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コンサルティング、IPO、そしてAI BPOの創業。「技術で業務を変える」を追い続けたキャリアは、"話すAI"にたどり着いた。
新卒で入社したマッキンゼーではテクノロジーセクターを担当し、AI黎明期のプロジェクト立ち上げにも参画。その後、画像解析AIスタートアップ「ニューラルポケット」でCOOとしてIPOとM&Aを経験し、独立後の2025年にはAIで業務を丸ごと代行する「AI BPO」企業・リソースワーカーを創業——。約9年にわたりAI業界の最前線を歩んできた周涵が、このたびチームごとDaisybellグループに参画し、Daisybell Japanの代表取締役に就任しました。
本記事では、そのキャリアの原点と「なぜいま、音声AIなのか」を、周涵にインタビューしました。(聞き手:Daisybell Japan 広報)
1. マッキンゼー時代── テックセクターで立ち会った、AIブームの始まり
── まずは自己紹介をお願いします。キャリアのスタートはマッキンゼーだったそうですね。
周:大学を卒業して、新卒でコンサルティング会社のマッキンゼー日本支社に入社しました。マッキンゼーには4年ほど在籍し、主にテクノロジーセクターを担当していました。
── 当時はどのようなプロジェクトに携わっていたのですか。
周:最後の1年ほどは、ちょうど日本でも深層学習などのAIが盛り上がり、「第3次AIブーム」と言われ始めたタイミングでした。AIをクライアントのビジネスにどう活かしていくか——そういったプロジェクトをクライアントと一緒に進めていこうという立ち上げプロジェクトにも、チームの一員として関わっていました。
AIが研究の世界の話ではなく、実際のビジネスの成果につながるものとして注目され始めた時期です。世の中がAIの可能性に気づき始めた、まさにその瞬間に現場にいた。いま振り返ると、ここがAIとの関わりの原点になっています。
2. ニューラルポケットの5年── COOとしてIPOと海外M&Aを駆け抜ける
── その後、コンサルタントから事業側へ転身されます。
周:一緒にやっていたAIチームのリーダーの先輩が独立するのに付いていく形で、2019年にマッキンゼーを退社し、画像解析AIの会社「ニューラルポケット」に参画しました。街のドライブレコーダーの映像から人流を分析したり、交通量を把握したりといった画像解析AIを提供している会社です。
提案する側から、自らつくって届ける側へ。AIの事業化を本当にやりきるなら、事業の当事者になるべきだと考えての決断でした。
── ニューラルポケットでは、どのような役割を担っていたのですか。
周:私自身は営業やアライアンスといったビジネスサイドの仕事を一貫して担当し、COO(最高執行責任者)を務めました。約5年の在籍の中で、途中でIPOも経験しましたし、他の会社をM&Aしてその子会社の代表を務めるなど、スタートアップの成長のさまざまな局面を事業責任者として経験させてもらいました。2022年8月まで、約5年在籍しました。
── AIを「つくる側」ではなく「事業にする側」を一貫して担ってこられたのですね。
周:そうですね。どれだけ優れた技術でも、お客様の業務の中で実際に使われ、価値を生んで初めて意味を持ちます。技術をビジネスとして成立させ、お客様に届けきるところまでやる。AIという最先端の技術を、現実の業務・現実の売上に接続する仕事をずっとやってきました。この経験は、いまの仕事にそのままつながっていると感じます。
3. 独立、リソースワーカー創業── 「AI BPO」という着想
── 2025年にはご自身の会社「リソースワーカー」を設立されています。その背景を教えてください。
周:2022年に独立してからは、自分の会社を立ち上げたり、知人の会社を役員として手伝ったりと、さまざまな活動をしてきました。そうした中で2025年に、以前自分が経営していた会社からスピンアウトする形で設立したのが、テック企業のリソースワーカーです。
背景にあったのは、生成AIという、これまでとはレベルも質も大きく異なるAIの技術的進化です。ニューラルポケット時代からかれこれ9年近くAI業界に関わってきた中で、改めてAIを活用した本格的な事業を立ち上げてみたい、と考えたのが起業の理由でした。
── 「AI BPO」とは、どのような考え方なのですか。
周:着目したのは、AIがこなせる業務の範囲が大きく広がっている、ということです。従来のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、人が業務を代行するものでした。それをAIが担えるようになれば、「業務を丸ごと代行する」ことがまったく新しい形で実現できるのではないか。
