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「誰もが簡単にAIを扱える社会」を目指す学生起業家の覚悟

AIに関する研究は日々進歩しており、すでに社会実装できるまでにその精度は向上しています。しかし、今でもAIを活用するには多額のコストと専門的な知識を持った人材が不可欠で、リソースに余裕のある企業しか利用できないのが現状です。

そのような状況を打破し、全ての企業が当たり前のようにAIを活用できる「AIの民主化」を実現することが私たちTechSwordのビジョン。現在はノーコードとエッジコンピューティングを使い、非エンジニアでも簡単に画像認識AIの開発・実装・運用ができる「TechSword Platform」を提供しています。

なぜAIの民主化を掲げているのか、その先にどんな未来を描いているのか、代表の長島 慶樹に聞きました。

AIが作る新しい未来に可能性を感じ起業を決意


−まずは起業を志したきっかけから聞かせてください。

起業を考えたのは大学4年生の時です。私がいた岡山大学では、周りに起業する学生などほとんどいなかったのですが、東京の学生起業家が何億円もの資金調達したというニュースを見て。同じ学生ができるなら、自分でもできるのではないかと思い起業することにしました。

大学では機械学習や深層学習技術を学んでおり、起業前からAIには大きな可能性を感じていました。いずれはAIに関わる仕事をしたいと思っていたので、起業する時もAIで価値を提供したいと思ったのです。

−一人で会社を立ち上げたのでしょうか。

いいえ。現在、CTOを務めている宮本に創業時に声をかけました。彼は同じ大学に通っていて、起業志向があるのを知っていたので、私から誘ったのです。私はAIの研究をしていたものの、決してコーディングが得意なわけではありません。そのため、コーディングが得意な宮本と起業したいと思ったのです。

最初は起業について何も知らなかったので、2人で法務局に手続きに行くことから始めました。理系の学生ベンチャーとは言え、大学の研究シーズをベースにしていたわけではないので、全て自分たちで起業準備を進めていきましたね。

中小企業も気軽にAIを利用できる「AIの民主化」を目指して


−どのようなビジョンを持って起業したのか教えてください。

私たちが掲げているのは「AIの民主化」です。都心部ではAIを活用している企業も増えていますが、岡山のような地方ではAIが遠い存在で、扱っている企業など数えるほどしかいません。それもそのはず、AIを扱うには専門知識を持った人材が必要で、コストも非常にかかります。

それではいつまで経ってもAIが普及しませんし、人口の優位性がある海外との競争力も失われていきます。そのため、誰もが簡単にAIを扱えるようにノーコードのプラットフォームを開発しようと思ったのです。エンジニアが簡単にGoogleのクラウドサービスを利用できるのと同じように、非エンジニアがプログラミングの知識なしにAIを使えるようなサービスを作ろうと思いました。

−多くの大企業やメガベンチャーもAIを普及しようとしていますが、なぜまだ普及しないのでしょうか?

その理由が人材不足にあります。日本ではAIの開発者に加え、現場で利用できる人材も足りず、年々AIへの需要が高まっているにもかかわらず、そのニーズを満たせていません。数少ない専門的な人材が開発しているため、AI開発のコストは莫大になるのに加え、企画から運用まで請け負ってくれる大手の開発会社に依頼すると、運用コストだけでも数億円にのぼります。

リソースに余裕のない中小企業は依頼ができず、今でもAIは一部の大企業だけのものになってしまっているのです。

−どのようにその課題を解決しようとしているのか教えてください。

私たちが提供しているのは、SaaSモデルのサービスです。安価に提供できるため、1社ではAIを開発できないような中小企業でも気軽に利用してもらえます。

大手のAI開発会社とは全く異なるポジショニングをとっているため、学生2人で立ち上げた私たちの会社でも十分に勝ち筋があると思っています。

−ポジショニングに加え、技術的な強みもあるのでしょうか。

一つは運用フェーズでの強みです。他社のシステムでも、アノテーションや学習フェーズを簡単に行えるツールはありますが、運用フェーズまでカバーしているシステムは多くありません。私たちの画像認識システムは運用技術に強みを持っているため、誰でも簡単に運用ができます。

特にエッジデバイスへの組み込みプロセスの自動化は私たちの一番の強みです。最近はAIとハードウェアを組み合わせる技術が注目を集めていますが、技術的なハードルが高いため、取り組んでいる企業は多くありません。その点、私たちはハードウェアとAIの連携を強みにしているため、他社にない価値を提供できています。

−現在の事業フェーズも教えてください。

将来的には全産業にサービスを展開したいと思っていますが、現在は製造業に特化してサービスを展開しています。なぜなら、製造業でAIを活用しているのは一握りの大企業だけ。一方で、人口が減少していくこれからの時代は製造業にAIは欠かせないものになり、必ず中小企業のニーズが高まってくるからです。

だからこそ、まずは製造業で価値を提供し、確固たる信頼を築いていきたいと思っています。「ノーコードのAIツールと言えばTechSword」と言われるようになれば、他の産業にも進出しやすくなりますよね。

現在は岡山を中心に複数の製造業の会社に利用してもらっており、好評を頂いています。

事業をドライブできるビジネス経験豊富なCOO候補を募集中

−現在はCOOを募集していますが、その背景を聞かせてください。

現在は私が中心になって戦略を考えているのですが、私もビジネス経験が豊富なわけではありません。戦略通りに動けば事業が成長するとは言い難く、常に戦略を見直しながら事業を進めています。そのため、より事業の成長スピードを上げるためには、一緒に戦略を練ってくれる、業界知識が豊富でビジネス経験のある方が欠かせません。

もちろん、いきなり経営を任せるのではなく、営業やマーケティングをしてもらいながら、徐々に経営にも携わっていってもらいたいと思っています。FA(ファクトリーオートメーション)関連の会社で実績を積み、新しいチャレンジをしたい30歳前後の方に興味を持ってもらえると嬉しいですね。

−現在はどのように顧客を開拓しているのでしょうか?

業務委託でお願いしているテレアポからのリード獲得が大半です。残りの半分は地銀と連携して紹介していただいています。現在の顧客は岡山県内ばかりですが、県外のお客様にテストをしてもらっている状態なので、これから本格的に全国展開も進めていきたいですね。

今後、自社の営業リソースに依存せずにサービスを拡販していきたいので、事業を成長させるにはパートナーセールスが鍵だと思っています。今後、新しい業界にも展開していくことを考えているので、そのようなパートナーセールス戦略も考えられる人にジョインしてもらえると嬉しいです。

−最後に、今後の戦略についても聞かせてください。

私たちはVCから資金調達をしていますし、IPOを目指しています。BtoBでビジネスを展開していく以上、IPOは一定の信頼に繋がりますし、資金調達もしやすくなりますから。

しっかり会社の基盤ができたら、今度は自分たち以外の領域のノーコードツールのスタートアップを買収していきたいですね。画像だけでなく、構造化データや自然言語処理の領域でもいいので、他社の技術も活用しながら領域を広げていきたいと思っています。

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