GOの法人事業本部では、執行役員の中西と、新卒2年目の石丸による一風変わった1on1が続いています。
それは石丸の提案から始まった、実在企業の事業構造を分析する「ケーススタディ」の場。毎回、石丸が数十時間のリサーチを経て導き出した勝ち筋を、わずか5分で中西にプレゼンをします。
なぜ、若手社員が自ら役員に特訓を挑み、役員はそれに応え続けるのか。
既存の1on1の枠を超え、立場を超えてぶつかり合う二人の舞台裏。そこから見えてきた「最短距離で伸びる人の共通点」を紐解く、真剣勝負の対話セッションをお届けします。
中西 佑樹 執行役員
2008年に不動産会社でプロパティマネジメントからキャリアを開始。2015年にフィリピン・セブ島で語学学校を創業し、経営とグローバル視点を培う。2019年には国内スタートアップで取締役としてビジネス、コーポレート、人事を含む全社領域を統括。2024年10月にGOへ入社し、2025年1月より法人事業本部長として『GO BUSINESS』の成長と新規事業開発を推進。2025年7月より現任。全社的な注力施策である新卒採用プロジェクトも管掌。
石丸 雄仁 法人事業本部 法人事業部 テックセールスグループ
学生時代は、人材会社で長期インターンを経験。RA/CAの採用支援から学生組織の代表として組織全体の運営に携わる。2024年にGO Inc.新卒二期生として入社。現在は、テックタッチ施策による顧客支援チームにて、法人サービス『GO BUSINESS』の顧客体験向上を推進。
目次
- この人からすべてを盗みたい。新卒からの逆提案
- 役員が突きつける、勝負を決める3つの問い
- 「失敗したくない」を捨てた先に見えたもの
- 100年続く企業へ。次世代のリーダーを育てる責任
この人からすべてを盗みたい。新卒からの逆提案
——2025年10月から始まった、ケーススタディ形式の1on1。そもそも、なぜこのような1on1が始まったのでしょうか。
中西:始まりは、石丸さんからの提案でした。去年の10月くらいだったかな。1on1の冒頭で「やりたいことがあるんです」と切り出されたんです。
石丸:はい。きっかけは、社内で学生向けの事業企画ワークがあって、そこにサポーターとして参加したことでした。学生たちが必死に考えたアウトプットを横で見ていて、ふと「自分は社会人として、彼ら以上に圧倒的な答えを返せるだろうか?」と考えてしまって。そこですごく不安というか、自分に対する危機感が湧いてきたんです。
中西:あの時の石丸さん、かなり切羽詰まった顔で話してましたよね。
石丸:実は、僕の根底には「日本の価値を、実力で証明したい」という強い思いがあるんです。10歳くらいまでドイツに住んでいたんですけど、当時は子供ながらに、街中で差別的なジェスチャーをされることも多くあって。ただ歩いているだけで蔑まれるような、あの時の言いようのない悔しさがずっと消えずにいました。
中西:なるほど。その時の悔しさみたいなものが、石丸さんを突き動かすエネルギーの源泉になっているんでしょうね。
石丸:はい。でも正直、当時の自分の視座では、そこへ辿り着く道筋が全く見えなかった。そんな中で中西さんと一緒に仕事をさせてもらう機会があって、意思決定のスピードや事業を捉える深さを目の当たりにした時、「あ、これが結果を出し続ける人の基準なんだ」とショックを受けたんです。
理想とする姿を間近で見て、「今のままじゃ、一生ここには辿り着けない」と本気で焦りました。それで、中西さんから学べることは、今のうちに全部盗んでおきたいと思って「1on1の時間で、ケーススタディをやらせてください」とお願いしました。
中西:僕はその申し出を「渡りに船」だと思っていて。ちょうど組織全体としてインプットの総量を上げる必要性を感じていた時期だったんです。
特に新卒メンバーには、現場の業務だけでなく、経営層や投資家の視点を早くインストールしてほしかった。でも、僕から「勉強しろ」って押し付けても何の意味もない。石丸さんから自発的に「やりたい」と声が上がったこと自体に、一番の価値があるなと思いました。
