「流動性」がキャリアを豊かにする〜やりたいことが見つからない新卒時代から、経営への関心へ
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新卒時代、私は「将来何がしたいのか」という問いに、正直に答えることができませんでした。やりたいことは何もない。そんな状態で社会人としてのキャリアをスタートした私ですが、その後の経験が全てを変えていきました。
オリエンタルランドでの7年間は、単なるキャリアの積み重ねではなく、自分自身と向き合う時間でもありました。現場での業務、企画の立案、組織管理など、様々な立場から事業を見つめる機会に恵まれました。やりたいことが見つからなかった新卒時代とは異なり、その経験の中で、いつしか「経営とは何か」という興味が芽生え始めていたのです。
その興味を確実な知識と体系的な視点に変える転機となったのが、MBAの取得でした。自費で学んだMBAの2年間は、オリエンタルランドで得た実践的な経験と、経営学の理論を結びつける貴重な時間となりました。点在していた経験が線で結ばれ、経営というフィールドへの関心が確実な目標へと昇華したのです。
この経験は、スティーブ・ジョブズが述べた「点と点が線になる」という言葉を思い起こさせます。ジョブズはスタンフォード大学でのスピーチで、大学時代に興味から様々な講座を受講した経験が、後にMacを開発する時に結びついたと述べています。当時は将来どう役立つのかわからない点の積み重ねが、後になってはじめてつながり、美しい線を描くようになる。その時点では、その先を見ることはできないのです。
私のキャリアも全く同じです。やりたいことが見つからなかった新卒時代、オリエンタルランドでの様々な経験、MBAでの学び。それぞれが独立した「点」に見えていたものが、時間が経つにつれ、一本の線として経営というテーマで結ばれていったのです。
こうしたキャリアの遷移を振り返るとき、私が重視している一つの概念があります。それが「流動性」です。
多くの人は「キャリアの軸」を定め、それに沿って道を進むことを理想としますが、私は異なるアプローチを大切にしています。それは、自分のキャリアに流動性を保つこと。やりたいことが見つからなくても、その時々の仕事に全力で向き合い、得られた経験から新たな関心が生まれるのを待つ。その積み重ねが、本当に進みたい方向を明らかにしていくのだと考えています。
キャリアに流動性を保つことで、予期しない機会が目の前に現れたときに、素早く反応できる柔軟性が生まれます。新卒時代には見えなかった世界が、経験を通じて次々と開かれていきました。完璧な計画よりも、その時々で最善を尽くし、得られたフィードバックを受け入れる姿勢。そうした「流動的」なキャリア構築こそが、人生を豊かに、そして予測不可能な時代を生き抜く力を与えてくれるのではないでしょうか。
新卒時代は「やりたいことがない」ことが弱点だと思っていました。しかし今、それは大きなアドバンテージであると考えます。固定観念に縛られず、目の前の学びを大切にできる自由さ。そうした状態から、流動性を保ちながらキャリアを構築していく。それこそが、本当の意味で自分たちの可能性を引き出す道なのだと信じています。