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10年目の起業家「スタートアップの中小企業化問題」の解

※こちらは2022年8月10日に、代表の埴渕noteで掲載した内容の転載になります。

3ヶ月毎の役員会に合わせて書いてるnoteのテーマを探してるときにこれがTwitterで流れてきた。

Re:StartUp! 10年目の起業家は「スタートアップの中小企業化問題」をいかに乗り越えたか|Yuta Kamisaka
8月2日に2013年4月に創業し9年強経営してきたViibar社を「VideoTouch株式会社」に社名変更しました。また、フェムトパートナーズ株式会社、株式会社プレイドの2社から7億円の資金調達を実施しました。 ↓ プレスリリース Viibarが「VideoTouch株式会社」へ社名変更。7億円の資金調達を実施 VideoTouch株式会社のプレスリリース(2022年8月2日 ...
https://note.com/cmsk/n/n03091b0c3dac

起業家というセグメントに向けた良ポストだと感じたため、乗っからせてもらいながら書こうかと思う。ちなみに上坂さんとは直接的な面識はないが、「動画」という領域のプレイヤーで弊社株主のUUUMさんに事業売却されてたりしたので気になる存在であった。

目次

  1. 「スタートアップの中小企業化問題」の解② 両利き経営の実現
  2. 経過に対する3つの観点
  3. ①人材
  4. ②市場のタイミングについて
  5. ③資金
  6. コアの定義と爆発的な成長を諦めない

「スタートアップの中小企業化問題」の解② 両利き経営の実現

結論からいうと上坂さんがトライしている潔く選択と集中し一点突破する、とは違い、既存事業も進めつつ新規事業も進める両利き経営の実現を弊社ではトライしている。(こう書くとある時点で決断をして、そこから内容を定め実施してきたという印象があるが、不確定材料が多い中で走りながら考えてきた、というのが正直なところ)

事業背景を簡単に說明するとYouTube市場は常に拡大しているが、YouTubeクリエイターのマネジメント、インフルエンサーマーケティングを提供する弊社が直面している難点だけをあげる。

  1. 視聴者数増加を超えるYouTuberの増加→チャンネルごとの競争環境は激化して再生数が取りにくくなっている
  2. 業界の拡大と複雑化→クリエイターエコノミーが成熟化に向かっていくにあたってより深い専門性が求められる
  3. 他国展開の困難→プラットフォームはグローバルで開かれているもののコンテンツの提供言語によって国境を超えるのが難しい

このような環境に置いて、クリエイターエコノミーという事業からは軸をずらさず、過去の延長ではなく新たな事業での成長が必須であった。1−2年前から準備を進めて結果論だけでいうと既存事業及び新規事業ともに成長できた。

両利きの経営は恐らく大企業がどう継続的なイノベーションを生み出し、非連続な成長を実現するか、という文脈で使われることが多いのかと思う。スタートアップの定石のような一点突破は憧れるし、社会全体で見ると多産多死で数社のホームランが出すことを目指すのが正しい。ただ様々な事業や背景があるので、今はこの選択で結果を出し、正しかったと証明することに全力をかけている。

経過に対する3つの観点

①人材

上記の結果を得るために暫定的に僕のCEOの仕事の多くは引継ぎ、約8割の時間は新規事業にあてた。なぜそのようなことが可能だったか、他のメンバーが優秀でがんばった、の一言ではあるのだが、下記がそこに至るまでの他社でも参考になるかもしれない共有事項だ。

現在は社内でこのようなリーダー陣のマッピング表がある。誰がマネジメント職、誰がプロフェッショナル職(Individual Contributorと社内で表現)、誰が事業フェーズの0→1、10→100を今は担当しているか、を社内で公開している。またこれは現在の役割で比較的頻繁に変わる。

ここに至るまでは大きな衝突などもあった。簡単に言うと管理職でなくなる、という事象が不定期で生じると多くは降格だと認識され、離れていった幹部たちもいた。ただ変化が多いスタートアップに至ってその時々で求められる役割が変わってくる。マネジメント職でなくなることは降格でなく、役割変化でしかない、と共通認識を持ってもらう意識改革。頻繁な変化を受け入れる土壌。それらを進めるための率直なコミュニケーションを1~2年かけて行った。

