目次
はじめに
現在、私はフリーランスとして、デザイン制作やコンテンツ企画・制作、SNSを活用した採用広報、クリエイティブディレクションなど、さまざまなお仕事に携わっています。
新卒から会社員経験のないままフリーランスになり、デザイナーとしてキャリアをスタートしてから4年半。仕事の幅が広がるにつれて、いつしか「私はデザイナーではなく、何でも屋になっているのでは?」という悩みを持つようになりました。
自分の強みは何なのか、これからどんなキャリアを積んでいきたいのか。ずっと答えが出なかったのですが、今年に入ってようやく見えてきたのが、
「伝える側と受け取る側の間にあるズレを整理して、伝わる形へ翻訳する」
という仕事の軸でした。
デザイン、Web、コンテンツ、SNS。これまでバラバラに見えていた仕事が、実はすべて同じところにつながっていたことに気が付きました。
「いただけるお仕事があるならなんでもやります!」から始まった4年半で、どうやって今の仕事の軸にたどり着いたのか。これまでのお仕事を振り返りながら、自己紹介も兼ねて、私がどんなことを考えながら仕事をしてきたのかを知っていただけたら嬉しいです!
大学3年生、ダブルスクールでデザインを学ぶ
大学生の頃は特にやりたいこともなく、漠然と就職活動をして会社員になるんだろうなと思っていました。しかし大学3年生に上がる頃、ちょうどコロナ禍に入り、大学の授業はほとんどオンラインに。
就職活動の時期でもあったので、これからどんな仕事に就きたいのか、改めて考えるようになりました。
- 会社に依存せず、自分のスキルが積み上がっていく仕事がしたい
- ライフステージが変化しても、自分の大切なものを優先できる働き方を選びたい
- 可視化できるスキルを身につけたい
そんなことを考える中で、「いつかフリーランスとして働く」という選択肢が頭の片隅に浮かびました。
まずは経験を積み、いつか独立できるような専門的なスキルを身につけたい。そう考えたとき、興味があって目の前にあったのが、たまたま「デザイン」でした。もしこのとき目に留まったものが別の職種だったら、デザインではなかったかもしれません(笑)
こうして4年制大学と並行して「デジタルハリウッドSTUDIO Webデザイナー専攻」に通い始めました。
もう、とにかく学ぶのが楽しくて。大学やアルバイトの合間に勉強し、バイトが終われば先生にオンラインで質問。バイト中も暇になると、手元のメモ帳に授業のおさらいや「こんなデザインを作りたい」という構想を書いていました。
土日はスクールへ行き、長い日は11時間くらい籠っていたこともあります。大学より真面目に通っていました(笑)
そこで経験したのが、実際のクライアントを招き、クラス全員で取り組むデザインコンペです。このときのクライアントワークで感じた面白さが、その後の私の仕事の原点になりました。
課題は、個人向けの資金調達サービスのプロモーション。持ち物を査定・売却することで資金を得られ、一定期間は品物を手元に残せるというサービスでした。ヒアリングでは、「すぐにお金が入ること」「売却後も一定期間は品物が手元に残ること」などがメリットとして挙げられていました。
でも私は、「ユーザーにとっての価値って、本当にそれだけなのかな?」と、なんとなく引っかかったんです。
そこで、サービスそのものの特徴ではなく、そのサービスを利用した先にある生活や感情に目を向けてみました。「すぐにお金が手に入る」という機能そのものではなく、それによって生まれる生活の選択肢に価値があるのではないか。
そんな視点から、プレゼンとデザインを組み立てました。
↑お恥ずかしいですが、当時、作成したプレゼン資料です(笑)
結果として、クライアントや講師の方から、メリットではなくその先のベネフィットに目を向けた視点を評価していただきました。特にクライアントの方から「自分たちでも気づいていなかった魅力に気づいた」と言っていただけたことが、とても嬉しかったのを覚えています。
この経験から、私はただデザインを作ること以上に、サービスの魅力を見つけ、それを受け取り手が自分ごととして捉えられる形に変えることに面白さを感じていることに気づきました。
これが、制作だけではなく、その前段階から一気通貫で仕事に関わりたいと思った原点でした。
新卒からフリーランスになった経緯
デジタルハリウッドSTUDIOを卒業後、もちろん初めからフリーランスになるつもりだったわけではなく、デザイナーとして就職活動をしていました。
ただ、大学4年生の夏頃になってもなかなかご縁をいただけず、「未経験での採用が難しいなら、まずは業務委託で経験を積んでみるのもありなのかも」と考え、Wantedlyに登録しました。