役員が突きつける、勝負を決める3つの問い
——具体的なセッションの進め方を教えてください。
石丸:毎回、中西さんから実在する企業のお題をもらって、対象企業のIRやニュースを徹底的に読み込みます。市場定義、競合、勝ち筋、数値計画まで……数十時間かけてリサーチするんですが、1on1の時間は30分。なので僕は、その企業のビジネスモデルをプレゼンする時間を5分に収めると決めているんです。
中西:石丸さん自身が「フィードバックの時間を最大化したいから、プレゼンは5分にします」と言ってきましたよね。
石丸:数十時間のリサーチ結果を5分に凝縮するのは、想像以上に大変です。最初は情報をすべて盛り込もうとしてしまい、何が重要なのかがぼやけてしまうこともありました。
中西:経営層に提案するとき、相手が知りたいのは「調べた証拠」ではなく、「どう勝つのか」という意思決定の根拠だけなんですよね。その要点抽出と構造化こそが、ビジネスの本質だし、最も力が問われる部分です。
石丸:5分という制約があるからこそ、何が本質なのか、どのレバーを引けば利益が出るのかという構造を、必死に整理するようになりました。このプロセスを繰り返すことで、思考の精度が目に見えて上がっていく実感がありました。
——フィードバックの際、中西さんはどのようなポイントを意識されているのでしょうか。
中西:案を見るときに大切にしている視点はいくつかありますが、例えばよくお話しするのは次の3点ですね。
- そのモデルにおいて、何を取れば勝てるのか(オセロの四隅)
- それをどう取るか(実行プロセス)
- それをどう取り続けるか(持続可能性)
石丸:僕はどうしても「現在のデータ」から積み上げで考えてしまうのですが、中西さんの視点は常に「未来」からの逆算なんです。「今はこうだけど、数年後には社会構造がこう変わる。だから今、このアセットを押さえておかなければならないよね」といった時間軸の話を常に意識させられます。
中西:石丸さんが盤面の石をひっくり返していても、僕が「そこ、角取られてるよ」と言えば全部ひっくり返る。要は「オセロの角」をどこで取るかっていう、その大局観を擬似体験してほしかったんですよね。
石丸:繰り返すうちに、中西さんが見ている景色の正体が少しずつ見えるようになってきました。
そして、この訓練は、現在の仕事にも確実に活きています。僕は現在、法人サービス『GO BUSINESS』の顧客体験向上に取り組んでいますが、以前よりもお客様の状況を構造的に捉えられるようになりました。
中西:実際、社内の会議でも石丸さんの発言やマインドは変わりましたね。周囲のマネージャー陣からも「安定感が出てきた」という評価を聞くようになりました。
「失敗したくない」を捨てた先に見えたもの
——内面的な変化についてはいかがですか。
石丸:最初の頃は、自信のなさがアウトプットの構成に出ていたと思います。学生時代からインターンなどの経験もあり、情報をまとめること自体には慣れていました。でも、中西さんを相手にするとなると、どうしても「失敗したくない」「変なことは言えない」というプライドが邪魔をしてしまって。
中西:網羅性に逃げてしまうみたいな感覚かな?
石丸:はい。数十時間かけて調べたデータがあるからこそ、そのすべてを正しく伝えたいという気持ちもありました。でも、中西さんが求めていたのは、その膨大なデータの中から、どれを捨て、どの可能性に賭けるかという「意思決定の筋道」です。
中西:僕は石丸さんのアウトプットが最初から筋が良いと思っていたからこそ、あえて基準を下げずに接していました。現場の担当者レベルなら「よく調べたね」と評価されるかもしれないけれど、僕が石丸さんに求めていたのは「経営判断」の視点。だからこそ、不要な情報を削ぎ落として「これだ」と言い切る胆力が必要なんです。
……でも、その「失敗したくない」という気持ちはどうやって克服していっ
たのかな?