②市場のタイミングについて

自らの事業において、市場がどのフェーズにいるか、という想定は難しい。ビル・グロスさんがこの動画でいうように「タイミング」が成功要因における1番重要なファクターでもある。

ここ1−2年既存事業を任せて、新規事業を担当する中で強烈に意識したことは僕を含む起業家は市場の始まりに注目しやすく、実際よりも早くマスに達すると想定しがちである、ということだ。また市場がマスに到達するに連れてこれまでの会社も変わっていかなければならない。僕からすると「もうみんなずっとYouTubeしか見てないっしょ」と思いがちではあるが、実際の台湾でのYouTube広告市場でいうとようやくキャズムを超え始めたところのようだ。既存事業が結果的に伸びたのが、適切な人材に任せれた要因も大きい。起業家の多くがファーストペンギンか、ファーストペンギンを見て動くと思うが、キャズムを超えるタイミングがどこか、それに合わせてどうスケジューリングしてどういう人材に任せるかの検討は成功するかどうかに大きく影響する。僕らはちょうどマスに達するところで適切なメンバー交代ができた。

③資金

両利きの経営における既存事業は利益が出ている、ということが前提になるかと思う。弊社の場合は利益を出そう、という状態だった。両利きで進めると決めた時点で何が何でも既存事業での黒字化を目指すことにした。

1度に大幅なリストラなどは行っていないが、定期的なリストラクチャリングを行い、その度に各種の痛みを伴った。何度行ってももっと早くやっておけばよかった、、という振り返りになるのだが、いつも億劫になってしまう。日本と違うのは退職金(のようなもの)を正当に支払うと解雇が可能なところだ。これができないと会社経営の難易度は格段にあがる。

直近は一時的な要因もあり新規事業の投資分を吸収するほど既存事業の利益が出るようになったが、当初は社内で決めていた6ヶ月分の固定費分の現金保有を割るか割らない、という状況であった。繋ぎ融資としてGxPartnersさん、FFGベンチャービジネスパートナーズさん、2つの福岡拠点(弊社実は創業は福岡)のVCから資金調達を実施した。GxPartnersの中原さんには今回からでなく創業時にも金融公庫在職時にお世話になっている。長年の付き合いの中で常に起業家サイドの事業視点を考えてくれながら、相談しやすい人柄ですごく助かっている。エクイティファイナンスと合わせてデッドファイナンスもサポート頂き、ここから攻めるための資本政策の相談にも乗ってもらっている。当時の資金調達がなければ心理的に大胆に動くことが難しかった。

コアの定義と爆発的な成長を諦めない

起業10年目となり、若くないと自己認識を強く持つようにしている。その上で圧倒的に動けるおじさんになろう、と。

新規事業の成長に伴い、日本での採用を開始した。日本での会社の知名度も高くないので期待はしてなかったが、思った以上の成果がありワクワクしている。このnoteを見てくれていた人や、自分でも気づいてなかった強みを弊社に見出して応募してくれたり。改めて考えると弊社は知名度はないものの採用プラットフォーム上でのユニークネスはある気がする。


風は吹いているか|はにぶちしゅうせい|note
■台湾のコロナの状況と事業5月19日から始まった台湾コロナ2波に対する第3級措置(ロックダウン一歩手前?の緊急事態宣言のようなもの)も7月27日に終わった。弊社は少し間をあけた8月9日から出勤を開始。会社の期でいうと2Q(3月〜6月)の約半分、3Qの1/3がコロナの影響が大きく出た。 ...
https://note.com/xiaoha/n/na3ff0a446a8f

1年前のnoteのタイトルは「風は吹いているか」。逆風を利用して飛行機が飛ぶことを自らのストーリーに合わせて社員を鼓舞する意味合いで作ったのだが、1番鼓舞されたのは自分だったかもしれない。いま振り返るとどんなこじつけだよー!!と突っ込んでしまうw

2013年11月に起業、あと1年ちょっとで10年。引き続きクリエイターエコノミーの市場でもっと圧倒的な成長を目指していく。

PS. トップ画像は今話題のMidJourneyで「Startup, Hope, Hopelessness」で作ってみました

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