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【CTO×PdM対談】 調達データプラットフォーム『UPCYCLE』の大型アップデート・進化の背景 - 長編 -

みなさまこんにちは!
A1A株式会社採用チームです。
今回のブログは12月9日に発表した『UPCYCLE』の大型アップデートについてProduct Groupにインタビューをしてきました。ぜひご覧ください。

▶︎目次

  1. 他社を巻き込まずとも、自社だけでより深くDXを実現できるようなアップデート
  2. 見積明細情報を中心に図面、コミュニケーション履歴を組み合わせて調達活動をさらに高度化する
  3. 見積明細情報をさらなる付加価値へ昇華させる

▶︎まずは簡単に簡単に自己紹介とをお願いします。

佐々木 私はプロダクトのプラニング、プロダクト開発全体を管掌しています。
BtoBのエンタープライズだと、まずはお客様が「お金を払うに値するものなのか?」という点をしっかりと考えたいと思っています。そうなので、お客様にとって経営的インパクトがあるということが重要なんですが、その一方で、そのポイントだけを見ていくと現場の利用ユーザにとって全然嬉しくないものを開発してしまうと思っているので、私はそういう意味で「経営と現場両方にとって価値がある製品」にするっていうところをしっかりとみています。

北野 私は「UPCYCLE」のプロダクトマネージャーをしています。A1Aには入社して5年ほどになりますが、カスタマーサクセスとしてお客様の導入支援や、セミナーの企画運営などのマーケティングを担当を経験した後に、「UPCYCLE」の立ち上げ期から、プロダクトマネージャーとしてプロダクトの企画・開発に取り組んでいます。

佐々木 延也 プロフィール(note
A1A株式会社 CTO
株式会社カカクコム、株式会社Speeeでのシステム開発を経て、A1A株式会社を共同創業。製造業の経営と現場、両方に価値があるプロダクト作りを目指しプロダクト組織を管掌。

北野 浩司 プロフフィール(note
A1A株式会社 UPCYCLE Product Manager
電子計測器メーカーNational Instruments(現NI)を経てA1Aに入社。調達部門へのシステム導入支援や販促施策の立案/実行に従事したのち、現在は「UPCYCLE」の製品企画を担当。

▶︎あらためて「UPCYCLE」の概要をそれぞれの言葉で教えていただけますか。

佐々木 「UPCYCLE」は製造業の量産メーカーの調達活動というところにフォーカスして、テクノロジーの力でより良くするということを実現するものです。今まで活用し切れていなかった見積書というものを構造化データにすることで活用できる状態にして、見積書同士の比較や分析を容易にすることで、最適な価格で「買う」という行為を実現しやすいようにする製品です。

北野 佐々木から説明があった通り、見積書から解析されてできた「構造化された原価データ」というものを、調達部門の方々が活用して日々のサプライヤーさんとの交渉だったり、原価低減活動に活かすことができるようする製品です。

他社を巻き込まずとも、自社だけでより深くDXを実現できるようなアップデート

▶︎これまで見積明細情報にフォーカスを当てていた「UPCYCLE」ですが、大型アップデートの背景やUPCYCLEがどう変わったのか教えてください。

佐々木 例えば、製造業の調達・購買部門の方々(以下、バイヤー)が新規部品を新たに買うときには、最適な価格で買うために見積査定という業務を行います。査定という行為の中に、現在「UPCYCLE」で提供しているような、見積書に記載されている明細情報までデータ変換した上で、複数の購入先からの見積書同士や、過去の見積書を掘り起こして比較するってことをやるんです。
なぜ、そこまで査定にこだわるかっていうと、製造業の企業における調達金額っていうのは会社全体のコストの大部分を占めるからなんです。売上1兆円企業だと6,000億円ぐらいはバイヤーが買い物をしているわけです。
これまでの「UPCYCLE」は、最適な価格で調達するということを支援するということをコンセプトのひとつとして開発してきているんですが、「見積査定の質を上げる」とか「より質の高い調達活動を実現する」ということ対して、見積情報だけが「UPCYCLE」というプラットフォーム上に存在しているのでアプローチが不十分だなと思っていたんです。
我々の構想としては「UPCYCLE」をしっかりと調達データプラットフォームという形にしていくという思想があるので、見積明細情報に加えて、まず一つ目は、「UPCYCLE 図面オプション」てことで、バイヤーも日々取り扱うことが多い図面も取り扱えるようにすること。そして、2つ目が見積価格の決定にいたる購入先であるサプライヤーとのコミュニケーション経緯を取り扱うこと。この2つが見積情報と関連付けられれば、過去に類似する部品で取得した見積と比較してもらったり、部品を購入したときにどのようなコミュニケーションをとって現在の価格に落ち着いたのか把握できるようになる。そうすれば、改めて「最適な価格で買う」ってことに貢献できるし、調達活動を高度化できると考えたんです。