石丸:今回のワークは、何も知らない状態から始まるので、最初から「これ、どこから何を調べればいいんだろう」という手探りのスタートでした。だからこそ「失敗して当たり前なんだ」という前提をようやく受け入れられたんです。「失敗を繰り返した先に成功があるんだ」と腹落ちし、だんだんと意識が変わりました。
中西:なるほどね。その姿勢が身についてから、石丸さんの発言にはぐっと強さが増したように感じます。面白かったのが、ある時からプレゼンの主語が「弊社」に変わったこと。「弊社としましては……」って(笑)。
石丸:ああ、そうでした(笑)。
中西:最初は、「えっ、弊社?」って耳を疑ったけど(笑)、それくらいその企業の経営者として考えていて、視座が変わったなぁと感じました。
でも、これこそが重要なんです。第三者の解説はいらなくて。当事者として「投資してくれ」と言えるかどうか。その主語の変化は、大きなターニングポイントだったと思います。
——そうした「視座の変化」は、新卒2期生という今の立場だからこそ得られたものなのでしょうか。
中西:それは間違いなくあると思う。というか、この時期にこそやるべきです。
今の年齢や、今の立場で置かれている環境を最大限に「使い倒して」、使えるものは全部使ってほしい。特に新卒1〜3期生ぐらいは、まだそれが許されるフェーズです。
変に「自分はもう出来上がっている」と思い込んでしまうと、人に教えを乞うこともできなくなるし、周囲からも成果だけを求められるフェーズに変わってしまう。だから、今のうちにたくさん失敗して、吸収しておいたほうがいい。
石丸:新卒だからといって遠慮するのではなく、今しか使えない「甘えられる特権」を理解して、環境を使い倒すということですね。
中西:そうそう。そして石丸さんには、それを自分だけで完結させずに、周りにも波及させてほしい。本気で「環境を使い倒すことには価値がある」と実感している彼が、他のメンバーにも良い影響を与えてくれることを期待しています。
100年続く企業へ。次世代のリーダーを育てる責任
——中西さんは、なぜこれほどまでに新卒一人と深く向き合っているのでしょうか。
中西:GOが掲げる「移動で人を幸せに。」というミッションは、僕の世代だけで完結するものではないからです。会社として「100年続く企業を目指す」と掲げていますが、その時間軸で考えるなら、次の時代を担うリーダーが絶えず育ち続ける仕組みが不可欠です。
だから、次世代のリーダーを連れてくること、そして彼らを引き上げることは、今のリーダーである僕自身の重要な役割だし、それこそが責任だとも感じています。
石丸:中西さんから「次世代リーダーを連れてくることが自分の役割だ」というお話を聞いた時、改めて身が引き締まりました。単なる教育ではなく、組織を継続させるためのミッションとして僕らを見てくれているんだな、と。
中西:石丸さんのような新卒メンバーには、その先陣を切る存在になってほしいと思っています。自ら事業を牽引しつつ、次世代を高い基準へと引き上げていく。それが、GOのバリューである「次の時代をつくる。」を体現することに直結していると考えています。
石丸:GOは、自分から声を上げれば、役員やマネージャーが本気で応えてくれる会社です。実は、僕は中西さん以外にも、多くのマネージャーの方々に1on1をお願いしています。自分の理想像に必要な強みを持っている方を見つけて、アドバイスを仰ぎに行くと、皆さん「やろう!」と快く時間を割いてくださいます。
僕は、いつか、中西さんを「お、すごいな」って驚かせるような事業を打ち出したいです。この環境を最大限に活用して、GOの未来を担う一人になりたいと思います。
中西:期待しています!今後も、誰かが「やりたい」と言ってきたら、僕は実験的な試みも含めてどんどん付き合うつもりです。
石丸:ありがとうございます。また次回のセッションも、よろしくお願いします!
※掲載内容は2026年2月時点の情報です。