そこで出会ったのが、今も継続してお仕事をさせていただいている会社さんです。
「まずは一緒にお仕事をしてみませんか?」と声をかけていただき、最初は単発のお仕事を任せてもらいました。
学生時代からアルバイトはしていましたが、自分のスキルそのものに対してお金をいただくのは初めてだったので、「お金をいただく以上、プロとして求められている基準を超えなければ」「せっかく任せてもらったなら、私を選んでよかったと思ってもらいたい」と、プレッシャーと緊張で頭がいっぱいでした。
ビジネスメールも「これでいいのか??」と不安で、クライアントへのチャットひとつに30分くらいかけて悩んでいたこともあります(笑)
デザイン、仕事の進め方、ビジネス用語、クライアントとのやり取り。分からないことばかりでしたが、仕事を終えたあと「一緒にお仕事できてよかったです」と言っていただけたことが、本当に嬉しかったです。
この経験から、「できるかは分からないけど、フリーランスとして仕事をしてみよう。失敗するなら若いうちがいい。ダメだったら1年でやめて、もう一度就職活動をしよう」と決め、2022年3月、大学卒業と同時に個人事業主として開業しました。
その後、最初に単発のお仕事をいただいた会社さんから継続的に関わらないかと声をかけていただき、同年5月から現在まで続く業務委託での仕事が始まりました。
「社会人経験もなければ、自分の強みも、やりたいこともまだ分かりません。デザイン以外でも、いただけるお仕事があるならなんでもやります!」と伝えました。
その一言から、デザイン制作だけではなく、ポータルサイト運営のカスタマーサポートやWebサービスの運営など、少しずつ仕事の幅が広がっていきました。
「なんでもやります!」で広がっていった仕事
フリーランスとして働くきっかけになった会社さんでは、参画当初から約2年半、カスタマーサポートや掲載ページの制作・更新、特集コンテンツの制作など、Webサービスの運営に関わるさまざまな業務を担当しました。
その後、仕事を続ける中で少しずつ担当領域が広がり、2024年頃からはマーケティング領域のサポートにも携わるようになりました。
現在まで担当している特集コンテンツでは、市場やユーザーニーズを調べて仮説を立て、検索ニーズやサイト内の数値をもとにテーマを考え、企画から制作まで一貫して担当しています。必要に応じて、Google・Meta広告に使用するクリエイティブ制作などにも関わっています。
一方で、フリーランス3年目頃までは、個人のお客さまからいただくデザインのお仕事も多く、名刺、ロゴ、チラシ、Webサイト、LP、SNS投稿画像など、本当にいろいろなものを作ってきました。
ありがたいことに、ご紹介からまた次のお仕事につながることも多く、当時の私はお声がけいただくたびに「ぜひ!」と、できる限り挑戦していました。
もちろん、初めて出会う仕事では自分に足りないスキルもたくさんあり、壁にぶつかるたびに調べて、勉強して、必要なものを身につけてきました。LPから公式LINEへの導線をつくりたいと相談されたことをきっかけに、LINE構築ツールを勉強して仕事に取り入れたこともあります。
ただし、分からないことやできないことまで「できます」と言うことはしないことは決めています。関わるすべての人に誠実であることは、フリーランスになった頃から今まで、仕事をするうえで大切にしていることのひとつです。
こうして仕事をするたびに、できることは少しずつ増えていきました。でもその一方で、ある悩みも大きくなっていきました。
「私、何でも屋になっているのでは?」
ロゴも作る。チラシも作る。Webサイトも作る。記事も書く。マーケティングにも関わる。
できることが増えているはずなのに、むしろ「自分は何が得意な人なのか」が分からなくなっていきました。
デザイナーとして何かひとつに特化した方がいいのか。
そもそもデザイナーが本当にやりたいことなのか。
マーケティングに振り切る道もあるのか。
会社員として経験を積む方がいいのか。
考えれば考えるほど、完全に脳内迷宮入りしていました(笑)
そんな頃、継続的に関わっている会社さんの懇親会で、参画当初からお世話になっている方にぽろっとこの悩みを相談しました。そこでいろいろな問いを投げかけてもらう中で言われたのが、「数値の伴った実績が少ないから、自信がなくなっているのでは?」という言葉でした。
確かに、それまで個人のお客さまを中心に行ってきたデザイン制作では、「お客さまに喜んでもらえた」「チラシを見た方から好評だった」といった反応はいただけても、その先の結果を数値で追うところまで関わる機会はほとんどありませんでした。