ツールを提供して「使い方はお客様次第」ではなく、業務の成果そのものを引き受ける。この「AI BPO」という仮説のもと、まずはエンジニアを中心にリソースワーカーを立ち上げ、人事領域からスタートして、徐々に対象領域を広げていきました。
── これまでのキャリアで一貫している「軸」があるとすれば、何でしょうか。
周:何かしらの技術を活用して、世の中を大きく変えられること。既存のビジネスのあり方や、さまざまな業務のあり方を変えられることに取り組む。そして、他の人がまだやっていないような新しいことにチャレンジする。この2つを大切にしてきました。
コンサルティングも、画像解析AIも、AI BPOも、その意味では一本の線でつながっています。新しいチャレンジへの好奇心が、自分のキャリアの原動力なのだと思います。
4. なぜ「音声・電話」なのか── 人間に最も自然なインターフェース
── 数あるAI領域の中で、なぜ「音声・電話」に可能性を感じたのですか。
周:いまのAIは、ChatGPTが代表的ですが、基本的には文章を入力することを前提としています。ただ実際のところ、文章の入力には相応の労力がかかりますし、人間のコミュニケーションとしてはあまり自然ではありません。
人間のコミュニケーションの中で、おそらく最も自然で、かつ楽にできるのが「言葉を使って話す」ことです。それが実際の業務と結びつくと、「電話で何かをやる」といったような音声でのやり取りになります。電話は、あらゆる業種・あらゆる企業に存在する、最も普遍的な業務のひとつです。ここを突き詰めて実際のソリューションに落とし込むことに、非常に大きな可能性を感じました。
── 一方で、音声AIは技術的に難しい領域だとも言われます。
周:そこがもうひとつの理由で、技術的な面白さです。音声はやり取りのレスポンス速度、リアルタイム性が強く問われます。文章のAIなら数秒待てても、電話で数秒の沈黙は許されません。その条件下で、実際の業務に組み込める、本当に使えるレベルのサービスを作り込むのは非常にチャレンジングなことです。
難しいからこそ、実現できたときの価値が大きい。そこで意味のある取り組みができるということに、純粋に知的好奇心と面白さを感じました。
5. Daisybellとの出会い── ユーザーから、日本代表へ
── Daisybellとの出会いの経緯を教えてください。
周:最初は「ユーザー」でした。リソースワーカーで人事領域からそれ以外の領域に事業を広げていく過程で、新規獲得のためのセールス電話のソリューションとして、純粋にDaisybellを活用していました。
そこからDaisybellのチームと意見交換を重ねる中で、ソリューションを担いで代理店的に活動する話も含めて関係が深まっていきました。そして今回、リソースワーカーというチームごとDaisybellグループに参画して、Daisybell の日本と東南アジアの事業を見てくれないか、というお話をいただいたのです。
── 代表就任を決めた、決め手は何でしたか。
周:会話を重ねる中で、最終的に向かおうとしている方向性、やろうとしていること、見ている世界観に強い親和性を感じました。それがまさに「AI BPO」であり、先ほどお話しした音声の可能性とチャレンジの面白さです。自分がゼロから目指していた世界を、世界水準の技術とチームを持つ会社で実現できる。ここが今回の決め手になりました。
── 改めて、Daisybellとはどのような会社なのですか。
周:北米に本社を持ち、シリコンバレーなど世界各地の拠点で開発したソリューションをアジアを中心に世界各地に展開する、世界最先端の音声AIを開発しているグローバル企業です。アジアは主に現在、日本・韓国・香港と東南アジアなどで商用展開しています。チームとしては、これまで、グローバル全体で月間1,000万件超の通話量・データを扱ってきており、この規模のデータを活用してAIを継続的に進化させ続けている体制があることが、プロダクトの大きな強みになっています。
── 初めてDaisybellのデモを体験したときの、率直な感想は。
周:非常にレベルが高いな、というのが率直な印象です。これであれば確かに、人間の代わりに電話をかけたり受けたりすることができる。ユーザーとして数多くのツールを見てきた立場からも、素直にそう感じました。
── 就任後、実際の導入現場や顧客の反応に触れて、印象が変わったこと・確信に変わったことはありますか。
周:導入の現場に案内してもらったり、お客様と接する場面が増えていますが、印象が大きく変わったことはあまりなく、概ね想定通りです。ただ、確信に変わったことがあります。それは、我々のソリューションに対するニーズの強さです。
商談をしていても毎回反応が良く、「次の具体的な話をぜひ検討したい」と商談が次のステージに進むケースが非常に多い。それだけ、現場の課題が切実だということです。大きな事業機会だという確信を、日々深めているところです。
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