北野 「UPCYCLE」をプロダクトとして企画しているときのコンセプトの一つとして、「自動的に構造化された原価に関わるデータがどんどん蓄積されていく」という思想がありました。
佐々木が言った通り、「UPCYCLE 図面オプション」と「UPCYCLE メールオプション」はプラットフォームに流通する調達に関わるデータ種別を増やすことできたということと、見積情報を中心に関連するデータを数珠繋ぎにすることが新しい価値を生むと考えました。
それと同時に、データの種類が増えることはいいことだけど、継続的に「UPCYCLE」自体が価値を感じてもらえるようなユーザ視点は必要だと考えていました。
バイヤーの方々は、見積依頼、見積回答、サプライヤーとのコミュニケーションの他、見積を受領したらその後は見積の比較や分析など、多くの情報を集約して価格の妥当性を判断しなければなりません。
ですが、実際のところは、サプライヤーさん全てに対してメーカー側が見積書フォーマットを指定して全ての情報を取得することは不可能ですし、様々な書式や粒度で記載される見積書を時間を掛けて理解したうえで、データを整えることも必要だったりします。過去受領した見積書や類似見積に関連する図面も並行して探し出した上で分析や査定することは、自社だけでは難しかったんです。
だからこそ、今回のアップデートには見積情報を中心にその他のデータ種別も関連づけて、サプライヤーを巻き込まなくても、自社だけで情報を集約できるようにすることを実現したかったんです。

「UPCYCLE」アップデートの概要
「UPCYCLE」は、見積明細情報をAI-OCRを活用し構造化されたデータベースを構築することで、多様な視点での見積を分析や見積比較を容易にし、最適価格での調達やコストダウン余地の発掘を可能にするサービスです。
今回のアップデートにより、従来保有していた見積明細情報に加え、関連する図面やコミュニケーション履歴が一緒にデータベース化され、併せてリリースしたAI類似図面サジェストにより、類似図面と関連付けられた見積書を瞬時に探し出すことが可能になりました。見積書と図面の双方向から情報検索や見積価格にまつわるサプライヤーとのコミュニケーション経緯も確認できるようになり、業務をより効率的かつ高度化することが可能になります。

見積明細情報を中心に図面、コミュニケーション履歴を組み合わせて調達活動をさらに高度化する

▶︎調達データプラットフォームとして見積情報に加えて、図面やコミュニケーション履歴が追加されたということですが、具体的にユーザにはどんなメリットがあるのでしょうか?

北野 図面オプションはバイヤーの方々が持っている図面情報と見積情報が関連付けられるので、過去の類似部品図面という軸から見積情報という、いわば原価データにアクセスできるわけです。見積書と図面は別々のシステムで管理されている企業が多数だと思いますが、これらを一箇所に集約できるので原価データにいち早くアクセスが可能になります。
メールオプションはいろいろなポイントがあります。
まず一つ目は、サプライヤーさんから受領する見積書を漏れなく自動的にUPCYCLEに蓄積できることです。これまでの「UPCYCLE」ではユーザがアップロードすることでデータ変換を行なって構造化されたデータベースを構築していましたので、確実に情報集約することが可能になりました。
二つ目は、受領する見積書にコミュニケーション情報が付加されることで、様々な視点で見積書を検索できること。例えば、「この見積価格になった経緯ってなんだっけ?」とことにアプローチできますし、見積書軸やサプライヤー軸で情報にアクセスできるようになります。
三つ目は、組織的にコミュニケーション履歴を共有することができることです。バイヤーはある種、属人的に業務を進めなければならないこともあるのですが、その反面、人事異動があった際や新人が配属されたときに「なぜこの見積価格になったのか?」「どんなコミュニケーション経緯なのか?」ってことが把握しにくいという組織課題がありました。この点にアプローチできるようになり、人材流動性リスクへの耐性を高めたり、業務の平準化を助けることができると考えています。

