【前編】仕組みゼロから“回る”状態まで──COO代行支援実例③──スタートアップ企業でのバックオフィス構築支援
「経験者不足、社員の退職と重なり、バックオフィスなどの管理部門も経営者が自分で全部見るしかない状態になってしまっています」
急成長中のD2Cスタートアップで、よくある課題・状況のひとつです。
今回は、バックオフィス未整備だった組織に伴走し、経理・勤怠・採用・契約・CSなど、日々止まらない体制を構築した事例を前編・後編に分けてご紹介します。
こちらの記事では、
目次
- 1.支援前の課題と背景
- 会社概要
- ▼ 抱えていた主な課題
- 2.実施した具体策(巻き取り〜整備まで)
- ① 経理・勤怠
- ② 採用・労務
- ③ その他
- 3.改善の成果・状況まとめ
- ①記帳作業の外注を内製化
- ②社内制度に合わせた勤怠管理の実施
- ③プロパー従業員の採用
- 4.支援のポイント
- ① 属人化しないことを大前提に環境を構築
- ② 定例×見える化で組織を回す
- ③ただ「とにかく巻き取る」では終わらせない
- 5.現場のリアルボイス
- 経営者様(M様)
- マーケ担当(O様)
- 6.まとめ 「とりあえず誰かがやってる状態」を終わらせる
- 【次回】後編公開予定
以上をまとめました。同じ悩みを抱える経営者様や、経営層の方たちの一助になれば幸いです。
1.支援前の課題と背景
会社概要
- 商材:健康食品のEC販売
- 人数:社長含め4名規模のスタートアップ企業。
- 主な販売チャネル:EC専門
マーケ専任の担当者がいるものの、人員不足ということもありバックオフィス関連(経理・勤怠・採用・CS等)をやらなければならず、本来の職域を超えて何でも対応していた状況でした。
その担当者も退職をすることとなり、新しい担当として別のメンバーをとりあえずあてがったものの、管理系業務に関しては経験や知識もない状態。
会社を円滑にまわすためにも、急ぎバックオフィスを「回る仕組み」として整備する必要がありました。
▼ 抱えていた主な課題
- 経理は外注(月8万円)しているが、やや高コストかつ遅延
- 勤怠は簡易的な管理しかできず、社内の制度にマッチしていないため管理がずさん
- 正社員採用は停滞し、アルバイト採用も未着手で人員不足が慢性化
- バックオフィス関係の業務が整備されていないため、属人化してしまう
経営者様:
「このままでは経営が止まってしまうと思うと、とても不安だった」
ということで、私にお声がけいただきました。
2.実施した具体策(巻き取り〜整備まで)
① 経理・勤怠
まずは月次・週次・週次で必ず発生するルーチン系の業務から着手。
キャッシュフロー管理は、経営判断のスピード感を維持するため、関数をフル活用したフォーマットを新たに設計し、一定の期間での更新をルール化しました。
経理記帳については、従来は月8万円で外注していたものの、対応スピードに課題があったため内製化を決断。自社対応とすることで、コストをゼロに抑えたうえ、即時性も確保できました。
勤怠に関しては、会社としてフルフレックス制度を導入しているため、当初は会計システムが提供する勤怠管理システムを利用していたものの柔軟性に欠けていたため実際の勤怠との乖離が発生。そのため専用サービスへの移行をデモから導入までを設計し、打刻精度向上のために入退室管理・PCログ管理を行うツールも導入。正確性の高い人事労務管理全体の構築を行いました。
② 採用・労務
管理部門の人員不足を早急に解消するため、正社員・アルバイト双方の採用を強化。スカウトサイトを通してのスカウト1,000件送付は、事前にターゲットペルソナを立てつつ条件などを代表と壁打ちしながら決定→実施。
また、indeedの記事作成やハローワーク申請も並行し、求職者とのやりとりも巻き取りながらアルバイト2名の採用に成功。スカウトを通しての採用も成功し、全体的な人員整備は約3週間ほどで完了。また入社手続きは電子署名システムを導入し、雇用契約書等をオンラインで完結できるように変更。社労士とも密に連携し、手続きの効率化を推進しました。
③ その他