そこで一度、「何を専門にするか」という答えを急いで出すのをやめました。まずは目の前の仕事で、作って終わりではなく、その先でどんな結果につながったのかまで見る。
マーケティング領域の仕事でも、より数値を追う業務に携わらせてもらいながら、そんな働き方を意識するようになりました。
「つくる」だけでなく、その先を見るようになった5年目
長年コンプレックスだった「何でも屋」という自分の働き方が、少し違って見えるようになったのは2026年に入ってからでした。そのきっかけのひとつが、岐阜県恵那市で行われている環境プログラムのお仕事です。
社会課題を「面白い」「楽しい」という切り口で伝える会社さんと恵那市が実施するプログラムで、ご縁があり、当初は参加者募集のためのチラシデザインを担当する予定でした。
制作にあたり、「その地域の空気感や温度感を感じてほしい」と声をかけていただき、市の方々と一緒に、プログラムに関わる人や場所を巡る現地視察にも同行しました。
事前にいただいた情報と現地で見聞きしたことをもとに、私なりに感じたのが、「正しさは伝わるけれど、ワクワクが伝わりきっていないのではないか」ということでした。
環境問題について学ぶプログラムとして伝えるだけでは、少し難しそうに見えてしまう。でも実際に現地を巡ってみると、そこには人や場所、暮らしのつながりを発見していく面白さがありました。
そこで、単に情報を整理してチラシにするのではなく、「どう見せれば、参加する人にこの面白さが伝わるだろう?」というところから、コンセプトやクリエイティブの方向性を考えて提案しました。
その後、クライアントさんから、「チラシだけではなく、プログラム全体の体験設計や世界観づくりもお願いしたい」と声をかけていただきました。
そこから、募集チラシだけでなく、ロゴや当日使用するスライド、名札、ステッカー、ワークショップツールなど、参加者がプログラムに触れるさまざまな接点のクリエイティブを一貫して担当することになりました。
単品の制作物をつくるのではなく、プロジェクトの課題を整理し、「どう伝えるか」から考えて、必要なものを形にしていく。
初めて「クリエイティブディレクション」という役割で、プロジェクト全体に関わる仕事になりました。
体験設計を含めて、参加者が意欲的に参加したくなる仕掛けもまぜながら制作しました。
プログラムのサポーターとしても参加し、実際に来てくれた参加者さんとも交流して生の声を聞くことができました。
「編集力」という言葉で、点が線につながった
恵那市の仕事に携わる中で、クライアントさんからいただいたある言葉が、長年抱えていた「何でも屋」というコンプレックスを見つめ直すきっかけになりました。
「デザイン力というより、編集力が高いと思うんですよね。それが今、うちのデザイナーにも欲しかったんです」
「編集力……? 編集って雑誌とかに使う言葉では?」と、そのときの私は少し「??」だったのですが(笑)、続けてこんなお話をしてくれました。
これまで、誰が見てもすごいと思うようなデザインをつくるデザイナーとも仕事をしてきた。でも自分たちが求めていたのは、社会課題という大きなテーマを、参加する人たちが受け取りやすい形に「編集」できる人だった、と。
その話を聞いて、「編集って、私がずっとやりたかった“翻訳”のことかもしれない」と思ったんです。
伝える側が持っている情報や想いをそのまま届けるのではなく、受け取る側との間に立って、何を、どんな言葉や見せ方で伝えれば届くのかを考える。
振り返ってみると、私は以前から「これからどんな仕事をしていきたいの?」と聞かれるたびに、「人やもの、ことがつながるように、その間に立って伝える仕事がしたい。デザインはそのためのひとつの手段だと思っているので、方法はデザインじゃなくてもいいんです」と話していました。
そこで初めて、「あれ、私が今までやってきた仕事って、実は全部ここにつながっているのでは?」と気づきました。
カスタマーサポートでは、掲載事業者が伝えたい魅力とユーザーが知りたい情報の間に立つ。特集コンテンツでは、掲載事業者とユーザーのニーズをつなぐ。恵那市の環境プログラムでは、市や運営側が伝えたいことを、参加する市民が興味を持てる形に変える。Threadsを活用した採用広報では、会社が求める人と、その会社をまだ知らない求職者との接点をつくる。
手段は、デザインだったり、記事だったり、SNSだったり、Webだったりする。
でも、その間でやっていたことはずっと同じでした。伝える側と受け取る側の間にあるズレを整理して、伝わる形へ翻訳する。
「何でも屋」だと思っていた一つひとつの仕事が、初めて一本の線につながったように感じた瞬間でした。
「作って終わり」ではなく、その先を見る