佐々木 プロダクト開発の視点でいうと、「UPCYCLE」は「見積明細情報を構造化されたデータとして保有する」というこれまでに無かった情報を提供できたわけなんです。勿論、これにアクセスできれば、瞬時に見積情報を様々な視点で探したり、瞬時に複数の見積書を比較したりってこともできるわけですが、これはあくまでも見積明細情報を数値化したモノを探してるに過ぎないなって思うんです。だからそこに意味付けができたってことが大きな意味があるし、それがメリットだと思います。
具体的に言うと、図面と見積書って観点だったら、「どのような形状や材質、寸法なのか、という情報やどのよなうな処理が施された図面に関する見積書なのか」が把握できますし、コミュニケーション履歴と見積書ってことなら、「サプライヤーとどんなコミュニケーションがあってこの見積価格になったのか」が把握できるわけです。これまで、これらの視点はバイヤー各人が属人化して持っていた視点だったわけで、これがオープンな情報として共有知になることは「UPCYCLE」の大きな進歩だと思っています。

見積明細情報をさらなる付加価値へ昇華させる

▶︎今後、「UPCYCLE」で取り組もうと思っていることがあれば教えてください。

北野 「UPCYCLE」の独自性って、見積明細情報を構造化して保有していることだと思っています。例えば、経営視点で、原材料が上がったらどれだけ原価へのインパクトがあるのか?って考えたときに、企業内部のコストはERPなんかが保有していますが、サプライヤーからのコスト情報、要は見積明細情報という「サプライヤーのものづくり情報」というものは「UPCYCLE」でしか持っていないんです。
今後私たちはこの独自で保有する「社外の情報」をうまく活用して高度な意思決定に繋げるような製品を提供していきたいと思っています。

佐々木 一例を挙げて話をすると、お客様から聞く機会が多いことが、「値上げ」と「値下げ」に関してしての悩みです。外から買ってくる部品といううものは、常に価格変動っていうのが存在するわけなのですが、そのリスクに対して製造業の企業は対策は立てて動くものの、原材料の価格が上がってしまい値上げを受け入れないといけないという状況が発生します。
ただ、企業の経済活動においては一定の利益を確保しなければならないので、受け入れた分の値上げっていうのは適切なプロセスで売価に反映していかないといけないわけです。そうなると、売価に反映するために原価企画や営業部門との連携だったりが必要になり、営業は営業で客先に説明するための状況認識をしなければならないんです。
「なぜ上がっているのか?」「いくら上がったのか」っていう共通の状況把握ってすごく課題があると思っているんです。それではどうやってその売価を作り込もうってなったときに、これまでは調達・購買部門が直接貢献できることって限定的な部分があったと思うんです。
売価を作っていくには、上流の原価企画、設計、営業などが関わる領域だと思いますし。
お客様にヒヤリングしたときには、AIモデルを使って設計や原価企画部門が売価や原価を試算するってこともやっていると聞いていますが、原価の作り込みが甘くて結果的に赤字になってしまったことや、原価目標の精度にバラツキがあるってことはよく耳にしますし、皆さん課題だと認識されています。
「UPCYCLE」の圧倒的な独自性は北野が言った通り「サプライヤーのものづくり情報」を見積明細レベルで保有していたり、関連付けられた図面やコミュニケーション履歴を持っていることです。
これらのデータを活用できるようなカタチを作っていければ、早い段階でこのような課題に貢献できると思っていますし、そうなれば「UPCYCLE」は調達・購買部門のみならず、組織横断的に価値提供できるような製品になるのではないかと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!


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