One Moment 桜の花が舞う生と死、そこに立ち現れるもののあはれ
“世は定めなきこそいみじけれ”(徒然草 第七段)すなわち、”世は無常であるからこそ、美しい”という日本古来の美的感覚があります。無常、つまり生と死が繰り返されるその変化を知るからこそ、そこにある美を感じ、そして失ったときには、そこにあった生を想うことで美を感じるのでしょう。 “また、日本ほど昔から自然災害が頻発している国も存在しない。火山や地震、雪崩、津波、台風、戦乱など…、日本人が長年見てきたものは、美が瞬く間にはかなく消えゆく様子だった。”(中国網日本語版 2011年11月21日)とあるように、日本は自然の変化を多く目の当たりにし、無常観を胸に刻んできたのです。 桜が「生」を、舞い落ちた桜は「死」を象徴するならば、桜の美は、桜の花びらが舞うその刹那にあると考えました。この作品は、桜の舞う瞬間を立ち現わせることで、もののあはれを体感してもらうものです。 空間に浮かんでいる花びらは、桜の一層、すなわち桜が舞うその一瞬です。 その桜のレイヤー(布)が風によって動けば、その風と会話するように、桜の静は動に変わります。 桜の花の最後の生は、死に向かいながらも舞い上がりそして舞い落ちるのです。 桜が舞う一瞬に、もののあはれを感じてもらえればと思います。 以上のコンセプトを実現するために、 桜のオブジェクトとフォトリアルな桜のテクスチャーを3Dで作り 風をソフトウェアで制御→布が動く→布の形状を3dスキャン→3dモデルを物理演算したものをプロジェクション 以上を独自に開発したプログラムでリアルタイムで行うことで実現しました。