受発注の関係ではなく一体感をもって取り組めたことなのかなと。


ミーティングの風景

ーーVI/UIデザインのプロセスでは、いかがでしたか?

James 「火曜日に見せたデザインラフが、水曜日には動いている」という、ものすごいスピード感でしたね。

黄倉さん A.C.O.さんが魅力的なアイディアを出してくれるので、こっそり試してみたくなってしまって(笑)。「どう動くかな?」を知りたくて、いてもたってもいられなくて夜通し作ってしまう、なんてこともよくありました。いつもではないんですよ、こんなことするのは「早く試してみたい!」と思った時ぐらいで。

鎌田さん A.C.O.の皆さんがいい反応をしてくれるものだから、「今日もやるぞ!」って気持ちになってしまうんですよね(笑)。

益田 本当に、作ったデザインを翌日には黄倉さんが実装してくださっていて。Jamesがブランディングを進め、私は平行してVIとUIに横断的に取り組み、そのサイクルをひたすらぐるぐる回しましたね。つくりながら新たにブランドの価値が見えてきて、それをさらに鋭く磨いていくような過程だったと思います。そこから得たヒントがそのままVIに活きるなど、つくりながら私たちもわくわくしていました。


デザインの方向性をディスカッションしている画面

ーーこれだけあらゆるプロセスが平行していると、どこかで方向性がずれてしまうこともありそうなものですが、そういった場面はなかったのでしょうか?

益田 パルケの皆さんがもともとはっきりとしたビジョンやターゲットをお持ちで、目指す世界について熱い想いを語ってくださり、私たちもそれに共感していたので、大きくズレていくということはありませんでしたね。

鎌田さん 何度か議論したのは、「シンプルさ」と「細部へのこだわり」のバランス。いろいろな機能をつけたくなる気持ちには、終わりがありません。なるべく幅広いユーザー層に使ってもらえるオールインワンプロダクトを目指していますが、そのために付けるべき機能と我慢すべき機能とを見極めるのは、本当に難しい。A.C.Oのメンバーがいろいろな問いかけをしてくれるので、その度に「パルケの強みは何か」を考えてバランスを調整していました。

James そういった議論についても、思いついた翌日にはデイリーミーティングで話して、ダメであっても、可能性がある場合でも、すぐに対応できたのが良かったですね。

プロジェクト成功のエッセンスを、プロダクトの今後に活かす

ーー今回のプロジェクトの進め方自体、パルケの想定する未来の仕事のあり方に近かったのではないかと感じます。プロジェクトを終えてみて、いかがでしたか?

並木さん 当時はまだ今のような働き方が普及していない時期でしたが、「オンラインでも仕事を進められる」というより「オンラインの方が便利」とさえ感じるほど、その強みを活かして進めることのできたプロジェクトでした。今後僕たちが目指していく、そして世の中が向かっていく方向の最先端を行っていたんじゃないかな。

黄倉さん 実は最近オフィスができたんですが、やはり仕事がはかどる部分もあって。オンラインも好きだし、A.C.O.さんともリモートでうまくやってきましたが、一緒に集まったらさらに化学反応が起きるんじゃないかなとも思うんです。今はそういったオフラインの要素を、うまくオンラインに反映する方法がないか模索しています。

西村さん 「オンラインの効率の良さ」はこのプロジェクトでまさに実感しました。今回はウェブ会議はGoogle Meet、アジェンダや議事録はGoogle Docs、チャットはSlackなどさまざまなツールを組み合わせながら進めたのですが、そのあたりに改善の余地を多少感じたのも事実です。逆にいうと、パルケはオールインワンなので、今回のような仕事の進め方を更にブラッシュアップして提案できる可能性も感じています。

黄倉さんの言う「オフラインでの化学反応」も、きっとオンラインで表現できると思っています。実際に今、パルケの中でどうしたら相手の近くにいるかのように仕事をすることができるのか、どうしたらお互いを感じられるのか、ということを機能に落とし込んで追加していけないかと皆で話しています。今回のような成功事例を、どんなシチュエーションでも実現できる機能にしていかないといけないんじゃないか、と。

鎌田さん  オンライン上でこれだけの人数でコラボレーションするのは僕も初めてでしたが、いいものができたと思っています。今までリモートは「環境的にしかたのない場合の選択肢」でしたが、むしろリモートで良かった。この成功は、パルケというプロダクトを進めていく上でも自信になりました。今回コラボレーションがうまくいったエッセンスをパルケの中に入れて、皆に使ってもらえるように育てていきたいですね。

パルケは昨年リリースしましたが、とても良い反応を頂いています。ユーザーさんはもちろんながら、パルケのブランドやUI/UXを気に入って頂いたことがフックになって、お手伝い頂ける方が増えたという側面もあります。今回のプロジェクトは、僕たちにとっては大冒険とも言える投資でしたが、こうして仲間づくりにも活きるなど、あらためて「デザインの力」に感謝しています。

瀬田  僕たちができない部分はパルケさんが全部やってくれていたので、足りないピースを僕たちが埋めることができていたのであれば、本当に嬉しいですね。

【Parque(パルケ)】
チャット・メモ・ウェブ会議がそろったチームと情報をつなぐコラボレーションツール
https://parque.io/

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