なぜシステムは夜にローンチされるのか――ITプロジェクトの現場にあった“当たり前”
「また夜のローンチか…」
昔のプロジェクトルームでは、
そんな言葉が自然に聞こえていました。
私の経験でも、システムのローンチは夜が多い。
あるいは、土日や長期休暇。
なぜそんな運用が続いてきたのでしょうか。
その背景には、ITプロジェクト特有の現実がありました。
夜のローンチが多い理由
多くのシステムプロジェクトでは、
深夜にシステムを切り替え、翌日から新システムを使う
という形がよく取られてきました。
あるいは
・土日に作業
・月曜から新システム
という形です。
理由はとてもシンプルです。
区切りが良いから。
「月曜日からシステムが変わります」
この一言で、ユーザーへの説明が成立します。
プロジェクトでは、
技術以上に説明と整理のしやすさが重要です。
その意味で、
夜のローンチや週末ローンチは合理的でした。
金融システムはさらに特殊
特に金融系システムでは、この傾向が強くなります。
理由は明確です。
平日の昼間はお金が動いているから。
銀行や決済システムなどでは、
平日昼間にシステムを止めることは基本的にできません。
そのため、
変更作業は土日
というのが長年の常識でした。
さらに大きなシステム変更になると、
ゴールデンウィークなどの長期休暇が選ばれます。
「GW中に変更作業を行い、
GW明けから新しいシステムになります」
金融プロジェクトでは、
このパターンは珍しくありません。
システム屋にとってのGW
若い頃、私はこう思っていました。
システム屋とは、そういう仕事だ。
ローンチが控えている年は、
GWが消えます。
プロジェクトルームに集まり、
夜中の切り替えを待つ。
ログを見ながら、
無言で画面を見つめるエンジニアたち。
そして切り替えが成功すると、
静かな安堵が流れる。
派手ではありませんが、
プロジェクトの一番リアルな瞬間です。
しかし時代は変わり始めた
最近、この常識が少し変わってきています。
理由はいくつかあります。
まず、
土日に人を集めるのが難しくなったこと。
働き方の価値観が変わったからです。
さらに、
月曜の高負荷タイミングで新システムを稼働するリスク
も見直されるようになりました。
また、現実的な問題として
・休日手当
・労務調整
・人員確保
などの調整コストも無視できません。
その結果、
ローンチの方法そのものが見直され始めています。
システムと働き方は一緒に変わる
昔は
システム屋=土日出勤
というイメージがありました。
しかし今は違います。
クラウド
自動化
CI/CD
段階リリース
技術の進化によって、
システムのリリース方法も変わりつつあるのです。
そして同時に、
働き方も変わる。
IT業界は、
常に変化の中にあります。
だからこそ面白い。
システムが変われば、
仕事の仕方も変わる。
そして次の常識は、
今の現場から生まれていくのだと思います。