「何でも屋」だと思っていた仕事に共通する軸が見えてきた一方で、2026年はもうひとつ、仕事との向き合い方にも変化がありました。
以前、継続的に関わっている会社の方から言われた、「数値の伴った実績が少ないから、自信がなくなっているのでは?」**という言葉。
それをきっかけに、制作物を納品して終わりではなく、「その仕事が実際にどう届き、どんな結果につながったのか」まで見ることを意識するようになりました。
たとえば、恵那市の環境プログラムでは、制作物をつくるだけでなく、どの募集経路から参加につながったのか、複数回のプログラムにどのくらい継続して参加してもらえているのかなど、その後の動きも追うようにしています。
Threadsを活用した採用広報では、投稿ごとの反応や問い合わせにつながった切り口を見ながら、内容を少しずつ変えて運用。その結果、約2か月の運用で採用に関する問い合わせが70件ほど集まり、1名の採用にもつながりました。
また、社会人向け講座のLP制作では、公開して納品したところをゴールにせず、その後の反響についても共有していただきました。具体的な数値は公開できませんが、当初の目標を上回る反響があったと伺っています。
まだ、すべての仕事で綺麗に数字を追えているわけではありません。それでも以前のように「いいものを作って、喜んでもらえたら終わり」ではなく、つくる → 届く → 結果を見る → 次に活かすところまで含めて仕事を考えるようになりました。
そして今は、「何を作れる人になるか」よりも、目的や課題に対して、何が必要なのかを考えられる人になりたいと思っています。
これからのお仕事
まだまだ荒削りで発展途上ですが、4年半さまざまなお仕事に携わる中で、ようやく「伝える側と受け取る側の間にあるズレを整理して、伝わる形へ翻訳する」という、自分なりの仕事の軸が見えてきました。
これからは、ただ「できることを増やす」のではなく、これまで身につけてきたスキルを横断しながら、事業やサービスへの理解を深め、課題を整理するところから関わる仕事を増やしていきたいと思っています。
具体的には、Web・コンテンツ領域を中心に、
- WebサイトやLPの企画・情報設計・制作・改善
- オウンドメディアやWebメディアの企画・コンテンツ制作・運用
- 事業やサービスの魅力を伝える特集・記事コンテンツの企画・制作
- 採用広報におけるコンテンツ企画やSNS運用、応募までの導線設計
- 地域や文化に関わるプロジェクトでの情報整理・コンセプト設計・クリエイティブディレクション
- 必要に応じた広告・SNS・Webクリエイティブの制作
など、「何を作るか」が決まった後からではなく、「誰に、何を、どう届けるか」を考えるところから関わる仕事に、より携わっていきたいです。
課題整理や企画、情報設計などの上流部分から入り、必要に応じて制作・運用まで一貫して担うことも、チームの中で企画やディレクションに集中することも。そのときの課題や体制に合わせて、柔軟に関われる人でありたいと思っています。
これまでは、必要になったものを自分で調べ、学び、制作することで仕事の幅を広げてきました。
これからはそのプレイヤーとしての経験も活かしながら、自分ひとりですべてを作ることにはこだわらず、必要に応じてデザイナーやライター、カメラマンなど、それぞれの専門性を持つ方とも一緒に仕事をしながら、プロジェクト全体の目的や伝え方を考え、形になるところまで進められる力も身につけていきたいです。
また、単発で制作物を納品して終わるよりも、事業やサービスに深く入り込み、その背景や大切にしていることまで理解しながら、公開後の運用や改善まで継続的に関われる仕事にも魅力を感じています。
特にこれから携わってみたいのは、人と人、人ともの、人と場所が新しくつながるきっかけをつくる仕事です。
事業やサービスはもちろん、地域や文化、長く続いてきた人の営みなど、まだ知られていない魅力を知り、「誰に、どんな形で届ければ興味を持ってもらえるだろう」と考えながら、その接点をWebやコンテンツ、クリエイティブでつくっていきたいです。
「デザイナーだからデザインをする」「SNSマーケターだからSNSを運用する」ではなく、まず目的や課題を整理して、そのために必要な手段を選ぶ。
企画・編集・ディレクション・制作の間を行き来しながら、伝えるために必要なことを一緒に考え、形にできる人になる。
まだその途中ですが、これからはそんな働き方を意識的に育てていきたいと思っています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
もしどこかに共通する考えや、一緒にできそうなことがありましたら、ぜひ気軽にお話しできたら嬉しいです!