日々の運用で属人化を防ぐため、社内のアイパス情報やGWSを導入していたもののExcel管理していたものなどをスプレッドシートに移管するなど情報の一元管理を実施。
また、担当者が兼務していたカスタマーサポート窓口業務も巻き取ることで、マーケ担当がコア業務に集中できるような社内環境を構築。担当者の業務負荷にもつながりました。
さらに、倉庫切替に向けた出荷データ分析を行い、今後の業務設計に活用。業務全体を止めず、進捗を確実に回すため、週1回の定例MTGを設け、タスク状況や次アクションを都度整理する習慣化も並行して行いました。
3.改善の成果・状況まとめ
①記帳作業の外注を内製化
改善前:月8万円、仕訳完了まで約2か月強
改善後:内製化することによりコスト0かつ仕訳完了まで約2週間
②社内制度に合わせた勤怠管理の実施
改善前:フレックス制度のため、実働がみえづらい状態に
改善後:入退室管理と勤怠管理を連携させることによりほぼ正確な実働記録が可能に
③プロパー従業員の採用
改善前:専門知識・経験が無い社員の無駄な残業、コア業務に専念できない体制が長期化
改善後:プロパー社員獲得に向けた記事の作成・校正・画像選定等を行い、約3週間で求人への流入15件→採用2名。また電子契約システムを導入することで書類のやり取りをゼロに。入社後の作業に関してもマニュアルを10本以上整備し、入社後から即戦力になるよう環境を構築。
4.支援のポイント
① 属人化しないことを大前提に環境を構築
関数付きのキャッシュフロー表、雇用契約書・就業証明書のフォーマット、電子契約の活用など、すでにある業務を簡素化・効率化することにより誰でも対応できる・残せる形に構築を行いました。
② 定例×見える化で組織を回す
経営者様とは週1回1時間ほどの定例MTGを行い、双方の進捗確認>判断・意思決定>次アクションを常にセットで回すようにし、タスク停滞を防止。
③ただ「とにかく巻き取る」では終わらせない
マストな業務をただこなすだけでは一般的な事務代行となんら変わりません。私が心がけているのは、それは当たり前にやることとしてプラスα、次の人に安心して渡せる状態=マニュアル、フロー整備・構築、業務改善までを実施。特に経営者様がコーポレート業務に対するノウハウがなかったため、自身の経験をフル活用し、もちろん経営者様に確認はとりつつも、ほぼ独自に組織の最適化を推し進めました。
5.現場のリアルボイス
経営者様(M様)
「業務の属人化がなくなり、“任せられる安心感”をようやく持てるようになりました。今はバックオフィスが回ることで、本来の事業に集中できる状態が整いました。」
マーケ担当(O様)
「本来の業務に集中できる環境がようやく整いました。手探りでやっていた勤怠や経理も、仕組み化されたことで心理的負担がなくなり、時間の使い方が変わったと実感しています。」
6.まとめ 「とりあえず誰かがやってる状態」を終わらせる
今回のように、
- 担当者が退職間近で、業務がブラックボックス化している
- 採用・勤怠・経理などバックオフィスが混線し、止まりかけている
- 経営者が「全部自分で見るしかない」状態になっている
そんな企業では、まず最優先として経営が止まらないように業務を巻き取りつつ、ただそれだけでなく仕組み化・マニュアル化・自動化などを推進・構築し、メンバーが変化しても問題ない状態に整えることが重要です。
目先の作業ではなく、その先の「誰がやっても回る」にフォーカスした伴走が、今回の事例でも効果を発揮しました。
「今はなんとか回っているけれど、このままだと危ないかも……」
そんな感覚を持っている方は、ぜひ一度ご相談ください。
【次回】近日中に後編公開予定
今回はルーチン業務系の改善を主に書かせていただきました。
次回はシステム開発支援、自動化など、バックオフィスの更なる効率化事例を紹介予定です。
以上、長くなってしまいましたが、この記事が少しでも役に立ったら👍 いいね&フォローで応援していただけると嬉しいです😆!
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