陽炎を追い越す、風鈴の震える合図
Photo by Emma Gasseau-Dryer on Unsplash
こんにちは!貴志太一です。
夏の盛り、アスファルトの向こう側でゆらゆらと立ち上る陽炎を見つめていると、実体のない何かに手を伸ばしているような不思議な焦燥感に駆られることがあります。企業の採用やブランディングという仕事も、時としてこの陽炎を追いかける作業に似ているのかもしれません。理想の人材、理想の組織。追いかけても近づけば逃げていくような不確かな像を、いかにして確かな実体として捉え、言葉という器に収めるか。それが私の毎日の挑戦です。
多くの企業様を支援させていただく中で、組織の奥底に眠る「化石」のような価値観に出会うことがあります。それは、かつては力強く脈打っていたはずの情熱が、長い年月をかけて硬く、無機質な形へと固まってしまったものです。誰にも見向きもされず、ただそこにあるだけの古い記憶。私はその化石を丁寧に掘り起こし、現代の光に当てることで、再びそこに熱を宿らせる作業を大切にしています。過去の遺物として終わらせるのではなく、これからの未来を創るための、動かしがたい土台として定義し直すのです。
企業の魅力をSNSで発信するとき、私は心の中にひとつ、小さな風鈴を吊るしています。どんなに激しい情報の波が押し寄せてきても、その風鈴がチリンと涼やかな音を立てる瞬間、すなわち「その企業らしさ」が純粋に表現された瞬間を逃さないためです。広告のような大きな音で叫ぶのではなく、風に揺れる風鈴のように、耳を澄ませた人にだけ届く、温度のある合図。そんな繊細な発信こそが、陽炎の向こう側にいる、まだ見ぬ誰かの心に深く染み渡ると信じています。
人事としての冷徹な視点と、マーケターとしての柔らかな感性。その二つが交差する場所に立つ私は、いわば企業の「通訳者」です。化石のように固まった重たい想いを、風鈴のように軽やかで透明な言葉へと翻訳し、陽炎のように不透明だった未来を、一歩ずつ歩める確かな道へと変えていきます。数値としての成果はもちろんですが、それ以上に、その場所で働く人々の瞳に再び光が宿る瞬間を見届けることが、何物にも代えがたい私の報酬です。
陽炎は、熱があるからこそ生まれます。そして化石は、かつてそこに確かな命があった証です。どんなに困難な採用課題であっても、そこには必ず、解決のためのヒントとなる「熱」や「命の跡」が隠されています。私はそれを見つけ出し、風鈴の音色に乗せて世界へと放ちます。その音が、新しい時代の扉を叩く合図となるように。
もし、今のあなたの組織が、ただ陽炎の中で揺れているだけのように感じたり、大切な想いが化石のように眠ったままなのだとしたら。どうか、その風を私に感じさせてください。私はあなたの隣で、最も美しい音を鳴らすための準備を整えます。
夕暮れ時、陽炎が静かに消え、風鈴の音が一段と澄んで聞こえてきました。明日もまた、新しい物語の息吹を探して、私はペンを走らせます。